イスラム開発局、豚・酒なしの飲食店へのハラル認証義務化を検討

【シャアラム】 マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)は、イスラムで禁忌とされる豚肉やアルコールを提供しない飲食店や食品会社に対し、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証取得を義務化することを検討している。モハマド・ナイム・モクタル首相府相(宗教問題担当)が明らかにした。

現在、ハラル認証取得は任意であり、飲食店や食品会社にハラル認証取得を義務づける法律は存在しない。ナイム氏は、すべての飲食店にハラル認証取得を義務づけるには、いくつかの法律や法令を改正する必要があると指摘。施行するには多くの機関が関与する必要があると述べた。

その上でナイム氏は、ムスリムコミュニティは、ハラル・マレーシア・ポータルなどJAKIMが提供するプラットフォームを通じて飲食店のハラル・ステータスの確認にもっと積極的になるべきだと指摘。「消費者の意識が高まれば、飲食店経営者にハラル認証を取得するよう圧力をかけることができる」と述べた。

JAKIMは3日、ムスリムがよく利用する人気の外食チェーン6社がハラル認証を受けていないことを確認したと発表した。JAKIMが認証を取得していない飲食店として実名で挙げたのは▽ジョニーズ▽ブラックキャニオン▽ドリー・ディムサム▽ミスター・ダッカルビ▽ブンカス・カウカウ▽アヤム・ぺニェット・ベスト(4店舗を除く)――。

(フリー・マレーシア・トゥデー、9月5日)

マレーシアでの事業拡大計画は変更なし=米インテル

【クアラルンプール】 半導体大手の米インテルは、ペナン州における新チップのパッケージングおよびテストプロジェクトを部分的に停止するとの一部報道を否定。「マレーシアにおける事業計画の変更はない」との声明を発表した。同プロジェクトは、インテルが2021年に発表したマレーシアにおける70億ドル(303億リンギ)の投資計画の一部。

インテルは2025年までに全世界で全従業員の15%に当たる1万5,000人を削減する計画を明らかにしているが、先ごろ英字紙「ザ・スター」は情報筋の話として、インテルがマレーシアだけでなく世界の他の地域でも新たな投資を再検討しているとし、ペナン投資の部分停止を報じていた。インテルはマレーシアでは1万4,000人を雇用している。

インテルのペナン事業の拡大は、ペナン工場を米国外で初となる高度な3Dチップパッケージング施設にすることを目指したもので、インテルの世界的な人員削減計画を受けたペナン州のチョウ・コンヨウ首相は、「同州における人員削減の計画についてはインテルからは何も知らされていない。同州での事業拡張計画は進められており、人員削減よりもむしろ採用を増やすと予想される」と述べていた。

インテルは1972年に米国外で初の製造施設をマレーシアに開設。ペナンはインテルにとって米国以外で最大の拠点となっている。

(エッジ、9月5日、ザ・スター電子版、9月4日)

上場企業のバーチャルのみの株主総会、来年3月から禁止

【クアラルンプール】 マレーシア証券委員会(SC)とブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)は8月30日に共同声明を発表し、2025年3月1日以降、上場企業(PLC)によるバーチャルのみの株主総会は禁止すると発表した。ブルサは今後、詳細を発表する。

バーチャルのみの株主総会は、新型コロナのパンデミックを受けて認められるようになったが、パンデミックが終息したにもかかわらずバーチャル開催は慣例化し、2024年上半期には上場企業の半数以上がバーチャルのみで年次総会を開催していたという。今後、上場企業は対面による株主総会、もしくは対面とバーチャルのハイブリッド方式の株主総会の開催が義務づけられる。

SCのモハマド・ファイズ・アズミ会長は、パンデミックの間は完全なバーチャル総会は目的を果たしたが、上場企業はハイブリッドまたは対面式の会議形式に移行する時期が来ていると言明。株主総会、特に年次総会は、経営陣・取締役を出席させる重要な会議だとし、「国内外の投資家もハイブリッドまたは対面での会議を好んでいる。透明性確保と説明責任を果たさせる事で企業のガバナンス強化につながる」と述べた。

ブルサのムハマド・ウマル最高経営責任者(CEO)は、アクセシビリティと対面の適切なバランスをとるハイブリッド方式を支持していると言明。上場企業は少なくとも対面による総会を開催するよう努めるべきであり、これによりテクノロジー障壁が排除され、株主の権利が確保され、株主総会のプロセスの完全性が維持される」と述べた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、8月30日)

