米インテル、ペナン新工場の操業を延期へ

【クアラルンプール】 半導体大手の米インテルは、売上減と赤字拡大に悩まされていることから、マレーシア・ペナンに現在建設中の新工場の操業を延期する方針だ。

インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は従業員に送付したメモの中で、インテルはいまだペナンの新先端パッケージング工場の建設を完了させる予定であり、マレーシアが引き続き同社の設計・製造拠点であり続けると言明。「マレーシアの新先端パッケージング工場の建設を完了させる予定だが、立ち上げは市場状況や既存生産能力の活用度向上に合わせる」と述べ、操業開始時期を延期する意向を示した。

ペナン施設の拡張プロジェクトは、新型コロナ禍で世界中が半導体不足に直面していた2021年に発表されたが、その時点では70億ドル(300億リンギ)以上の投資が予定されていた。計画では2024年に生産を開始し、4,000人以上の雇用創出が見込まれていた。

インテルは2025年までに全世界で全従業員の15%に当たる1万5,000人を削減する計画を明らかにしており、9月16日には、ドイツとポーランドに2つの巨大半導体工場を建設する計画を延期すると発表していた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、9月18日)

スーパーマックス、来年1月までに米国で手袋生産開始

【クアラルンプール】 ゴム手袋製造大手のスーパーマックス・コーポレーションは17日、テキサス州ブラゾリア郡にある同社初の米国の製造施設で、2025年1月までに商業生産を開始すると発表した。

米国での生産は完全子会社のマックスター・ヘルスケアを通じて行うもので、2024年12月に最初の生産ラインの試運転を開始する。当初は第1期で予定している生産能力の半分に当たる年間最大24億枚のゴム手袋生産を見込んでいる。第1期の残りラインは2025年第4四半期に完成する予定で、米国の年産能力は2倍の年間48億枚に拡大する。

テキサス州の製造ビル(B2A)と倉庫兼配送センター(B5)の建設は、米国のスーパーマックス・ヘルスケアとマックスター・ヘルスケアのチームが共同で行い、2023年12月に完了。試運転にあたっては、マレーシアの技術チームが派遣された。

またスーパーマックスは向こう2年内に第2期開発を計画しており、それに向けて世界的な需要と消費市場の動向を注視している。

米国通商代表部(USTR)は最近、中国からの輸入医療用手袋に2025年に50%、2026年に100%の高関税率を課すことを決定しており、米医療機器製造業者協会の会員企業であるマックスター・ヘルスケアにとって有利に働くと見られている。

(ビジネス・トゥデー、エッジ、9月17日)

ハラル見本市「MIHAS2024」開幕、ドバイでも11月に開催

【クアラルンプール】 国内最大のハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2024」が17日、マレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開幕した。開催は20日までの4日間。

主催のマレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)によると、今年の成約額は昨年の32億リンギを上回る35億リンギとなる見込み。参加企業数も昨年より10%増となり、66カ国から2,000ブースが出展されている。

MATRADEはまた、初の海外版となる「MIHAS@ドバイ」を11月18―20日にドバイ・ワールド・トレード・センターで開催する。「中東オーガニック・ナチュラル製品エキスポ2024」との併催で、約230社が2,000平方メートルの会場で出展する。約120社のバイヤーの参加や成約額10億リンギを見込んでいる。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、ドバイの中継都市としての地位を活用し、中東および北アフリカ市場への輸出拡大を目指すと述べた。中国や欧州でもMIHASを開催する計画があるとし、日本に関しては、2025年4―10月に開催される、大阪・関西万博への参加を通じて貿易拡大を目指すとしている。

(マレー・メイル、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、9月13日)

ZUSコーヒー、海外展開に向け2.5億リンギを調達

【クアラルンプール】 地元コーヒー・チェーンのZUSコーヒーは10日、公務員年金基金(KWAP)、投資企業のKVアジアキャピタル、インドネシアのカパル・アピ・グループから総額2億5,000万リンギの出資を受けたと発表した。カパル・アピは、インドネシアのコーヒー・チェーン「エクセルソ」の所有企業。

ZUSコーヒーの声明によると、資金調達は海外展開に向けてのもので、年内にシンガポールとブルネイで店舗を開設する。来年以降、別の国・地域に展開する計画も進行しているという。

