LRT3号線計画、5駅復活も総工費は当初計画以下に

【クアラルンプール】 首都圏軽便鉄道(LRT)3号線計画で復活した5駅の工事費は、推定53億リンギとなる見通しだ。ハスビ・ハビボラ副運輸相が下院審議での答弁で明らかにした。

アンワル・イブラヒム首相が昨年の予算案上程に際し示した額(47億リンギ)を上回るが、それでも全体の工事費は219億3,000万リンギと、当初予算計画(316億5,000万リンギ)以下になるという。

LRT3はバンダル・ウタマとクラン地区ジョハン・セティアを結ぶ延べ37キロメートルの路線。国民戦線(BN)が政権を掌握していた2015年に計画されたが、2018年の希望同盟(PH)政権時代に見直しが行われ、財政ひっ迫を理由に総工事費の166億3,000万リンギへの削減と5駅(トロピカナ、ラジャ・ムダ、テマシャ、ブキラジャ、バンダル・ボタニック)の廃止が決められた。

工事は95.6%が完了しており、2025年第3四半期に運行を開始する。5駅の駅舎建設は同年第4四半期に始め、2027年第4四半期に完工の予定。運用開始は2028年第2四半期。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、マレーシアン・リザーブ、ビジネス・トゥデー、10月28日)

エアアジアグループ5社、1―9月の旅客数が4500万人超

【クアランプール】 キャピタルAは24日、今年第3四半期(7―9月)の業績を発表。格安航空部門のエアアジア・アビエーション・グループ(AAG)5社(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、カンボジア)について、年初9カ月の旅客者が4,500万人を突破したと明らかにした。ロードファクター(座席利用率)は90%と高い水準を維持した。

第3四半期でみると、5社の旅客数は前年比8%増の1,585万5,155人で、ロードファクターは89%だった。エアアジア・マレーシアの旅客数は13%増の758万3,348人に上り、ロードファクターは89%となった。スバン空港(セランゴール州)へのジェット機乗り入れ再開を受けて8月下旬に開設されたサバ・サラワク州への路線の搭乗率は92%に達した。

旅行アプリ「エアアジア・ムーブ」を使ったエアアジア以外のフライトとホテルの予約が急増した。決済サービス「ビッグペイ」でも、第3四半期のカード利用者は前年同期比8%増の157万3,987人となった。新規ユーザーの44%がムーブ経由だった。

また貨物・物流部門であるテレポートは、貨物輸送量が前年同期比31%増の7万7,341トンに達し、貨物、配送部門ともに力強い成長軌道を維持した。
(ベルナマ通信、10月28日、キャピタルA発表資料)

イオンクレジット、最終7回目のイスラム式起債を実行

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 イオンクレジットサービス(マレーシア)は28日、イスラム金融式コマーシャルペーパー発行プログラムに基づく、7回目で最後の起債を実行した。起債額は1億リンギ。

調達した資金は無担保金融の原資、既発行イスラム債の借り換えなどシャリア(イスラム教に準じた)業務に活用する。

コマーシャルペーパー発行プログラムを開始したのは2023年3月。1回の起債額はそれぞれ5,000万―2億リンギで、合計で7億3,000万リンギを調達した。

イオンクレジット(マレーシア)の設立は1996年12月で、2005年11月、ノンバンクとして初めてクレジットカードを発行し、2007年1月には日系企業として初めてイスラム金融方式の資金調達を実施した。

シーエムプラス、ハラル関連サービスで政府系企業と覚書

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 シーエムプラス(本社・神奈川県横浜市)は、セランゴール州政府傘下のコンサルティング会社、ヒストイバとハラル(イスラムの戒律に則った)分野でのパートナーシップについて、14日に覚書を取り交わしたと発表した。

ヒストイバはセランゴール州でハラル産業の発展を支援しており、ハラル認証につながる教育訓練支援での知見や、輸出促進など、グローバルな支援体制を拡充している。19日まで開催されたハラル関連産業の国際展示会「セランゴール国際ハラル会議(SELHAC)」を運営。シーエムプラスは同展示会に出展した。

