アンワル首相率いるPKR支部選挙で大物が次々と落選

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 4月11日から20日にかけて行われた与党連合・希望同盟(PH)の中核を担う人民正義党(PKR)の党支部長選挙で閣僚・副大臣、下院議員を含む大物幹部が次々と落選する事態となっている。アンワル・イブラヒム党首(首相)は内閣改造を行う考えのないことを表明しているが、草の根党員の間で党上層部に対する不満が高まっているようだ。

PKR支部幹部選で敗れた大臣・副大臣は、ニック・ナズミ・ニック・アハマド天然資源・環境持続可能性相(セティア・ワングサ支部)、アクマル・ナスルラー・モハメド・ナシル副エネルギー移行・水利転換相(ジョホールバル支部)、アダム・アドリ・アブドル・ハリム副青年スポーツ相(ハン・トゥア・ジャヤ支部)。党中央幹部では、K・サラスワティ党首補(ブキ・ビンタン支部)チュア・ウェイキアット党副広報部長(セラヤン支部)が敗れた。

下院議員では、ザヒル・ハッサン氏(ワングサ・マジュ支部)、P・プラバカラン氏(バトゥ支部)、バクティアル・ワン・チク氏(バリク・プラウ支部)、ジミー・プア氏(テブラウ支部)、R.ユネスワラン氏(同)、S.ケサバン氏(スンガイ・シプ支部)、ロジア・イスマイル氏(アンパン支部)らが落選した。

PKRは党役員選挙を5月に開催する予定。マレーシア北部大学(UUM)のルスディ・オマル氏は、今回の相次ぐ党幹部の敗北は党員の間で変革を求める声が高まっていることを反映していると指摘。次期総選挙に向けて党内若返りの機会でもあると述べている。

いすゞ「D-MAX」、第1四半期に過去最大のシェアを獲得

【クアラルンプール】 いすゞ自動車のピックアップトラック「D-MAX」は、今年第1四半期でマレーシア市場におけるセグメント2位に躍進、国内シェアは昨年同期の14.0%から18.3%に上昇し過去最高を記録した。

最も人気のあるモデルは1.9リッター4気筒ディーゼル・ターボエンジン搭載車で、これら3バリアントは総販売台数の72.7%を占めた。うち2バリアントはわずか1回の給油で2,004キロメートルを走行し、マレーシア記録に認定された。

いすゞマレーシアの十川憲吉 最高執行責任者(COO)は、昨年実施されたディーゼル補助金合理化という逆風にも関わらずシェアが拡大していることに言及。「優れた燃費、信頼性、パフォーマンスを背景にD-MAXの価値に気づく購入者が増えていると考えている。顧客はランニングコストが低く、信頼できるパフォーマンスと、安価な道路税を備えた高性能な車を選んでいる」と述べた。

いすゞは強固な地盤をもつ東マレーシアでは28.4%という高い市場シェアを占めているが、半島部でも販売シェアが2024年の12.1%から今年は17.1%に急上昇している。
(モタオート、ジグホイールズ、カーリスト、4月21日)

社会経済研究センターのGDP成長予想4%

【クアラルンプール】 シンクタンクの社会経済研究センター(SERC)は17日公表した第1四半期経済報告で、今年の国内総生産(GDP)は4%になるとの予想を示した。中央銀行が先に示した予想は4.5-5.5%。

発表に当たったリー・ヘングイエ専務理事によれば、トランプ関税は国際貿易や投資家マインドにマイナスだが、国内の個人消費、投資とも堅調を維持しているため、短期的衝撃を緩和できるという。

関税措置に対しては、90日間の猶予期間中の前倒し出荷の動きが世界的に見られ、購買担当者指数(PMI)が上昇している。

SERCは華人商工会議所(ACCCIM)と共同で4月7日から10日にかけ緊急調査を行った。輸出業者122社のうち、最大の輸出先が米国との回答は66%。米国のクライアントから値下げの申し入れがあった、との企業の割合は46.2%だった。

リー氏はまた、14日に開かれたマレーシア証券取引所での会議で、対米貿易黒字を減らす必要があるとの認識を示した。米国の関税逃れのためにマレーシアを利用されるようなことは回避すべきだという。
(マレーシアン・リザーブ、4月17日、エッジ、4月14日)

