政府、27年までに初の国産ハラルワクチン2種を生産

【クアラルンプール】 マレーシア政府は、科学技術革新省の主導と資金提供の下、2027年までに初の国産ハラル(イスラムの戒律に則った)ワクチン2種を生産する予定だ。マレー語紙「ウトゥサン・マレーシア」が同省のアミヌディン・ハシム事務次官の話として報じた。

初の国産化を予定しているワクチンの一つは、無細胞百日ぜきと不活化ポリオ抗原を含む六価ワクチン。もう1つはマレーシア初の肺炎球菌結合型ワクチンで、肺炎の主な原因である肺炎球菌の13の血清型(タイプ)から人体を保護する。これら2種のワクチンで▽ジフテリア▽破傷風▽百日ぜき▽ポリオ▽ヘモフィルスインフルエンザb型(Hib)▽B型肝炎――の6種類の病気を防ぐことが可能になるという。2種のワクチンは、技術移転を通じた国際的パートナーの協力のもとで地元企業によって開発される。

アミヌディン氏は、マレーシアにおけるハラルワクチン開発研究はもっと注目される必要があると指摘。取り組みを強化するために同省では研究開発助成金を出し、産学の戦略的協力を促進を図っていると述べた。

(マレーシアン・リザーブ、9月30日)

ジェトロのEC活用に関する実証事業、ソフトバンク子会社に委託

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、マレーシアにおける日本企業の電子商取引(EC)活用に関するデジタルマーケティング実証事業について、ソフトバンクのマレーシア子会社、STデジタルソリューションズ・マレーシアに業務を委託すると発表した。

同事業は、ECプラットフォーム「ショッピー・マレーシア」(Shopee.com.my)に出品している日本企業を対象に、2024年10月から2025年3月にかけてターゲティング広告などを通じたデジタルマーケティングの実証事業を行うというもの日本企業の出展可能性が高い同プラットフォームを効果的に活用するためのヒントを得ること、これからマレーシアのEC活用に取り組む日本企業にとって参考となる情報を得ることを目的としている。

キャンペーン広告の実施では、STデジタルが提供する、スマートフォンなどのアプリデータや位置情報データを活用したサービスをもとに、対象セグメントを絞り込んだターゲティング広告を打つ。個別フィードバックでは、キャンペーン広告から得た情報に基づき、参加企業のEC活用ノウハウの蓄積を支援する。

ジェトロでは、9月30日まで参加企業を募集していた。

メニコン、マレーシアなど東南アジア3カ国の販社を買収

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 メニコン(本社・愛知県名古屋市)は1日、マレーシアを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)3カ国のコンタクトレンズ販売会社3社を、シンガポールの製造・販売会社、オキュラスから9月30日付けで買収し、完全子会社化したと発表した。

メニコンが買収したのは▽オキュラス(マレーシア)▽オキュラス・ビジョンケア(シンガポール)▽PTオキュラス・インドネシア――。これまで東南アジアでは輸出または代理店での販売を展開してきたが、若年層人口や所得の増加などによりコンタクトレンズ市場の伸長が見込まれることから販売拠点が必要と判断した。

メニコンは、東南アジアにおける1日使い捨てコンタクトレンズの製造拠点として、シンガポール工場のほか同社最大規模となるマレーシア工場を2026年3月期下期に稼働予定しており、今回の販社買収により、東南アジアにおける販売と製造の両輪が確立されるとしている。

ジョホール州議会補選、与党連合擁立候補が圧勝

【クアラルンプール】 ジョホール州議会マコタ選挙区の補欠選挙の投開票が9月28日に行われ、与党連合・希望同盟(PH)と協力関係にある国民戦線(BN)が擁立したサイド・フセイン・サイド・アブドラ氏(統一マレー国民組織=UMNO)が79.21%の得票率で地滑り的勝利をおさめた。

同補選は8月2日にシャリファ・アジザ・サイード・ザイン議員(享年63、UMNO)が病気で死亡したことを受けたもの。野党連合・国民同盟(PN)が擁立したモハメド・ハイザン・ジャアファル氏(統一プリブミ党=PPBM)との与野党一騎打ちとなったが、ハイザン氏は20.79%の得票にとどまった。

2022年3月12日に行われたジョホール州議会選挙では、マコタ選挙区はPH、PN、BN――の3政党連合が擁立した候補による三つ巴の争いとなったが、BNに所属する故シャリファ氏が得票率45.86%で当選していた。BNは、2022年11月の総選挙後にPHを率いるアンワル・イブラヒム政権の樹立に協力し、現在は与党連合と共闘関係にある。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、9月28日)

在マ日本大使館、来年3月24日から旅券発給体制を変更

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 在マレーシア日本大使館は、旅券の偽変造対策を強化するため2025年3月24日から人定事項ページにプラスチック基材を用いた旅券の発給を開始すると発表した。

新旅券は日本国内で作成され大使館まで配送されることとなるため、最短でも2週間、場合によっては4週間の日数を要することになる。具体的な交付日については旅券申請時に予定時期を伝えるが、交付準備が整った段階で再度連絡する。従来の旅券は申請から交付まで最短4営業日で行っていた。

発給に要する日数が長くなるため大使館では、有効期限を確認した上で早めの旅券切替申請を求めると共に、滞在許可事実確認のためのマレーシア入国管理局での手続きに要する日数などを勘案し、出張や旅行のスケジュールを立てるよう呼びかけている。

なお大使館は、旅券の発給申請についてすでにオンライン申請を開始しており、オンライン申請の場合、手数料のオンライン決済(クレジットカード払い)が可能となるほか、来館は交付の際のみとなる。

