プロトンがタンジョンマリム工場に新ライン、部品輸入削減へ

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、ペラ州タンジョン・マリム工場に1億4,000万リンギを投じ新スタンピング(プレス)ラインを導入したと発表した。

プロトンによると、スタンピングラインとしては国内最大級で、最大2,500トンの加圧能力を有し、50種類の部品を生産できる。人工知能(AI)システム連動カメラによる材料の正確な位置決めやOEM(相手先ブランド製造)企業による遠隔サポートなど、インダストリー4.0(IR4.0)技術を取り入れ、工程の98%を自動化。材料の移動にもロボット6台を活用するため、高効率で人的ミスも少ないという。部品の年間輸入量を11万5,000個削減し、サプライチェーン混乱の影響を軽減できるとしている。

ロスラン・アブドラ副最高経営責任者(CEO)は、新ラインの立ち上げは、プロトンの自動車生産において大きな付加価値となり、また部品の国内調達を増やすことは国内自動車エコシステムにとって重要で、海外への資金流出を減らすのにも役立つと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月15日、ポールタン、ベルナマ通信、3月14日、プロトン発表資料)

中銀バンクネガラ、政策金利を2.75%で据え置き

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は9日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を2.75%で維持することを決定した。2022年5月から段階的に引き上げていたが、2会合連続での据え置きとなった。

BNMは声明の中で、金融政策のスタンスにおいて現在の金利水準は依然として緩和的であり、経済成長を下支えしているとした上で、金融政策が経済に及ぼす影響のタイムラグを考慮して、これまで行ってきた利上げの影響を引き続き評価していくと強調。今後もインフレ率や経済成長のリスクとのバランスを考慮して金利を調整するとした。

国内経済については、昨年通年の経済成長率が8.7%となり、力強い成長を遂げたと指摘。今年の成長率は、前年が高い成長率となったことや、世界経済の減速の影響も受けて緩やかな水準に止まる見込みだとした。その上で、今年も好調な内需が成長を牽引し、雇用や所得の前向きな見通しからの下支えも見込めると予想。その他には、外国人観光客増加による観光産業の成長や、複数年にわたって実施されている大型プロジェクトによる投資活動の下支え、先ごろ政府が発表した今年度予算案に盛り込まれたプロジェクトの実施が上方リスクとなるとした一方で、世界経済の成長が予想を下回る可能性、積極的な金融引き締めなどが成長リスクとなるとした。またインフレ率については、今年は需要とコスト圧力の高まりにより高い状態が続くが、上昇率は穏やかになるとの見込みを示した。

世界経済についてBNMは、中国経済の再開や主要経済国の成長率が予想を上回るなど、前向きな展開があったとしたものの、コスト圧力の高まりや金利の上昇により圧迫されており、インフレ率の上昇率は緩やかになってきているが、今後も利上げが行われると予想。その上で、今後も地政学的緊張の高まり、予想を上回るインフレ率の上昇、急激な金融引き締めなどが依然下振れリスクとなるとした。

米AWSがデータセンター開設へ、37年まで255億リンギを投資

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 クラウドサービス大手の米アマゾン・ウェブ・サービシーズ(AWS)は2日、マレーシアにAWSリージョン(データセンター)を立ち上げると発表した。2037年までに約255億リンギ(60億米ドル)を投じる。

AWSは31カ国・地域に展開しており、東南アジアでは、シンガポール、ジャカルタ、タイ(近日提供開始)に次ぐ4カ所目となる。

テンク・ザフルル通産相は声明の中で、AWSの投資を歓迎するとし、クラウドサービスによりマレーシアは外国人投資家を惹きつけ、即戦力人材を生み出すことで国際的競争力も高められるとコメント国内労働者のクラウド技術養成に向けたAWSの継続的投資を期待しているとし、過去2年間にAWSと築いてきた信頼関係が結実したことを嬉しく思うと述べた。

MIDAのアルハム・アブドル・ラーマン最高責任者は、マレーシアが世界のデータセンター分野で評価されており、AWSがマレーシアに投資を行うことで、地域のデータセンター・ハブとしての地位を確固たるものにすることができると言明。最先端技術が導入され、競争力を高めることができると述べた。

昨年5月、当時のアズミン・アリ上級相(兼通産相)は、AWSからの投資を認可したと発表。実現に向けてマレーシア投資開発庁(MIDA)、通産省、財務省との間との調整が残っていると説明していた。

国内ハラル市場規模、2030年までに4千億リンギに=副首相

【クアラルンプール】 アハマド・ザヒド副首相兼地方地域開発相は、国内ハラル(イスラムの戒律に則った)市場が2030年までに4,000億リンギ規模に達し、国内総生産(GDP)の11%を占めるという見通しを明らかにした。

