e-メタノール生産で東京ガスと協議、サラワク州首相

【東京】 サラワク州のアバン・ジョハリ首相は18日、東京ガスの技術開発拠点、横浜テクノステーションを視察し、木本憲太郎副社長から水素、e-メタノール生産について説明を受けた。州としてe-メタノール生産で東京ガスとの提携を模索するという。

e-メタノールは合成燃料の一種で、再生可能エネルギーによって得られた電力で水を分解し生成された水素と、大気中などから回収した二酸化炭素を合成した液体燃料で「二酸化炭素排出の削減に役立つ未来の重要燃料」(アバン・ジョハリ氏)として州は重要視している。

従来、メタノールは天然ガスを原料として生産される。アバン・ジョハリ氏によれば、日本におけるe-メタノール生産ではまず合成ガスの生産が必要だが、サラワク州は天然ガスが豊富で、製造工程を簡略化できるという。このためe-メタノール生産を望む日本企業は、サラワク州に工場を建設するだけでよく、複数の行程を省くことができる。生産コストもサラワク州が低いという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ボルネオ・ポスト電子版、12月18日)

来年の経済成長率、投資銀2行は4.9%を予想

【クアラルンプール】 投資銀行2行はマレーシアの2025年の国内総生産(GDP)成長率を4.9%と予想している。今年1-9月の増加率が前年同期比5.2%だったことを勘案すれば、やや減速の予想だ。

メイバンク・インベストメント・バンクは、強固な内需と、第2次トランプ政権下での貿易政策変更の可能性など外的要因との相互作用が経済の先行きに影響すると述べた。

内需面では設備投資の増加を挙げた。資本財の輸入が増加し、工業施設建設のための融資も増加している。公務員賃金引き上げなど2025年度予算に盛り込まれた所得増の措置が消費をけん引する。低所得層への交付金増額、最低賃金引き上げもプラス要因だという。

ホンリョン・インベストメント・バンクは、米国の貿易政策など外的要因をGDP予想の理由の1つに挙げた。しかし堅調な投資、補助合理化、政治状況が安定を増していることを挙げ、経済成長の基盤はより強固になったとした。
(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、12月17日)

ゴーKL、新年から3路線を加え計7路線で外国人の運賃有料に

【クアラルンプール】 クアラルンプール市政府(DBKL)は15日、巡回バス・サービスの「ゴーKL」について、外国人の運賃有料化の路線をこれまでの4路線に加え、2025年1月1日からさらに3路線に拡大導入すると発表した。

ゴーKLは今年1月から、01(緑)、02(紫)、03(赤)、04(青)の4路線で、外国人を対象に1回の乗車ごとに運賃1リンギを徴収する。

新年からは、05(オレンジ)、06(ピンク)、08(マルーン)にも同じ運賃が適用されるという。12歳以下の子供については、外国人もこれまで通り無料。また、マレーシア国民は多機能身分証カード「MyKad」を登録すれば引き続き無料で利用できる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月16日、ビジネス・トゥデー、12月17日)

政府車両のEV化、来年段階的に実施=天然資源相

【プトラジャヤ】 天然資源・環境持続可能性省は17日、政府車両の電気自動車(EV)への移行に関する技術ガイドラインをまとめた文書を発表した。

ニック・ナズミ大臣は「EV移行は一度に行われるのではなく、段階的に行われる。すでに移行プロセスは開始されており、2025年に移行が開始される」と述べた。

移行がすべての政府レベルに適用されるのか、特定の部門に適用されるのかについては、ニック・ナズミ氏は、各省庁・下部機関の要件に基づき、最終的に財務省の決定に従うと言明。各ニーズに基づいて国産EVにするか外国製EVにするかも決まると述べた。

ガイドラインは各省庁、下部組織、政府機関、EV業界の技術専門家の意見を取り入れて作成されており、計画的かつ効果的な移行を実現するためのEVの選択、インフラ計画、充電およびコスト分析、二酸化炭素排出量削減に関する指針が盛り込まれている。

政府車両のEV化は、政府のエネルギー移転政策の一環として、昨年、アンワル・イブラヒム首相が2024年度予算案で公表していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、12月17日)