ZUSコーヒーは2019年、クアラルンプールで1号店を開設。他店に先駆けて専用アプリを導入するなど、テクノロジー主導の事業展開を行っている。また、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区侵攻の影響で、競合となる「スターバックス」が不買運動の対象となった中、売り上げを伸ばしている。2023年にはフィリピンに進出し、同国で50店舗を展開。域内全体の店舗数は約600店舗に達している。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、9月10日)

ゼロエミッション車専用のナンバープレートの運用開始

【サイバージャヤ】 道路交通局(JPJ)が発行する、電気自動車(EV)を含むすべてのゼロエミッション車(ZEV)専用のナンバープレート「JPJePlate」の運用が9日、開始された。二輪車を除くすべてのZEV新車に対し、同日付で「JPJePlate」 の使用が義務づけられる

「JPJePlate」は1セット98リンギで、フロントプレート、リアプレート、RFIDフロントガラスステッカー、標準配送料が含まれている。安全性の向上と取り締まりのしやすさに向け、反射視認性を向上させ、偽造防止ホログラムやRFIDによるスマートテクノロジーを導入している。

自動車メーカーや自動車販売業者は、同日から公式ウェブサイト(jpjeplate.jpj.gov.my) を通じて新車のZEV を購入した顧客に代わり、「JPJePlate」を注文できるようになった。また既存のZEVは専用ナンバーの取得は義務化されないが、切り替えを希望するユーザーは11月9日から申請することができるようになる。

アンソニー・ローク運輸相は、EVインデックスマーク付きナンバープレートの特別入札プロセスが9月13日まで「JPJeBid」システムを通じて行われると明らかにした。入札結果は入札プロセス終了後24時間以内に発表される。収益の一部は公共事業に割り当てられる。

(フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ソヤチンチャウ、9月9日)

プロトンがエジプトで現地組立、ユニットの輸出を開始

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは9日、近くエジプトでプロトン車の現地組立(CKD)が開始されると明らかにした。エジプトは左ハンドル市場であり、同社にとり初の海外左ハンドルモデル工場となる。

同日、現地組立に向けたCKDユニットの輸出が開始された。第一陣ではAセグメント・セダン「サガ」120台分のユニットが輸出された。

エジプトでのCKD生産はエズ・エルゼウェディ・オートモビル・ファクトリーズ(ESAF)が手掛ける。プロトンは2023年11月、現地販社のエズ・エルアラブとの間でパートナーシップ協定を締結していた。

CKD生産に向けた投資額は1,500万米ドル(約6,500万リンギ)を超える見通しで、CKD車の年産能力は向こう数年間で5万台に達するとみられる。エジプトにはこれまで完成車(CBU)を輸出しており、輸出台数は過去6年間で3,200台に達した。

プロトンは現在、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ケニア、エジプトの5カ国でCKDプロジェクトを手掛けており、今後数年間で輸出台数1万台の達成を目標としている。プロトンは現在、アジア、中東、アフリカなど20カ国に輸出している。

(ポールタン、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、9月9日)

官民協働のガバナンス強化策「PIKAS2030」を発表=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は9日、官民協働のガバナンス強化に向けた「官民協働マスタープラン2030(PIKAS2030)」を発表した。

PIKAS2030は、既存の官民協働(PPP)政策やガイドラインを下敷きに、より明確で包括的な方向性を示している。成功を測る基準となる目標も設定されており、「2030年までに780億リンギの民間投資、国内総生産(GDP)に820億リンギの貢献、90万人の雇用機会の創出を目指す」としている。

目標達成に向け、4つの戦略方針と17の主要イニシアティブを設定した。具体的には、競争入札の優先、再開発・再生・運営・譲渡(ROT)や建設・再開発・再生・運営・譲渡(BROT)モデルの導入、利用者負担PPPの優先、資金調達手段としての事業信託や不動産投資信などの導入などを検討する。

アンワル首相は、これまでの道路、発電所、空港などの公共事業の民営化により、社会が進歩を遂げた側面もあるものの、不正行為を生む余地も生じたため、ガバナンスや労働者の福利厚生を優先する必要があると説明。企業のみに富を集中させるのではなく、労働者の賃金、住居、教育なども企業規模に見合った水準に引き上げるためにPIKAS2030が機能すると述べた。