シーエムプラスは覚書に基づき、製薬・医療機器・化粧品・食品などを取り扱う日本企業のマレーシア国内における製造施設建設や認証取得、日本国内での教育サービスを提供。日本企業のハラル対応を支援する。

具体的には▽ハラル認証の取得支援▽ハラル認証に準拠した製造承認の取得支援▽ハラル教育研修コンテンツの提供▽ その他、ハラルに関連したサービスの提供――を行う。

 

貿易開発公社とハラル開発公社を統合、市場参入機会を拡大

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)とハラル開発公社(HDC)が統合される。投資貿易産業省(MITI)が統合に向け作業委員会を設けた。より強固なハラル(イスラム法で許されたもの)産業を構築するとの意向は、アンワル・イブラヒム首相が新年度予算案の発表に際し言及していた。統合による職員の解雇はない。

MITIによると、統合でMATRADE の輸出能力がHDCの知識で補完され、一方でMATRADE が展開する世界49の事務所を通じ、マレーシアのハラル商品・サービスの海外市場参入が容易になる。

ハラル産業が拡大し、輸出が増加すれば、ハラル業に従事する中小企業にも恩恵が及び、雇用機会が生まれるという。

MITIは、統合による資源の最適利用、生産性の改善を見込んでおり、より強固なハラル産業が構築され、マレーシアの国際認知度も上がるとした。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、エッジ、10月25日)

離任の髙橋大使、日本への投資拡大に期待

【クアランプール】 今月末で離任する髙橋克彦・駐マレーシア日本大使は、「フリー・マレーシア・トゥデー」との単独会見に応じ、マレーシア企業による日本への投資拡大への期待を示した。

髙橋大使は、日本が世界3位の経済大国であることに加え、人材の質の高さや、高度な研究開発環境をアピール。「海外での事業拡大を目指すマレーシアの製造業およびテクノロジー企業にとって魅力的な投資先である」と語った。

また、観光分野でも、マレーシア企業が北海道や京都、沖縄などですでに投資に成功していることを指摘。「日本では質の高い宿泊施設が不足しており、今後もマレーシア企業にとって有利な分野だ」とした。

さらに、過去5年間でマレーシアへの日本食品輸出が倍増したことを挙げ、「ハラル産業で、マレーシアはイスラム諸国とのビジネスの入り口として、日本企業から大きな注目を集めている」と述べた。

そのほか、グリーン経済やデジタル経済分野、物流の分野などでの2国間の可能性も大きいとし、「今後、日本の首相がだれになろうとも、マレーシアとの(良好な)関係は変わらない」と強調した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月26日)

エアアジアXマレーシア、第3四半期の旅客数が34%増

【クアラルンプール】 中・長距離格安航空のエアアジアXマレーシアは、ネットワーク拡大と運航頻度の増加により、2024年第3四半期の旅客数が108万4,049人に達し、前年同期の80万7,004人から34%増加したと発表した。

同期の座席数は128万4,871席となり、前年同期の101万4,432席から27%増加した。有効座席キロ(ASK)は51億4,100万席となり、前年同期の44億1,200万席から17%増加。有償旅客キロ(RPK)は42億7,100万席で、24%増加した。ロードファクター(座席利用率)は84%となり、4ポイント改善した。

既存路線の半分で便数が増加したことに加え、新型コロナ禍で非稼働だった航空機の再稼働が貢献。中国・長沙線(週4便)、サウジアラビア・メディナ線(週2便)の運航を開始し、台湾・台北と大阪(週7便)路線を再開した。 また、中国線で最も収益性の高い杭州及び西安線をそれぞれ週6便と週4便に増やした。

9月30日現在の保有機数はエアバスA330型機18機で、16機が稼働中。
(エッジ、10月24日、エアアジアX発表資料)

