エンデミックに備えた規制緩和策、4省トップで検討

【クアラルンプール】 ヒシャムディン・フセイン上級相(国防相兼任)は、新型コロナウイルス「Covid-19」がエンデミック(風土病)の段階に入るのを見越して、新たな標準的運用手順(SOP)策定と緩和策について4省のトップで近く検討を行なうと明らかにした。
ヒシャムディン氏によると、カイリー・ジャマルディン保健相、テンク・ザフルル財務相、アヌアル・ムサ通信マルチメディア相と近く会合を行い、SOPの調整を行なう方針。話し合う内容には、州・地区を跨いだ移動の自由化やより多くの分野での活動再開を認めることなどが含まれる見通しだ。
ヒシャムディン氏はまた、関係省庁の合意の上で決まったSOPの変更や規制緩和策について、より理解しやすく更新するよう国家安全委員会(NSC)に求めたことを明らかにした。
全国的にワクチン接種が進んでいることから、カイリー保健相は先ごろ、10月末までにはエンデミック(風土病)の段階に入るとの見通しを示し、標準的運用手順(SOP)も簡素化の方向に向かうだろうと述べていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、9月6日)

コロナ自己検査キットの上限価格を設定、価格大幅引き下げへ

【プトラジャヤ】 政府は5日付で、新型コロナウイルス「Covid-19」自己検査(抗原迅速検査)キットの上限価格を設定し、卸売価格16リンギ、小売価格19.90リンギとすると発表した。
アレクサンダー・ナンタ・リンギ国内取引消費者行政相とカイリー・ジャマルディン保健相が2日に発表した共同声明によると、保健省が一般使用を承認している自己検査キットは11ブランド。このうち、7つは唾液、4つは鼻腔ぬぐい液を使用する。キットの多くは28ー40リンギットで販売されているため、今回の上限価格の設定により小売価格が大幅に引き下げられることになる。
上限価格以上で販売した場合、2011年価格統制・不当利得防止法に基づき、個人の場合、5万リンギ以下の過料、または10万リンギ以下の罰金、あるいは3年以下の懲役、もしくはその両方が科せられる。会社の場合は、25万リンギ以下の過料、もしくは50万リンギ以下の罰金または25万リンギが科される。

カイリー氏は、国民の間で定期的に検査を実施する計画の一環として、自己検査キットをより手頃な価格で入手できるようにすると述べた。価格をさらに下げるための大量購入やB40(下から40%の低所得者層)世帯にはキットを無料で提供することも検討するという。
8月25日付の「スター」紙の報道によると、消費者団体や健康団体は政府に対し、自己検査キットをより安価にするよう求めていた。
(ザ・スター、9月3日、エッジ、9月2日)

MM2Hの申請条件厳格化、内務相が再検討を約束

【クアラルンプール】 外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラムにおける条件が厳格化されることについて、ハムザ・ザイヌディン内務相は再検討を行なうことを約束した。MM2Hプログラムは、昨年8月に申請受付が凍結されていたが、条件を厳格化した上で10月から申請受付が再開されることになっている。
ハムザ内務相は、長期滞在ビザを取得したもののマレーシアに居住していない人々が7千人に上っていることが条件厳格化の理由だったと指摘。マレーシアの経済に貢献できる人々だけがビザを取得することができるようすることが目的だったと述べた。
その上で、すでにビザを取得している人々が条件厳格化によってマレーシアに滞在できなくなることを不安視していることに言及。これらの人々に対する条件については再考する考えを示した。
8月に発表された新条件では、ビザ有効期間の10年から5年への短縮、年間ビザ料金引き上げ、年間90日間のマレーシア滞在義務化などが盛り込まれたが、特に問題視されているのが資産証明に関する条件が厳格化。これまで月1万リンギだった海外所得が4倍の4万リンギに、これまで35万—50万リンギだった銀行への定期預金額が100万リンギに大幅に引き上げられた。
条件を満たせなくなればビザ更新が出来なくなることから既存のプログラム参加者もが強く反発。またビザ代行業者、不動産業界なども経済に悪影響を及ぼすと強く反対しており、ジョホール州スルタン、イブラヒム殿下も批判していた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ザ・スター、9月1日)

国会再開が1週間延期に、イスマイル新首相濃厚接触のため

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 9月6日に予定されていた国会再開が、9月13日に1週間延期されることが決まった。ニザム・マイディン事務局長が各議員に通達を出した。
イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相就任後の初の国会となり、新首相の信任投票も行なわれる予定だったが、肝心のイスマイル首相が新型コロナウイルス「Covid-19」濃厚接触のため自己隔離に入ったことから延期が決まった。
イスマイル首相は8月30日に行なわれた閣僚の宣誓式に参列できなかった。宣誓式には感染が確認されたモハマド・アラミン副教育相も欠席している。
また9月30日までの15日間の予定となっていた会期についてもすべての議案及び動議を取り扱うために日程を2日間増やすことが決まった。10月12日までの17日間に変更される。
国会日程の変更について、野党・民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長は、コロナを理由とした延期は理解できるとした上で、アブドラ国王も望んでいる新首相の信任投票は必ず行なわなければならないとクギを刺した。

