上院が閉幕、改正EPF法など10法案を承認

【クアラルンプール】 上院は26日、複数の法案を承認して会期を終了した。承認した法案は全部で10本。これには従業員積立基金(EPF)法改正案、憲法改正案が含まれる。

改正EPF法は全ての外国人労働者にEPFへの加入を義務付ける内容で、加入者は55歳に達すると積立金の一部、またはすべてを引き出すことができる。加入義務付けは外国人の社会保障を考慮したもので、アミル・ハムザ第2財務相は、国籍を問わずすべての外国人給与所得者を平等に扱い、社会保障を提供するものだと説明した。

経営者にマレーシア人の雇用を促す効果も見込んでおり、賃金上昇につながると政府は期待している。社会保障のポータビリティーとして、財務省とEPFは、外国人がEPF積立金を母国での年金に移転できるようにする研究も行う。

3月20日の憲法改正案審議にはアンワル・イブラヒム首相が出席した。上院は行政サービス効率化委員会法も承認した。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、3月26日)

タバコ製品の陳列禁止、4月1日より施行=保健省

【プトラジャヤ】 保健省は、全国5万1,000カ所に上るタバコ販売店舗におけるタバコ製品陳列禁止措置を4月1日付けで施行すると発表した。最終的にタバコの陳列場所を密閉式キャビネットに切り替えさせる方針で、今年10月1日に完了する予定だ。

昨年10月1日に施行された「2024年公衆衛生のための喫煙製品管理法」に基づく措置で、陳列禁止措置については「2024年公衆衛生のための喫煙製品管理(販売管理)規則」第6条で記述されている。すべての販売施設は適切なカバーを使用してタバコ製品を公衆の目に触れないようにしなければならない。

保健省は「他国における有効性と実用性を考慮すると、陳列禁止を実施する最も適切な方法は、布製やキャンバス製のカバーをかけるのではなく、密閉されたキャビネットを使用することだ。引き続き小売業者と協力し、密閉式キャビネットが仕様どおりに設置され、遵守状況を厳重に監視する」との声明を発表した。

マレーシアに先駆けてタバコ陳列禁止措置をとっている国では、キャビネットをカーテン状の布製カバーで覆っているケースもある。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、エッジ、3月25日)

自動車用エンジンオイル、4月7日から認証義務化

【クアラルンプール】 政府は4月7日から、自動車用エンジンオイルの認証取得と表示を義務づける。アルミザン・アリ国内取引物価相が20日、明らかにした。

偽造品の製造・販売防止が狙いで、国内生産品か輸入品かを問わず、すべてのエンジンオイル製品は、主要な試験、検査、認証機関である SIRIM QASインターナショナルの認証取得が義務づけられる。取引表示法を改正するもので、すでに2024年10月11日からオイルメーカーに対して官報で公示している。

2019年1月から今年2月までに、エンジンオイルに関する苦情が240件寄せられた。うち36件が処分され、押収額は115万4,198リンギだったという。
(ベルナマ通信、ポールタン、3月20日)

4月導入の外国人投資家パス、最長1年滞在と数次入国可能に

【クアラルンプール】 マレーシア出入国管理局駐在者サービス課(ESD)は15日、4月1日から導入される投資家パス(ビザ)の詳細を発表した。

投資家パスは、ビジネス訪問者または外国人投資家の円滑な活動を目的としたマルチエントリービザ (MEV)になる。特に、投資機関または関連当局を通じてマレーシアへの投資を約束した人を対象とするという。6カ月間滞在でき、さらに6カ月間延長することができる。

申請時にマレーシア国外にいる必要があり、ESDの申請システム「エクスパッツ・ゲートウェイ」を通じて必要な書類が提出されると、5営業日以内に処理されるという。家族向けの扶養家族パス(DP)は申請することができない。

