中銀、今年の経済成長を4.5―5.5%と予想

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は24日、「2024年版経済・金融レビュー」を発表。外部環境の不確実性にもかかわらず、堅調な国内需要と継続的な投資活動に支えられるとして、今年のマレーシアの経済成長率をプラス4.5―5.5%と予測した。

中銀は「雇用と所得の伸びが引き続き家計支出を牽引する」とした上で、複数年にわたるプロジェクトの継続に支えられ、投資が引き続き堅調に推移すると予想。「所得向上策を含む2025年度予算に盛り込まれた政策は消費をさらに支えるだろう」とした。

世界経済の不確実性の中でマレーシアの対外部門はより緩やかなペースで成長すると予測され、輸出については依然として、世界的な技術革新の継続と観光客の支出増加の恩恵を受けると見込まれる。国内需要が引き続き成長の主因になるとみられ、労働市場の状況改善と支援政策の継続が家計支出の増加を促すことから、雇用の拡大に伴い失業率は長期平均を下回る3.1%までさらに低下するという。

また中銀は、公務員の給与引き上げや最低賃金引き上げなど賃金関連の政策措置に支えられ、所得の伸びが加速すると予想されると指摘。世帯収入の増加と、対象を絞った現金給付の増額は、低・中所得者が直面する生活費の圧力を軽減するのに役立つと述べた。

投資活動は2025年も引き続き堅調に推移すると予想されており、中銀は「投資の実現は、電気・電子(E&E)やデータセンターを含むICTなどの主要産業を支える継続的な世界的需要によって支えられるだろう」と指摘。「マレーシアの確立された投資エコシステムは、継続的な推進力となり、新たな投資家を誘致し、国内の投資維持を促進するだろう」とした。

貿易については、昨年の力強い回復に続き2025年についても世界的な政策の不確実性の中で、中銀はより緩やかなペースで拡大すると予想。「世界の半導体売上高の二ケタ成長予想に沿って、総輸出は進行中の世界的技術上昇サイクルの恩恵を受けるだろう」と指摘した。

一方、中銀は「より制限的な貿易政策とそれに伴う報復措置、そして地政学的紛争の潜在的なエスカレーションを含むいくつかの下振れリスクがある」と指摘。これらの要因は世界貿易を混乱させ、主要貿易相手国の経済を減速させ、マレーシアの対外貿易実績に影響を及ぼす可能性があるとし、これらのリスクが具現化すればマレーシアの経済成長は4.5―5.5%の予測範囲の下限に傾く可能性があるとした。ただし貿易交渉の成功と主要経済国の成長促進政策に支えられて外需が強化されれば、成長率は5%を超える可能性があると強調。「活発な観光活動と投資プロジェクトの迅速な実施も、成長にプラスの影響を与える」とした。
(マレーシアン・リザーブ、ビジネス・トゥデー、3月24日)

マレーシア航空、KLIA-パリ直行便を9年ぶりに再開

【クアラルンプール】 マレーシア航空(MAS)は22日、クアラルンプール国際空港(KLIA)と仏パリのシャルル・ドゴール空港(CDG)を結ぶ直行便を再開した。MASにとって68番目の目的地となる。

3月22―27日は週4便、29日からは毎日就航になる。昨年9月から予約受付を再開し、初便の搭乗率は往路のMH22便が95%、復路のMH21便は98%に達し、乗客の期待の高さを示した。パリ便の復活で、パリ経由でアメリカのニューヨーク、ダラス、マイアミ、オーランドの4都市へのアクセスも大幅に高まるという。

MASは経営再建の一環で、2016年1月からパリ便を運休していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、3月23日)

自動車用エンジンオイル、4月7日から認証義務化

【クアラルンプール】 政府は4月7日から、自動車用エンジンオイルの認証取得と表示を義務づける。アルミザン・アリ国内取引物価相が20日、明らかにした。

偽造品の製造・販売防止が狙いで、国内生産品か輸入品かを問わず、すべてのエンジンオイル製品は、主要な試験、検査、認証機関である SIRIM QASインターナショナルの認証取得が義務づけられる。取引表示法を改正するもので、すでに2024年10月11日からオイルメーカーに対して官報で公示している。

2019年1月から今年2月までに、エンジンオイルに関する苦情が240件寄せられた。うち36件が処分され、押収額は115万4,198リンギだったという。
(ベルナマ通信、ポールタン、3月20日)