ベルジャヤフード、通年決算で9151万リンギの赤字に転落

【クアラルンプール】 外食チェーンの運営を手掛けるベルジャヤ・フードは27日、2024年度通年(2023年7月―2024年6月期)決算を発表。「スターバックス」チェーンに対する不買運動とジョリビーン・フーズの売却による損失で9,151万リンギの赤字に転落したと明らかにした。前年度は1億340万リンギの黒字だった。

通年の売上高は7億3,030万リンギで、前年度比34.6%の大幅減収となった。イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区侵攻に関連して対米世論が悪化し、「スターバックス」が不買運動の標的にされたことが響いた。第2四半期(2023年10月―12月)に計上したシンガポールのジョリビーン・フーズの売却損は1,050万リンギ。投資関連の特別損失を除くと税引前損失は7,684万リンギだった。

第4四半期(2024年4―6月期)の売上高は1億3,057万リンギで、前年同期比52.0%の大幅減収となった。「スターバックス」に対する不買運動が響いた。同期の赤字は3,820万リンギ。

ベルジャヤ・フードは声明の中で、「厳しい市場環境とグループの業績に影響する外部からの圧力を認識している」としながらも「慎重ながらも楽観的である」とし、業務が徐々に改善すると予想している。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、8月27日)

ソーシャルメディアのライセンス制、ネット連盟が停止要請

【クアラルンプール】 マレーシア政府によるソーシャルメディアのライセンス制導入を受け、テクノロジー大手が加入するアジア・インターネット連盟(AI)が、ライセンス制反対の意向表明および同制度の一時停止を求める内容の公開書簡をアンワル・イブラヒム首相宛てに送ったことを明らかにした。

AICには▽グーグル▽ヤフー▽楽天▽X▽リンクドイン▽アップル▽アマゾン▽メタ▽グラブ――などが加入しており、経済への影響を考慮してライセンス制度を一時停止し、政府が推進するより広範な経済目標とどのように一致するかを慎重に検討してから行うべきだとしている。

AICは、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)が導入した規制は業界にとって実行不可能であり、企業に過度の負担をかけることでイノベーションに悪影響を与えると指摘。またコンプライアンスの複雑さとコストにより、将来の投資を妨げることになるとしている。

またAICは、2024年8月1日に情報ペーパーとFAQが公開されるまで、ライセンス制度に関する正式な公聴会は行われなかったと指摘。議論が行われなかったことにより、義務の範囲などの解釈を巡って業界に混乱を生じさせたとし、こうした状況下ではライセンス登録はできないとしている。

MCMCは7月27日、800万人以上のマレーシア国内ユーザーを抱えるすべてのソーシャルメディアおよびメッセージ・サービスに対してライセンス申請を求める新たな規制枠組みを発表。8月1日よりライセンスの導入を開始し、2025年1月1日から正式に施行するとしていた。

ライセンスなしで運営を続けた場合、「1998年通信マルチメディア法」違反とみなされ、有罪となれば50万リンギ以下の罰金、または5年以下の禁固、あるいはその両方を科される可能性があるという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、8月26日)

米テスラ代表と投資貿易相が協議、改めて支援の意向を確認

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は22日、米テスラの代表団と協議を行い、テスラから改めて電気自動車(EV)充電インフラの開発にマレーシア企業9社を関与させることを通じて、マレーシアのEVエコシステムに対する支援の意向が伝えられたと明らかにした。

ザフルル氏によると、同日の議論はグローバルバッテリー電気自動車(BEV)輸入許可(AP)スキームの進捗と実施に焦点が当てられ、テスラからは充電インフラ開発のほか、ノウハウ移転と人材育成のためにマレーシアの高等教育機関と協力する予定であることも伝えられたという。

ザフルル氏は、「テスラとの協力により、マレーシアは地域の主要なグリーンテクノロジー拠点となることが期待される」と言明。「共同の取り組みが今後も拡大し、我が国の経済、技術、持続可能なエネルギーに大きな利益をもたらすことを願っている」と述べた。

テスラは2024年7月末までに、マレーシア半島部で総容量250キロワット(kW)のスーパーチャージャー充電器52基、壁コネクタ交流(AC)充電器54基、家庭用充電器4,500基以上を設置。投資額は1,350万米ドル(5,906万リンギ)に達している。

(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、8月22日)

米AWSがデータセンター開設、38年までに292億リンギ投資

【クアラルンプール】 クラウドサービス大手の米アマゾン・ウェブ・サービシーズ(AWS)は22日、アジア太平洋(マレーシア)リージョン(データセンター)を正式に立ち上げた。同時に2038年までにマレーシアに約62億ドル(292億リンギ)を投資する計画も発表した。

