BMWマレーシア、年初8カ月のEV販売台数は1600台超

【クアラルンプール】 独系BMWグループ・マレーシアは18日、今年1ー8月に「BMW」、「MINI」、「BMW モトラッド」ブランドの電気自動車(EV)を1,600台以上販売したと発表した。昨年通年でのEV販売台数は1,557台だったため、すでにそれを上回ったことになる。

マレーシア公式オープンデータ・ポータルの8月末時点でのBMWのEV販売データによると、大型高級セダン「7」シリーズで初のEVとなる「i7」は今年150台を販売。スポーツ多目的車(SUV)「iX」は880台、SUV「iX3」は108台、5月に発売開始されたコンパクトSUVの「iX1」は291台、4ドアクーペ「i4」は120台がそれぞれ販売されている。

BMWグループ・マレーシアはまた、10月1日ー12月31日に「BMW」と「MINI」のEVを購入した先着200人に「EV充電無制限パッケージ」を提供すると発表。12カ月間、ジョムチャージ、チャージEV、ジェンタリが提供する全国のEV施設において、登録車両に対して無制限に充電ができるもので、料金は「BMW」では2,400リンギ、「MINI」では1,800リンギとなる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月19日、エッジ、ポールタン、9月18日)

今年のハラルショーケース、成約額が31億リンギに

【クアラルンプール】 9月12ー15日の日程で開催されたハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2023」で、成約額が目標額の25億リンギを24%上回る31億1,000万リンギに達した。

今年で第19回目の開催となった世界最大のハラル見本市であるMIHAS2023は、マレーシア貿易開発公社(Matrade)が主催するもの。マレーシアの輸出業者向けに2023年9月11日に開催された国際調達プログラム(INSP)と、9月12ー15日に開催された44カ国の出展者が参加する見本市の2つのプログラムで構成され、予備的計算によると、INSPの成約額は12億2,000万リンギ、見本市の成約額は18億9,000万リンギに達した。バーチャルINSP商談会は11月30日まで行われるため、成約額はさらに上積みされるとみられる。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、「マレーシアのハラル産業マスタープラン2030では、ハラル産業の貢献度について2030年までにマレーシア国内総生産の11%に相当する2,660億リンギを目標としている」と述べた。
MIHAS2023には、100カ国以上から合計3万8,566人が来場し、当初予想の3万5,000人を上回った。うち2万9,090人が直接参加し、9,476人がバーチャルで参加した。 対面のINSPは、マレーシア企業469社と、11社のプレミアムバイヤーを含む44カ国の231人の海外バイヤーが合計2,788件の商談を行った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、9月19日)

希土類元素の埋蔵量は1兆リンギ相当=パハン大准教授

【クアラルンプール】 マレーシア・パハン大学のモハマド・ユスリ・ユヌス准教授は、放射性のない希土類元素(NR-REE)の国内埋蔵量は推定1,610万トンあり、1兆リンギの収入を国にもたらすことができると主張した。

代表的元素はプラセオジム、ネオジム、ジスプロシウムの3つで、電気自動車や風力タービン、家電のモーターに使われる強力磁石の生産に欠かせない。市場価格は1トン当たりそれぞれ57万7,212リンギ、59万3,336リンギ、196万リンギに上り、トレンガヌ、クランタン、ペラ、パハン、ケダの各州に埋蔵されているという。

鉱物持続可能性・資源回収センター長でもあるモハマド・ユスリ氏はウトゥサン・マレーシア紙の取材に対し、パハン州ゲベンにある豪州系ライナスの希土類加工工場の経験からマレーシアは学び、国産の加工工場を開発すべきと指摘。パハン州ガンバンや同州北部に埋蔵されている希土類元素は100年以上採掘が可能だとし、同州だけで毎年数十億ドルの収入になるため開発すべきと述べた。

アンワル・イブラヒム首相は最近、乱開発を避けるため希土類元素の輸出を禁止する方針を明らかにしている。希土類の採掘は森林保護区や環境上重要な森林では禁止されている
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メール、9月15日)

 

独自のカーボンクレジットの導入、ジョホール州が計画

【イスカンダル・プテリ】 ジョホール州政府は州議会に、州独自のカーボンクレジット(温室効果ガスの排出削減証明)の導入案を提出した。一定の水準を超え二酸化炭素を排出する事業体に、超過分を税として納入することを求める内容だ。税収増が狙い。

提出に当たった気候変動災害対策特別委員会のアヌアル・アブド委員長によると、徴収した税は気候変動がもたらす災害への対策費として利用する。納税先は州政府に限定せず、連邦政府になる可能性もあるという。

アヌアル氏によると、特別委員会はまた、マレーシア気象局が州内全域に、気象データを自動的に集める測候所を設置できるよう、気象局に資金を出すことも提案している。
(マレー・メイル、9月14日)

プロトンが「X90」をリコール、配線の欠陥で発火の恐れ

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは13日、今年5月に発売した同社初のハイブリッド車であるスポーツ車(SUV)「X90」について、配線の欠陥で発火する恐れがあるとしてリコールすると発表した。「X90」は8月末までに累計2,944台が販売された。

プロトンは、社内調査でアース接続の一つに問題がある事が判明したとした上で、「継続的に大きな電流が流れると接続部分が過熱し、防音材に近いため熱事故が発生する可能性がある」と説明。懸念の声が上がっていた車載の48ボルト・マイルドハイブリッドバッテリーが原因ではないと強調した。

