日本をモデルにした地下放水路、セランゴール州が計画

【クアラルンプール】 セランゴール州政府は首都圏クランバレーの洪水対策として、埼玉県春日部市にある「首都圏外郭放水路」と同様の地下放水路の建設を計画している。事業費が推定60億リンギと巨額に上ることと、連邦直轄地のクアラルンプールも含まれることから、提案書をファディラ・ユソフ副首相(兼エネルギー移行・水利転換相)に提出した。

首都圏外郭放水路は、中小河川の洪水があふれ出す前に地下トンネルに取り込み、安全に大きな河川へ放流する施設。地下神殿と呼ばれ、見学会が催されている。

セランゴール州のイザム・ハシム・インフラ農業委員長(国政の閣僚に相当)は日本を訪問した際、外郭放水路と川崎市が整備した「五反田川放水路」を視察しており「極めて優れた施設であり、マレーシアの洪水対策として有用だ」と語った。五反田放水路は大雨で水位が上昇した場合、地下トンネルを通じて直接多摩川に放流することで、下流の洪水被害を軽減する。

イザム・ハシム氏は「州の河川は異常降雨を吸収しきれない。地下放水路を建設すれば、州だけでなく、クアラルンプールも洪水から守られる」と語った。州では河川氾濫の頻度が増している。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、11月8日)

バティックエアとフライドバイ、インターライン契約を締結

【クアラルンプール】 バティック・エア・マレーシアとフライドバイ(アラブ首長国連邦=UAE)は8日、インターライン契約を締結した。インターライン契約を結ぶと、両社のネットワークが拡大するだけでなく、予約は一度で済むほか、相互の便を乗り継ぐ際に再度チェックインする必要がなくなり、乗客の預け荷物もスルーで目的地まで運ぶことができるようになる

インターライン契約に基づき、バティック・エアは、アフリカ、南ヨーロッパと中央ヨーロッパ、中東、コーカサス地域などフライドバイのネットワークの38の目的地にアクセスできるようになる。これによりバティック・エアのネットワークはエンテベ、イスタンブール、ベルガモ、ザグレブなどに拡大する。

フライドバイの乗客は、クアラルンプール新国際空港(KLCC)経由でバティック・エアのネットワークの40以上の目的地にアクセスできるようになる。これによりフライドバイのネットワークは、ハノイ、香港、ジャカルタ、大阪、シドニーなどに拡大する。
(エアロタイム、エッジ、ベルナマ通信、11月8日)

マレーシア初の産業向け5G準備状況評価調査を実施

【クアラルンプール】 マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)は7日、とマレーシア投資開発庁(MIDA)と共同で、マレーシア初となる、産業向け5G準備状況評価調査を行うと発表した。

高速通信規格「5G」はさまざまな産業で急速な変革をもたらし、マレーシアの競争力に大きな影響を与えつつある。調査は、5Gに基づく技術導入に向けた企業の準備状況や、課題などを特定するのが狙い。特に中小企業や、産業間のギャップなどを分析し、5G技術の導入支援につなげていく。

12月1日まで実施予定(https://survey.zohopublic.com/zs/PTD3Mj)で、多くの企業の参加を呼びかけている。
(ベルナマ通信、ニュー・ストレーツ・タイムズ、MCMC発表資料、11月7日)

 

配車アプリ「Bolt」がマレーシアでサービス開始

【クアラルンプール】 欧州エストニア発祥の配車アプリ「Bolt」が、このほどマレーシア公共陸運局(APAD)から認可を取得。首都圏クランバレーでサービスを開始する。東南アジアではタイに次いで2カ国目の進出となる。

利用方法は先行するグラブなどとほぼ同様で、ユーザーはアプリ上でスマホ番号を事前に登録。出発地と行き先、車両タイプを指定し、支払いは事前登録したクレジットカードまたは現金で行う。現時点では電子ウォレットには対応していない。アプリはアップルストアまたはグーグルプレイ・ストアでダウンロードできる。

マレーシア進出記念として新規ユーザー向けのプロモーションを実施する。マレーシア全土における移動では2024年11月16日までは乗車7回を上限に50%割引(割引上限は15リンギ)、首都圏内の移動であれば2024年11月14日までは乗車20回を上限に50%割引の適用をそれぞれ受けられる。

「Bolt」は欧州を中心に45カ国でサービスを展開している。マレーシア国外ではスクーターや電動自転車のシェア、フードデリバリー、食料品配送、レンタカー、企業向けモビリティなどのサービスを行っているが、マレーシアでも導入するかどうかは明らかにしていない。
(ポールタン、マレー・メイル、ザ・サン電子版、11月7日)

今季の北東モンスーン期、降雨量が20 -40%増の恐れ

【クアラルンプール】 マレーシア気象局によると、5日に始まった今季の北東モンスーン期の降雨量がマレーシア半島東海岸諸州とサバ州北部および東部で昨年より最大40%増加する見通しだ。北東モンスーンとラニーニャ現象(海面水温が平年より低い状態が続く現象)が同時に発生したためだという。

モハメド・ヒシャム・モハメド・アニプ局長は、「昨年は北東モンスーンがエルニーニョ現象(海面水温が平年より高い状態が続く現象)と重なり、通常より乾燥した天候となった。しかし今年はラニーニャ現象が起こり、ほとんどの長期予報では昨年より降雨量が20―40%多くなると予想されている」と述べた。