外国人投資家に対しては現在、出身国の規定に応じ、14―90日間のソーシャルビジットパスしかなく、中長期滞在できるビザが求められている。クアラルンプールの市場教育センター(CME)の最高責任者で、イタリア人実業家のカルメロ・フェルリト氏は「(投資を促すための)正しい一歩」と評価しつつ、「投資家の定義が不明確」と指摘。またマレーシアのアイルランド商工会議所のドナル・クロッティ会長の発言として、導入前に各国の商工会議所などと詳細を協議するよう提案している
(フリー・マレーシア・トゥデー、3月18日、ESD発表資料)

大型車両、高速道での追い越し車線走行を禁止へ

【クアラルンプール】 運輸省 (MOT) は、大型車両に対して高速道路走行の際の追い越し車線使用を禁止する方針だ。 ジャナ・サンティラン事務次官によると、同規則は2015年に公布されていたがこれまで実施されていなかったため、実施提案書を運輸大臣に提出するという。

商用車、特にトラックとバスに対する運行規則の厳格化のための5つの改善策の1つで、追い越す場合のみ2番目の走行車線を利用し、追い越しが終わった段階で左端の車線に戻る必要がある。追い越し車線はいかなる場合も走行してはならない。

他の4つの改善策は、▽速度制御装置の設置義務▽全地球測位システム (GPS) 追跡設置▽11の高速道路での高速走行時重量測定 (HS-WIM) 検出器設置▽追加の自動執行システム (AES) カメラ設置――。速度を時速80―90キロメートルに制限する速度制御装置はすでに新しいトラックには装備されており、GPS設置規則は3月中に施行される。またHS-WIMも2026年第1四半期に完了する予定だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、3月18日)

DHLは労働者を追加雇用の可能性、米国のデミニミス規則めぐり

【クアラルンプール】 国際宅配便DHLグループのジョン・ピアソン最高経営責任者(CEO)は、米トランプ政権が少額貨物の輸入に対する関税免除(デミニミスルール)の適用を停止すれば、マレーシアなどで従業員を増やすことになると述べた。ブルームバーグが報じた。

米国は輸入申告額が800ドル以下の少額貨物の輸入に対し、関税支払いなどを免除するデミニミスルールを設けているが、トランプ大統領は2月1日、中国原産品の輸入に対し、デミニミスルールの適用を停止する大統領令を発表した。しかし急な措置であり、合衆国郵便公社で混乱が生じたため、大統領は5日、1日付の大統領を修正し、デミニミスルールの適用停止を留保した。

ピアソンCEOは「デミニミスルールの適用停止が再施行されれば、出荷作業により多くの職員が必要なため、米国やマレーシアの職員を増やすことになる」と述べた。

デミニミスルールを利用し米国での販売を増やしているのは電子商取引市場のTemuやShein。ピアソン氏によれば、Temu、Sheinの商品の多くは価格が75-90米ドルだ。
(ザ・スター、3月14日、エッジ、3月13日)

次期マレーシア計画、7月にも議会提出へ=副経済相

【クアラルンプール】 経済省は現在、第13次マレーシア計画 (13MP、対象期間:2026ー2030年)に関する最終調整を行っており、7月にも議会に提出される予定だ。ハニファ・ハジャル・タイブ副大臣が11日の上院議会質疑で明らかにした。

ハニファ氏は、次期社会経済開発5カ年計画となる13MPは、アンワル・イブラヒム首相が掲げる国民所得の増加や国家経済の再構築などを目指した「マダニ経済」の目標に基づいて策定されると言明。「13MPはマレーシアが期間内に高所得経済への移行を成功させるために不可欠だ」と述べた。

ハニファ氏は、政府は引き続き3つの主要分野、すなわち歳入と支出の合理化による国の財政状況の強化、新たな成長源の特定、構造的経済改革の実施に重点を置くと強調。「高所得国入りを実現するために、付加価値の高い活動に向けた経済構造の改革に重点を置く」とした。

