ペナン港、クルーズターミナルを1億リンギかけ改修へ

【バターワース】 ペナン港を運営するペナン・ポートは、スウェッテナム桟橋にあるスウェッテナム・ピアクルーズ・ターミナル(SPCT)を1億リンギかけて改修し、東南アジア諸国連合(ASEAN)における主要クルーズ拠点となることを目指す。サセダラン・バスデバン最高経営責任者(CEO)が明らかにした。

ペナンのクルーズ客の取扱人数は2023年には120万人となっており、クルーズ市場において域内ではシンガポールに次ぐ2位。寄港ごとに4,000―6,000人の旅客がペナンを訪問するという。

ターミナル改修によってクルーズ船の「母港」機能を強化し、クルーズ船のさらなる誘致を図る。「母港」化することにより、クルーズ客のペナンでの前後の滞在が期待されるほか、クルーズ船による地元企業からの物資調達が見込まれるため地域経済活性化が期待されるという。

一方、ペナン港の今年通年のコンテナ取り扱いについては、当初の目標である155万TEU(20フィート標準コンテナ換算)を下回る150万TEUにとどまる見通し。イエメン・フーシ派の航行船舶攻撃による「紅海危機」の影響やコンテナ不足が影響し、昨年通年の144万TEUをやや上回る水準となる見込みだ。サセダランCEOは、紅海危機によりペナン港は最大7万TEUの損失を被ったと述べた
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、エッジ、9月24日)

ペナン州への中国からの製造業投資、上半期で4.1億リンギ

【ジョージタウン】 ペナン州への中国からの製造業向け投資額(認可ベース)は、2024年上半期に4億1,180万リンギに上った。 24日に開催された中国の建国75周年記念祝賀会に出席した同州のチョウ・コンヨウ首相が明らかにした。

チョウ州首相は、ペナン州では現在、53社の中国企業が操業しており、そのうち46社が製造業、5社がグローバルビジネスサービス、2社が物流に携わっていると説明。過去10年のペナン州への中国からの製造業投資額は132億リンギでペナン向け外国直接投資(FDI)総額の6.8%に相当するとし、投資の年平均成長率は50.5%に達したと述べた。

またチョウ州首相は、ペナンを訪問する中国人観光客が急増していることにも言及。年初8カ月のペナン国際空港経由の空路入国が前年同期の2万1,529人から7万4,891人に、スウェッテナム・ピアクルーズ・ターミナル(SPCT)経由の海路入国が同5,819人から8,391人にそれぞれ大幅増加したと明らかにした。

在ペナン中国総領事館の周遊斌総領事は、ペナン、ケダ、ペルリス、ペラの各州では中・馬二国間の経済貿易協力が継続的に発展しており、中国企業がこれらの州での投資機会を模索していると指摘。両国間の貿易額が年初8カ月で前年同期比11%増の1,352億3,000万米ドルに達したと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、9月日)

サステナビリティ情報開示の枠組み、大企業に順守義務

【クアラルンプール】 証券委員会(SC)は24日、新たに設けた国家サステナビリティ開示の枠組み(NSRF)を2025年から段階的に導入すると発表した。上場企業と年商20億リンギ超の非公開企業が対象。

国際会計基準(IFRS)財団の下部組織、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が策定した持続可能性情報の開示に関する基準に対処したもので、第1段階の2025年には時価20億リンギ超の、メイン市場に上場する企業が適用を受け、情報開示を求められる。メイン市場のほかの企業は26年から、2部ACE上場企業と非公開の大企業は27年から適用を受ける。

IFRSにはサステナビリティ関連の財務情報の開示に関する要求事項(S1)と気候関連開示(S2)があり、NSRFではその両方を適用対象企業は満たさなければならない。

発表会見でモハマド・ファイズSC委員長は「IFRSを施行することで世界のサプライチェーンにおいてマレーシアは購入側の要求により応じられるようになる」と述べた。

アミル・ハムザ第2財務相は「かつては利益だけが成功の物差しだったが、今はそうした時代ではない。投資家は環境への配慮、炭素排出、廃棄物管理の面から企業を評価している」と語った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月25日、エッジ、マレー・メイル、9月24日)

