政府向け書簡のマレー語限定方針、外国企業は対象外=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、政府機関に出す公式書簡における使用言語をマレー語に限定する方針については、外国企業には適用しないと言明した。

2日に行われた下院議会予算審議の締めくくりの演説の中でアンワル首相は、「すべての政府機関と地元企業に、(政務に関する公文書を)英語やその他の言語で書かないよう指示した。これらの文書はマレー語で書かれるべきだ」と述べた上で、この指示については誤解があると指摘。マレー語に限定するとの指示は政府機関と地元企業にのみ適用されるとし、「外国企業はマレー語以外の言語で公式書簡を政府に送ることができる」と述べた。

アンワル首相は10月25日、「国語の十年」カーニバルおよび「国民読書の十年」の開会式で行ったスピーチの中で、マレー語を守るため、マレー語以外の言語で書かれた文書については送り返すよう政府機関に指示したことを明らかにしていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月2日)

 

ペラ州新空港建設よりイポー空港拡張が現実的=運輸相

【イポー】 ペラ州政府が希望している新国際空港建設に関連し、アンソニー・ローク運輸相は、新空港建設には多くの時間と資源がかかると述べ、既存のイポー空港(スルタン・アズラン・シャー空港)を拡張する方が現実的との考えを示した。

自身が書記長を務める民主行動党(DAP)の州年次集会に出席するためにペラ州を訪問したローク氏は、ペラ州政府が以前、セリ・イスカンダルにおける新空港建設を提案していたのは事実だとした上で、新空港の建設には国家計画評議会から承認を得るなど長い時間と資源が必要とされると指摘。「 今なすべきことは、観光産業のためにイポー空港を改良する方法を見つけることだ」と述べ、新空港計画には否定的な考えを示した。

その上でローク氏は、現政権はイポー空港の拡張に照準を合わせており、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)と協議すると言明。MAHBに対して、イポー空港を改善するだけでなく、拡張し規模を拡大する必要があると伝えたと述べた。

同州セリ・イスカンダルに新国際空港を建設する計画については、サアラニ・モハマド州首相が先ごろ、運輸省(MOT)と財務省(MOF)の承認を待っていると述べていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、10月29日)

次期国王にジョホール州スルタンを選出、来年1月31日に即位

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 次期国王を決める選挙を行うための特別統治者(スルタン、ラジャ)会議が27日に開催され、第17代国王にジョホール州スルタン、イブラヒム・スルタン・イスカンダル殿下(64)が選出された。即位日は2024年1月31日で、任期は5年間。

イブラヒム殿下は1958年11月22日生まれ。「物言うスルタン」として知られ、電子たばこの禁止や公休日の土・日曜から金・土曜への変更を独断で発令するなど、トップダウンで政治的決定を下して物議を醸す一方、クリスマスにキリスト教徒に対し祝福のコメントを発表したり、イスラム教徒が異教徒の祭事に参加することは何ら問題がないと発言するなど、開明的な人物として知られる。

なお副王には、ペラ州スルタン、ナズリン・ムイズディン・シャー殿下が選出された。任期は国王と同じく2024年1月31日から5年間。

2024年1月30日で退任するアブドラ・リアヤトゥディン・アルムスタファ第16代国王(パハン州スルタン)は、2019年1月、前国王のスルタン・ムハンマド5世(クランタン州スルタン)が突然退位したことを受け、統治者会議の国王選定会議で選出され、同年1月31日付けで即位していた。

マレーシア連邦憲法によると統治者会議における▽ネグリ・センビラン▽セランゴール▽ぺルリス▽トレンガヌ▽ケダ▽クランタン▽パハン▽ジョホール▽ペラーーの9州を統治する9人の統治者による互選で決定されることが建前となっているが、実質的にはこれら統治者による任期5年の輪番制となっている。

マレー語以外の文書の受取拒否、首相が政府機関に指示

【サイバージャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は、すべての政府機関に対し、マレー語以外の言語で書かれた、いかなる文書も受け取らないよう指示したことを明らかにした。連邦憲法第152条では、マレー語がマレーシアの国語だと規定されている。

アンワル首相は25日、「国語の十年」カーニバルおよび「国民読書の十年」の開会式で行ったスピーチの中で、「我々は国際貿易言語として英語を使用することに同意するが、一部の政府機関、公立・私立大学、民間企業の中には、国語の原則を放棄しようとする行き過ぎた態度がみえる」と指摘。政府機関との間ではマレー語でコミュニケーションすることが義務付けられているとし、すべての政府機関に対し、地元企業や公立・私立大学からマレー語以外の言語で手紙を受け取った場合は、差出人に返送するよう要請した。