AWSの声明によると、新リージョンはマレーシアの国内総生産(GDP)に約121億米ドル(573億リンギ)寄与し、2038年までに建設、メンテナンス、エンジニアリングなどの分野で年平均3,500人以上のフルタイム従業員の雇用を生み出すという。

国内ではブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)、通信のアシアタやセルコムDigi、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)などの大手企業、ドローン・サービスのエアロダイン、中古車仲介サイト運営のカーサムなどの新興企業、統計局、郵便サービスのポス・マレーシアなどの公共部門がAWSを利用しており、マレーシア・リージョンの立ち上げにより、遅延の減少や可用性の向上などの恩恵を受けられるとしている。

AWSは現在、世界で34リージョンを運用しており、今後、メキシコ、ニュージーランド、サウジアラビア、台湾、タイ、欧州でも新規リージョンを立ち上げる計画だ。

(ビジネス・トゥデー、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、8月22日、AWS発表資料)

インド公式訪問で貿易80億リンギ、投資45億リンギを確保=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、インドのナレンドラ・モディ首相の招きにより19日から3日間の日程でインドを公式訪問した。首相就任後初めての訪問となる。

公式訪問により、覚書8件を締結し、潜在的貿易80億リンギ、投資45億リンギを確保した。企業間でも7件の覚書が締結されている。

アンワル首相によると、8件の覚書は、労働者採用、伝統医療、デジタル技術、文化、観光、公共行政など幅広い分野にわたるもので、両国の協力関係の促進が期待できるという。

アンワル首相はまた、パーム油・パーム油製品、化学製品、石油・ガス、航空機部品の分野において、80億リンギの潜在的貿易を確保したと言明。IT企業大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)およびHCLテクノロジーズ 、食用油のエマミ・アグロテックの代表との会談や他企業との懇親会により、総額45億リンギの投資も確保したとした。

(マレー・メイル、エッジ、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、8月21日)

セランゴール州開発公社、キャリー島を湾岸都市として開発へ

【クアラルンプール】 セランゴール州開発公社(PKNS)は、同州キャリー島を湾岸都市として開発する計画を進めている。マフムド・アッバス最高責任者が明らかにした。

マフムド・アッバス氏は、経済紙「エッジ」の取材に対し、PKNSは現在、キャリー島での新港建設に必要な面積について調査しているとし、州政府から開発用地として水面下の土地の所有を認められたと述べた。

新港の岸壁の総延長は約16キロメートル(km)で、クラン港のコンテナヤードを上回る。コンテナ処理能力も、拡張工事が進められているクラン港以上の年間3,000万TEU(20フィート標準コンテナ換算)になると想定されている。開発は4期に分けて行われ、第1期は2030年、全体としては2060年までに完成する予定。開発費用は約280億リンギとなる見込み。アンソニー・ローク運輸相が昨年9月に同港の実現可能性調査の完了を発表し、同10月にはセランゴール州のアミルディン・シャリ首相が開発に向けた提案依頼を行う準備ができていると述べていた。

マフムド・アッバス氏はまた、埋め立て地に建設される新港は、総面積1万3,000ヘクタールのキャリー島の一部しか使用しないため、別途湾岸都市の開発も検討していると述べた。

(エッジ、8月20日)

疑わしい金融取引を検出する「国家詐欺ポータル」運用開始

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラのアブドル・ラシード総裁は20日、人工知能(AI)を活用して疑わしい金融取引を検出する「国家詐欺ポータル(NFP)」の運用を開始したと発表した。

アブドル・ラシード総裁は、NFPはモジュール設計を採用することで継続的に機能を改善できるようにしていると説明。現在、16の金融機関が参加しているが、さらに多くの機関が近く参加する予定だとした。

同氏はマレーシアでは金融詐欺による損失は金融取引全体から見ると比較的小さいものの、国内の金融システムへの信頼性を確保するためにも、脅威を特定し克服することが必要だと指摘。サイバー犯罪は今後もテクノロジーを悪用することが予想されるため、金融詐欺との戦いは継続するとし、テクノロジーの最適化、官民協力体制の育成、消費者の権利強化という3方面から詐欺撲滅を図っていくとした。

NFPの運用開始により、盗まれた資金を複数の金融機関や決済システムにまたがり追跡する機能が自動化されるため、国家詐欺対策センター(NSRC)の機能が強化される。また、被害者がNSRCホットラインに連絡することで、盗まれた資金のシステム外への移動も防ぐことができるようになり、資金を取り戻せる可能性も高まったという。

(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、8月20日)