サラワク州のニア洞窟、ユネスコ世界遺産に正式登録

【クアラルンプール】 サラワク州のニア国立公園にあるニア洞窟が、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産に正式に登録された。

ニア公園は3,138ヘクタールの森林と石灰岩カルスト地帯をカバーしており、ニア洞窟は先住民族がツバメの巣を採取するために長い間使用していたとされる。1958年、トム・ハリソン率いる考古学チームが、洞窟の西口の地中から推定4万年前の旧石器時代の人類の頭蓋骨を発見した。骨、石、粘土でできた道具、調理器具、装飾品や住居遺物も発見されており、長い期間人類が居住していたことを示唆している。

インドのニューデリーで27日に開かれた第46回世界遺産委員会の会合で登録が決まった。2000年のグヌン・ムル国立公園に続いてサラワク州で2番目。マレーシアでは▽キナバル自然公園▽グヌン・ムル国立公園▽マラッカとペナン島ジョージタウン▽レンゴン渓谷の考古遺跡――に次いで5カ所目となる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月28日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、7月27日)

JICA、気候変動国家報告書の作成でマレーシアを支援

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国際協力機構(JICA)は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)国家報告書の作成において、マレーシア天然資源環境気候変動省に対して技術協力を行うことを決定したと発表した。マレーシアの気候変動に関わる取り組みの促進に寄与する。

同技術協力プロジェクトの期間は36カ月間。JICAはマレーシアの国家温室効果ガス(GHG)インベントリの定期的な算定を行うための国内体制・取り決めの整備、フッ素系温室効果ガス(Fガス)の算定能力強化を行い、UNFCCCへの国家フォーカルポイントとしての技術的・組織的能力の強化を図る。

2015年に採択されたパリ協定では、GHG排出削減に向けた取り組みを行っていくことが定められたが、同協定の実効性を高めるため、各国の取り組みの進捗状況を定期的にUNFCCC事務局へ報告することが途上国にも先進国と同様に義務として課された。

ただ多くの途上国では内容が求められるレベルに達しておらず、マレーシアもこれまで国家GHGインベントリを提出していたものの、GHGの中でも温室効果が高いFガスの排出量の算定はほとんど行われていない状況だった。

インダストリー4.0最新カタログ発行、日本企業も22社掲載

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシア製造業者連盟(FMM)がインダストリー4.0技術を提供する国内ソリューション・プロバイダーをリストアップした小冊子「インダストリー4.0ソリューション・プロバイダー」の最新版を発行。日本企業も22社掲載された。

2019年の第1版、2022年の第2版に続く第3版で、日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2023年3月に実施した、「マレーシア・日本インダストリー4.0サミット2023」などFMMとの連携事業に伴うジェトロの要請に基づき、今回初めて日本企業の独立コーナーを設けたという。

ジェトロおよびマレーシア日本人商工会議所(JACTIM)による募集などを通じ、日立製作所、コニカミノルタ、三菱電機、村田製作所、NEC、横河電機など22社が掲載された。横河電機については、製品の特性や同社ソリューションによる成功事例も複数紹介されている。

FMMによれば、冊子はオンラインで公開(https://www.fmm.org.my/images/articles/publication/FMM%20Industry4.0_Cat23_300%20(1).pdf)されているほか、FMM会員、各産業団体、政府機関、国外関係者向けに約5,000部のハードコピーでも配布される。

ユーグレナとペトロナスなど、バイオ燃料製造工場建設へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ユーグレナ(本社・東京都港区)は26日、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)、イタリアの石油企業エニと共に、2022年より検討を続けていた、マレーシアにおけるバイオ燃料製造プラントの建設・運営に対し、最終投資決定を行ったと発表した。

ユーグレナは、ペトロナス傘下のペトロナス・モビリティ・レスタリ、エニ傘下のエニライブとともに、プラント建設・運営に向け合弁会社を設立する。

ジョホール州でペトロナスが運営するペンゲラン総合石油コンプレックス(PIC)内で今年第4四半期にプラント建設を開始する予定。年間約65万トンの原料処理能力を有し、バイオジェット燃料(SAF)、次世代バイオディーゼル燃料(HVO)、バイオナフサを製造する。

