MATRADEが米アマゾンと提携、中小企業の輸出強化で

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)と米アマゾンは、国内の中小企業(SME)の輸出能力強化に向け、覚書を締結した。アマゾンが提供する海外販売(越境EC)サービス「アマゾン・グローバルセリング」によりSMEの輸出活動を支援する。

アマゾンはトレーニングの提供や成功事例の紹介を行い、MATRADEは地元企業のトレーニング参加を促進する。

アマゾン・グローバルセリングのアナンド・パリット東南アジア責任者は、海外販売に関心を示すマレーシア企業が増えており、1-4月期にはアマゾン・グローバルセリングでの販売者数が前年同期の約2倍に増加したと述べた。

MATRADEは、動画配信の「ティックトック」のオンライン販売サイト「ティックトックショップ」とも提携し、期間限定キャンペーンを実施する。毎年実施される「ASEAN(東南アジア諸国連合)オンライン・セールデー」の場を活用し、マレーシア企業30社が1,500万リンギの売上を達成するよう支援するとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ビジネス・トゥデー、6月14日)

ネット不動産投資「リノシー」、KLに新拠点を設立へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ネット不動産投資のジーエーテクノロジーズ(本社・東京都港区)は17日、グループ会社のジーエーテクノロジーズ(タイ)が7月中にクアラルンプール(KL)に新拠点を設立すると発表した。

ジーエーテクノロジーズはネット不動産投資サービスブランド「RENOSY(リノシー)」を展開している。海外でも、2020年に中華圏の不動産投資家向け日本不動産プラットフォーム「神居秒算」事業を取得し、2022年にはタイで外国人駐在員向け不動産賃貸仲介のディアライフ・コーポレーションを経営統合するなど、アジアでの海外事業拡大に注力してきた。

マレーシアの日本人居住者数は、東南アジアではタイ、シンガポールに次いで3位で、日系企業の駐在員も多いことや、タイで展開する日本人向け賃貸仲介サービス「ディアライフ・バイ・リノシー」によってこれまで培ってきたノウハウの活用もできることから、マレーシアでの新拠点設立を決定したという。

新拠点の設立が完了すると、ジーエーテクノロジーズのネットワークは7つの国と地域、計54拠点に広がる。同社はネット不動産のグローバル展開をさらに推進していく方針だ。

第1四半期の国内観光客数、前年比19%増加=統計局

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は12日、2024年第1四半期の国内観光に関する調査を発表。国内観光客数は5,860万人となり、前年同期(4,930万人)から19.0%増、前期(5,500万人)から6.5%増となった。

観光客の支出額は241億リンギで、前年同期(192億リンギ)から25.3%の大幅増加、前期(238億リンギ)からも1.2%の増加となった。

観光関連産業の指標は、テーマパークが前年同期比で20.6%アップ、前期比では7.8%のマイナスとなった。宿泊施設は前年同期比12.2%。前期比1.1%と共にプラスとなった。

5つ星のホテルは前年同期比3.3%、前期比0.2%それぞれアップ。4つ星は前年同期比プラス0.2%、前期比ではマイナス0.1%。3つ星は前年同期比20.7%増、前期比はマイナス0.3%となった。

国内空港到着者数は前年同期から2.4%、前期から2.6%共にマイナスとなった。燃料販売は、前年同期比2.8%、前期比1.1%共に上昇した。

対シンガポールドルのリンギ相場、さらに上昇の可能性

【クアラルンプール】 マレーシア通貨リンギの相場がここ数カ月、シンガポール(S)ドルに対し値上がりしており、年末までには1Sドル=3.43/3.45リンギまで上昇すると著名エコノミストが予想している。

バンク・ムアマラット・マレーシアの主任エコノミストであるモハマド・アフザニザム氏は、リンギ需要増大の要因として、外国直接投資(FDI)のマレーシアへの流入、特にジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)への流入を挙げた。

アフザニザム氏は「著名企業が同特区などへ投資し、マレーシア資産への関心が高まっている」と述べた。現在、相場は1Sドル=3.4868リンギ前後で推移している。

ただリンギ上昇が持続するかは外部要因、特に米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に左右されるという。

