イスラム開発局、外国のハラル認証機関の認定手続きを見直し

【クアラルンプール】  マレーシア・イスラム開発局 (JAKIM) は、外国のハラル(イスラムの戒律に則った)認証機関(FHCB)の認定手続きを見直し、それらの機関が世界のハラル基準に適合しているかどうか確認を行っている。

モハマド・ナイム・モクタル首相府相(宗教問題担当)は5日の下院質疑の中で、現在までに47カ国・85のFHCBに対して認定を付与しており、それらが認証したハラル商品がマレーシアに輸入されていると言明。「JAKIMはマレーシアのハラル基準が引き続き遵守されるように、FHCBの定期的な監査と検査も実施している」とし、文書監査、製造業者の施設への訪問、FHCBの継続的な監視を行っていると述べた。

その上でナイム氏は、JAKIMが行っているFHCB認定申請用のオンラインシステム「MyIHAB」の開発が最終段階にあると言明。同システムは、FHCB申請プロセスの管理における効率性と完全性を向上させることを目指しているとした。
JAKIMは先ごろ、▽中国の中国イスラム協会(CIA)▽クロアチアのハラル品質認証センター(CHQC)▽フランスのリヨン大モスク儀式協会(ARGML)――のFHCB3機関の認定を取消、これらが認証したハラル製品のマレーシアへの輸入を禁止すると発表していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、3月5日)

財政赤字3.8%の目標は守る=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は3日、下院で補足歳出案を第2読会に付した際の演説で、政府は今年度の財政赤字を国内総生産(GDP)比で3.8%に引き下げるとの約束を守ると表明した。

アミル・ハムザ氏は「アンワル政権が成立した2022年に引き継いだ政府債務は1兆リンギだった。予算赤字を続ければ債務は増加する。マレーシアは1998年から赤字続きだが、経常支出を賄うためではなく開発事業を推進するための借り入れだった」と説明。財政責任法に示したように、28年には3%への縮小を図ると述べた。

2024年の政府債務は1兆2,000億リンギでGDP比64%。現在の政府には経常支出を賄うだけの歳入があるので、財政赤字は22年の5.5%に対し2023年は5%に縮小。2024年は4.1%で、目標の4.3%を上回った。各年の政府借り入れも減少傾向にあり、2022年の1,000億リンギに対し、2023年は926億リンギ、2024年は770億リンギだった。
(ザ・スター、3月5日、ビジネス・トゥデー、3月4日)

ペナン島内の公共駐車場料金、3日から50%値上げ

【ジョージタウン】 ペナン島市議会(MBPP)は3日からの公共駐車場の料金50%値上げを決めた。長時間駐車や渋滞緩和のためで、値上げは11年ぶり。

駐車料金は、30分あたりで40センから60センに、1時間あたりで80センから1.2リンギに、1日料金は6リンギから9リンギに、それぞれ引き上げられた。ただし月極め料金は150リンギに据え置かれた。

ラジェンドラン・アンソニー市長は、「半日近く車を停めたままにする人がいて、駐車スペースを探すドライバーで渋滞が悪化している」と説明。エリアによっては駐車時間の制限を設けることも検討しているという。

また、違法路上駐車の取り締まりなどを強化。商業ビルなどの民間駐車場にも、同じ料金体系を採用するよう協力を呼びかけている。一方で、駐車スペースの拡充にも取り組んでいくとしている。
(ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、3月2日)

QRコードによる陸路での入国審査、年内に自動車にも拡大へ

【クアラルンプール】 政府は、シンガポール間の陸路でのQRコードを利用した入国審査について、現在は対象はバスとオートバイ利用者に限られているが、年内にも自動車利用者にも拡大する方針だ。ファディラ・ユソフ副首相が3日、述べた。

政府は昨年6月、陸路国境にあたるジョホール州バングナン・スルタン・イスカンダル(BSI)およびスルタン・アブ・バカル・コンプレックス(KSAB)での入国審査において、マレーシア国民はQRコードを利用できる制度を試験導入していた

ファディラ副首相はこの日、シンガポールとのコーズウェイ(連絡道)の渋滞に関する特別委員会に出席。1日50万人の越境者の80%がバイクとバスの利用者とし、QRコードの導入でバイク1台が通過するのに3秒しかかからなくなったと説明。「以前は15分間にレーンを通過できるバイクは90台だけだったが、導入後は150台が通過できるようになった」と付け加えた。

さらに、この実証実験の成功に基づき、年内には対象を自動車の利用者にも拡大。2026年にはマレーシア観光年(ビジット・マレーシア2026)も控えていることから、合わせてジョホール州だけでなく、クランタン、ペルリス、ケダの各州の入国審査や、クアラルンプール国際空港(KLIA)など国内の主要空港への拡大も検討していくとした。
(ザ・スター、3月4日、ベルナマ通信、3月3日)

KLの渋滞緩和に向け「渋滞税」導入を検討=首相府相

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の慢性的な交通渋滞緩和策として、「渋滞税」の導入が検討されている。「KL交通マスタープラン2040(PITKL2040)」に盛り込まれている渋滞対策の1つで、現在有効性評価に向けた調査が行われている。

ザリハ・ムスタファ首相府相(連邦直轄地担当)は下院議会の答弁の中で、最終決定が下される前に、調査結果を道路交通渋滞に関する内閣委員会(JKMKJR)に提出し、さらに検討すると言明。「マレーシア交通安全研究所(MIROS)とマレーシア・グリーン技術・気候変動公社(MGTC)は現在、渋滞税導入の有効性に関する調査を実施している」と述べた。