シヤチハタ、創業100周年記念展をKLの蕎麦店で開催中

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 印章業のシヤチハタ(本社・名古屋市西区)は創業100周年を記念し、クアラルンプール市(KL)の蕎麦店「元年堂」で、シヤチハタのデコレーションアイテムの展示やワークショップを開催している。

記念展は3期に分けテーマごとにとに実施。4月7日までは「ジャーナリング」をテーマに、スタンプや筆記具などを体験できる。4月12日―5月12日は、日本とマレーシアを拠点に、絵本や書籍の装画・挿絵などを手掛けるイラストレーター・岡本かな子氏による、ジャーナリング作品などを展示。5月17日―6月16日は、約20種類のハンコを自由に押して楽しめるコーナーなどが設置される。

シヤチハタは1993年からマレーシア法人を設立し活動しており、シヤチハタが提供する「しるしの価値」や、日本文化を楽しんでもらいたい、と今回の記念展を企画した。プロデュースは、書店でのイベントなどを手がける「ひらく」(本社・東京都千代田区)が担当。会場となった元年堂と、その運営会社で東南アジア進出に向けたマーケティング支援などを行う「シード」(本社・静岡県三島市)が協力している。

イケア、東マレーシアで実店舗開設を計画

【クチン】 スウェーデン系家具メーカー、イケア・マレーシアは、サラワク州で実店舗の開業を計画している。

実店舗の開業に先だち、先月から、東マレーシア専用のオンラインストアの運用を開始。それに伴い、サラワク州のデマク・ラウト工業団地に「フルフィルメントセンター」を設置した。この試みは、マレーシア半島と同料金の商品を、なるべく送料を抑え、スピーディーに届けるためのもの。専用オンラインストアでは商品を厳選し、最大2,000点を紹介する。また、配送方法として、フルフィルメントセンターにある「コレクションポイント」という窓口で、自分で受け取ることもできる。

20日にメディア向けのフルフィルメントセンターの見学会が行われ、その際に小売部門責任者のマルコム・プルイス氏が将来的なサラワク州で実店舗の開業見通しを示した。
(ベルナマ通信、3月20日)

IOIプロパティーズ、新モール「バンギフレスコ」を発表

【クアラルンプール】 不動産開発のIOIプロパティーズ・グループは20日、セランゴール州バンギに開発するショッピングモール「バンギ・フレスコ」の概要を発表した。

バンギ・フレスコは12.3エーカーの敷地に、計10万平方フィートの小売りスペースを備える。1万9,000平方フィートの食料品店のほか、ドライブスルーなどのさまざまな店舗、スポーツセンターやイベントホール、350台分の駐車スペースなどで構成される。2026年第3四半期の完成を目指す。

同社は、セランゴール州とネグリ・センビラン州との間に位置する、360エーカーの土地で「バンダル・プテリ・バンギ」開発を進めている。バンギ・フレスコはその一角に位置し、隣接地ではIOIギャラリアという商業施設も開発している。テー・チングアン最高執行責任者(COO)は「バンギ・フレスコは、周辺住民のライフスタイルや基本的なニーズを満たすだけでなく、人々が交流するワンストップの目的地になる」と述べた。
(エッジ、ベルナマ通信、3月20日)

23年のOGSE事業所数は2894カ所、従事者は12.3万人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は20日、2023年度の石油・ガスサービス・機器(OGSE)の国勢調査結果を発表した。今回が初めて調査で、2021年に発表した国家OGSE青写真を踏まえ、進捗を検証する指標になるという。

それによると、2023年にOGSE活動に従事した事業所は2,894カ所で、56.8%に当たる1,643カ所がサービス業、27.7%に当たる802カ所が建設業、8.7%に当たる251カ所が製造業、6.8%に当たる198カ所が鉱業・採石業だった。また総生産額は792億リンギで、鉱業・採石業の281億リンギ(35.5%)がトップとなり、サービス業の258億リンギ(32.5%)、建設業の154億リンギ(19.4%)、製造業の99億リンギ(12.5%)が続いた。

OGSE活動に従事した人は計12万3,288人。セクター別では建設業が5万696人(41.1%)で最も多く、これにサービス業(4万8,731人、39.5%)、製造業(1万2,365人、10.0%)、鉱業・採石業(1万1,496人、9.3%)が続いた。給与と賃金の総額は68億リンギで、1人当たり月平均4,609リンギが支払われた。セクター別で最も高かったのはサービス業の28億リンギ(41.6%)で、これに建設業(21億リンギ、30.8%)、鉱業・採石業(12億リンギ、17.2%)、製造業(7億リンギ、10.4%)が続いた。

