ユーモバイル、15-18カ月以内に5Gネットワークを開始

【クラン】 マレーシア第2の第5世代移動体通信(5G)ネットワーク事業者に選定されたユーモバイルは、15-18カ月以内に5Gネットワークサービスを開始する方針だ。ベルジャヤ・グループ創始者のビンセント・タン会長が明らかにした。

資金不足のために追加のパートナーが必要だと報じられていることについてタン氏は、5Gネットワーク展開のために政府資金や新たな現地パートナーは必要としないと明言。融資に前向きな銀行もあるとし、自己資金だけでなく銀行からの資金で実施できるとの考えを示した

また機器サプライヤーの選定に関しては、技術面の優位性から華為技術と中興通訊の中国系2社で検討していることを公表。これらのサプライヤーが資金を提供する可能性もあると述べた。

RHBインベストメント・バンクは先ごろ、ユーモバイルが2番目の5Gネットワークアクセスプロバイダーに選ばれたことを受けて、30億―40億リンギと推定される5G設備投資(CAPEX)を捻出するためにネットワーク提携に踏み切る可能性が高いと報じた。ネットワークインフラを共有することでサイトの展開が加速し、より迅速に人口をカバーすることができるという。

一方、タン氏は、ユーモバイルを2025年末までにブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に上場する計画であることを公表。今後数カ月以内に上場を申請する考えを示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、1月17日)

今年の航空旅客数は新型コロナ前を上回る見通し=運輸相

【クアラルンプール】 マレーシア航空委員会(MAVCOM)は今年のマレーシアの航空旅客数が前年比8.4―15.6%増となり、1億580万―1億1,290万人に達すると予測しており、新型コロナパンデミック前の2019年に記録された1億930万人を上回る見通しだ。アンソニー・ロ―ク運輸相が明らかにした。

ローク氏は、2024年の航空旅客数・貨物量の実績と2025年の見通しに関する記者会見で、昨年の航空旅客数が前年比14.3%増の9,710万人と大幅に回復し、パンデミック前の水準の90%にまで回復したと述べた。東南アジア諸国連合(ASEAN)と世界全体の成長率はそれぞれ19.8%と38.9%だったという。

その上でロ―ク氏は今年の航空旅客の成長の要因として、前年比15.8%増が見込まれる座席数の増加、前年比21.1%増と見込まれる国内旅行のほか、前年比4.5―5.5%と見込まれるマレーシアの堅調な国内総生産(GDP)成長、通貨リンギ・レートが1米ドル=4.45リンギで安定するなど、マクロ経済環境が良好であることを挙げた。

航空貨物部門も成長の兆しを見せており、MAVCOMは、経済回復と電子商取引の拡大に支えられ、今年の貨物量が前年比4.5―8.5%増加すると予測している。2024年の航空貨物量は前年比8.3%増の10億3,410万キログラムとなった。

マレーシアの航空旅客数は2020年にパンデミックに伴う移動制限により2,670万人に急落し、国境が閉鎖された2021年にはさらに悪化していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、1月15日)

輸出成長率は4%に減速、シンクタンクSERCが予想

【クアラルンプール】 シンクタンクの社会経済研究センター(SERC)は、今年の輸出は昨年の推定5.1%増から4%増に減速すると予想している。経済見通しに関する会見でリー・ヘングイエ専務理事が表明した。

トランプ次期米国政権が関税引き上げを示唆しているためで、トランプ氏は特に中国に対する高関税を言明しているが、中国企業や多国籍企業が調達先を中国からマレーシアに変更する可能性もあり、マレーシアへの影響は軽減されるという。

リー氏は、チャイナプラスワン(中国に一極集中していた海外拠点の分散)や台湾プラスワンによる調達先の再編でマレーシアは優位な立場にあるが、マレーシアがどの程度恩恵を受けるかは、マレーシア企業の能力にも左右されると述べた。

政府が計画している、永住権を持たない外国人社員に対する従業員積立基金(EPF)加入義務付けについて、リー氏は雇用者の負担を増すだけと否定的だ。

最低賃金引き上げ、外国人労働者雇用税の複層化、EFP義務化がすべて実施された場合、新規雇用の外国人については月454リンギ、既存の外国人社員については同267リンギ、雇用者負担が増すという。
(SERC報道資料、エッジ、1月15日)