サラワク州政府、今度は海洋温度差発電の研究を開始

【クチン】 水素生産など再生可能エネルギー(RE)に意欲的なサラワク州政府は、今度は海洋温度差発電に乗り出す計画で、アバン・ジョハリ州首相が経済企画部に事業化調査を指示した。

海洋温度差発電は、海の表層部の摂氏25-30度の温かい海水を温熱源とし、深さ800-1,000メートルの深層部にある摂氏5-7度の海水を冷熱源として使用する発電システム。火力発電や原子力発電と同様に蒸気を発生させてタービンを動かして、発電する仕組み。

アバン・ジョハリ氏はマレー人団体のイベントで「水力、太陽光発電に続く、持続可能なエネルギー源の追求だ。サラワク州は大陸棚が利用でき、マレーシア半島より優勢性がある」と述べた。

米国エネルギー情報局などによると、現在の技術では、表層海水と深層海水との温度差が20度以上ある亜熱帯、熱帯地帯でのみ発電が可能。世界では建設可能な国はおよそ100カ国で、発電ポテンシャルは1兆キロワットに達するという。天候に左右され、連続運転が困難な風力や太陽光に比べ、常に一定の電力を供給できる点が特徴だ。
(ボルネオ・ポスト電子版、ビジネス・トゥデー、フリー・マレーシア・トゥデー、10月26日)

 

JTBのツアーバスがペラ州で追突事故、女性1人が死亡

【クアランプール=アジアインフォネット】 日本人観光客らを乗せたツアーバスが24日午後1時45分、ペラ州タイピン近郊の南北高速道路(NSE)上り線で、前を走っていたトレーラーに追突。乗員乗客13人が死傷し、うち70歳代の日本人女性1人が死亡した。

乗っていたのは、50ー80歳代の日本人観光客11人(女性8人、男性3人)と、現地の運転手とツアーガイド。死亡した女性は夫婦で参加していた模様で、搬送されたタイピン病院で亡くなった。25日午後1時時点で4人が入院している。警察で事故原因や女性の死因を調べている。現地報道などによると、現場はタイピンとクアラカンサーの中間にある直線の緩やかな上り。

日本人観光客はJTBが主催した10月21日関西空港発の周遊型募集ツアー(添乗員なし、7日間)に参加しており、ペナン観光を終えて、パハン州のキャメロンハイランドに向かう途中だった。

JTBの山北栄二郎社長は、25日午後1時過ぎ(日本時間)に会見を開いて事故を謝罪した上で、マレーシアの周遊型募集ツアーについて原因究明と安全性が確認されるまで当面催行を見合わせると発表した。

KLセントラル駅再開発、2025年に開始=ローク運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ロ―ク運輸相は、クアラルンプール(KL)の主要交通ハブであるKLセントラル駅の再開発に関する交渉が年内に完了し、2025年にも開始される見通しだと明らかにした。同プロジェクトについては昨年8月に閣議で了承されていた。

現在、プロジェクトのデベロッパーであるマレーシアン・リソーシズ・コーポレーション(MRCB)と首相府の官民パートナーシップ(PPP)部門が、再開発プロジェクトの民営化条件について最終調整している段階。ローク運輸相は「交渉が2―3カ月内に完了することを期待している。順調にいけば年末か来年初めまでにプロジェクトを開始できるだろう」と述べた。

KLセントラル駅の再開発費用は10億リンギと見込まれているが、公的資金は使わずMRCBが全額負担することになる。その見返りにMRCBは駅ビルの開発権と隣接地での複合開発権を得ることになる。

KLセントラル駅は、面積29.14ヘクタールの国内最大の交通ハブで、KL新国際空港(KLIA)、プトラジャヤ、首都圏のその他の主要経済地域を結ぶ鉄道が乗り入れている。10億リンギ以上の開発費をかけて2001年に開業し、当初は1日あたり10万人の乗客が利用していたが、現在は1日あたり約20万人が利用している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、10月24日)