平和的集会法を次の会期で改正へ、問題条項の施行を停止

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は13日の下院審議で、「2012年平和的集会法」を次の会期中に改正すると表明した。改正の眼目は、集会場所の所有者、占有者の許可取得を主催者に義務付けている第11条項の廃止で、改正により主催者は集会開催を5日前に警察に届け出るだけでよい

政府は同条項の施行一時停止も警察に指示した。この結果、政党関係者や大学生ら200人あまりが参加した汚職反対集会への捜査は停止され、参加者は罪に問われない。

同集会ではそごうショッピングモールからムルデカ広場へ行進が行われたが、そごう、クアラルンプール市役所の許可取得で集会主催者と警察が対立したいきさつがある。

「2012年国家安全(特別措置)法(SOSMA)」を見直す、あるいは廃止する意向はあるかとの質問に対し、アンワル氏は「乱用があってはならないが、テロの脅威のない国はない。テロに対処する法律は必要だ」と維持を表明した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、2月13日)

 

24年の経済成長率は5.1%、第4四半期は5.0%

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は14日、2024年通年の国内総生産(GDP)成長率が前年の3.6%を上回るプラス5.1%だったと発表した。国内需要の継続的な拡大と輸出の回復により各セクター共に前年を上回り、政府が掲げていた成長目標(4.8ー5.3%)に沿ったものとなった。

産業別では、サービス業は卸売・小売業などに支えられて4期とも5%前後の高い成長を維持し、通年では5.4%となり、前年(5.1%)を上回った。前年は0.7%にとどまった製造業は通年では4.2%に回復した。0.5%だった鉱業も0.9%にやや回復した。6.1%だった建設業は17.5%に、農業も0.7%から3.1%にそれぞれ前年を上回った。

通年の国内需要は前年の4.6%から6.5%に回復。民間消費は4.7%から5.1%に、民間投資は4.6%から12.3%にそれぞれアップした。また公共消費は3.3%から4.7%に、公共投資は8.6%から11.1%にそれぞれアップした。前年に8.1%、7.4%マイナス成長だったモノとサービスの輸出と輸入は、それぞれ8.5%、8.9%のプラス成長に復帰した。

第4四半期(10ー12月)のGDP成長率は、国内需要に支えられたサービスや製造、建設業の成長によりプラス5.0%となったものの、前期(プラス5.4%)を下回った。

主要産業5部門のうち鉱業、農業がそれぞれ0.9%、0.5%のマイナス成長となったものの、製造業は4.4%、サービス業は5.5%、建設業は20.7%、それぞれプラス成長となった。

BNMは、今年のGDP成長率について、投資活動の力強い拡大、堅調な家計支出、輸出の継続的な拡大によって2025年も堅調な状態を維持すると予想されるとした。

プロトン、1月の販売台数は23%減の9914台

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは12日、1月の販売台数が9,914台で前年同期の1万2,882台に比べ23%減少したと発表した。

理由について、昨年12月の好調な販売の反動と、1月の旧正月休暇中の販売の減速と分析。また、市場シェアでも19.7%で、前年同期の18.7%を上回ったとしている。

車種別では、Aセグメント・セダン「サガ」が4,597台。2位以下はBセグメント・スポーツ車(SUV)「X50」が1,436台、Bセグメント・セダン「ペルソナ」が1,221台、Cセグメント・セダン「S70」が1,143台、Cセグメント・SUV「X70」が576台、Bセグメント・ハッチバック「アイリス」が291台、Dセグメント・SUV「X90」が203台で続いた。

また、同社初の電気自動車(EV)の「e.MAS7」が1月のEV販売でトップになったことについて、「販売から約1カ月でのトップは、製品と価格の提案が正しければ、マレーシア人はEVに乗り換えることを証明している」と指摘する。市場シェアは25%で、「現在の予約台数は4,000台を超えている。今後ディーラーのオープンの増加に合わせ、さらに増える見込みだ」と補足。プロトン・エダルのロスラン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は「e.MAS7の販売などに支えられ、2025年全体の販売台数は伸びると楽観視している」と付け加えた。
(エッジ、2月12日)