その上でモハメド・ヒシャム氏は、マレーシアのラニーニャ現象については最新の研究では弱ー中程度で推移すると予想されているとし、「現在の予測モデルではラニーニャ現象は当初予測ほど強くないことが示されている。数カ月前は中程度と予想されていたが現在は弱まっているようで、大きな影響はないかもしれない」と述べた。
(ザ・サン電子版、ボルネオポスト、ベルナマ通信、11月7日)

中国との協力が地域全体に極めて重要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は中国訪問最終日の7日、マレーシアメディア向けに記者会見を開き、中国との緊密な関係を強調する一方で、来年開催の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として「近隣の国々に対しても積極的に関わっていきたい」と述べた。

アンワル首相は貿易、投資、デジタル技術、エネルギー、研修などの分野で、中国との関係が深まっていることを強調。中国がマレーシアをパートナー国として高く評価していることに感謝を示す一方で、「中国との緊密な関係は、特定の政党と連携していることを意味するものではない」と付け加えた。

また、ASEANだけでなく、新興国の連合体「BRICS」や、湾岸協力理事会(GCC)においても、「中国の関与が地域の繁栄を確保する上で不可欠であり、我々の協力が極めて重要な役割を果たすと確信している」と語った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、11月7日)

アンワル首相がトランプ氏に祝辞、地域への再関与を要請

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は米国の大統領選挙で勝利し、第47代大統領に就任するドナルド・トランプ前大統領に対する祝辞をフェイスブックとX(旧ツイッター)上に投稿した。

トランプ氏の大統領返り咲きは「新たな章であり、機会の一新をもたらす。マレーシアは楽観、協力心、目的の共有をもって前進する用意がある。両国人民の利益のため次期大統領と緊密に行動することを楽しみにしている」と表明。米国がマレーシアへの外国投資で最大国であることを取り上げた。

また、2025年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として、マレーシアは米国が東南アジアへの関与を再び強めることを期待すると表明。さらに「パレスチナ、ウクライナにおける破壊的行為、人命損失を終わらせる助けとなるよう米国がその多大な影響力を行使するよう求める」とした。

テンク・ザフルル投資貿易産業相もXに、トランプ氏勝利の祝辞を投稿。米国とマレーシアとの経済、貿易上の協力関係は長期にわたっているし、今後の関係強化に期待を表明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月7日、ビジネス・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、11月6日)

一等地オフィス入居率が上昇、多国籍企業の本部設置で

【クアラルンプール】 不動産サービスのナイト・フランク・マレーシアは、多国籍企業によるクアラルンプールでの地域本部開設需要が極めて多く、一等地オフィスの入居率、資産価値が高まっているとの分析を示した。オフィス市場の先行きは引き続き明るいという。

ナイト・フランクによると、多国籍企業はマレーシア、特にクアラルンプールでの拠点開設に意欲的で、賃貸費の低さ、ビジネスを歓迎する環境が誘因になっている。

アジア太平洋地域の第3四半期のオフィス賃貸料は前期比0.1ポイント下落した。中国本土にある都市の賃貸料が前年同期比11%下落したのが主因。域内全体の入居率は14.8%で、前期比0.2ポイントの低下だった。世界的な経済の先行き不透明で入居者は出費に慎重になっており、賃借契約更新やオフィス統合を好む傾向が強くなっているという。

バンク・ムアマラット・マレーシアは、クアラルンプールのオフィス需要増は賃貸料の上昇を招くが、フレキシブル勤務を利用すれば必要なオフィス面積を減らせるため経費を抑制できるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月6日、ビジネス・トゥデー、11月5日)

ホンダマレーシア、「シビック」など3万6千台をリコール

【クアラルンプール】 ホンダ・マレーシアは6日、電動パワーステアリング (EPS) のギアボックスに不具合があったとして、Cセグメントセダン「シビック」と「シビック・タイプR」、コンパクトSUV「CR-V」の計約3万6,000台をリコールすると発表した。

対象となる車種(年式)は、シビック(2022ー2024年)▽シビック・タイプR(2023ー2024年)▽CR-V(2024年)。EPSギアボックスに関し、歯車(ウオームホイール)の潤滑剤の膜厚が減少し、ステアリングの異音や固着を引き起こす可能性があるという。

同社の全額負担で、部品を交換して対応する。交換部品は2024年12月から段階的に利用可能で、同社は各車両の所有者に対し、お詫びとともに、早期の点検の予約を呼びかけている。また、ほかの車種のギアボックスには影響ないとしている。
(ポールタン、ビジネス・トゥデー、11月6日)

アンワル首相訪中、中国と「一帯一路」協力計画を締結

【上海】 中国を4日から4日間の日程で訪問したアンワル・イブラヒム首相は5日、同国の李強首相と共に、中国が主導する「一帯一路」協力計画に関する文書の手交式に立ち会った。政策の調整、貿易・投資、金融協力の拡大、文化・教育面などでの関係強化を通じ、協力関係をさらに強める。文書交換にはテンク・ザフルル投資貿易産業相と劉蘇社・国家発展改革委員会副主任が当たった。

アンワル氏の訪中は第7回中国国際輸入博覧会出席が目的。李氏との会談でアンワル氏は、マレーシアのBRICs(ブリックス)への参加申請を中国が率先して支持したことに謝意を表明した。マレーシアは10月24日、パートナー国として認められた。

アンワル氏は6日、多数の有力中国企業の関係者と円卓式で、また個別に会談した。会談相手には、著名ベンチャーキャピタルの成為資本の幹部が含まれる。会談後の同行記者団との会見でアンワル氏は、中国企業のマレーシアへの関心は高まっていると語った。上海訪問後は北京に入り、習近平国家主席を表敬訪問する。
(エッジ、ベルナマ通信、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月6日、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、11月5日)