マレーシア人訪日者数、7月は前年同月比11.2%増の1.9万人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年7月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は1万9,300人となり、前年同月比で11.2%増となったが、前月比では12.3%減少した。

JNTOによると、査証免除措置による訪中旅行への人気の高まりなどの影響があるものの、祝日等の影響もあり、前年同月を上回った。なお、新型コロナ感染拡大前の2019年同月との比較では15.9%減となった。 クアラルンプール―成田間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月水準を維持している。

7月の世界全体の訪日者数は、前年同月から41.9%増の329万2,500人、2019年同月からは10.1%増となり、2 カ月連続で単月として過去最高を記録した。東アジアや欧州など、学校休暇を含む連休により訪日需要の高まる市場が大きく拡大。東アジアでは台湾、東南アジアではフィリピン、欧米豪・中東地域では米国などで訪日外客数が増加したことが要因となった。1―7月の累計では 2,106万9,900人となり、過去最速で 2,000万人を突破した。

JNTOは、昨年3月に策定された第4次観光立国推進基本計画で3つの柱「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」が示されるとともに、旅行消費額・地方部宿泊数等に関する新たな政府目標が掲げられたとし、これらの実現に向けて、市場動向を綿密に分析しながら、戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくとしている。

韓国のコンビニ「CU」、クランタン州コタバルに初出店

【コタバル】 韓国のコンビニエンスストア・チェーン「CU」が15日、クランタン州コタバルの「UTCクランタン」に同州1号店を正式オープンした。半島東海岸では3店舗目となる。

 トッパプ (韓国風丼)やタッカンジョン (韓国風フライドチキン) 、トッポギ  (韓国餅)、シーフードやチキンを挟んだ超特大サイズのキンパ (韓国風巻きずし)など、様々なハラル(イスラムの戒律に則った)韓国料理を提供する。「CU」は韓国のスナックや食事を提供するだけでなく、本場・韓国のコンビニ体験を顧客に提供したいとしている。

 CUマレーシアのブレイク・ダン取締役は、「CUの市場プレゼンスは、ハラル認証を受けた本格的韓国料理やドリンクの需要に支えられて半島東海岸で急速に拡大している」と言明。東海岸での店舗網拡大に力を入れると述べた。同社は2025年までに全国で200店舗の展開を目指している。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、8月21日)

イオンクレジット、イーウォレットを刷新

【プトラジャヤ】 消費者向け総合金融サービスのイオンクレジットサービス(マレーシア)は21日、「イオンウォレット」アプリを刷新したと発表した。

デジタル口座の開設待ち時間が従来の3日から52分に短縮された。インターフェースも改良され、支払いプロセス、特典管理、金融商品へのアクセスが容易になった。事前審査、電子委任状、電子署名、ストレージ、高度スコアリングモデルなどの新機能も追加され、アプリのみで財務管理が可能となっている。ウォレットの上限額は200リンギだが、プレミアムウォレットにアップグレードすると、上限額が1万リンギに引き上げられ、取引ごとにポイントが獲得できるようになるという。

リー・キットソン最高経営責任者(CEO)は、「イオンクレジットは金融サービスを利用しやすくすることで金融包摂を推進し、顧客のライフサイクル全般のニーズに対応し、顧客体験を向上させることを目指している」と述べた。また、国民の所得が全体的に増加する中、同社顧客の中で最大を占める低所得者層(B40)が縮小しつつあるとし、今後2年間で中間所得者層(M40)が占める割合を現行の32%から40%まで引き上げると述べた。顧客のうち20%を占める公務員についても、先日公務員の給与引き上げが発表されたため、新規顧客として開拓する機会が得られるとしている。

(ザ・サン電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、8月21日)

マレーシア政府職員、ソフトバンク最先端技術を視察

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ソフトバンク(本社・東京都港区)は21日、マレーシアの通信省の事務次官を含む政府職員13名が7日に同社の竹芝本社を訪問したと発表した。

国際協力機構(JICA)主催のマレーシア国別研修「LEP2.0 コミュニケ―ション・マルチメディア産業」の一環。一行は約1週間の日本滞在中、第5世代移動通信(5G)関連政策や導入に伴うセキュリティ対策などについて理解を深めるため、さまざまな分野の視察を行った。