不動産のホーフップが債務不履行、再び経営難の企業に

【クアラルンプール】 クアラルンプール郊外のブキジャリルにおける開発事業で知られる建設・不動産開発のホー・フップ・コンストラクションは債務不履行に陥り、資金ショートの状態を示す「PN17」に指定されたことをブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に通知した。

不履行額は1億1,269万リンギで、子会社のブキジャリル・デベロップメント(BJD)がインサス・クレジット・アンド・リーシングからの借入金を返済できなかった。ホー・フップは保証人だった。

ホー・フップは12カ月以内に経営正常化計画をブルサに提出しなければならず、これを怠った場合、上場停止、廃止を余儀なくされる。

ホー・フップは2010年にもPN17の指定を受けたことがあり、数年後、資産売却などを通じ指定を脱した。

今回の不履行額は保有資産(3億3,848万リンギ)の33.29%に相当する。
(マレーシアン・リザーブ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、4月18日)

マレーシア航空、KLIA―豪ブリスベン直行便を11月に再開

【クアラルンプール】 マレーシア航空は18日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)と豪ブリスベンを結ぶ直行便を11月29日から、2年ぶりに再開すると発表した。週5便の運航となる。

KLIA発のMH135便は、午後8時40分(月曜と水曜を除く毎日)発で、翌日の午前6時45分ブリスベン着。ブリスベン発のMH134便は午前8時(火曜と木曜を除く毎日)発で、午後2時10分KLIA着となっている。

ブリスベンへの直行便は、事業見直しの一環として2023年3月に運航が中止された。今回、ニーズが高まっているとして復活を決めた。プロモーション運賃としてエコノミークラスの往復航空券で1,999リンギからの運航開始となる。予約は5月18日から。

またシドニーやメルボルンなどの豪州とニュージーランドへの一部路線に、エアバスの最新ワイドボディ機A330neoを導入し、快適性、燃費効率、客室設備を向上させる。さらにシドニーとメルボルンを週21便、オークランドを週10便に増便した。

親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)のイザム・イスマイル社長は、アジア太平洋地域のネットワークを強化し、主要なトランジットハブとしてのKLIAの地位を築くための幅広い取り組みの一環であることを強調。最近ではインドネシア・スラバヤ週14便、タイ・プーケット週21便、インド・トリバンドラム週5便に増便するなどの影響で、トランジット旅客数は約10%増加したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、4月18日)

東海岸鉄道線プロジェクト、全区間の工事進捗率が81%に

【パシル・プテ】 東海岸鉄道線(ECRL)プロジェクト(全長665キロメートル=km)は、2026年12月の完成に向けて順調に進んでおり、クランタン州コタバルからセランゴール州までの全区間の工事進捗率は3月時点で81.07%となっている。進捗率はトレンガヌ州内では90%、パハン州内では86%となっている。

クランタン州パシル・プテ駅の現地視察を行ったマレーシア・レール・リンク(MRL)のダルウィス・アブドル・ラザク最高経営責任者(CEO)は、同州政府がプロジェクトの円滑な実施、特に土地収用に関する問題の解決において重要な役割を果たしたと言明。「同州の43km区間の工事進捗率は88.86%に達し、プロジェクト全体の進捗に大きく貢献している」と述べた。

同州のトゥンジョンとパシル・プテの2駅の工事進捗率もそれぞれ69%と68%に達しており、2駅の工事は来年5月までに完了する予定。試験・試運転は2026年6月に開始される予定だ。

ECRLプロジェクトは、半島部東海岸のクランタン州、トレンガヌ州、パハン州を縦断し、西海岸のセランゴール州を結ぶ新線。コタバルからゴンバック統合ターミナルまでの区間は2026年12月に完成し、2027年1月に運行開始の予定だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、4月17日)

カーシェアのゴーカー、日産のEVを導入

【クアラルンプール】 カーシェアリングサービスの「ゴーカー」は、日産の電気自動車(EV)「キックスe―POWER」を導入した。

コンパクトSUVのキックスは昨年マレーシアで発売されており、ゴーカーは今回、日産の販売代理店エダラン・タンチョン・モーター(ETCM)と提携した。燃費性能や航続距離に優れた車種で、ゴーカーでは「首都圏クランバレーなど、市街地走行に最適」としている。1時間あたり17.9リンギ(予約は最低3時間以上)で利用できるほか、月単位や年単位のリースが可能な「ゴーカー・サブ」でも利用できる。