原料としては、使用済み植物油や動物性油脂、植物油の加工に伴う廃棄物などの廃棄物・残渣系原料、そして将来的には微細藻類由来の藻油などのバイオマス原料を使用する。エニが米ハネウェルUOPと共同開発した先端精製技術である「エコファイニング」技術や前処理装置、SAFとHVOの生産を柔軟にコントロールしながら最大化できる製造設備も採用する。PICが所有する設備・ユーティリティを利用でき、また原料供給源に近接し、主要な国際航路にもアクセスしやすい戦略的な立地を活かすことで、世界各地からのバイオ燃料需要に応えることが可能だという。

日本産青果物の紹介イベント、輸出促進協議会がKLで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本青果物輸出促進協議会(事務局・東京都千代田区)は27日、ファンジャパンコミュニケーションズ(本社・東京都港区)と共同で、日本産青果物をマレーシアの消費者に知ってもらうための試食調査会をクアラルンプール(KL)市内で開催した。

「ラウンドテーブル・テイスティング・イベント・オン・ジェパニーズ・フルーツ&ベジタブル」と題するイベントには、ファンジャパンのフェイスブックのマレーシア在住フォロワー23人あまりが招待され、日本産青果物を試食しアンケートに答えた。またグループディスカッションも行われた。

出展商品はJA広島果実連のぶどうとフルーツジュース、カルビーかいつかスイートポテトのかんしょ、エーストレードの岡山の白桃とピューレ、およびピオーネ(ぶどう)、みやざき「食と農」海外輸出促進協議会のかんしょおよび加工品、高知県園芸品販売拡大協議会のみょうがの合計11品目。

3月の月給中央値は2844リンギ、前年から9.4%上昇

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局が発表した2024年第1四半期の正規雇用者給与動向調査によると、3月時点の月給の中央値は2,844リンギとなり、前年同月比で9.4%上昇した。

正規雇用者数は前年同月比1.5%増の654.8万人。男性は全体の55.3%(362万人)を占め、月給中央値は2,900リンギ。女性は44.7%(292万人)で、2,800リンギだった。

民族別では、華人系が4,200リンギで最も高く、インド系が2,745リンギ、ブミプトラ(マレー人と先住民の総称)が2,400リンギ、その他が2,164リンギだった。
産業別では、鉱業・砕石業が8,400リンギで他の産業と比べ突出して高く、前年同月比12.0%増と最大の伸び率を示した。それ以下は▽建設業、2,964リンギ▽サービス業、2,882リンギ▽製造業、2,645リンギ▽農業、2,000リンギ――の順で続いた。

地域別では、クアラルンプールが4,256リンギで最も高く、セランゴール州が3,164リンギで続いた。一方、国内で最も月給が低かったのは、クランタン州の1,645リンギで、それにペルリス州の1,682リンギが続いた。

キャピタルAの上半期業績、格安航空部門の旅客数が10%増に

【クアラルンプール】 エアアジア・グループの親会社であるキャピタルAは、今年第2四半期(4―6月)の業績を発表。格安航空部門ではエアアジア・アビエーション・グループ(AAG)5社(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、カンボジア)の旅客数は1,564万8,711人で、前年同期比で10%増加した。新型コロナ前の水準の84%まで回復した。

座席数は7%増の1,738万2,712席となり、新型コロナ前の81%まで回復した。ロードファクター(有償座席利用率)は2ポイント上昇し、90%となった。6月末時点での保有機材は8機増えて218機となり、168機が運用されている。中国・インド線が好調で、2023年末に中国とインドからの旅行者に対するビザなし渡航が実施されたことを受けて、年初6カ月の座席利用率は91%となった。