「X90」の所有者には、プロトンのディーラーから個別に連絡があり、車両を検査のために持ち込むよう指示がある。必要に応じて、熱リスク排除のためにサービス・センターによる修理作業が行われるという。
(マレー・メイル、ポールタン、9月13日)

GSTの再導入前に、富裕層の補助金削減が必要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、物品・サービス税(GST)について、GSTは最も効率的かつ透明性の高い税制であると認めたものの、導入時期については、もう少し時間が必要だとし、まずは富裕層の補助金を削減しなければならないとの見解を示した

シンクタンクの米ミルケン研究所が開催した「第10回アジアサミット」において、ブルームバーグのインタビューに応じたアンワル首相は、マレーシアはアジアの中で補助金支出額が最も高い国の一つであるとした上で、政府は出来るだけ早く補助金を削減する必要があるとした。

一方で投資について、アンワル首相は、1990年代に成功した例を挙げて、誘致を確実にするため政策を明確にすることに重点を置いているとコメント。適切な政策と明確な経済政策により1990年代よりも良い結果を出すことができると述べた。
(エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、9月13日)

レアアース原料の輸出禁止、年内に開始する見込み=環境相

【クアラルンプール】 ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は13日、希土類元素(レアアース)採掘の標準運用手順(SOP)について、年内に施行される見通しだと明らかにした。アンワル・イブラヒム首相が11日の下院議会で「国産レアアース原料の輸出を禁止する」と述べたことを受けてのもので、輸出禁止についてSOPに明記されると見られる。

ニック・ナズミ大臣は、レアアースに関するSOPは閣議ですでに承認され、10月2日に開催される鉱物資源産業開発調整委員会でSOPの全国展開に関して協議される予定だと述べた。SOPの一部は天然資源環境気候変動省とその傘下の鉱物地球科学局、その他の開発関連部分は経済省、投資貿易産業省などが管轄するとしている。
(エッジ、9月13日)

人工島のマラッカゲートウェイ、開発再開へ

【マラッカ】 430億リンギを投じマラッカ州沖に人工島を建設する「マラッカ・ゲートウェイ」の推進母体であるKAJデベロップメント(KAJD)は、「マラッカ・ゲートウェイ」の開発を再開すると発表した。

マラッカ・ゲートウェイは、2014年に建設が開始され、2025年までの完成を目指していたが、開発に参加していた中国電力建設が撤退し、2020年には工事の遅延を理由としてマラッカ州政府から建設中止命令が出されていた。KAJDは2022年3月に州政府の承認を得て、1島(PME1)の開発を再開。アンソニー・ローク運輸相も2023年3月、PME1の国際クルーズ船ターミナル(MICT)建設に向けて交渉を開始すると明らかにしていた。

KAJDのダイン・A・マレク会長は声明で、MICTからインフラ建設を再開するとし、MICTは国際クルーズ船やフェリーがマラッカに寄港する際の唯一の港になると言明。クルーズ船により、毎年約350万人の観光客が訪れることが期待できるため、地域経済に寄与しながら、世界で最も有名な観光地のひとつであるマラッカをアピールし、観光活動を増加させていくとしている。
(エッジ、9月11日)

レアアース原料輸出禁止へ、国内産業促進に向け=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は11日の下院議会で、資源の流出を防ぎ国内産業を促進するため、国産の希土類元素(レアアース)原料の輸出を禁止する方針であることを明らかにした。ただ禁止時期については言及を避けた。

アンワル首相は、輸出禁止措置により資源の搾取と損失が回避され、国に最大の利益が保証されるとした上で、「国内での原料加工が促進され、国に追加の収入がもたらされるだろう」と言明。レアアース産業において上流、中流、下流部門を統合した詳細かつ包括的なビジネスモデルが作り出されるだろうとし、「レアアース産業が持続可能で環境に優しい非放射性レアアース(NR-REE) をベースとした新たな持続可能な成長源として浮上するだろう」と述べた。

アンワル首相は、レアアース産業が2025年までに国内総生産(GDP)に95億リンギの貢献をもたらし、7,000人分の新規雇用を創出すると予想されていると言明。また持続可能性と責任の原則に基づいて鉱業の包括的な発展を推進するため、国家鉱物政策を起草すると述べた。

マレーシアのNR-REEについては、ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相が6月、推定埋蔵量が1,610万トンで推定市場価値は8,096億リンギに達すると明らかにしていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月12日、フリー・マレーシア・トゥデー、ロイター、9月11日)

ペトロナス傘下ジェンタリ、クチンにEV充電施設を設置

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは、完全子会社であるジェンタリ・グリーン・モビリティを通じ、サラワク州営電力会社のサラワク・エナジー(SEB)と提携し、電気自動車(EV)充電施設をサラワク州クチンに設置した。

設置場所はクチンの複合施設「ICOMスクエア」。充電器は3基で、そのうち2基は180キロワット(kW)のDC急速充電が可能となっている。9月中は試験運用を実施し、24時間365日運用する。

ジェンタリ・グリーン・モビリティは7月にEV充電スポット管理アプリ「ジョムチャージ」を提供するEVコネクションおよび石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社であるインソン・グリーン・テクノロジー(M)と提携し、3社の充電施設の横断利用を開始しており、クチンのジェンタリ充電施設利用者は、充電アプリの「セテル」と「ジョムチャージ」を通じて全国600カ所の充電施設も利用できるようになる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ボルネオポスト、9月7日)