(マレーシアン・リザーブ、エッジ、9月9日)

多角経営のPPB、向こう5年で7.9億リンギの設備投資

【クアラルンプール】 穀物販売、映画興行、食品加工など多角経営のPPBグループは、向こう5年間で7億8,700万リンギを設備投資に割り当てる方針を明らかにした。

中国の製粉工場への投資とマレーシアのサイロおよびトウモロコシ工場の建設に3億9,200万リンギ、マレーシアでの7つの新映画館開設と既存の映画館の改修に2億9,600万リンギをそれぞれ投じる。また消費者向け食品加工部門のシステムアップグレードと自動化に6,700万リンギ、「チェラス・レジャーモール」の改修に3,200リンギをそれぞれ割り当てる。

メディア向け説明会に出席したリム・スーンフアット社長は、気候変動、地政学的紛争、経済および金融市場の不安定性によって引き起こされる混乱の影響を軽減するために、サプライチェーン管理と業務効率の向上に重点を置くと言明。「穀物市場の不安定性がPPBグループの課題のひとつだが、問題は価格変動をどれだけ上手に管理できるかだ」、「市場の不安定性はさらに高まる可能性がある。地政学的展開を予測することはできない」と述べた。

PPBグループは、農業ビジネスや加工食品販売を手掛けるFFM、シネコン経営のゴールデン・スクリーン・シネマ(GSC)を傘下に持つ。

(ベルナマ通信、9月5日)

ジョホール港、8月にコンテナ取扱量10万TEUを突破

【クアラルンプール】 ジョホール港の運営を手がけるMMCグループ傘下のジョホール・ポートは、8月にコンテナ取扱量が10万2,324TEU(20フィート標準コンテナ換算)となり、2019年7月の9万9,039TEUを抜いて月間取扱量の最高記録を更新した。

今年年初8カ月(1―8月)の累計取扱量は69万8,914TEUとなり、前年同期比15.7%の大幅増となった。ジョホール・ポートは、ジョホールにおける貿易活動の増加とジョホール港のサービスレベルの向上を反映していると分析。向こう5年間で10億リンギ以上の設備投資を割り当て、インフラ改善と新機器購入により港湾業務の一部を自動化すると明らかにした。

デリック・バシル最高経営責任者(CEO)は、同港が毎日平均1,700人の外部運送業者を管理し、ヤード利用率が最大120%に達したとした上で、同港の貨物処理能力および地元の輸出入業者や産業を支援する能力を示したと述べた。

マレーシア運送業者協会のズルファリク・アブドル・マナップ副会長は、貨物量の急増によりジョホール港を利用する運送業者の数が増えたにもかかわらず、トラックターンアラウンドタイム(TTT=トラックが港に着いてから荷積み・荷下ろしを終えて港を出るまでの時間)は適切に管理され、ほぼすべてのトラックのTTTが45分未満だったと述べた。

(ザ・スター、9月6日)

フォレストシティ、マレーシア部門の下に移管

【クアラルンプール】 経営難の中国系デベロッパー、碧桂園控股(カントリー・ガーデン)は先ごろ、ジョホール州で進めている人工島プロジェクト「フォレスト・シティ」を、新たに設立したマレーシア部門の下に正式に移管した。

経済紙「ビジネスタイムズ」によると、「フォレスト・シティ」をマレーシア部門の下に位置づけることにより、同プロジェクトを中国の親会社である碧桂園控股の財務問題から切り離し、間断なく開発を進めることを保証することが狙いだとみられる。「フォレスト・シティ」の現地マネジメントを手掛けるカントリー・ガーデン・パシフィックビュー(CGPV) は、3人の取締役の下で今後、碧桂園控股からの直接的な影響を受けずに現地当局や利害関係者とプロジェクトに関する交渉を担当するという。新設のマレーシア部門は、専用のリソースと地域密着型体制により、「フォレスト・シティ」の開発を継続するとみられる。

ロイターによると、碧桂園控股は2023年、110億ドルのオフショア債券の債務不履行に陥り、オフショア債務の再編を進めているが、同社の株式は4月2日から取引停止となっている。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月4、6日、ロイター、9月5日)