ソフトバンクでは職員に対し、成層圏通信プラットフォーム「HAPS」や5G網などの最先端技術に関するプレゼンテーションを行った。赤道直下に位置し日照時間の長いマレーシアでは、太陽光で飛ぶHAPSの導入に好条件が揃っているため、参加者からの関心を集めたという。一行は最先端テクノロジーの体験施設「EBC」も見学。遠隔操縦技術のシミュレーションやスマートビル技術などを体験した。

インド公式訪問で貿易80億リンギ、投資45億リンギを確保=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、インドのナレンドラ・モディ首相の招きにより19日から3日間の日程でインドを公式訪問した。首相就任後初めての訪問となる。

公式訪問により、覚書8件を締結し、潜在的貿易80億リンギ、投資45億リンギを確保した。企業間でも7件の覚書が締結されている。

アンワル首相によると、8件の覚書は、労働者採用、伝統医療、デジタル技術、文化、観光、公共行政など幅広い分野にわたるもので、両国の協力関係の促進が期待できるという。

アンワル首相はまた、パーム油・パーム油製品、化学製品、石油・ガス、航空機部品の分野において、80億リンギの潜在的貿易を確保したと言明。IT企業大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)およびHCLテクノロジーズ 、食用油のエマミ・アグロテックの代表との会談や他企業との懇親会により、総額45億リンギの投資も確保したとした。

(マレー・メイル、エッジ、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、8月21日)

今年上半期のペナンへの投資は313.8億リンギ=NCER

【ジョージタウン】 北部回廊経済圏(NCER)の推進母体であるマレーシア北部回廊実行庁(NCIA)は20日、2024年上半期のペナンへの投資額が313.8億リンギに達したと発表した。

NCIAのモハマド・ハリス最高責任者は声明で、上半期の投資は「NCER戦略開発計画」の対象セクターである、高付加価値製造、先進サービス、近代農業などを網羅しており、6,600人以上の雇用機会が創出されたとし、下半期の電気・電子(E&E)・半導体分野のビジネス強化にもつながると述べた。

モハマド・ハリス氏はまた、ペナン州バヤンレパスで建設が進められていたNCERテクノロジー・イノベーション・センター(NTIC)について、建物は完成しており、まもなく業務を開始する予定だとし、NTICは研究、製品開発、専門設計を目的としたセンターで、地元の大企業、多国籍企業、新興企業、技術者、若手起業家が高付加価値な技術活動を行い、独自の知的財産を生み出すためのプラットフォームとして機能すると述べた。テクノロジーやイノベーションのハブとしてのペナンの地位をさらに強化することを目指すとしている。具体的には、州内中小企業16社がNTICからの助成金を受けており、NTICの先進技術マイスター・プログラム(ATMP)では、地元労働者144人が技術研修を受けるという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレーシアン・リザーブ、8月20日)

セランゴール州開発公社、キャリー島を湾岸都市として開発へ

【クアラルンプール】 セランゴール州開発公社(PKNS)は、同州キャリー島を湾岸都市として開発する計画を進めている。マフムド・アッバス最高責任者が明らかにした。

マフムド・アッバス氏は、経済紙「エッジ」の取材に対し、PKNSは現在、キャリー島での新港建設に必要な面積について調査しているとし、州政府から開発用地として水面下の土地の所有を認められたと述べた。

新港の岸壁の総延長は約16キロメートル(km)で、クラン港のコンテナヤードを上回る。コンテナ処理能力も、拡張工事が進められているクラン港以上の年間3,000万TEU(20フィート標準コンテナ換算)になると想定されている。開発は4期に分けて行われ、第1期は2030年、全体としては2060年までに完成する予定。開発費用は約280億リンギとなる見込み。アンソニー・ローク運輸相が昨年9月に同港の実現可能性調査の完了を発表し、同10月にはセランゴール州のアミルディン・シャリ首相が開発に向けた提案依頼を行う準備ができていると述べていた。

マフムド・アッバス氏はまた、埋め立て地に建設される新港は、総面積1万3,000ヘクタールのキャリー島の一部しか使用しないため、別途湾岸都市の開発も検討していると述べた。

(エッジ、8月20日)