行政サービスのデジタル決済、導入加速を首相が指示

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は12日、行政サービス料金のデジタル決済を可能にするアイペイメント(iPayment)システムの導入を、当初予定の4月から3月に前倒しするよう、すべての省庁に指示した。3月中の100%施行を求めている。

アイペイメントは会計検査長官局が開発したシステムで、行政サービスの利用者はデビットカード、クレジットカード、プリペイドカード、インターネットバンキング、QRコード、eウォレットを利用した決済が可能。面倒な役所手続きの削減、能率向上が狙い。アンワル氏は行政窓口の長い待ち列を例にとり、デジタルによる解決の必要性を示していると強調した。

アンワル氏は「われわれが行っている改革の利益を多数の国民が享受することが最も重要だ。アイペイメントの導入で迅速かつ便利な公共サービスを提供する」と述べた。

アイペイメントは2024年3月にオンライン決済手法として導入された。今回は第2期で、窓口での決済、モバイルアプリでの決済が可能になる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、2月12日)

1月のEV販売、プロトンの「e.MAS7」が躍進

【クアラルンプール】 道路交通局(JPJ)の最新データによると、マレーシアにおける2025年1月のメーカー別新車登録台数は、ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)が2万3,245台でトップとなり、2位のプロトンの9,688台を140%上回った。

3位はトヨタの7,570台、4位はホンダが3,638台で続いたが、トヨタの半分程度にとどまった。5位は1,227台で三菱が健闘し、6位以下は1,000台に満たなかった。

一方、1月の電気自動車(EV)の販売台数を車種別でみると、プロトン初のEV「e.MAS7」が昨年12月16日の販売後の約1カ月で421台を売り上げ、トップに躍り出た。2ー4位はBYD(比亜迪汽車)で、シーライオン7(151台)、M6(136台)、アット3(104台)となったが、全体のメーカー別登録台数ではBYDは12位で、EVの市場シェアは限定的にとどまっている。
(ポールタン、2月12日)

高速道の新料金徴収システム、4月にも試験運用開始か

【クアラルンプール】 高速道路料金所の混雑緩和に向け、導入が計画されているマルチレーン・フリーフロー(MLFF)料金徴収システムについて、一部の道路運営会社などが4月にも独自に試験運用に踏み切る可能性がある。

経済紙「エッジ」などによると、MLFFシステム開発の有力候補の1つが、高速道路運営サービスの投資持株会社PLUSエキスプレスウェイズの子会社のテラス・テクノロジ。テラス・テクノロジは現在の料金徴収システムを提供しているため、有利とみられている。MLFFシステムは非接触で、ナンバープレートなどの自動認識により料金を徴収するシステムのため、道路交通局のシステムと連携させ、未払いの通行料がある運転者は、道路税の更新を認めないことなど検討しているという。

そのほか、高速道路運営を手掛けるプロジェク・リンタサン・コタ・ホールディングス(プロリンタス)や、高速道路運営の特別目的会社アマナ・レブラヤ・ラクヤット(ALR)、決済サービスのタッチ・アンド・ゴー(TNG)などもシステム提供が取り沙汰されている。

道路運営会社がそれぞれMLFFシステムを構築する方が費用を抑えられるという意見がある一方で、高速道路運営会社32社が加盟するマレーシア高速道路コンセッション協会を通じて、各運営会社の出資で非営利組織を設立し、単一のシステムでの運営をすべきとの意見もある。

こうした混乱の背景には、2023年に公共事業省が入札ではなく特定の企業を指名してMLFFシステムの発注を行い、問題になったことが挙げられる。もともと25年までのシステム導入が目標とされており、今後の動きが注目される。
(エッジ、2月10日、ポールタン、2月12日)

国内初の食料自動販売機を展開、ペイネットが農業局と連携

【ペタリンジャヤ】 銀行間決済システムを運営するペイメント・ネットワーク・マレーシア(ペイネット)と政府機関の連邦農業マーケティング局(FAMA)は共同で、国内初の食料自動販売機の展開に乗り出した。青果などの農産物や、しょうゆ、缶詰食品などを1日24時間販売する。

