労働安全衛生法の罰則強化、下院議会で可決

【クアラルンプール】「1994年労働安全衛生法」の改正版である「2020年改正労働安全衛生法」が27日、下院議会で可決された。罰金が10万ー50万リンギ、懲役年数も1 ー3年となるなど、罰則が強化された。
新設された第26条では、職場に差し迫った危険があると思われる場合、従業員が雇用主に危険性を通知した後、職場から退去できる権利が与えられた。また、第52条の改正により、取締役は本法が規定する犯罪に対して共同責任を負うことになる。
M.サラヴァナン人的資源相によると、在宅勤務に関しては雇用法の改正により対応する。12月14ー16日の第2読会で扱われる「2021年改正雇用法案」に含まれるという。
同相はまた、労働安全衛生委員会が1ー8月に18万件の職場調査を行った結果、138件が裁判にかけられ、総額156万リンギの罰金が科せられたとし、新法における罰則の強化により、労働者の健康や安全がより守られることになると述べた。
(ザ・スター、10月28日)

来年度予算案に「驚く要素」盛り込む=イスマイル首相

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、29日に発表される2022年度予算案について、「Keluarga Malaysia(マレーシア家族)」精神に則ってすべての国民に恩恵をもたらす「驚く要素」が盛り込まれると言明した。
イスマイル首相は、予算案が「国民から、国民による、国民のため」の予算案になると言明。新型コロナウイルス「Covid-19」によってもたらされた国難から誰も取り残されないように配慮したものなるとした上で、B40、M40グループや零細業者への支援、中小企業が資金を利用できるようにするための支援策が盛り込まれると言明。失業対策として多くの雇用を創出し、新常態への転換と共に国と経済をパンデミック前のレベルに戻すものになると強調した。
イスマイル首相は、予算案策定にあたって包括的で透明性のあるものとするために政府のネットを通じて募った5万を超える一般国民からの提案を考慮したと言明。パンデミックによって悪影響を受けた企業を回復させ、労働者に恩恵をもたらす税制上の優遇措置を求める産業界の声にも配慮したと述べた。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、10月27日)

緊急令の廃止、下院議会で正式可決

【クアラルンプール】 下院議会は25日、非常事態宣言下で発令されていた7つの緊急令の廃止について全会一致で可決した。感染対策に関する緊急令の廃止に伴い、違反した際の罰則や罰金も引き下げられる。
 廃止の対象となるのは、▽2021年緊急令(基本権限)▽2021年改正緊急令(感染症の予防と制御)▽2021年改正緊急令(従業員の住宅、宿泊施設、アメニティの最低基準)▽2021年緊急令(基本権限)第2号▽2021年改正緊急令(基本権限)▽2021年改正緊急令(犯罪者の強制出頭)▽2021年改正緊急令(国家信託基金)ーー。
 審議では、多くの議員が非常事態は失敗だったとし、緊急令の失効についても、非常事態宣言終了後ではなくもっと早い段階で議論すべきだったとの見解を示した。
非常事態宣言は8月で終了したが、緊急令については先ごろワン・ジュナイディ首相府相(法律・国会担当)が「来年2月まで引き続き適用される」と述べていた。
緊急令については、7月に当時首相だったムヒディン・ヤシン氏が、アブドラ国王の承認なしに無効にすると発表したことで大きな非難を浴び、政権維持のための過半数議席が確保できなくなり、その結果首相を辞任するに至った。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、10月25日)

州議選控えたマラッカ州、感染予防のため選挙集会を禁止

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マラッカ州議会の選挙戦が始まることを受け、カイリー・ジャマルディン保健相は選挙絡みの集会や説教(Ceramah)社交行事を10月25日から11月27日まで禁止すると発表した
新型コロナウイルス「Covid-19」の感染再拡大を防ぐためで、「2021年感染症防止コントロール規則」を適用し、選挙絡みの宗教、スポーツ、娯楽、社会、文化など目的を問わず、集会を開催することが禁じられる。マラッカ州議会選挙の公示は11月8日、投開票は11月20日に行なわれる。
集会の禁止が発表されたことを受け、同州与党連合の国民戦線(BN)、野党連合の希望同盟(PH)の幹部や人権団体などからは批判の声が上がっている。
BN構成党の統一マレー国民組織(UMNO)幹部は、対面での選挙活動を禁止することは民主主義を損なうものだと批判。PH構成党の民主行動党(DAP)幹部は、選挙活動が制限されることは織り込み済みだったとし、代わりにオンラインによる選挙活動に力を入れていくと述べた。
一方、民主的な選挙を求める非政府組織、「Bersih2.0」は、選挙委員会がテレビ討論会など選挙活動の代替案を各党に提示すべきだと指摘した。

