中小企業も太陽光発電導入へ、電気料金値上げで

【ペタリンジャヤ】 中小企業(SME)が電気料金節約のために太陽光発電の導入を進めている。1月より実施されている、中・高電圧契約(大規模電力利用者)を対象とした1キロワット時(kWh)あたり20センの電気割増料金の影響によるものだ。

マレーシアSME協会のディン・ホンシン会長は、再生可能エネルギー導入は、政府の税制優遇措置や銀行の低利息融資が活用でき、太陽光パネルの価格も以前に比べて手頃になっているため、SME協会も中小企業に対して導入を促していると述べた。ジョホール州の製鉄所では、太陽光パネル設置前の毎月の電気料金は100万リンギだったが、設置後には約60万リンギにまで削減できたという。ディン会長自身が経営する食品工場でも、2021年の太陽光パネル一部設置後に電気料金を毎月約3.4%(3,000リンギ)節約できたため、今後全面設置を計画しており、年間で6.7%の節約ができる見込みだとした。

製紙のムダ・ホールディングスのリム・チウンチョン社長も、製紙工場で太陽光発電を導入していると言明。太陽光パネルの設置コストの低下や耐用年数長期化のおかげで費用対効果が高くなり、企業にとり現実的な選択肢となったと述べた。10年前は耐用年数は12年で投資回収を8ー10年で行わなければならなかったが、現在では25年間利用でき、投資回収も5年でできるようになったと述べた。

太陽光発電のテラ・バのマイケル・レオン社長は、ソーラーパネルの設置コストはこの10年間で技術の進歩や競争の激化により約70ー80%低下し、企業はソーラーパネル設置に意欲的になっているとコメント。電気料金値上げの影響で今年1ー2月の問い合わせ数は3倍となったと述べた。
(ザ・スター、4月9日)

家具見本市の成約額、今年は12.1億米ドルに増加

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大以降初となる、国際家具見本市「MIFF2023」が3月1ー4日にクアラルンプールで開催。会期中の成約額は2019年の10億1,000万米ドルから19%増の12億1,000万米ドルに達した。

マレーシア国際貿易展示センター(MITEC)とワールド・トレード・センター・クアラルンプール(WTCKL)の2会場に世界各国の家具バイヤーが集結した。マレーシア、中国、香港、インド、インドネシア、日本、韓国、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムの11カ国・地域から673社が出展。36カ国から1万9,275人が来場し、そのうち約30%が海外バイヤー、40%が初来場者だった。

MIFFの主催企業インフォーマ・マーケッツのケリー・リム事業部長は、81%の来場者が新商品の発掘および発注を目的に来場し、売れ筋商品は、ダイニングルーム、ベッドルーム、リビングルーム、オフィス向けの家具や布張り家具・ソファ、キッチン家具だったとコメント。また、幅広い出展企業や商品により見本市に活気が生まれたとし、来年はMIFFの30周年となるため、さらにパワーアップした内容になることを期待していると述べた。
(ベルナマ通信、4月6日)

中国がアジア通貨基金構想に関心、米ドル依存を軽減=アンワル首相

【ペタリンジャヤ】 中国の習近平国家出席がアジア通貨基金(AMF)構想に関心を示した。アンワル・イブラヒム首相兼財務相が4日の国会で明らかにした。

アンワル氏は海南省で3月28日から開催されたボアオ・アジア・フォーラムで、米ドルや国際通貨基金(IMF)への依存を減らす必要があるとし、AMFの設置を提案した。

アンワル氏は31日には習主席と会談したが、会談早々、習氏から「アンワル氏が提案のアジア通貨基金に触れたい。協議を歓迎する」との発言があったという。

アンワル氏は、マレーシアが引き続き米ドルに頼る理由はないと、米ドル依存脱却の必要性を強調した。既に貿易決済に関し、両国の通貨(リンギと人民元)を使用できるよう、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が中国側と交渉を持っているという。

AMF構想の背景には米ドル覇権への世界的な不満がある。アンワル氏によれば、1990年代、初めて財務相を務めた際、AMFを提案したが、米ドルが強い時代のため関心を集めなかった。

しかし中国、日本などの経済が強くなった今、基金設立と自国通貨の相互利用を考慮すべきだという。1997年に始まったアジア通貨危機の際、日本もAMF構想を提案していた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、4月4日)

