富士フイルム、健診センター新拠点をマレーシアなど4カ国に開設へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 富士フイルム(本社・東京都港区)は30日、クアラルンプール(KL)、ホーチミン(ベトナム)、バンコク(タイ)、マニラ(フィリピン)の東南アジア4都市にがん検診を中心とした健診センター「NURA(ニューラ)」の新拠点を開設すると発表した。

ベトナム新拠点は11月3日のオープンが決まっており、マレーシア、タイ、フィリピンの新拠点は富士フイルムの直営で、2025年度内の開設を予定している。

ホーチミンの新拠点は、昨年7月に開設したハノイ拠点に続くベトナムにおける2拠点目で、ベトナムで医療機関「T-マツオカ・メディカル・センター」を展開するベトナム・ジャパン・ヘルス・テクノロジー(VJH)が運営する。

富士フイルムは、2021年にインドのベンガルルに健診センター「NURA」を開設し、新興国での健診サービス事業を開始。「NURA」や、「NURA」のノウハウを取り入れた健診センターはその後、モンゴル、ベトナム、アラブ首長国連邦にも開設している。

健診センターでは、富士フイルムが持つCTスキャン・マンモグラフィなどの医療機器や医師の診断を支援するAI技術を活用して、すべての検査と医師による健診結果のフィードバックが、約120分という短時間で完了する点や、フィードバックの際に、医師から健診結果に関する説明を診断画像を見ながら分かりやすく受けられる点などが好評を得ているという。

メイバンクのモバイル銀行アプリが5周年、取引額は4兆リンギ

【クアラルンプール】 国内銀行最大手のマラヤン・バンキング(メイバンク)は29日、モバイルバンキングのアプリ「MAE app」5周年を記念した記者会見で、5年間でマレーシアの国内総生産(GDP)の2倍に当たる4兆リンギ余りの取引があったと発表した。今後もデジタル取引の拡大を国内外で推進する。

MAEのユーザー数は1,070万人、モバイルバンキングの取扱額の48%を占めており、銀行間決済ネットワークのペイネットを通じた取引で、件数、額とも国内首位。

MAEは多様な用途に利用可能で、地域社会金融サービス担当最高経営責任者(CEO)のタウフィク・アルバル氏は「アプリをライフスタイル全般にわたる金融アプリに育て、ユーザーのニーズに対応してきた」と述べた。

ウォレットの残高上限は来年から2万リンギに引き上げる。上限引き上げを求める声に応じたもので、特に旅行先でのアプリ利用が増加していることに対応する。

QR決済の海外展開では、インド、韓国、中国でも利用できるようにする。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月29日)

サラワク州大臣、スマート農業推進で日本の先進農場を視察

【クチン】 サラワク州政府のステフェン・ルンディ食品一次産業・地域開発相らはこのほど、イオングループの農業法人イオンアグリ創造(本社・千葉市美浜区)が運営する埼玉県久喜市の農場を視察。日本の先進的なスマート農業技術を参考に、地域の農業変革を強化していく方針だ。

今回の視察は、2030年までに近代的な農業産業を開発するという州の目標に基づく調査ミッションの一環として実施された。久喜農場(3.3ヘクタール)では「プロバイオポニック」という有機水耕栽培法で、トマトを栽培。収穫量年間約990トンという高い生産性を目指した取り組みが行われている。

ルンディ氏は「今日の農業は、伝統だけではなく、データや科学に基づいている。今回の視察は食料安全保障と持続可能性をどのように両立できるかを具体的に示すものだった」と発言。州の熱帯気候に適したバイオベースのイノベーションの促進に向け、日本の機関や企業との協力の可能性を探っていくとした。

イオンアグリ創造は2009年に設立され、日本全国で20以上の農場を展開。新鮮な農産物を全国のイオンスーパーマーケットに直接供給している。
(ボルネオポスト、10月29日)

イオン、シャアラム店をリニューアルオープン

【クアラルンプール】 セランゴール州の「イオンモール・シャアラム」内の総合スーパー、イオン・シャアラム店が28日、リニューアルオープンした。フードコーナーの充実や、モール全体で使えるスマートカートの導入など、利便性の向上と顧客体験の強化を図った。

同店は2016年に開業。今回、デリカデッセンコーナーを拡張し、さらに12の新しいフードコンセプトカウンターを設置した。また、衣類などを含めプライベートブランド「トップバリュ」の商品が拡充された。