2月28日にクアラルンプールの食品分野起業支援施設マラ・フード・インダストリー・コンプレックス(KIMAR)を訪問したザヒド副首相は、イスラム教徒人口が16億人に達する2030年には、世界のハラル市場は22兆3,400億リンギ規模に成長すると予想されていると言明。KIMARのハラル産業支援により、昨年1万2,500人の起業家が助成金や資金提供、施設賃貸料優遇などの措置を受けたとし、年間20億リンギを売り上げ、1万5,000人以上の雇用機会を創出したと述べた。ハラル産業を支援する姿勢をより強調するため、KIMARの名称をマラ・ハラル工業団地に改称するとしている。

KIMARは、食品・飲料産業で高い輸出可能性を持つブミプトラ(マレー系および先住民)系起業家を対象とした施設で、敷地面積は11万6,750平方フィート(2.6エーカー)。工場19カ所、小工場2カ所、オフィスにより構成されており、工場の食品製造工程は、ハラル認証やHACCP、GMPなど、食品関連の各種認証を取得している。
(ザ・スター、3月1日)

将来的にはGST復活の可能性=ラフィジ経済相

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は、将来的に物品・サービス税(GST)を再導入する可能性があると発言。あとは導入のタイミングの問題だと述べた。

ラフィジ氏は公務員組織が主催するフォーラムで、ナジブ・ラザク政権時代には売上・サービス税(SST)をGSTに切り替える動きに反対する運動を自身で率いていたが、GSTに完全に反対しているわけではなく、あくまでも拙速な導入に反対していたと説明。「GSTを税収増の手段として考えるべきではない。税収を増やす方法として考えるとGSTへの依存に際限がなくなる。最初の税率は5%でもその後7%に上げられ、最終的には20%になってしまう」と述べた。

その上でラフィジ氏は「まずは政府のガバナンスを改善し、歳出・予算の効率性を正していく必要がある。GSTの再導入を決断する前に必要な手続きを進めて、GSTが効果的な徴税方法として再導入されるようにする必要がある」とし、時間をかけて抜け穴が無いような仕組みづくりを行うことが重要との考えを示した。

アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、現時点でのGST再導入の可能性を否定しており、保守的な経済学者らが政府の高い財政赤字比率に警鐘を鳴らしているにもかかわらずその姿勢を崩していない。国家債務総額は、対国内総生産(GDP)の82%にあたる1.5兆リンギに達している。

GSTは2015年にナジブ政権下で導入されたが、強い反発を受け、政権崩壊の主要な原因の一つとされた。GSTは2018年に行われた選挙で勝利した前の希望同盟(PH)政権によって廃止されたが、財政赤字の拡大を受けて再導入を求める声が高まっている。
(マレー・メイル、2月28日)

クチンで浄水処理施設建設へ、工業団地などからの需要増に対応

【クチン】 サラワク州クチンでは、サマ・ジャヤ・ハイテク工業団地の入居企業や、人口が増えているクチンおよび近隣地域から水の需要が高まっていることから、16億リンギを投じてランデ浄水処理施設を建設する計画だ。

同州のジュライヒ・ナラウィ公益事業・電気通信相によると、浄水処理施設はクチン水管理委員会が管理する第5施設となり、1日あたりの生産能力は4億リットル。最終的には2倍の8億リットルに引き上げる計画だ。工期は3年間を予定している。

州政府は、短期的な対策として1日当たり104リットルの供給量を増やすために、バトゥ・キタン浄水処理施設の第2施設で拡張工事を実施している。今後第4施設でも拡張工事を計画しているという。

サマ・ジャヤ・ハイテク工業団地は、州内で最も水の消費量が多い。日本からは、電子部品の太陽誘電が6億8,000万リンギを投じて、積層セラミックコンデンサ工場の拡張工事を実施している。
(ザ・スター、2月20日)

1月開始の電気料金値上げ、製造業者に打撃

【ペタリンジャヤ】 1月より実施されている中・高電圧契約(大規模電力利用者)を対象とした1キロワット時(kWh)あたり20センの電気割増料金の影響について、マレーシア製造業者連盟(FMM)は、対象業者の電気料金が35ー43%増加したと明らかにした。

FMMのソー・ティエンライ会長は、エネルギー集約型産業のコスト上昇は1ー10%以上となる可能性があるとし、調査対象の製造業者のうち、10.5%は運用上の必要性から中電圧の一般産業用料金プランを採用しており、その多くが中小企業だと述べた。また、59%は中電圧のピーク・オフピーク産業用料金で、中堅企業が毎月数十万リンギを負担、8.4%は高電圧契約で毎月数百万リンギの追加料金を支払わなければならないと述べた。ソー氏は、ロシア・ウクライナ戦争の影響によるサプライチェーンの混乱や価格上昇、ペナンの半導体産業の減速などの問題も生じているため、割増料金については段階的に導入すべきだとした。

マレーシア半導体産業協会(MSIA)のウォン・シューハイ会長も、ある企業の電気料金が1月に44%跳ね上がり、総額320万リンギになったという例を挙げ、割増料金は3年程度かけて段階的に課すべきだと述べた。MSIAでは、政府の補助金合理化を支持する一方、より緩やかで企業が持ちこたえられる範囲の割増率を求めると述べた。今年に入ってから、最低賃金の25%引き上げ、残業代支給対象の拡大、電気代上昇、原料価格の上昇、人手不足、物流コストの上昇などで業界が打撃を受けていると指摘。各種コスト上昇を吸収できない場合、企業はリストラにより従業員を解雇しコスト削減する必要も出てくると述べた。