フォレストシティのファミリーオフィス向け優遇措置の詳細を発表

【クアラルンプール】 証券委員会(SC)は23日、ジョホール州の人工島「フォレスト・シティ」金融特区の第1人工島に拠点を設けるファミリーオフィス向け優遇措置の詳細を発表した。租税ゼロの優遇措置を10年間、延長を含め20年間提供するもので、高コストのシンガポールとの差別化を図り、投資を呼び込む。

ファミリーオフィスとは、富裕層の投資管理と資産管理を扱う非公開会社。資格を得る条件は次の通り。

◎新たに投資持ち株会社を特区に設ける

◎同持ち株会社の関連会社として資産運用会社を設け、月給1万リンギ超の投資の専門職者を雇用する

◎最低資産運用額は3,000万リンギで、同資産の10%以上か1,000万リンギのいずれか少ない方を適格の特区内投資に充てる

◎投資持ち株会社は特区内で年50万リンギ以上を経費として支出し、フルタイムの社員を少なくとも2人雇用し、1人以上は投資の専門職者とする

優遇措置は10年の延長申請が可能だが、運用資産額、経費が資格取得時より多くなければならず、フルタイムの社員も4人以上にする必要がある。優遇措置の適用を受けるには審査が必要だが、固有の措置のため、資本市場・サービス法に基づく免許の取得は不要。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月24日、SC報道資料、エッジ、9月23日)

タピオカティーの「ティーライブ」、来年インドネシアに進出へ

【クアラルンプール】 タピオカティー・チェーンの「ティーライブ」を運営するルーブ・ホールディングスは、来年にはインドネシアに進出する計画だ。

同社は現在、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、豪州、カンボジア、ブルネイ、モーリシャス、カナダに進出している。フィリピンには現在75店舗を出店しており、目標である100店舗を達成した段階で、インドネシアへの進出を行うという。

ブライアン・ルー最高経営責任者(CEO)は、クアラルンプールのメダン・パサールでの新店舗の開設式典で、インドネシアでは都市部に10店舗を構えることを当初の目標とし、その後、段階的に第2、第3の都市へと進出していくとした。

ルーブは2017年に設立。世界中でティーライブを1,000店舗以上展開しており、毎月500万人の顧客にサービスを提供している。

(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、9月20日)

オートゲートのデラックス、国内最大のショールームをオープン

【クアラルンプール】 オートゲートとセキュリティドアのデラックスは、創業20周年記念に合わせ、セランゴール州プチョンに旗艦店をオープンした。

建築面積は1万9,788平方フィートと、国内最大のオートゲート・セキュリティドアのショールームとなり、マレーシアの新記録をまとめている「マレーシア・ブック・オブ・レコード」からも最大であるとの認定が行われた。

ショールームにはモダン住宅のレプリカが展示され、実際の利用シーンをイメージすることができる。フルアルミニウム製セキュリティドア「アルテックドア」20点以上、アルミニウム製トラックレス折りたたみオートゲート「ユニゲート」10点以上も展示。暗室では8種類のLEDオートゲートの展示を行い、キッズルームも完備している。

デラックスの全製品は国内で設計・開発・製造されており、セキュリティ機能と美観を両立させた、洗練されたデザインが特徴だという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月20日)

鋼板のマイクロンスチール、JFEのグリーン鋼材を採用

【クアラルンプール】 冷延鋼板を製造するマイクロン・スチールは、日本の製鉄大手JFEスチールのグリーン鋼材を製造プロセスに取り入れることで合意し、20日、覚書を交わした。

取り入れるグリーン鋼材はJGreeX(ジェイグリークス)。鉄鋼製造プロセスにおける二酸化炭素排出量を大幅に削減した鋼材で、二酸化炭素排出削減量を特定の鋼材に割り当てるマスバランス方式を適用し、排出量を大幅に削減したとみなすもの。価格は従来品より高くなるが、持続可能性への意識の高まりを背景に、グリーン鋼材の需要はこの先5年間で2.5倍の増加が期待できるという。