飲食部門のサンタンは、機内食部門の売上が6%増。貨物・物流部門であるテレポートは、貨物輸送量が33%増となって6万トンを超え、配送部門は年初6カ月で2023年度の総配送量を上回る3,000万個を記録した。

配送アプリから旅行プラットフォームへと移行したエアアジアMOVEは、ウェブサイトの月間アクティブユーザー数(MAU)は13%減少したが、アプリのMAUは10%増加した。決済サービス「ビッグペイ」は、エアアジアMOVEとの連携により新規ユーザー4万5,000人以上が登録した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、7月25日、キャピタルA発表資料)

ステランティス、年内に「プジョー」販売網を30カ所に拡大へ

【クアラルンプール】 プジョーやシトロエン、ジープなどを手がける欧米系自動車メーカーのステランティス・マレーシアは、現在マレーシア半島部14カ所で展開している「プジョー」のディーラー網を2024年末までに30社に拡大する計画だ。

英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」によると、ステランティスは特に東マレーシアでディーラー網の拡大を図る方針で、今四半期(第3四半期)中にサバ州から展開を開始する。

ステランティス・マレーシアのジェイミー・モライス社長は、ディーラーには今年、必要な改修やアップグレード作業を行うためのある程度の柔軟性が与えられているが、来年はすべてのディーラーが標準化され、顧客中心主義という同社の核心的価値観を反映した、統一したブランドイメージを導入すると述べた。

プジョーの販売権をベルマツ・オートから引き継いだステランティス・マレーシアは、今年3月より販売代理店業務を開始し、2024年型プジョー「408」 を発売した。またマレーシアをプジョー販売のASEAN(東南アジア諸国連合)地域ハブとする計画で、組み立て製造、販売強化を含め最大20億リンギを投資する意向だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、7月25日)

糖分を抑えた食品企業に「ヘルシーチョイス」認定を付与=保健相

【クアラルンプール】 ズルキフリー・アハマド保健相は25日、保健省の「砂糖との戦い」キャンペーンの一環として、糖分を減らした食品企業に対して「ヘルシーチョイス」認定を付与すると発表した。

ズルキフリー大臣は同日の上院質疑で、砂糖の摂りすぎは体重増加のみではなく、肥満や糖尿病などのさまざまな疾患につながるとし、国民の砂糖摂取量を減らすことが重要だと述べた。「2023年全国健康・罹病率調査(NHMS)」の結果でも、肥満問題が継続しているため、その主要因である砂糖摂取量を減らす必要があるとしている。具体的には、成人の約50万人(2.5%)が肥満や糖尿病を含む生活習慣病に苦しんでおり、2人に1人が肥満または過体重の状態だという。

ズルキフリー大臣はまた、糖尿病などの疾患の早期発見・治療に向け、血糖値検査を強化する計画もあると述べた。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、ビジネス・トゥデー、エッジ、7月25日)

日本電気硝子、太陽光発電による仮想電力購入契約を締結

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 特殊ガラス製品の日本電気硝子(本社・滋賀県大津市)は25日、現地法人である日本電気硝子(マレーシア)(NEGM)が、再生可能エネルギー電力発電のディトロリック・エナジー・ホールディングスの特別目的会社レス・ヒジャウとの間で、 VPPA(仮想電力購入契約)を締結したと発表した。

VPPAは、需要家の敷地外で発電された再生可能エネルギー電力の環境価値のみを仮想的に需要家が調達する手段で、マレーシアでは政府が提供するプログラム「CGPP」の下で認可を得た企業のみが行うことができる。

今回、NEGMが調達するのは、ディトロリック・エナジーがケダ州に新たに建設する太陽光発電所由来の環境価値であり、実質的な二酸化炭素(CO2)削減効果は年間約4万1,000トンになる。同太陽光発電所の年間発電量は約75GWh(ギガワット時)になる見込みで、発電開始は2025年12月、契約期間は20年間。

日本電気硝子グループでは、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けてCO2排出量削減の実行計画を作成し、さまざまな取り組みを推進しており、今回のVPPA締結はその取り組みの一環となる。