タクシーと配車サービス、車齢の上限を15年に

【クアラルンプール】 公共陸運局(APAD)は3日、タクシーおよび配車サービス業界の支援を目的に車齢の上限を15年とすると発表した。

タクシーおよび配車サービス車共に、乗客の安全のため電子化自動車検査センター(Puspakom)の車検取得が条件となっている。配車サービス車両については全国的に適用されるが、タクシーについては半島部と基準が異なるサバ州、サラワク州、ラブアンのみ2023年1月1日時点で車齢10年に達した車両が対象となる。タクシーの車齢上限は現在、半島部では10年となっているが、サバ州では20年、サラワク州では18年となっている。

APADは、車齢上限の引き上げについて、運輸省による国内の公共交通システムを改善し、タクシーおよび配車サービス業界を支援するという方針の下で実施すると説明。タクシー・配車サービス産業のサービス向上に繋がることを見込んでいるとした。

タクシーや配車サービスの運転手からは、歓迎する声が出ているもの、マレーシア配車サービス運転手協会(Mehda)は古い車両の走行が認められることで需要を供給が上回る可能性があるとして、裏目に出ないことを願っているとのコメントを発表した。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、4月3日)

マレーシアとインドの企業間取引でインドルピーが使用可能に

【クアラルンプール】 在マレーシアインド高等弁務官事務所は1日、マレーシアとインドの企業間取引の決済通貨としてインド・ルピー(INR)の使用が可能になったと発表した。

在マレーシアインド高等弁務官事務所によると、インド準備銀行が2022年7月にINR建ての請求・決済を承認したことに基づく決定。両国の貿易業者は、基軸通貨を使用せずINRで直接取引できるようになり、為替相場の変動による差損益リスクの軽減が期待できる。他通貨も引き続き利用可能。また、インド国際銀行(M)(IIBM)で、INR建てのボストロ口座(銀行間取引で資金決済を行う先方の決済口座)を開設する。

インド・マレーシア間の貿易額は2021ー22年度に194億米ドル(856億リンギ)に達している。決済通貨の追加により二国間貿易額がさらに増加することが期待されるという。
(ザ・サン電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、4月1日)

中国から19件、1700億リンギの投資を確保=アンワル首相

【北京】 中国を公式訪問したアンワル・イブラヒム首相は1日、中国企業との間で覚書(MoU)19件を締結し、総額1,700億リンギとなる投資を確保したと発表した。中国からの投資額としては過去最高となる。

アンワル首相は北京で開催された「マレーシア中国ビジネスフォーラム」の基調講演で、中国からの投資は、マレーシアに対する投資家の信頼を示すものだと言明。▽国民車メーカー・プロトンの親会社DRBハイコムと中国の自動車メーカー吉利汽車の親会社である浙江吉利との間でのペラ州タンジョン・マリムにおける自動車ハイテクバレー開発▽マレーシア・中国商工会議所(MCCC)と中国商工会議所との間での機械・電子製品輸出入▽デジタルウェイ・グループ、中国絲路集団(CSRG)、中国カイロス・キャピタルの3社間での廃棄物発電所の開発に向けたデジタル開発ファンド共同設立ーーなどについて、合意が得られたと述べた。また、中国の一帯一路構想(BRI)における協力関係を深め、グリーン開発やデジタル経済といった成長分野での経済協力を拡大していくとし、他の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国とも緊密に協力し、中国ASEAN自由貿易協定(ACFTA)の全参加国が利益を得られるようにすると述べた。

中国は2009年以来14年連続でマレーシア最大の貿易相手国。二国間の貿易総額は2022年に4,871億リンギに達している。外国直接投資(FDI)額でトップで、2022年のFDI総額2,646億リンギのうち21%を占めている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月2日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、4月1日)

国内銀行の資本や流動性は健全、景気後退でも懸念なし=中銀

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)のノル・シャムシア総裁は29日、国内銀行は十分な資本や流動性を維持しており、景気後退を想定した場合にも損失を吸収できる能力を有していると明らかにした。また国内の全銀行は規模に関わらず厳しい規制下にあり、他国で起きたような銀行危機はマレーシアでは起こらないとしている。

ノル氏は、中銀が毎年実施しているストレステストを通じ、銀行や保険・タカフル(イスラム保険)事業者を世界金融危機や2020年のパンデミック時よりも厳しい運用環境でテストした結果、総資本比率は最低限必要な8%を大きく上回る結果となり、国内金融機関の強さが確認されたと述べた。