村田製作所の現法、ミルクラン方式の越境トラック輸送を開始

【イポー】 村田製作所のマレーシア現地法人、ムラタ・エレクトロニクス(マレーシア)は、貨物ターミナルを運営するイポー・カーゴ・ターミナル(ICT)を利用し、部品・商品の越境トラック輸送を開始した。複数の調達先を巡回し、部品を集荷する巡回集荷(ミルクラン)方式となる。

ムラタ・マレーシアの岸上幸生代表によると、タイ、イポー、シンガポールにある村田の拠点間のトラック輸送で、タイからマレーシア、シンガポールへの一方通行。ムラタ・マレーシアは村田グループ企業に働き掛け、復路での貨物積載も目指す。ベトナムを巡回先に含めることも検討する。

ムラタ・マレーシアは24年から、税関局、ICTなど利害関係者と越境輸送に関する調整を進めてきた。

ICTのロスナワティ氏は、ICTは村田の商品がより早く顧客の元に届くことを確保すると述べた。ICTでは税関申告が可能で、マレーシアからの輸出であれば商品に税金はかからない。
(ベルナマ通信、1月15日)

ウズマ、マレーシア初の高解像度地球観測衛星を打ち上げ

【クアラルンプール】 石油・ガス(O&G)サービスのウズマは15日、マレーシア初の商用超高解像度地球観測衛星「UzmaSAT-1」の米カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地からの打ち上げに成功したと発表した。マレーシアの人工衛星としては13機目となる。

ウズマの人工衛星は民間航空宇宙産業、米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)の「ファルコン9」ロケットを使用したライドシェアミッション「トランスポーター12」によって他の衛星と共に米国時間14日に打ち上げられ軌道に乗った。

ウズマが開発した「UzmaSAT-1」は重量45.4キログラムで、サブメートル(1ピクセルあたり最大50センチメートル)の高解像度画像やデータを配信する。

「UzmaSAT-1」からの1枚の画像には最大1ギガバイト(GB)のデータが含まれており、カバー範囲は50平方キロメートル、解像度は50センチメートルに向上している。これにより農業、プランテーション、エネルギー、防衛、災害対応、監視アプリケーションなど、さまざまな分野での活用が見込まれている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、1月15日)

為替相場の変動は続くもリンギは下期に持ち直し=投資銀

【クアラルンプール】 リンギ相場は昨年、2月の低値(1米ドル=4.8リンギ)から9月の高値(同4.12リンギ)と変動が大きかった。地政学上の緊張、米国大統領選挙など強い米ドルとなる要因があったためだ。ケナンガ・インベストメント・バンクは、変動は今年も続き、上半期はリンギ安で推移し、下半期に持ち直すと予想している。

上半期の相場予想は1米ドル=4.5-4.6リンギで、トランプ次期米大統領のドル高政策が主因だという。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げペースの減速が必要との立場で、下半期はリンギが上昇し、1米ドル=4.4-4.5リンギが予想されるという。

トランプ要因以外の短期的な米ドル高要因では、FRBとほかの国の中央銀行の金融政策の乖離、ユーロ圏経済のもろさ、課題に直面する中国、地政学上の不確実性が挙げられるという。

これに対し中央銀行バンク・ネガラの安定した金融政策、堅調な経済、財政健全化努力がマレーシアの強みで、リンギ下落を軽減するという。
(ビジネス・トゥデー、1月11日)

ペナン初の軽便鉄道が起工、2031年の全線開通目指す

【ジョージタウン】 ペナン初の軽便鉄道(LRT)ムティアラ線の起工式が11日、バンダル・スリ・ピナン駅の建設地で行われ、アンワル・イブラヒム首相やアンソニー・ローク運輸相、チョウ・コンヨウ州首相らが出席した。

MRTコーポレーションのザリフ・ハシム最高経営責任者(CEO)によると、総工費は130億リンギで、ペナン南端の人工島(シリコン島)とペナンの合同庁舎が入るジョージタウンのトゥン・アブドル・ラザク・コンプレックス(コムター)、本土側バターワースの統合交通ターミナル、ペナン・セントラルを結ぶ全長29.5キロメートルの路線で、2031年までの全線開通を予定している。