その上でアンワル首相は、こうした措置について英語能力の重要性を損なうものではないと言明。自身が米国ジョージタウン大学で講義を行った経験を引用し、英語力の重要性を決して過小評価しているわけではないと強調した。

■サラワク州は従わない方針■
アンワル首相の発言を受け、サラワク州のアブ・バカル・マルズキ州務長官は、地元企業、公的機関、民間団体からの英語による公式通信を受け入れる慣行を維持するとし、同州としてアンワル首相の指示に従うつもりはないと述べた。

独自性を主張するサラワク州のアバン・ジョハリ州首相は昨年6月、州公務員が国語であるマレー語と並んで英語を公用語として維持すると宣言していた。
(ザ・スター、ザ・サン、10月26日)

2024年度予算案発表、歳出規模は3938億リンギに拡大

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は13日、下院議会に2024年度(2024年1月1日ー12月31日)予算案を提出した。

予算案のテーマは「経済改革と国民のエンパワーメント」で、▽サービスの迅速性のための最良のガバナンス▽成長を加速させるための経済改革▽国民生活水準の向上ーーの3つに注力する。

来年の国内総生産(GDP)成長率が4ー5%になるとの予想から、予算規模はGDPの19.9%に相当する3,938億リンギとし、今年度の3,881億リンギを上回った。

歳入予想は3,076億リンギで、今年度の3,032億リンギを上回る見込み。財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2022年の5.6%、2023年の5%を下回る4.3%にとどまる見通しだ。

一般歳出は全体の77.1%を占める3,038億リンギで、今年度の2,891億リンギを上回った。省庁別では教育省が587億リンギで最も多く、保健省が412億リンギで続いた。一方、開発予算は900億リンギで、今年度の990億リンギを下回った。

対象を絞った補助金制度は、来年度から段階的に導入する。補助金合理化による余剰金はラーマ(慈悲)現金援助制度に基づく現金給付予算の増額に当てる。

サービス税を6%から8%に引き上げる。ただし食品・飲料・通信は対象から除外する。

非上場企業株売却におけるキャピタルゲイン税10%を2024年3月1日から実施する。また宝飾品や高級腕時計など一部の高額商品を対象に、5ー10%の贅沢税を課税する。

電子インボイス制度を、年間売り上げ1億リンギ超の会社を対象に、2024年8月1日から義務化する。1億リンギ以下の企業に対しても、2025年7月1日までに段階的に義務化する。

再投資税優遇措置を、70%または100%の再投資税控除の形で「階層化」ベースで実施する。

電動バイクの普及を目指し、年収12万リンギ以下を対象に2,500リンギの補助を行う。また充電施設の使用料につき、4年間で最大2,500リンギを所得税控除とする。ネットメータリング(NEM、太陽光発電と消費電力を相殺する仕組み)を2024年12月31日まで延長する。

社会保障機構(SOCSO)制度における、対象給与の上限を6,000リンギに引き上げる。

グローバル・ミニマム課税(GMT)については、2025年に導入する予定。連結売上高7億5,000万ユーロの多国籍企業(MNC)に対し事業を行う場所で15%課税するというもので、税逃れを防ぐ狙いがある。

2021年10月に大幅に厳格化された、外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラムについては見直しを行う。

東マレーシア向け開発予算をサラワク州に58億リンギ、サバ州に66億リンギをそれぞれ割り当てる。

今後も生活費軽減策を継続=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、国内のインフレが緩和しているが、国家生活費行動会議は、「慈悲(ラーマ)プログラム」や「アグロ・マダニ・セールス」を通した生活費軽減策を継続することを決定したと明らかにした。
国家生活費行動会議の議長を務めたアンワル首相は、生活費軽減策を継続する理由について、国民の生活費上昇に対処するという公約に沿って行うと説明した。また、「マレーシア・マダニ」による福祉の強化のため、連邦政府や州政府など全ての政府機関と非政府組織に協力を呼びかけると述べた。

また会議では、国民が直面している生活費の負担軽減をさらに議論するため、3件の検討文書と2件の通知文書が提出されたと言明。その中には鶏肉や鶏卵、医薬品、砂糖などに関するものが含まれていたとし、鶏肉や鶏卵については2022年2月から実施されている価格規制に関して話し合ったと明らかにした。医薬品については、価格表示メカニズムにより、医薬品販売の透明性を高めることができると指摘。また砂糖に関しては、供給に混乱が生じる可能性を認識しているとし、これらの問題を閣議に提出するとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月4日、ボルネオポスト、10月3日)

全所得層のEV所有を可能に、金融支援策で=ザフルル大臣

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は2日、対象を絞った補助金や金融支援策などを通じ、すべての所得層が電気自動車(EV)を所有できるようにしたいとの考えを明らかにした。