米労働市場の重要指標である非農業部門の賃金は伸びに加速が見られており、FRBが早期に利下げするとの観測が後退した。利下げ延期は世界の外為市場に影響を及ぼすという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月12日、エッジ、マレーシアン・リザーブ、6月11日)

景気後退にあると考えるマレーシア国民が68%=イプソス調査

【クアラルンプール】 成人の68%はマレーシアが景気後退にあると考えていることが、市場調査・世論調査のイプソスの調査で分かった。

イプソスは3月下旬から4月上旬にかけマレーシアで18歳かそれ以上の成人500人余りから意見を聞き取り、ほかに33カ国で75歳以上の2万4,801人をオンラインで調査した。マレーシア人の3人に1人は、国内インフレ危機はほかの国より深刻だと回答。何とか家計をやりくりしているとの回答は半数に達した。

調査報告は「経済状態に関する国民の受け止め方と経済統計が一致していない。国民に正確な情報が伝えられ家計についての懸念を和らげることが重要だ」とした。

国内経済は昨年通年で3.7%成長し、今年第1四半期は4.2%の成長だった。消費者物価上昇率は昨年が2.5%で、今年は2-4月までの3カ月間、1.8%の低水準を維持している。

不自由なく生活できている、との回答はマレーシアが26%だったのに対し、インドネシアは39%、シンガポールは45%だった。自国が景気後退にあるとの回答も、タイは66%、インドネシアは50%、シンガポールは32%で、マレーシアの68%が東南アジアでは最高だった。
(エッジ、マレー・メイル、6月13日)

建設業界、資材運搬車両へのディーゼル補助金適用を要請

【クアラルンプール】 今月開始されたディーゼル補助金の合理化について、建設業界が補助金対象を建築資材の運搬車両にも拡大するよう訴えている。

40社が加盟するマレーシア建設請負業者協会(MBAM)とマレーシア・ブミプトラ建設請負業者協会(PKBM)は、対象を絞った補助金制度の実施が昨年末に発表されていたことを認めた上で、建設業界を支える物流業者への影響を緩和するための明確な説明が必要だと強調。連邦政府に対し、ディーゼル補助金の対象となる輸送手段のリストに、建築資材やクレーンを輸送する車両を含めるよう訴えた。

MBAMとPKBMによると、採石製品や生コンクリートなどの建設資材のコストが上昇し、建設契約の大半が固定価格の一括払いであるため業界に影響を及ぼしているという。

その上でMBAMとPKMBは、建設資材やクレーンの運搬車両にも割引価格で燃料を購入できるフリートカード(営業車用法人カード)を発行するよう要請。これにより建設業者、特に小規模建設業者における将来の建設コストの管理が可能になり、燃料補助金合理化との間のバランスをとることができるようになると指摘した。

ディーゼル価格は対象を絞った補助金制度の実施に合わせて、今月10日付けで1リットル当たり2.15リンギから3.35リンギに引き上げられたが、これを受けてコンクリート生産者が早速値上げに踏み切ったという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月13日)

ダイハツ系プロドゥア、半島東海岸で部品ハブ設立を計画

【クアラルンプール】 ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は、建設が進められている東海岸鉄道線(ECRL)を活用し、半島東海岸にスペアパーツの地域ハブを設立する計画だ。

ザイナル・アビディン社長兼最高経営責任者(CEO)は、13日に開催された国家投資セミナーの「ECRL@セランゴール―経済的利益と機会」と題したパネルセッションに出席。ハブの開設場所はパハン州クアンタンになる可能性が高いが、東海岸の他の場所も検討中だとした上で、「新車のハブというだけでなくスペアパーツや中古車のハブとしても、東海岸の顧客にとって有益なものになるだろう」と述べた。

またザイナルCEOは、周辺に鉄鋼製品の流通拠点や鉄鋼完成品の製造拠点が設立される可能性があるセランゴール州プンチャック・アラム駅に言及。同駅の鉄鋼ハブは、自動車産業で必要とされるスタンピングおよび射出成形プロセスのサブセットである工具、金型、ダイなどの自動車関連の鉄鋼ベースの事業活動に対する海外からの投資を誘致するのに役立つ可能性があるとし、トラック輸送から鉄道輸送への移行が可能になれば大幅なコスト削減が見込まれると述べた。