カーオーディオのクラリオン(M)のTKタン社長は、政府は割増料金を設定するのではなく、ソーラーパネルの導入を支援するなど、安価で便利なグリーンエネルギーへの投資を奨励すべきだと述べた
(ザ・スター、2月21日)

マレーシアとインドネシア、ハラル分野で協力覚書を6月に締結

【ジャカルタ】 インドネシア宗教省は、マレーシアとインドネシア間のハラル(イスラムの戒律に則った)分野での協力覚書(MOC)を6月に締結する計画を明らかにした。

インドネシア宗教省のニザル・アリ事務次官は声明で、同省傘下のハラル製品保証局とマレーシアのハラル認証機関であるイスラム開発局(JAKIM)が2022年半ばからMOCについて交渉を進めており、今年1月に草案がまとまったと説明。内容はすでに確定しているが、万が一修正が発生した場合には、関係当局間で再協議するとし、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領がマレーシアを6月に公式訪問する予定があり、その際のMOC締結を望んでいるとした。またインドネシアのハラル製品保証機関の協力コーディネーターであるフェルティアナ・サンティ氏は、ハラル認証の両国での相互承認も実施される見込みがあるため、ハラル業界関係者は、MOCに強い期待を抱いていると述べた。

インドネシアを訪問したJAKIMのハキマー・モハマド局長は、インドネシア、マレーシア、シンガポールのハラル産業の管理が、欧州などと比較してより体系的であることを望んでいると述べた。
(エッジ、ベルナマ通信、2月14日)

マレーシアの高所得国入り、早ければ2026年にも=経済相

【プトラジャヤ】 ラフィジ・ラムリ経済相は、マレーシアの国内総生産(GDP)成長率が今後年率4ー5%で推移し、通貨リンギが上昇すれば、早ければ2026年には高所得国のステータスを獲得できるとの見通しを示した。

ラフィジ氏は15日に開かれた昨年の経済実績に関する記者会見の中で、「経済成長率が2、3年内に5%を超えれば、高所得国ステータスへの到達はより早くなるだろう」と言明。米ドル換算で高所得国入りの水準が1人当たりのGDPが1万5,200米ドルであることを考慮すると、別の要因はリンギの為替水準にあるとし、「今後1ー2年でリンギの価値が現在の1米ドル=4.3リンギの水準よりも高くなれば、より早く高所得国に到達するだろう」と述べた。

ラフィジ氏は2022年の経済実績に関しては、年率8.7%を記録した高いGDP成長率はマレーシア経済の回復力を反映しているとした上で、経済実績の全体像を把握するには、四半期ごとの成長とともに通年の成長でみていく必要があると指摘。世界経済の成長が2022年の3.4%から2023年には2.9%に減速すると予想されていることから、マレーシア経済にも影響を与える可能性があると懸念を表明し、政府はより困難な経済環境に備える必要があると述べた。

その上でラフィジ氏は、国民経済の2つの主要な要素、すなわち生活費と収入に焦点を当てた経済プログラムが今後の経済計画の主な焦点となると指摘。「雇用に関連する政策は、アンワル首相が議長を務める国家経済行動評議会(NEAC)で議論され、全労働者の所得拡大という目標に向け国家政策を調整することになる」と述べた。NEACの初会合は3月に開催される予定だという。
(エッジ、ベルナマ通信、2月15日)

現時点でGST再導入の計画はない=アンワル首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は14日の下院議会質疑の中で、現時点で物品・サービス税(GST)を再導入する計画はないと言明。 財政問題に対処するためにはGSTの代わりに富裕層への補助金削減を計画していると明らかにした。

アンワル首相は国家債務の現状と政府の取り組みに関する質問に対し、政府債務総額が1.5兆リンギを超えて国内総生産(GDP)の82%に達しているとし、償還費が昨年は410億リンギ、今年は460億リンギに上ると言明。税制のうちでGSTが最も透明で効率的であることを認めた上で、貧困層と一般市民の生活コストに影響を与える基本的な問題を優先する必要があるとして、現時点でのGST再導入は適切でないとの考えを示した。

その上でアンワル首相は、国民に負担をかけずに歳入を増やすための1つの方法は国内外の投資家をターゲットにすることだと指摘。12月に発表した電気料金の値上げを例に挙げ、一般大衆ではなく多国籍企業(MNC)や超富裕層を対象とした補助金カットによる公共支出の削減を進める考えを示した。

■補助金削減策について省庁間で折衝中■
対象を絞った補助金制度については、フジア・サレー副国内取引物価相は、補助金の対象となる項目や受け取り対象となる層、政策を実行するためのメカニズムを決定するための折衝を財務省および経済省との間で行っていると言明。生活コスト上昇対策に関しては、生活費に関する国家行動評議会が、商品やサービスの価格上昇対策と国民の収入増加の両面から取り組んでいると述べた。