また、7月31日までゴーカーでキックスを利用した人に賞品が当たるキャンペーンも実施している。
(カーシフ、モタオート、4月15日)

ジェトロ、ヘルスケア展示会「SEACare2025」に出展

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、4月23―25日にKLで開催されるヘルスケア関連の展示会「東南アジア・ヘルスケア・アンド・ファーマ・ショー(SEACare)2025」に出展すると発表した。

マレーシアで需要増が見込まれるヘルスケア市場において、日本企業のヘルスケア商品の販路拡大を目的として、オンラインカタログサイト「Japan Street」の広報ブースを出展する。「Japan Street」はジェトロが招待した海外バイヤー専用のオンラインカタログサイトで、バイヤーは登録するだけで日本企業9,726社・6万8,156製品(4月15日時点)を閲覧、希望に応じてオンライン商談が可能となっている。また、カタログ掲載商品の参考として、歯科関連用品や高齢者ケア用品、サプリメント等の商品サンプルを展示紹介し、マレーシアのバイヤー開拓を目指す。

同ブースでは、日本企業とスタートアップなどの海外企業の協業連携のためのプラットフォーム「ジャパン・イノベーション・ブリッジ(J-Bridge)」についても紹介し、同プラットフォームを活用したヘルスケア分野における日本企業とマレーシアのスタートアップ企業とのマッチングを支援する。「J-Bridge」は会員制のポータルサイトで、海外とのオープンイノベーションに関心のある日本企業1,789社(2025年2月末時点)が登録されている。

KLタワー、17日から一時閉鎖、背景に運営権騒動

【クアラルンプール】 通信省は17日、クアラルンプール(KL)のランドマーク「KLタワー」が同日夜から、保守・改修工事のため、一時閉鎖すると発表した。再開日は未定で、追って発表される。閉鎖はKLタワーの営業開始以来初めてという。

KLタワーを巡っては、投資持株会社リム・ソンハイ・キャピタル傘下のLSHサービスマスター(LSHSM)が4月1日から、運営管理・保守業務を政府から委託された。しかし、これを不服とする旧運営会社のメナラ・クアランプール(MKLSB)と、その親会社が、政府とLSHSMに対する仮差し止めを求めて3月27日に提訴。高等裁判所が4月8日にこれを却下した。しかし、MKLSB側は4月13日にも、タワー完成直後の28年前のタイムカプセルを開封するイベントを、マハティール・モハマド元首相を招いて行うなど、混乱が続いている。

こうした事情を受け、通信省は17日の声明で、今回の一時閉鎖はあくまで保守・改修工事のためとしつつ、KLタワーは政府の所有物であることを強調。MKLSBに対し、2回の立ち退き通知を発行したとし、MKLSBの不法占拠を非難した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、4月17日)

第1四半期のGDP成長速報値、プラス4.4%=統計局

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は18日、2025年第1四半期(1ー3月期)のマレーシア国内総生産(GDP)成長率の速報値を発表。前期(2024年10ー12月期)のプラス5.0%から、プラス4.4%に減速した。正式発表は5月16日に予定されている。

牽引役のサービス業は、前期のプラス5.5%からやや減速したもののプラス5.2%の水準を維持した。卸売・小売、輸送・倉庫、情報通信が貢献した。

製造業も、前期のプラス4.4%から、プラス4.2%にやや減速。電気・電子・光学製品、植物性・動物性油脂・食品加工、石油・化学・ゴム・プラスチック製品の好調に支えられた。

建設業は前期のプラス20.7%から、プラス14.5%に減速したものの、特殊建設、住宅建設の成長に支えられ、2ケタ成長は維持した。

農業は、前期のマイナス0.5%からプラス0.7%に持ち直した。アブラヤシ・サブセクターが低迷したものの、漁業およびその他の農業サブセクターに支えられた。

一方、鉱業・採石業は原油・コンデンセートおよび天然ガスの生産量減少が影響し、前期のマイナス0.9%からマイナス4.9%にさらに落ち込んだ。