マレーシア企業によるJFEのグリーン鋼材使用は初めて。ロスハン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は、マスバランス方式を利用し、同社独自のグリーン鋼材を開発すると表明。太陽光など再生可能エネルギーによる電力の調達を望んでいるが、低価格での入手が困難なのが課題だとした。

マイクロン・スチールはマレーシア工科大学(UTM)とも地球温暖化ガス(GHG)をモニターするシステムの開発で提携しており、GHG削減を図る。

(エッジ、ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、9月20日)

英国のCPTPP加盟を承認、英国と初の自由貿易協定に

【クアラルンプール】 マレーシアは、英国の包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟を批准した。CPTPPは多国間自由貿易協定(FTA)で、マレーシアにとり英国との初のFTAとなる。

英国は2024年5月に批准手続きを完了した。締約国では日本、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ベトナム、ペルーが批准手続きを終えており、発効の条件が満たされていた。12月15日までに発効の見込みだ。

英国の加盟でCPTPP参加国の国内総生産(GDP)は計15兆4,000億米ドルになり、世界GDPの15%を占める。

投資貿易産業省によると、パーム油、ココア、ゴム、電気・電子製品など、マレーシアは英国への輸出品の94%について関税ゼロの適用を受ける。テンク・ザフルル大臣は、英国市場への参入が容易になると述べた。

CPTPPにはほかに、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、メキシコ、ニュージーランドが加盟している。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、9月20日)

フォレストシティ金融特区の優遇措置を発表

【ジョホールバル】 ジョホール州の人工島プロジェクト「フォレスト・シティ」の金融特区(SFZ)の開始式典が20日に開催された。

フォレスト・シティのSFZ計画はアンワル・イブラヒム首相が昨年8月に発表したもので、優遇措置を導入し、SFZでの事業費を抑制することで高コストのシンガポールとの差別化を図り、投資を呼び込むのが狙い。

開始式典に出席したアミル・ハムザ・アジザン第2財務相は優遇措置について、富裕層を対象に資産管理および運用サービスを提供するファミリーオフィスに対し、課税額をゼロにすると発表。国内では初の措置だとした。その他にも、法人税率を0―5%に、フォレスト・シティ内で働く知識労働者やマレーシア人労働者に対する個人所得税の税率も15%にするとした。

同氏は、優遇措置は、企業、金融機関、富裕層を誘致し、同地を投資先として強化するためのもので、2025年第1四半期までの運用開始を目指すと述べた。

(ザ・スター、9月20日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、9月19日)

ハラル認証取得は今後も任意=ザヒド副首相

【クアラルンプール】 アハマド・ザヒド副首相は、18日の閣議でハラル(イスラムの戒律に則った)認証取得を任意とする現行制度を今後も維持していくことを確認したと明らかにした。ザヒド氏は、マレーシア・ハラル委員会の委員長も務めている。

モハマド・ナイム・モクタル首相府相(宗教問題担当)が先ごろ、「マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)がイスラムで禁忌とされる豚肉やアルコールを提供しない飲食店や食品会社に対し、ハラル認証取得を義務化することを検討している」と述べたことを受けたもの。

ザヒド氏は、JAKIMと州イスラム宗教評??議会(MAIN)あるいは州宗教局(JAIN)が監督するハラル認証は、1974年の導入以来任意であり、「2011年商品表示法」によって強固なものとなったと言明。「既存方針は変更されておらず、マレーシアのハラル認証はすべての要件、基準、規制に準拠する準備ができているすべての業界に開放されている」とした上で、「ハラル認証を取得することは事業者に付加価値をもたらす」と述べ、義務化はしないものの認証取得については奨励する考えを示した。

ナイム首相府相のハラル認証義務化発言を受けて、非イスラム事業者や認証取得費用を賄えない零細マレー事業者の負担を増すなどとして各方面から懸念の声が噴出。先頭を切って疑問の声を上げた与党連合・希望同盟(PH)所属のテレサ・コック下院議員(民主行動党=DAP)に対してはイスラム保守派に迎合したい保守派政治家などが厳しく批判。コック氏が複数の告発を受けて警察に事情聴取を受ける騒ぎにまで発展していた。

(ビジネス・トゥデー、エッジ、9月18日)