一方、ハニファ氏は、米・中間の貿易紛争が国家経済に与える影響に対処するため、政府はいくつかの重要な戦略に重点を置くと指摘。第1にはマレーシアの既存および新規の貿易相手国との戦略的貿易を強化し、第2にマレーシアを多国籍企業の代替投資先として位置づけ、貿易を多様化することで世界市場の不安定性によるリスクを軽減し第3にマレーシアの自由貿易協定への参加を活用して貿易を促進し世界貿易に優先的にアクセスし関税および非関税障壁を削減すると述べた。
(エッジ、ベルナマ通信、3月11日)

ペラ州議会補選、4月26日に投開票=選挙委員会

【プトラジャヤ】 選挙委員会(EC)は7日、現職議員の死去に伴うペラ州議会アイル・クニン選挙区の補欠選挙について、公示日を4月12日、投開票日を4月26日とする選挙日程を発表した。

統一マレー国民組織(UMNO)所属のイシュサム・シャハルディン議員(享年59)の死去を受けて実施されるもので、2022年の前回選挙では国民戦線(BN)が擁立したイシュサム氏のほか、与党連合・希望同盟(PH)、野党連合・国民同盟(PN)、野党・マレーシア社会党(PSM)、政治連合「祖国運動」(GTA)がそれぞれ擁立した候補者による5人の争いとなり、イシュサム氏が38.73%の得票率で当選していた。

故イシュサム氏は元プロサッカー選手で、ペナンで行われたサッカーの試合中に倒れ、2月22日に亡くなった。

同選挙区の有権者数は3万1,897人で、男女比率は男性が1万5,917人(49.9%)、女性が1万5,980人(50.1%)となっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月7日)

4月1日から外国人投資家向けビザを発行=内務相

【クアラルンプール】 政府は4月1日から外国人投資家向けの戦略投資家ビザ(SIP)を発行する方針だ。

英字メディア「ビジネス・トゥデー」などによると、サイフディン・ナスティオン内務相が6日、下院議会の質疑応答で、SIP発行について言及した。外国人投資家はより長期間滞在でき、事業の運営・監督のため複数回の入国もしやすくなる。また、デジタル化したワンストップシステムを通じ、SIPの承認までの期間を簡素化。従来30日間程度かかっていたところを大幅に短縮し、クアラルンプール国際空港(KLIA)の駐在員サテライトセンター(ESC)で到着時に処理できるようにするという。

詳細な条件は明らかになっていないが、2023年にアンワル・イブラヒム首相は投資家が5年間滞在でき、さらに5年間の延長ができるSIPの発行を視野に入れていると発言していた。

また、マレーシア国籍の人と結婚した外国人配偶者の永住権(PR)についても9月から制度を刷新。最低結婚年数を、従来の5年から3年に短縮したうえで、1年以上の長期ソーシャルビジットパス(LTSVP)を保持していることが条件になる。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、3月6日)

来年からQRコードによる入国審査を外国人にも拡大

【クアラルンプール】 政府は、2026年1月1日からQRコードによる入国審査の対象を外国人にも拡大する。サイフディン・ナスシオン内務相が4日、下院議会の答弁で明らかにした。

当初の対象となるのは、63カ国・地域の外国人。現在、パスポートを使った自動ゲートの対象国も同じく63カ国・地域のため、日本も含まれるとみられる。

QRコードと生体認証システムが組み合わされた「Myボーダーパス」というアプリを利用。パスポートを携帯する必要はあるが、審査時はパスポートは不要でQRコードの提示だけで済む。審査時間は、自動ゲートの15― 25秒に対し、5―7秒にまで短縮されるという。

現在はマレーシア国民のみが対象で、クアラルンプール国際空港(KLIA、第1ターミナル、第2ターミナル合わせ)と、ジョホール州の陸路からの入国審査場でバスとオートバイ利用者に限定して実施されている。今年1月に導入されて以来、約79万人がアプリをダウンロード。KLIAのマレーシア人利用者のうち、QRコード利用は25%、自動ゲートが60%、審査官が15%だったという。

今後、ペナン、コタキナバル、クチン、ランカウイの各空港への拡大を検討していく。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月4日、チャンネル・ニュース・アジア、3月6日)