マレーシアとタイ、27年までに相互貿易300億米ドルを目標

【プトラジャヤ】 タイのぺートンタン首相が15、16日にマレーシアを初訪問し、アンワル・イブラヒム首相と会談。両首脳は2027年までに相互貿易300億米ドル(約1,338億リンギ)の達成を目標に掲げ、両国貿易と投資の強化に向けたコミットメントを再確認した。

共同記者会見でアンワル首相は、タイ南部と同じくマレーシア北部地域への重点と投資を増やす必要があると強調。ぺートンタン首相は両国に相互利益をもたらすと期待されるゴム産業とハラル(イスラムの戒律に則った)産業における協力の可能性を強調。「経済協力の面で両国は貿易と国境の連結、デジタル経済、観光への投資に注力する」と述べた。

両首脳はまた、タイが域内観光推進向けて提案している▽タイ▽マレーシア▽ベトナム▽カンボジア▽ラオス▽ブルネイ――の6カ国を1つのビザで入国できる「6カ国・1目的地」構想について、両国の関係当局によるさらなる議論を歓迎した。
16日に外務省が発表した共同声明によると、マレーシアとタイは、ゴム、観光、ハラル、デジタル産業、エネルギーグリッド、ガス供給、国境管理を含む経済協力を強化することで合意。ゴムに関しては、マレーシア・ゴム協会とタイ・ゴム公社がゴムに関する覚書(MoU)を取り交わした。
(ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、12月16日)

TRXで新オフィスビル建設、会計事務所のPwCが主要テナント

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」内で新たなオフィスビルの建設が計画されている。世界的会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)・マレーシアが主要テナントとして入居する見込みだ。

TRXは70エーカーからなり、財務省所有企業のTRXシティーをメインデベロッパーに、約10年の開発期間を経て、今年2月に開所式が行われた。中核施設となるショッピングモール「エクスチェンジTRX」は先月末で開発開業1周年を迎え、にぎわっている。

新たなオフィスビルは、HSBCマレーシアの本社が入る「メナラIQ」に隣接する 「ロットC7-10」という区域で、総賃貸可能面積80万平方フィート。PwCは総賃貸可能面積の25%にあたる20万平方フィートのリース契約を結び、現在のKLセントラルにある本社を移転するとみられる。

これに対し、経済紙「エッジ」はTRXを含めKLではオフィススペースが余り気味で、新ビルの動きは注目されると報じた。例えば、TRX内の35階建てのメナラ・アフィンも入居率65%で、まだ30万平方フィートが賃貸可能とされる。

特に、2019年に完成した高層ビル「エクスチェンジ106」は苦戦し、総賃貸可能面積260万平方フィートのうち、まだ120万平方フィートの空きがあるという。デベロッパーのムリア・プロパティは、財務省が51%、インドネシアを拠点とする不動産開発業者ムリア・グループが49%を所有する。ムリア・プロパティによると、中国のフィンテック大手アント・インターナショナルが3フロア計6万2,000平方フィートに、来年前半に入居を予定。入居が完了すると入居率は52%になり、さらに2025年末までに70%に達すると見込んでいるという。
(ザ・スター、12月13日、エッジ、12月16日)

プロトン、初のEVモデル「e.MAS7」を発表

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは16日、同社の電気自動車(EV)ブランド「e.MAS」の初モデルであるCセグメント・スポーツ車(SUV)、「e.MAS7」を発表した。発表会に出席したアンワル・イブラヒム首相はマレーシアが来年議長国となる東南アジア諸国連合(ASEAN)会議で「e.MAS7」をオフィシャルカーにすると宣言した。

バージョンは「プライム」と「プレミアム」の2種で、価格はそれぞれ10万5,800リンギ、11万9,800リンギと外国メーカーのEVに対抗できる価格設定とした。先着3,000人には4,000リンギの割引が適用される。安全性にも配慮しており、ASEAN NCAP(東南アジア諸国向け新車アセスメントプログラム)で5つ星評価を獲得した。車体色は▽プラチナシルバー▽ターコイズグリーン▽スレートグレー▽リチウムホワイト▽クォーツローズピンク――の5色を用意した。