自販機は利用者が増えており、スナックフード、飲料以外に、サプリ、スキンケア商品、生鮮品も販売されるようになっている。今回展開する自販機での支払いはQRコード決済などすべてデジタル決済。在庫補充など機器の管理には、指定のアグロバザーがあたる。アグロバザーはFAMA傘下の電子商取引プラットフォーム。

ペイネットのフィルダウス・ガニ氏は「消費者は便利さを重視しており、自販機は国民の食品入手方法に変化をもたらしている」と述べた。農業者には従来の販路以外の販売手段が提供される。
(ザ・サン、2月10日)

ファイアフライ、スバン空港発着2路線を3月に新たに就航

【クアラルンプール】 マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)傘下の航空会社ファイアフライは、セランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)でのナロージェット機の運航を拡大し、3月24日からサラワク州のクチン国際空港と、シンガポールのチャンギ空港を結ぶ2路線の運航を開始すると発表した。

新たな2路線は、ボーイング「737-800」型機を使用。就航を記念し、クチン間は片道219リンギ、チャンギ間は189リンギのプロモーション運賃を提供する。運賃には10キログラム(kg)までの受託手荷物、7kgまでの機内持ち込み手荷物が含まれ、機内で無料ドリンクも提供される。受託手荷物30kgと無制限の予約変更ができる「フレックス」にアップグレードすることもできる。

スバン空港を利用するファイアフライ便は、すでに就航しているペナンとコタキナバルと合わせ4路線週28便となる。
(ザ・スター、エッジ、2月7日)

2024年腐敗認識指数、マレーシアは57位で横ばい

【クアラルンプール】 汚職を監視する国際的非政府組織(NGO)、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)は、2024年度版の「腐敗認識指数(CPI)」を発表。マレーシアのスコアは前年と同じく50点となり、世界ランクは57位で横ばいとなった。

同指数は180カ国・地域を対象に、世界銀行や米国の国際人権団体フリーダムハウスなどの機関が調査した13の調査をもとに100点満点で指数化、ランク付けしたもの。点数が低いほど腐敗が著しいとみなされる。

トップ3は、デンマーク(90点)、フィンランド(88点)、シンガポール(84点)となり、東南アジア諸国連合(ASEAN)ではマレーシアがシンガポールに次いだ。その他のASEAN諸国は、ベトナム(40点、88位)、インドネシア(37点、99位)、タイ(34点、107位)、ラオス及びフィリピン(33点、114位)、カンボジア(21点、158位)、ミャンマー(16点、168位)となった。日本は2ポイント減の71点で16位から20位にダウンした。ワースト1は南スーダン(8点、180位)だった。

トランスペアレンシー・インターナショナル・マレーシアは声明の中で、マレーシアのスコアやランキングが下がっていないことは注目に値するとした上で、「政府が掲げている2033年までに上位25カ国入りの目標達成には68―70点を獲得する必要があり、毎年少なくとも2ポイントずつスコアを上げなければならない」と指摘した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、2月11日、TI発表資料)

26年からの自動車価格大幅引き上げ報道、財務省が否定

【クアラルンプール】 新たな物品税規則(物品税目的の現地生産品の価値の決定)に伴い2026年から車両価格の大幅値上げが見込まれると報じられている件で、財務省は11日、車両評価方法の見直し作業はまだ続いており、最終方針が決まったというのは不正確だと否定した。

財務省は、透明なオープン市場評価 (OMV) は、現在見直し中の物品税規則の中で示されている計算方法だとした上で、投資貿易産業省(MITI)および自動車業界と共同で、税金が公平かつ中立的かつ一貫して課されることを確実にするために、自動車評価方法の見直しを進めていると指摘。まだ最終決定を下していないと強調した。

先ごろ経済紙「エッジ」は、自動車業界が、現地組立車(CKD)に対する物品税の改定を今年12月31日まで延長することが決定したと報道。さらなる延長はない可能性が高いため、2026年から価格が大幅に上昇する可能性が高いとした。

一方、地元の自動車オンラインポータル「Wap Car」は、マレーシア自動車協会(MAA)がOMV物品税改定が2026年1月まで延期されることを確認したと報じ、「改定が実施されれば10―30%の価格上昇につながる可能性がある」としていた。
(エッジ、ベルナマ通信、2月11日)