プロドゥアは10日、ECRL建設の推進母体であるマレーシア・レール・リンク(MRL)との間で、自動車・自動車部品の輸送に関する覚書(MoU)を締結した。自動車・自動車部品の輸送の可能性を検討するという。

ECRLは、クランタン州コタバル―セランゴール州ゴンバック統合ターミナル間は2026年12月までに建設が完了し、2027年1月から運用が開始される予定。ゴンバック―ポートクラン間は2027年12月までに完成する予定で、2028年1月以降に全面開通する見込みだ。
(ザ・スター、6月14日)

花王、蚊よけクリーム「モスブロックセラム」をマレーシアで発売

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 花王(本社・東京都中央区)は13日、独自技術を盛り込んだ蚊よけクリーム「ビオレガード・モスブロックセラム」を7月からマレーシアで発売すると発表した。

「ビオレガード・モスブロックセラム」は、独自のアンチ・ランディングテクノロジーを搭載した蚊よけクリーム。蚊の脚の構造に着目し、肌の表面を蚊がとどまりにくいように整えることで、蚊に刺されることを防ぐ技術を応用した。ボディローションのような軽いつけ心地で肌にうすく伸ばすことができ、べたつかず快適な使い心地だという。

香りはフレッシュラベンダーとスウィートブロッサムの2種類で、蚊よけ効果は8時間持続する。容量は100グラムで、価格は24.90リンギとなっている。

花王は、デング熱の発生が年々深刻となっているマレーシアでデング熱被害の削減に向けた「GUARD OUR FUTURE」プロジェクトを開始する。セランゴール州及び武田薬品のマレーシア法人と協同で蚊から「未来のいのちを守る」取り組みを行っていく。

リンギ相場安定のため一段の措置を模索=中銀副総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のアドナン・ザイラニ副総裁は12日、BNM主催のシンポジウムで、リンギ相場の安定を図るため、現在行っている以上の対策がないかを探っていると明らかにした。

アドナン氏は「相場が経済の基礎的条件を反映するよう、われわれの期待どおりのリンギ相場になることが重要だ」と語った。リンギが今年2月、26年ぶりの安値に落ち込んで以降、政策決定者はリンギを支えるため協調的措置を講じており、最近は相場が安定している。BNMは外貨収入のある企業に、国内送金とリンギへの両替を働き掛けている。両替を通じリンギ需要を増やし、リンギの価値上昇につなげる。

アドナン氏はまた、燃料補助合理化による補助の一部削減が物価、経済成長に与える影響について、金融政策面からの対処が必要かはこれからの検討課題だとした。

輸出収入の60-70%はリンギで保持されているが、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)のアブドル・ワヒド会長は「ほかの国と比べると低水準だ。多くの輸出業者は依然、外貨での保持を好む」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月13日、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月12日)

プロトンが新EVブランド「e.MAS」発表、5車種を発売へ

【スバンジャヤ】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは12日、同社の新たな電気自動車(EV)ブランド名「e.MAS」とロゴを発表。同新ブランド名で、EV5車種を発売予定であることを明らかにした。

新ブランド名は「Electrifying Malaysia(マレーシアの電化)」の略で、EVを表す「e」と、マレーシアの略語である「MAS」を組み合わせたものだという。

5車種はいずれもグローバル・モジュラー・アーキテクチャ(GMA)プラットフォームを使用したもので、プロトン販社、プロトン・エダルのロスラン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は、新ブランドの最初のEVモデルは2025年までに発売される予定だと言明。「発売時期はまだ決まっていないが、最初のモデルは2025年初頭かそれより早くなるかもしれない」と述べた。

その上でロスラン氏は、 「プロトンEVに対する一般消費者需要に基づいて、今後EVをさらに発売するかどうか決定する」と言明。「現在市場に出回っているEV車のほとんどが10万リンギ以上の価格であることに留意している」とし、「e.MAS」ブランドは適切な価格設定にすると述べた。
(ポールタン、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、6月12日)