マラッカ州議会選、11月20日に投開票と決定

【マラッカ=マレーシアBIZナビ】 10月5日に解散したマラッカ州議会について、選挙委員会(EC)は18日、11月8日の公示、11月20日を投開票とする州議会選挙日程を明らかにした。
マラッカ州議会では10月4日、与党系議員4人がスレイマン・モハマド・アリ州首相(統一マレー国民組織=UMNO)支持を撤回すると発表。スレイマン州首相支持が過半数を割り込んだとして、退陣を要求した。これを受けた同州元首であるモハマド・アリ・ルスタム知事はスレイマン州首相が州議会で過半数の支持を失ったと判断、翌10月5日に州議会の解散を宣言した。
解散を受け、憲法の規定により州議会選挙が60日以内に開催されることとなったが、昨年のサバ州議会選後に新型コロナウイルス「Covid-19」感染者が急増した例もあり実施を危ぶむ声が上がっていた。
マラッカ州議会の定数は28で、昨年3月の政変劇でUMNOなどを構成党にもつ政党連合・国民戦線(BN)が14議席、共闘するPPBMが2議席、無所属1議席の合計17議席を擁して、州政権を希望同盟(PH)から奪回したが、今回4人が政権から離脱したことで合計13議席となり過半数を割り込んだ。
すでに州議会選に向けて各党派が動き出しており、政権与党の国民同盟(PN)も構成党間の議席配分調整に着手しているが、これまで議席をもっていなかった汎マレーシア・イスラム党(PAS)が候補を擁立する意向を示しており調整難航も予想される。

低所得者層向けローン返済支援プログラム、11月15日から

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 連邦政府は、「財務管理・耐久プログラム(URUS)」と称する低所得者向けローン返済支援プログラムを実施すると発表した。11月15日から申請受付を開始し、2022年1月31日が締め切りとなっている。
政府がこれまで行ってきた新型コロナウイルス「Covid-19」により影響を受けたグループに対する支援策を補完するもので、世帯収入が下から50%を占める5,880リンギ以下の低所得者層(B50)を対象としたローン返済支援プログラム。3カ月の金利免除、利率引き下げを含む24か月の低額分割払いなどが受けられる。また無担保ローン/ファイナンスや個人のクレジットカード所有者も、金利引き下げの恩恵を受けることができる。
銀行セクターとクレジット・カウンセリング債務管理機関(AKPK)が共同で行うもので、銀行セクターは同プログラム実施のために合計10憶リンギを割り当てている。

労働安全衛生マスタープラン発表、健康的な労働文化形成目指す

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は13日、「労働安全衛生マスタープラン2021ー2025(OSHMP25)」を発表した。健康的な労働文化の形成を促進させ、「マレーシア幸福指数(MyWI)」の向上を図る。
イスマイル首相は、職場での事故や死亡、病気の感染率を下げると説明。職場のみならず、在宅ワークなども考慮して策定したと述べた。OSHMP25は、▽公共部門における労働安全衛生(OSH)の向上▽職場での自主規制の慣行強化▽OSHの教育および研究▽労働衛生の強化▽中小企業におけるOSH順守の向上▽技術を取り入れたOSH強化▽交通安全やインフォーマルセクター(非公式経済)などにおけるOSHの改善ーーを柱としていると言明。OSH順守を怠ると国内総生産の年間売り上げは4%減少すると述べた。
またイスマイル首相は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染症にも触れ、感染拡大は公衆衛生のみならず、経済的、社会的にも大きな影響を与えたと指摘。現状を乗り切るために、在宅勤務を実施したり職場での働き方を変える必要があるとした。
「労働安全衛生マスタープラン2020」では、労働者1,000人当たりの事故発生率は2.18%低下した。死亡率も45%ダウンした。また2020年の1万人当たりの死亡率は2.09%で、前年の3.83%を下回った。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、10月13日)