ザフルル大臣は、経済マスタープラン「マダニ経済」に沿い、国内のEV充電インフラを拡大するための取り組みを強化していると言明。EV政策により、EV登録台数は、2022年には3,400台、2023年9月には7,500台を超えるなど順調に増加しており、EV産業への投資も、2018年から今年3月までに262億リンギに達しているとした。

ザフルル大臣はまた、EV政策の推進と同時に「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」と連動して「送電網のグリーン化」を行う必要があるとし、テスラのマレーシア進出などにより、EVエコシステムを強化し、地域のEV生産拠点としてのマレーシアの可能性を高め、さらなる投資を誘致していくと述べた。EVサプライチェーンの構築が国内企業の繁栄や人材育成につながり、世界に影響を及ぼすようなイノベーションが増えることを期待しているとしている。
(ザ・サン、10月3日、ザ・バイブス、ベルナマ通信、10月2日)

馬・中首脳会談、継続的意思疎通を図ることで合意

【南寧】 中国広西チワン族自治区の南寧で16日に開幕した第20回中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)エキスポ(CAEXPO)に出席のため同地を訪問したアンワル・イブラヒム首相は同日、中国の李強首相と会談し、南シナ海問題などを話し合った。アンワル氏によると、同問題について両首脳は、継続的意思疎通を図ることで合意した。

中国は8月末、「2023年度版標準地図」を公表したが、南シナ海の大部分を領海とし、サバ州とサラワク州沖の広範囲の排他的経済水域(EEZ)についても中国の領海と主張。マレーシア政府は正式に反論しており、フィリピンやベトナムも反発している。

アンワル氏は、会談を通じて2国間・域内・国際協力に関し、開放性、礼儀、包括性、相互尊重を原則とする未来を共有する共同体であるとのコンセプトを李首相と共有したと述べ、そうした価値はアンワル氏が掲げたバランス重視の「マレーシア・マダニ」コンセプトとも一致するものだと強調した。

また会談の中で李首相からは、地域の国際安全保障問題に取り組むためのASEAN中心性構想への支持表明があり、米国と中国の対立などから自由なASEAN圏を支持するとの発言があったという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、9月18日)

野党若手が16日に反副首相デモを計画、支持派も対抗デモ呼びかけ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アハマド・ザヒド副首相に対する汚職事件の起訴取り下げに反発する野党連合・国民同盟(PN)青年部が中心となって、9月16日の「マレーシア・デー」に合わせて大規模な抗議デモを計画している。

「セーブ・マレーシア(マレーシアを救え)」の主催グループは、クアラルンプール(KL)のそごうショッピングモール前で行うと発表していたが、警察が許可しない可能性があることから、開催地はブキビンタンなどに変更される可能性があるという。

主催メンバー、バドゥルル・ヒシャム・シャハリン氏は14日、代表が警察から呼び出されて開催しないよう圧力をかけられたと明かした上で、予定通り開催すると言明。開催場所については、間違いなくKL中心部になると述べた。
野党主体の抗議デモに関しては、ザヒド副首相を総裁に頂く統一マレー国民組織(UMNO)青年部などが、これに対抗してザヒド支持のデモの開催を呼びかけている。

UMNOのジャマル・メディ・ユノス氏は、かつて自身が率いた青年部グループによる「赤シャツ隊」の復活を呼びかけた。「赤シャツ隊」は2015年、ナジブ・ラザク首相の退陣を求める大規模集会「BERSIH(クリーン)4.0」に対抗し、「マレーシア・デー」に数万人規模の大規模デモを開催した経緯がある。

第12次マレーシア計画中間レビュー発表、150億リンギを追加

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は11日、第12次マレーシア計画(12MP、対象期間2021ー2025年)の中間レビューを下院議会で発表。150億リンギを追加で割り当てると明らかにした。

アンワル首相は、12MPで掲げられた175の目標のうち、現時点で31%がすでに達成され、59%が予定通りに進捗していると説明。12MP全体の開発予算4,000億リンギのうち、これまでの支出額は、2021年に643億リンギ、2022年に716億リンギと全体の34%にとどまっているが、150億リンギを新たに追加することにより、2023ー2025年に毎年900億リンギを支出していく予定だとした。用途としては、貧困の撲滅、老朽化した学校や診療所の補修、清潔な水の供給、イスラム経済の先導など、基本的なインフラ整備や国民の基本ニーズに応じることからスタートするとしている。

アンワル首相はまた、2025年までに▽国際規格「ISO 37122:2019(持続可能な都市とコミュニティースマートシティの指標)」に基づき、5主要都市に対するスマートシティ認定を取得▽洪水対策としての都市排水システム改善▽農民の所得向上に向けた農業近代化▽年間国内総生産(GDP)成長率5%以上▽財政赤字をGDPの3.5%まで縮小ーーを目指すと述べた。