ザリハ氏は、KLの交通渋滞に対処するには、国民の公共交通機関利用を促す包括的なエコシステムを開発する必要があると強調。「2020年に公共輸送機関を管轄する国営プラサラナ・マレーシアが実施した調査では、交通渋滞により200億リンギの損失が発生したことが明らかになった」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、2月25日)

バンダルマレーシア計画、完了までに50年=首相

【クアラルンプール】 国内最大級の1,400億リンギ規模の不動産開発計画「バンダル・マレーシア」について、完了までに50年かかる見込みだ。財務相を兼任するアンワル・イブラヒム首相が明らかにした。

計画は、クアラルンプール(KL)のスンガイベシにある空軍基地跡地約200ヘクタールを開発するもの。昨年12月に、国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)傘下のKLCCホールディングスが、バンダル・マレーシアからの土地買収を発表していた。

アンワル首相によると、開発はホールディングスの完全子会社KLCCデベロプメントが実施。1万戸の低価格住宅、50エーカーのマレー人保護区、公園などが整備されるという。「土地の規模から考えると開発全体では50年はかかると予測されるが、最終的には大きな経済的価値を国民にもたらすと確信している」とした。
(マレー・メイル、2月21日、フリー・マレーシア・トゥデー、2月20日)

国家リモートセンシング衛星プログラム、28年に運用開始

【クアラルンプール】  国家リモートセンシング衛星開発プログラム(PSPJN)が2028年に運用開始される見通しだ。チャン・リーカン科学技術革新相が下院議会質疑で明らかにした。

PSPJNは国家宇宙政策2030(NSP2030)に基づくもので、外国の衛星データへの依存を減らし、国内の衛星運用を通じて国家主権と安全保障を強化し、戦略的データの所有権を強化することを目的としている。政府は現在、選定された入札企業と交渉段階にあり、入札企業とともに21日までコスト及びリソースの最適化やリスク管理のためのバリューマネジメント・ラボを開催する。

チャン氏は「衛星が運用開始されると、受信および認証されたデータの量に基づいて政府が定期的に支払いを行うことになる」と述べ、これにより、データの価値に応じた支払いが保証されると共に、衛星データプロバイダーが高品質基準を維持することが促進されるとした。要件に関しては、入札企業とコンセッション契約文書を最終決定する際に詳細が詰められるという。

チャン氏はまた、マレーシア宇宙局が国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)監督下の1967年の「宇宙条約」と、1975年の「宇宙物体登録条約」の2つの条約を批准することに同意したことを確認した。
(ザ・サン電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月18日)

国家安全法の改正、アンワル首相が内相に指示

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は「2012年国家安全(特別措置)法(SOSMA)」の改正をサイフディン・ナスティオン内相に指示した。閣議後の記者会見でファーミ・ファジル通信相が明らかにした。どのような改正になるか、内相が議会で説明する。

ファーミ・ファジル氏によると、既にいくつかの見直し、改善で合意している。SOSMAは、裁判なしの恣意的拘留を認めた治安維持法に替わるものとして導入されたいきさつがある。SOSMAの下でも当局は被疑者を最長28日間、拘束することが認められており、導入当時政府は、テロや組織犯罪の増加に対処するために必要だとしていた。

13日の議会答弁でアンワル首相は、テロに対処するためSOSMAは必要だが、反対者を黙らせるためというような乱用があってはならず、内容を明確化する必要があるとした。

最近、SOSMA違反容疑で拘留されている約50人の活動家の家族が、面会を拒否されたため刑務所外でハンガーストライキを行う出来事があった。
(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、2月14日)

平和的集会法を次の会期で改正へ、問題条項の施行を停止

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は13日の下院審議で、「2012年平和的集会法」を次の会期中に改正すると表明した。改正の眼目は、集会場所の所有者、占有者の許可取得を主催者に義務付けている第11条項の廃止で、改正により主催者は集会開催を5日前に警察に届け出るだけでよい

政府は同条項の施行一時停止も警察に指示した。この結果、政党関係者や大学生ら200人あまりが参加した汚職反対集会への捜査は停止され、参加者は罪に問われない。

同集会ではそごうショッピングモールからムルデカ広場へ行進が行われたが、そごう、クアラルンプール市役所の許可取得で集会主催者と警察が対立したいきさつがある。

「2012年国家安全(特別措置)法(SOSMA)」を見直す、あるいは廃止する意向はあるかとの質問に対し、アンワル氏は「乱用があってはならないが、テロの脅威のない国はない。テロに対処する法律は必要だ」と維持を表明した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、2月13日)

 

行政サービスのデジタル決済、導入加速を首相が指示

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は12日、行政サービス料金のデジタル決済を可能にするアイペイメント(iPayment)システムの導入を、当初予定の4月から3月に前倒しするよう、すべての省庁に指示した。3月中の100%施行を求めている。

アイペイメントは会計検査長官局が開発したシステムで、行政サービスの利用者はデビットカード、クレジットカード、プリペイドカード、インターネットバンキング、QRコード、eウォレットを利用した決済が可能。面倒な役所手続きの削減、能率向上が狙い。アンワル氏は行政窓口の長い待ち列を例にとり、デジタルによる解決の必要性を示していると強調した。

アンワル氏は「われわれが行っている改革の利益を多数の国民が享受することが最も重要だ。アイペイメントの導入で迅速かつ便利な公共サービスを提供する」と述べた。

アイペイメントは2024年3月にオンライン決済手法として導入された。今回は第2期で、窓口での決済、モバイルアプリでの決済が可能になる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、2月12日)