スマートカートは、商品のバーコードをスキャンしながら買い物を進めることができ、モール全体で使用可能。合わせて、セルフレジが増設されたほか、店内を歩き回らずに効率的に買い物できる「Grab N Go」コーナーなども導入された。
また同時に、モール内に3店舗が新たにオープンした。
(マレーシアン・リザーブ、10月29日)

豪モナシュ大マレーシア校、TRXに32年に新キャンパスを開校

【クアラルンプール】 豪モナシュ大学マレーシア校は28日、クアラルンプールの国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」に新キャンパスを建設すると発表した。2032年開校予定で、投資額は28億リンギと見込まれている。

TRXキャンパスは、既存のキャンパスを補完するもので、最大2万2,500人の学生と1,700人の教職員を収容できる規模になる。データサイエンス、人工知能(AI)、エネルギー転換、ヘルスケアに重点を置いた研究センターが設置されるほか、半導体など先端製造や金融など35以上のコースが導入される計画だ。

大学は、TRX開発を手掛けるTRXシティと提携を進めているほか、マレーシア政府およびオーストラリア政府も協力。新キャンパス開発は大学にとって過去最大規模の投資で、さらに今後10年間でマレーシア経済に191億リンギの経済効果をもたらすとしている。今回、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に出席したオーストラリアのアルバニージー首相の来馬に合わせて計画が発表され、アルバニージー首相は「オーストラリアが誇る世界最高水準の高等教育を海外に展開することは、オーストラリアの雇用と投資にとって大きなチャンスだ」とした。

モナシュ大学マレーシア校は1998年、セランゴール州のサンウェイ・カレッジと施設を共有する形で、学生数417人で開校。その後、キャンパスの独立を経て、現在はASEANを中心に80カ国以上から1万1,000人を超える学生が在籍している。世界大学ランキングでトップ40にランクインしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、エッジ、10月28日)

高市首相の日本人墓地訪問、誤解した一部から批判の声

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に合わせて訪馬した高市早苗首相が26日にクアラルンプール(KL)日本人墓地と国立記念碑の訪問をソーシャルメディアに投稿したことについて、その内容を誤解した一部のマレーシア人から批判の声が上がった。

高市首相はXに「本日、クアラルンプール日本人墓地を訪問し、慰霊碑に献花しました。マレーシアで命を落とした先人を慰霊することができ、感慨深く思います。これに続けて、二度の大戦やマレーシアの独立闘争で亡くなられた兵士と市民の霊を慰める国家記念碑も訪問し、マレーシアの歴史に思いを馳せました」と投稿した。

一部の大手メディア(マレー・メイル、星洲日報、中国報)は高市氏が訪問した事実のみを淡々と伝えており、批判の論調はみられない。しかしソーシャルメディア上では、日本人墓地を「神社」や「日本軍兵士のための墓地」と誤認して、「旧日本軍を賛美している」、「歴史認識が誤っている」などを指摘する書き込みが一部で散見される。代表的なものは「フェンディ氏」名義のXの投稿で、「マレーシア人としてこの投稿に怒るべきだ」と投稿。閲覧数はすでに100万回を超えている。

高市氏の投稿を批判するネット投稿があることについては、主に華字紙が中心になって取り上げており、親中的な論調の「東方日報」は、「高市氏の投稿に日本軍の行為に対する謝罪がなかった」との観点から、「日本が戦時中に犯した残虐行為については全く触れないのか?相変わらず偽善者だ」といった批判投稿を紹介している。

中国のポータル「網易」は、「丹徒生」氏の名義の記事で「高市早苗氏はマレーシアを訪れ、戦争で亡くなった日本兵に厚かましくも追悼の意を表した。本当に腹が立つ」などと事実誤認の内容を投稿し、さらに「マレーシアがこれを容認しているのが腹立たしい」とマレーシア政府まで批判した。

一方、ソーシャルメディア上では「高市氏の投稿はどう読んでも怒る内容ではない」、「高市氏はちゃんと国家記念碑にも訪れているじゃないか」、「過去の日本政府首脳も日本人墓地を訪問している」などと擁護する声も多く上がっており、「フェンディ氏」自身もその後、日本人に向け「怒らないでください。私もマレーシア人も日本も日本人も好き」と釈明のような投稿を行っている。

アスエネ、マレーシアゴム評議会と脱炭素連携で覚書

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アスエネ(本社・東京都港区)は、17日にクアラルンプールで開催された「第3回アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)閣僚会合」で、同社シンガポール法人のアスエネAPACとマレーシア・ゴム評議会が脱炭素連携に関する覚書(MOU)を締結したと発表した。