BNMの「2022年下半期金融安定性レビュー」によると、国内銀行の総資本比率は2022年6月時点で18.4%、同年12月時点で18.8%。資本バッファーは規制最低値を超える1,348億リンギだった。総資産利益率は1.4%、自己資本利益率は12.4%に改善し、2022年12月時点の株価純資産倍率および株価収益倍もそれぞれ0.9、12.2とパンデミック前水準には及ばないものの上昇傾向にある。流動性に関しても、2022年12月時点の安定調達比率(NSFR)は118.2%、流動性カバレッジ比率(LCR)は154.0%となり、健全性を維持した。
(ザ・サン、ザ・スター、3月30日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月29日)

今年度予算案に追加の政策を発表=アンワル首相

【クアラルンプール】 2023年度予算案の第二読会が29日に行われ、アンワル・イブラヒム首相はいくつかの追加政策を発表した。

アンワル首相は、すでに発表した予算案に盛り込まれた政策で、恩恵を得ることができない人たちがいるとし、追加政策を導入することを決めたと説明。特にラマダン(断食月)やラマダン明けの祝日への支援が必要だとし、小規模ゴム農家や水田農家、漁師など85万人に対する追加の特別現金給付200リンギに1億7,000万リンギを割り当てると述べた。また自警団(RELA)や警察、消防のボランティアにも300リンギを支給するとした。

さらに28日にスティーブン・シム副財務相が打ち切りを発表していた国家教育貯蓄制度(SSPN)貯蓄者への最高で8,000リンギの個人所得税控除について、アンワル首相は国民からの反対や懸念の声が寄せられたとし、2024年まで延長することを決めたと述べた。今年度予算案は、全国民の幸福を確保するためにマレーシアを変えるという政府の決意を示すものであると説明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月30日、ベルナマ通信、3月29日)

セランゴール国際ビジネスサミット、10月19ー22日に開催

【ペタリンジャヤ】 セランゴール州政府は、10月19ー22日に「セランゴール国際ビジネス・サミット(SIBS)2023」を開催すると明らかにした。

今年で7回目の開催となる「SIBC2023」は、クアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)において「セランゴール、東南アジア諸国連合(ASEAN)への玄関口」というテーマで開催する。

メインイベントとして、食品・飲料(F&B)および医療従事者向けの「セランゴール国際エキスポ」、「セランゴール工業団地エキスポ」、「セランゴールASEANビジネス会議」、「セランゴール・スマート・シティ&デジタル経済会議」、「セランゴール研究開発 (R&D)&イノベーション・エキスポ」を開催し、「セランゴール国際料理フェスティバル」や「セランゴール国際ヘルスケア会議」、「SIBSインビテーショナル・ゴルフトーナメント2023」などのイベントの紹介も行うという。

今年は、5万人の来場、1,050のブース設置、15億リンギの成約が見込まれている。今年は外国人の参加比率を昨年の10%から20ー30%に引き上げることを目標としているという。なお、ビジター登録の受付はウェブサイト(www.selangorsummit.com)で行っている。
(ザ・サン、3月28日)

今年のインフレ率は3.1ー3.3%に低下、経済相が予想

【ペタリンジャヤ】 ラフィジ・ラムリ経済相は、2023年通年のインフレ率について現在の下降傾向が続けば3.1ー3.3%程度に低下するとの予想を示した。

ラフィジ氏は2022年12月以降、インフレ率が安定水準を維持していると指摘した上で、「9月の4.5%をピークにその後の6カ月の統計局のデータをみると、価格上昇のピークを過ぎていることを示す兆候が表れている」と言明。「2カ月ごとに0.1%の割合でインフレ率が低下する場合、この下降パターンが今後数カ月間継続すれば、年末にはインフレ率が3.1ー3.3%になる可能性がある」と述べた。

一方でラフィジ氏は、インフレが国際的な地政学的要因や洪水などの地域的な混乱によって引き起こされる原材料の供給混乱など、制御できないものにも依存すると指摘。「生産コストが下がる兆候があることを示すデータからはインフレが下降傾向にあるように見えるが、他の要因もある。たとえば天候不順は原材料の供給に混乱を引き起こす」と述べた。

3.7%だった2023年2月のインフレ率に関して、ラフィジ氏は、主な要因が洪水によって野菜の価格が上昇した食品・飲料(7%)と、国内外からの観光客増加に伴う外食・宿泊(7.4%)にあると指摘した。
(ザ・スター、3月28日、ベルナマ通信、3月27日)