フロントに搭載された電気モーターは定格出力218PS(215hp、160kW)、トルク320Nmを発揮。0-100㎞/h加速は6.9秒とプロトン車で過去最高を記録、最高速度は175㎞/hとなっている。

「プライム」は吉利汽車のAegisショートブレード・リチウム鉄リン酸 (LFP) バッテリーの49.52キロワット時(kWh)バージョンを採用しており、WLTP定格の航続距離は345km。「プレミアム」はより大きな60.22kWhパックを搭載し、最大410kmの航続距離を実現した。

プロトンは「e.MAS7」を近い将来、トリニダードトバゴ、ネパール、シンガポール、モーリシャスなどに輸出する方針だ。

複合企業の日系テクスケム、ポリマー&工業事業を拡大へ

【ジョージタウン】 日系コングロマリットのテクスケム・リソーシズは、医療、ライフサイエンス、ウエハ半導体分野への参入を目指し、2025年にポリマーエンジニアリングおよび工業部門を拡大する方針だ。10月に正式に就任した小西雄馬グループ最高経営責任者(CEO)が「ザ・スター」のインタビューで明らかにした。

小西氏は、グループは製造部門と流通部門のシナジーを生み出し、製品ポートフォリオを拡大する計画だと言明。「2025年には過去数年間に成功裏に発売されたデータメモリ、データストレージ、医療およびライフサイエンス関連製品から利益を得るだろう」とし、「マレーシアはデータセンター、半導体、医療技術産業への多額の外国直接投資からも恩恵を受けている。ポリマーおよび工業部門への潜在的なシナジー効果に期待している」と述べた。

小西氏はまた医療・ライフサイエンス分野では、戦略的ビジネスモデルとして、使い捨て医療機器の契約開発・製造にさらに注力していくと言明。また革新的なクリーンルーム静電気制御パッケージ製品シリーズを通じて、データメモリおよび半導体分野にも注力すると述べた。
(ザ・スター、12月16日)

BRICSとASEANとの提携が重要、華人商工会の新会頭

【ペタリンジャヤ】 このほど マレーシア華人商工会議所(中華工商聯合会、ACCCIM)の会頭に就任したン・イーピン氏は会の先行き方針について、BRICSおよび来年発足のトランプ政権が世界貿易に与える影響の中をどう航行するかが課題になるとの認識を示した。

ン氏はマレーシアは対米貿易で多額の黒字を計上しており、貿易面での事柄に警戒を怠らず、即応することが重要だと指摘。多数の中小企業が存在する小国のマレーシアは現状に甘んじることはできず、世界的な流れの変化に即対応し、国の利益を守らなければならないとした。

マレーシアは、ブラジル、ロシア、インド、中国など9カ国が加盟するBRICSへの加盟を申請しており、また中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)に進出する際の主要玄関口としての潜在性を持っているため、BRICSとASEANの提携は大きな潜在性が期待できるという

両組織の人口を合わせると世界人口の45%で、巨大市場が誕生する。またBRICSにイラン、アラブ首長国連邦が加盟した結果、世界の石油生産の半分近くを占める、巨大資源組織になったからだ。
(ザ・スター、12月16日)

KL国際モビリティショーの来場者18万3,221人

【クアラルンプール】 第10回クアラルンプール国際モビリティショー2024 (KLIMS2024) は、今月5―11日の7日間で18万3,221人が訪れ、盛況のうちに閉幕した。

KLIMS2024は、「モビリティを超えて」をテーマに、6年ぶりに開催された。70社が出展。ホンダのバッテリー電気自動車(BEV)「e:N1」を含め2025年に国内市場に投入される最新モデルが披露されるなど、注目を集めた。

また、主催のマレーシア自動車協会(MAA)は各賞を発表。権威あるベストブースデザイン賞の相手先ブランド生産(OEM)部門(400平方メートル以上)ではUMWトヨタ・モーター(UMWT)が1位に選ばれた。
(ポールタン、モタオート、ベルナマ通信、12月13日)