企業や自治体を対象にCO2排出量に関する報告を支援するアスエネのクラウドサービス「ASUENE」を使って、マレーシア政府の管轄下にある公的機関と共に、主要輸出産業であるゴム分野のサプライチェーン全体で、CO2排出量の見える化と削減を推進する官民協働に取り組み、マレーシアにおけるゴム関連企業の気候変動対策とサステナブル経営の両立を推進していく。

アスエネは今後も、AZECをはじめとする国際的な枠組みを通じて、アジア各国の政府・企業・団体と連携し、地域全体の脱炭素化に向けた実効性あるビジネス連携モデルを構築していくとしている。

格安航空スクート、シンガポール―コタバル線を就航

【クアラルンプール】 シンガポール航空傘下の格安航空会社スクートは、シンガポール―コタバル(クランタン州)線を就航した。コタバル線就航により、スクートのマレーシアの乗り入れ先はイポー、コタキナバル、クアラルンプール、クチン、クアンタン、ランカウイ、マラッカ、ミリ、ペナン、シブ、スバン――の12都市となった。

金・日曜日の週2便の運航。機材は座席数112席のエンブラエルE190-E2型機を使用する。スケジュールは、往路の「TR406」便はシンガポール発が20時40分、コタバル着が21時55分。復路の「TR407」便はコタバル発が22時30分、シンガポール着が23時55分となっている。

スクートのカルビン・チャン最高商務責任者は、「コタバルへの就航により、マレーシア全土におけるスクートのプレゼンスが強化され、地域間の接続性も向上する」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、10月27日、スクート発表資料)

 

中国系ラッキンコーヒー、ハラル認証取得店を全国に拡大へ

【クアラルンプール】 中国系コーヒーチェーン、ラッキンコーヒー・マレーシア(瑞幸珈琲)は、ショッピングモール「サンウェイ・ベロシティ」の2店舗とイオン・マルリ店の計3店舗で、マレーシアイスラム開発局(JAKIM)のハラル(イスラムの戒律に則った)認証を取得。今後、既存の他店舗に広げていくと同時に、全国的な店舗展開を加速させる方針だ。

ラッキンのジェフ・リム最高経営責任者(CEO)は、「私たちは地域に根ざした事業展開の一環として、ハラル認証を非常に重視している。これを機に我々のマレーシアにおける存在感をさらに強固なものにしていきたい」と語る。また認証取得を記念し、30日と31日の2日間、全ドリンク3.99リンギのキャンペーン(一部店舗のぞく)を実施する。

2017年創業のラッキンコーヒーはモバイルアプリを通じた注文・決済システムを特徴とし、低価格と積極的な拡大戦略で世界的に急成長を遂げている。マレーシアでも今年1月の進出以来、現在約50店舗を展開。10月だけでも7店舗をオープンし、今後3年間で200店舗を目指していく。
(セイズ、10月27日、KLハプニングス、10月23日)

高市首相が初の外遊でマレーシア訪問、アンワル首相と会談

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議出席のために訪馬した高市早苗首相は26日、クアラルンプール市内でアンワル・イブラヒム首相と20分間にわたり会談。「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の実現に向け、両国の協力関係を一層強化し、友好関係を発展させていくことなどで合意した。

両首相は経済分野では、二酸化炭素の回収・貯留(CCS)やアンモニア発電、脱炭素化・エネルギー移行で協力が進展していることを高く評価。炭素クレジットの創出を通じて両国の排出削減に貢献する二国間クレジット制度(JCM)の早期署名に向け、協議を加速させることで一致した。また、液化天然ガス(LNG)の安定供給やレアアース(希土類元素)、人工知能(AI)でも連携を一層強化していくことを確認した。

安全保障分野では、無償の資金協力の枠組みである「政府安全保障能力強化支援」(OSA)を通じた、日本からの無人航空機(UAV)と救難艇の引き渡しについて、アンワル首相が謝意を表明。新たに潜水作業支援船等の供与でも合意した。

高市首相は、カンボジア・タイ間の停戦合意におけるアンワル首相の取組に敬意を表し、停戦を後押しするため、マレーシアに停戦監視用機材の供与を決定したことを伝えたという

就任後初の外遊となった高市首相はこのほか、フィリピンのマルコス大統領、豪州のアルバニージー首相とも相次いで個別会談。25日夜から24時間強の短い滞在中、クアラルンプール日本人墓地の慰霊碑で献花するなど、精力的に活動し、外交デビューを印象づけた。