タイ国鉄、バンコク―ペナン直通国際列車を再開へ

【クアラルンプール】 マレーシア・タイ両国は、タイ・バンコク(バンスー中央駅)とペナン・バタワース駅を結ぶ直通国際列車サービスを再開する方向で合意した。タイ国鉄(SRT)のエカラット・スリアラヤポン総裁室長が発表した。向こう2―3カ月内の運行開始を目指す。

直通国際列車サービス再開は、先ごろサバ州コタキナバルで開催された「第42回マレーシア国鉄(KTMB)―SRT合同会議」で合意された。プロジェクトの詳細を確定するための共同作業グループが設立され、6カ月の試験運用期間を経て本格的に直通国際列車サービスを開始する予定だ。

SRTは長らく運行されてきたバンコク―ペナン間の直通国際列車を2016年に廃止し、両国国境のパダンベサル止まりに変更していた。

エカラット氏は、観光と経済成長の促進を目指すタイ政府の政策の一環で、タイ・マレーシア間を行き来する旅行者にシームレスな接続を提供するのが狙いだとしている。

同合同会議では、クアラルンプール(KL)から運行されているKTMBの「マイサワディー」観光列車の行き先を休日だけハジャイからスラタニまで延長する計画についても議論された。

また国境を越えた貨物輸送の強化についても議論され、SRTはハジャイやパダンベサルを含む主要ルートでの貨物輸送を強化することを約束した。マレーシア、タイ、ラオス、中国を結ぶ「ASEAN(東南アジア諸国連合)エクスプレス」貨物列車サービスも運行頻度が増やされる見通しだ。

(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月21日)

疑わしい金融取引を検出する「国家詐欺ポータル」運用開始

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラのアブドル・ラシード総裁は20日、人工知能(AI)を活用して疑わしい金融取引を検出する「国家詐欺ポータル(NFP)」の運用を開始したと発表した。

アブドル・ラシード総裁は、NFPはモジュール設計を採用することで継続的に機能を改善できるようにしていると説明。現在、16の金融機関が参加しているが、さらに多くの機関が近く参加する予定だとした。

同氏はマレーシアでは金融詐欺による損失は金融取引全体から見ると比較的小さいものの、国内の金融システムへの信頼性を確保するためにも、脅威を特定し克服することが必要だと指摘。サイバー犯罪は今後もテクノロジーを悪用することが予想されるため、金融詐欺との戦いは継続するとし、テクノロジーの最適化、官民協力体制の育成、消費者の権利強化という3方面から詐欺撲滅を図っていくとした。

NFPの運用開始により、盗まれた資金を複数の金融機関や決済システムにまたがり追跡する機能が自動化されるため、国家詐欺対策センター(NSRC)の機能が強化される。また、被害者がNSRCホットラインに連絡することで、盗まれた資金のシステム外への移動も防ぐことができるようになり、資金を取り戻せる可能性も高まったという。

(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、8月20日)

先端技術のGodot、ジェトロの進出支援プログラムに採択

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ディープテック(高度先端技術)新興企業のゴドー(Godot、本社・兵庫県神戸市)は20日、日本貿易振興機構(ジェトロ)の「J-Bridgeエスコート・プログラム(マレーシア):グリーン・トランスフォーメーション・アクセラレーション・プログラム2024」の支援企業5社のひとつに選ばれたと発表した。

同プログラムはジェトロがオープンイノベーションの推進を目的に、サンウェイ・グループのイノベーション部門サンウェイiラボと連携し、日本企業と海外企業のグリーン技術(GX)などを活用した連携・協業を支援するもの。採択企業は、協業先候補の発掘から事業化に向けたメンタリングまで伴走する一貫支援を受けることができる。Godotは、同プログラムのワークショップや現地ミッション、ビジネスマッチング等を活用し、東南アジア地域での事業展開に向けた下地づくりを進めていく。

Godotは2022年7月に設立。創業以来、日本国内で特定健診やがん検診の受診率向上など、主にヘルスケア領域において実績を積んできた。同時に、国際組織や海外機関との連携、創業1年目でのウィーン拠点開設など、欧米中心に海外進出も進めてきたが、本プログラムを機に、東南アジア地域におけるGX推進や健康増進に取り組み、グローバル課題解決の可能性を拡げていく方針だ。