 

科学技術革新省、2025年までに5千社の起業を目標

【クアラルンプール】 科学技術革新省(MOSTI)は、2025年までに5社のユニコーン企業(評価額が10億米ドル以上の未上場スタートアップ企業)を含む5,000社の起業を目標に、スタートアップ開発ロードマップを策定している。アダム・ババ科技相が11日、上院で明らかにした。
同相によると、MOSTIは、国内スタートアップ企業の発展を促進するため、年内に「マイスタートアップ(MyStartup)」という名称の包括的プラットフォームを立ち上げる。起業家とさまざまな機関や関連省庁を結び、資金調達、トレーニング、助言などを受けられる場とする。
同相は、既存の国内ユニコーン企業として、中古乗用車取引のカーサム・マレーシアの例を挙げた。カーサムは、MOSTI傘下のベンチャー投資会社MAVCAP(マレーシア・ベンチャー・キャピタル・マネジメント)を通じて1,400万リンギの資金提供を受け、また、500スタートアップスやゴビ・パートナーズなど、様々なベンチャーキャピタルからも資金提供を受けているため、インドネシア、タイ、シンガポールなどへの海外進出やネットワーク拡大が可能になったとした。ドローンサービスを提供しているエアロダイン・グループ・マレーシアも、MOSTIの2,500万リンギの投資により、「ドローンサービス企業ランキング2021」において世界第5位から第1位のドローン点検企業へと成長したと強調した。
また、シンガポールとの間の新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種証明書の相互承認について、保健省、外務省、国家サイバーセキュリティー局とともに、両国で技術面についての議論を重ねてきたと説明。両国は7月6日に相互承認について合意したが、関連政策や技術についてはいまだ改良中だと述べた。
(ザ・サン、10月12日、ベルナマ通信、10月11日)

政府債務は今月末には対GDP比で60%超に、国会で財務相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル財務相は11日、下院における法案審議でガ・コーミン議員(希望同盟所属)の質問に対し、政府債務は10月末には対国内総生産(GDP)比で法定上限の60%を超えるとの見通しを示した。コロナウイルス対策に追加予算を組んだためだ。
政府収入1リンギに対する利子負担は18セン。債務返済能力を示す元利金返済カバー率は今年が18%となる390億リンギ、来年が431億リンギ程度になるという。
法案には、法定債務上限の65%への引き上げと、ウイルス対策予算の増額が含まれており、発声投票で承認された。
ザフルル氏によると、中期的計画として政府は財政赤字を対GDP比で25年までに3ー3.5%に減らすことを目指す。
ガ議員は、法案が承認されると政府債務は1兆3,000億リンギになり、国民1人当たり4万リンギに相当するとし、債務削減の行程表の明示を求めた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月11日)

「マレーシア家族」チームを立ち上げ、国民を支援=首相

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は8日、「Keluarga Malaysia(マレーシア家族)」のためのチームを発足させた。女性家族共同体開発省傘下の社会福祉局が主導し、各省庁機関、民間企業、非政府組織(NGO)で編成。全国から約1万人を動員し、全ての国民を支援の網の目からこぼさないよう、支援の仕組みを調整していく。
8日には、クアラルンプールのアンカサプリで「マレーシア家族」プレ公開イベントが開催され、閣僚や政府関係者が参加した。その場でイスマイル首相は、「このコンセプトを確実に成功させるために、各省庁が最適な支援策を確認している」と説明。これは、援助を必要とする国民の負担を軽減するため、「パフォーマンス重視」の考え方を根づかせる最初のステップだと強調した。「マレーシア家族」の公式発表は、22日にサラワク州クチンで行われる予定だ。
イスマイル首相は、8月22日の首相就任演説の中で「マレーシア家族」について初めて触れ、国民に対し、それぞれの違いを横に置き、「共栄ビジョン2030」実現に向けお互い協力するよう呼びかけていた。「マレーシア家族」は、宗教、民族、人種の垣根を越えた包括的な概念であり、マレーシア国民が一つの家族として団結することを促すためのものだという。
(ザ・スター、10月8日)