合計21の駅が設置され、海峡を結ぶ鉄道橋は2026年第2四半期に建設が開始される予定下を船舶が通行できるよう最も高い場所で高さが62メートルになるという。コムター駅の手前のマッカラム駅がペナン・セントラル方面への乗り換え駅となる。

使用車両は今年後半に公開入札で決定される予定。利用客の目標は3年目までに1日あたり6万人、20年後には16万8,000人としている。

ローク運輸相は、LRTムティアラ線プロジェクトの重要ポイントはコムターとペナン・セントラル間の接続だとし、ペナン海峡の両側の住民のアクセスを改善するのが狙いだと述べた
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、1月11日)

エルミナレイクサイドモール、開業以降月平均64万人集客

【クアラルンプール】 セランゴール州のショッピングモール「エルミナ・レイクサイド・モール」(ELM)は、昨年8月の開業以来4カ月あまりで99%の稼働率を達成。月平均で64万人が訪れ、不動産開発大手のサイム・ダービー・プロパティが開発を手がけるエルミナ市の中核施設として順調な発進をみせている。

ELMは17.2エーカーの敷地に、20万平方フィート超の純賃貸可能面積を誇る。現在、96のテナントが入居し、そのうち35%が食品・飲料の店舗。月平均2,000万リンギの売上を生み出すという。

サイム・ダービー・プロパティは2000年から、6,500エーカー、総開発価値280億リンギとされるエルミナ市の開発を進めてきた。現在までに1万2,800戸の住宅が完成し、6万7,000人が暮らす街に成長。最終的に15万人になる計画だ。住宅、商業だけでなく、産業向け開発も進められている。

11日にはELMの敷地内に新たにエルミナ屋外彫刻博物館がオープン。マレーシアの現代アーティストを紹介する専用スペースになるという。開業式典に出席した同社のアズミル・メリカン最高経営責任者(CEO)は「芸術と文化の発信スペースの追加により、エルミナ市はさらに地位が高まった。これからも経済活動を促進し、コミュニティのつながりを育み、住みやすく成長しやすい場所にしていきたい」と語った。
(ザ・スター、ビジネス・トゥデー、1月11日)

JS-SEZ、10年以内にクランバレーに匹敵=経済相

【クアラルンプール】 ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)の国内総生産(GDP)は今後10年以内に、年間約280億米ドル(1,259億リンギ)を追加創出するようになり、首都圏クランバレー(クアラルンプール、プトラジャヤ、セランゴール州を含む)に匹敵する経済圏に成長しそうだ。

ラフィジ・ラムリ経済相は9日にあったイベントで、JS-SEの成長見通しを示した。ラフィジ氏は7日のJS-SEZに関する覚書締結にも立ち会ったことを踏まえ、今後、外国投資と地元投資の両方を誘致し、技術革新などを強化しながら持続可能性を促進する必要性を強調。「2国にまたがる経済特区は世界でもまれで、困難も予想されるが、シンガポールとの協力関係を十分に活用できれば、ジョホールは今後10年間で次の成長エンジンになる」と付け加えた。

2023年のジョホール州のGDPは1,480億リンギ、クアラルンプールは2,490億リンギだった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、1月9日)

経済成長率は5%超に、第2財務相が強気見通し

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は9日、ブルームバーグとの会見で、経済は昨年の好調を維持し、今年の国内総生産(GDP)成長率は5%超になるとの強気予想を示した。

昨年の財政赤字は当初目標だった対GDP比で4.3%を下回ったようだという。今年は同3.8%への縮小を目指す。アミル・ハムザ氏は「外国からの直接投資は堅調で、多くの活動の成果が現れつつある。今年は良い年になる」と語った。

運用資産が2兆リンギ近くある政府系投資会社は5年間で5,000億リンギを直接投資に配分するのが常だが、今回はさらに1,200億リンギを積み増す。

アミル・ハムザ氏はトランプ次期米大統領の関税に関する発言や貿易戦争について「世界市場は変動に見舞われているが、マレーシアにはそれを切り抜ける強靭さがある」と述べた。

ラフィジ・ラムリ経済相はフォーラムに出席した際、ブルームバーグの取材に対し、経済成長の勢いは維持されるとしたものの、トランプ次期米政権の政策がマレーシアに与える影響を理由に、成長加速には慎重姿勢を示した。
(ザ・スター、1月10日、エッジ、マレー・メイル、1月9日)