マイクロソフトの投資は4年で109億ドルの経済効果

【クアラルンプール】 データセンター設置エリアのクラウドリージョン「マレーシア・ウエスト・クラウドリージョン」を開発中のマイクロソフトは20日、同社の投資と、パートナー企業の事業、クラウドコンピューティングサービスの顧客は、現在から28年までの間に109億米ドルの収入をマレーシアにもたらすとの試算を公表した。

調査は情報技術(IT)市場調査のIDCに委託した。売り上げのうち16.9%はクラウドリージョンが占めるという。調査によれば、クラウド事業とパートナー企業で同期間、3万7,575人の雇用創出が見込め、うち熟練IT技術者が5,700人になるという。

クラウドリージョンは第2四半期に操業開始の予定。リージョンは3つのデータセンターで構成している。データセンター間は災害などに備え十分な距離をとっており、また各センターには独立した電力、冷却、ネットワーキング基盤を整備する。

ウエスト・クラウドリージョンでは人工知能(AI)活用サービスを提供する。マイクロソフトは昨年、22億米ドルの投資をマレーシアに約束していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月21日、ベルナマ通信、エッジ、3月20日)

ランカウイ島を5G活用型観光地に、DNBなど3者が協力

【クアラルンプール】 通信タワーのイードットコ・マレーシア、第5世代(5G)移動通信ネットワーク敷設業者の国営デジタル・ナショナル(DNB)、ランカウイ開発庁(LADA)の3者は、ランカウイ島をマレーシア初の5G活用型観光地に転換するため協力することで合意した。観光体験に革命をもたらすという。

基盤整備では、高速通信が可能な場所をスカイブリッジ、チェナン海岸、主要ホテルなどへ拡大する。4月にはホテル運営業者、ツアー会社、地元企業などに参加を求めワークショップを開催し、5G利用のソリューションがどう観光に新たな定義づけができるかを協議する。協議結果はランカウイ島デジタル転換の戦略とする。
イードットコのガヤン・コララゲ取締役によると、ホテル管理のスマート化、非接触サービス、顧客の本質的ニーズの把握、などの技術革新を目指す。自律的シャトルサービスも提供する。

スポーツ競技の放映ではリアルタイムのデータ解析や没入型ライブ配信を実現する。提携期間は2年。DNBのアズマン最高経営責任者は「ランカウイは将来を見据えた5G利用の理想的実験地だ」と述べた。
(ザ・スター、3月20日)

2024年の洪水被害額は9.3億リンギ、GDPの0.05%に

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は19日、マレーシアの洪水被害に関する特別レポートを発表。2024年通年の被害総額が9億3,340万リンギ(2023年:7億5,540万リンギ)に増加し、名目国内総生産(GDP)の0.05%(2023年:0.04%)に相当する額に上ったと明らかにした。

州別で最も被害が大きかったのはクランタン州(2億6,300万リンギ)で、これにケダ州(1億9,370万リンギ)、トレンガヌ州(1億8,200万リンギ)、ジョホール州(5,900万リンギ)、ペラ州(5,720万リンギ)と続いた。

項目別で最も被害が大きかったのは住宅で3億7,220万リンギ(2023年:1億6,830万リンギ)に急増。公共資産とインフラが3億340万リンギ(2023年:3億8,070万リンギ)で続いた。農業被害は1億8,520万リンギ(2023年:1億2,060万リンギ)に増加し、事業所への被害は5,410万リンギ(2023年:5,320万リンギ)となった。一方、車両への被害は1,730万リンギ(2023年:2,230万リンギ)に減少、製造セクターへの被害は120万リンギ(2023年:1,030万リンギ)と最も影響が少なかった。

住宅被害が州別で最も大きかったのはクランタン州の1億3,900万リンギで、これにトレンガヌ州が1億310万リンギ、ケダ州が5,400万リンギで続いた。

公共資産とインフラへの被害が最も大きかったのはトレンガヌ州の4,990万リンギで、これにクランタン州が4,810万リンギ、ペラ州が4,340万リンギで続いた。

農業への被害が最も大きかったのはケダ州の1億1,820万リンギで、これにクランタン州が4,380万リンギ、パハン州が880万リンギで続いた。

事業所への被害が最も大きかったのはクランタン州の2,710万リンギで、これにトレンガヌ州が1,640万リンギ、ケダ州が430万リンギで続いた。

車両被害はトレンガヌ州が580万リンギと最も大きく、これにクランタン州が400万リンギ、ケダ州が210万リンギで続いた。

製造業への被害が最も大きかったのはクランタン州の110万リンギで、その他の州の被害は軽微だった。