現地のゲームデベロッパーとの協業を計画=バンダイナムコ

【東京】 ゲームソフト制作のバンダイナムコスタジオ・マレーシアは、マレーシアのゲームデベロッパーとの協業を計画している。

番屋修平最高執行責任者(COO)はベルナマ通信との会見で、ゲームデベロッパーのパッション・リパブリックおよびバーチャス・クアラルンプールと複数回、協議を持ったことを明らかにした。バンダイナムコスタジオ・マレーシアは2016年の設立で、鉄拳やソウルキャリバーなどバンダイナムコのビデオゲームをはじめとしたネットワークコンテンツを開発している。職場ではマレーシア人のほか、インドネシア人、シンガポール人などがクリエーターとして働いている。

番屋氏によれば、マレーシアスタジオはマレーシア文化に対応した、またマレーシア要素を含んだゲーム、コンテンツの開発を企図している。番屋氏は「子ども向け、大人向けのコンテンツを創造する。世界中の人をつなぐ、面白くて楽しいゲームの製作をわれわれは意図している」と語った。
(ベルナマ通信、9月28日)

ペトロナスと日系6社、東京湾対象のCCS調査事業に採択

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)子会社のペトロナスCCSソリューションと日系6社は30日、東京湾域の複数産業から排出されるCO2を対象とした二酸化炭素回収・貯留(CCS)バリューチェーン構築の実現可能性調査に採択されたと明らかにした。

同調査はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が2024年度の事業として公募していたもので、採択されたのはペトロナスCCSのほか、▽三菱商事▽ENEOS▽JX石油開発▽JFEスチール▽コスモ石油▽日本触媒――の6社。

東京湾(京浜地区・京葉地区)周辺の複数産業から排出されるCO2の分離・回収、液化、海上輸送、貯留の各セグメントにおいて最適な各種設備設計について検討すると共に、CCS社会実装の実現に向けたコスト試算及び課題の抽出、実現可能性検証などを実施する予定。域内で回収するCO2の規模は年間3百万トン程度を想定しており、将来的には年間6百万トン程度のCO2回収を目指し検証を進める。

東京湾域を排出源とするCO2を対象とする海外CCSバリューチェーン構築に関する覚書は今年3月に4社で締結しているが、このほどJFEスチール、コスモ石油、日本触媒の3社が参加した。

7社は、2026年度までの最終投資決定、2030年度までの事業開始を目指し、それぞれの専門性を活かして事業化に必要なバリューチェーンの構築や関連技術検証などを検討する。

ヒューマンスターチャイルド、KLに日本式保育施設を開園

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 保育事業を展開するヒューマンスターチャイルド(本社・神奈川県横浜市)は27日、日本式保育施設、「ヒューマンスターチャイルド・ケアセンター」を今年7月1日にクアラルンプール(KL)市内に開園したと発表した。

場所は三井不動産が運営する「ららぽーとブキ・ビンタンシティセンター(BBCC)」の近隣。マレーシア子会社のヒューマンスターチャイルド・マレーシアの直営園で、対象年齢は1―4歳となっている。日本人だけでなく現地に住む人を対象としており、日本で培ってきた、安心・安全で高品質な保育サービスを国境を越えて提供する。これにより海外での保育施設運営はインドネシア・ジャカルタに続き2園目となる。

ヒューマンスターチャイルドによると、同社は2018年7月にジャカルタで0―5歳児を対象とした直営保育施設「スターチャイルドインドネシア」を開園。現在、入園希望者は定員を超えており、日本の保育サービスが海外でも評価されているという。

予算案にGST再導入が盛り込まれる可能性=RHB投資銀

【クアラルンプール】 RHBインベストメント・バンク(RHB投資銀)は、10月18日に発表される予定の2025年度予算案に、物品サービス税(GST)の再導入、「RON95」レギュラーガソリン補助金の合理化、高額物品税(HVGT、贅沢税)導入――が盛り込まれる可能性があるとの見方を示した。

RHB投資銀のアナリスト、アレクサンダー・チア氏は、アンワル・イブラヒム政権が政権安定を背景に税基盤の拡大を目指していると指摘。財政赤字をさらに削減してインフラ投資の余地を拡大する方針だと確信していると述べた。

その上でチア氏は、まだ決定していない2つの主要な取り組みがRON95の補助金の合理化と電子インボイスの完全導入と両立するGSTの再導入だとした上で、これらが来年度予算案に盛り込まれるだろうと指摘。RON95の補助金合理化については年内に実施されると予想したまたHVGTについても2025年度予算案で発表される可能性があるとした。
(ポールタン、9月26日、ベルナマ通信、9月25日)

小売20社・8千店舗、10月1日からレジ袋提供中止

【ペタリンジャヤ】 ハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、薬局、健康・美容チェーンなど小売20社が、10月1日から傘下の8,000店舗で使い捨てプラスチック製レジ袋の提供を中止する。ンガ・コーミン住宅地方自治相が明らかにした。

レジ袋提供を中止するのは、▽イオン▽99スーパーマート▽セブンイレブン▽TFバリューマート▽ガーディアン――など。買物袋を持参していない買物客は、店舗でリサイクル可能なショッピングバッグを購入することになる

ンガ氏は「すでに実施している企業もあるが、改めて1日から実施することで各社が誓約書を取り交わす」と言明。「この取り組みにより年間2億枚のレジ袋が削減され、廃棄物の量が減少し、既存のごみ埋立処分場の寿命が延びると予想される」と述べた。

政府は固形廃棄物管理と公共清掃に年間20億リンギに上る費用を負担しており、埋立地への依存を減らすよう取り組んでいる。現在、マレーシアには非衛生埋立地が114カ所、衛生埋立地が22カ所あるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、9月26日)