第12次マレーシア計画、9月27日に発表

【プトラジャヤ】 首相府は、次期5カ年計画、第12次マレーシア計画(12MP、対象期間;2021ー2025年)の発表が9月27日になると明らかにした。

ムスタパ・モハメド首相府相(経済問題担当)は、12MPの策定がほぼ完了していると述べた上で、首相府経済企画局(EPU)がイスマイル首相にブリーフィングを行なう予定だと述べた。

ムスタパ氏はまた、イスマイル首相が内閣発足後100日内に各閣僚に成果を出すよう求めていることに言及。2022年度予算における開発予算の取り纏めと12MPの策定がEPUの主な業務になると強調した。その上で、12MPではサバ・サラワク州など遅れている6州を特定した上で、これら州と地域間の格差の是正、世帯所得格差の是正に焦点を当てるとし、水、電気、インターネットなどの基本的インフラの普及に力を入れる内容も盛り込まれると述べた。

12MPの策定作業は2019年7月に開始され、2020年8月に発表される予定だったが、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の影響を受けて当時のムヒディン•ヤシン政権下で見直しが行なわれ、2021年1月への発表延期となり、さらにその後、9月20日に再延期されていた。

(ベルナマ通信、ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月1日)

イスマイル内閣発足、変化ない顔ぶれに失望の声も

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ内閣が8月30日に正式に発足したが、ムヒディン・ヤシン前内閣から閣僚の顔ぶれに大きな変化がないことから、政策の継続性に安堵する向きがある一方、変化を期待する方面からは失望する声が上がっている。
テンク・ザフルル財務相の留任について、資本市場では財政・金融政策の方向性が継続されるとの安堵感が広がっている。テンク・ザフフル財務相はこれまでの景気対策の実施や省庁間調整・実行部門(Laksana)の責任者、国家復興計画(NRP)調整大臣を兼任している。ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)代表的指数FBM KLCIはイスマイル首相就任が確定的となった8月20日から上昇を続けている。
カイリー・ジャマルディン前科学技術革新相の保健相への横滑り就任についても、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種プログラムの推進で実積をあげており、適任だと評価する声が上がっている。
一方、いまだに多くの経済・社会活動がストップしている状況を作り出したムヒディン内閣の失政に対する批判から、大きな改革を期待していた向きからは多くの閣僚が留任していることに失望する声が上がっている。
野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首(元副首相)は8月25日に就任早々のイスマイル首相と面会した際には、イスマイル首相から野党への歩み寄りが見られたと好意的な見方を示していたが、閣僚の発表を受けて「リサイクル内閣」と批判。「我々は変化を求めていたが失望した」と述べ、イスマイル首相が100日の間に成果を出すことを各閣僚に求めたことについては、ムヒディン内閣で過去1年半も変化がなかったのに100日で成果が出せるのかと酷評した。
マハティール・モハマド元首相は、今回の首相交代と代わり映えしない新内閣陣容でマレーシアが世界中の笑い者になっていると指摘した上で、さらに笑い者にならないためにも内閣信任投票はもはや不要だろうと皮肉った。

イスマイル内閣の閣僚人事が決定、留任&横滑りが多数

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ新首相は27日、閣僚人事を発表した。30日に就任式をおこなう予定。

新型コロナウイルス「Covid-19」に関連する対策が急務であることから、財務相や通産相、内務相などの重要ポストをはじめ留任、横滑りが多く、副大臣の経験もない初入閣は1人だけという経験重視の顔ぶれ。期待されていた野党や在野からの登用といったサプライズはなく、連立与党各党のバランスを配慮しながらの新味の乏しい陣容となった。

閣僚に起用されたのは首相を除いて31人。副首相は発表されず、上級相に▽アズミン・アリ前通産相(統一プリブミ党=PPBM)▽モハマド・ラジ前教育相(PPBM)▽ファディラ・ユソフ前公共事業相(サラワク・ブミプトラ保守党=PBB)——の3人が兼任のまま留任し、新たにヒシャムディン・フセイン前外務相(統一マレー国民組織=UMNO)が国防相兼任で昇格した。

新型コロナ対策を重視して、保健相と科学技術革新相ポストを入れ替え、ワクチン接種プログラム調整相を兼任して実積を上げているカイリー・ジャマルディン前科学技術革新相(UMNO)が保健相に、アダム・ババ前保健相(UMNO)が科技相に異動する。

テンク・ザフフル・アブドル・アジズ財務相、ハムザ・ザイヌディン内務相(PPBM)、M.サラヴァナン人的資源相(マレーシア・インド人会議=MIC)、ロナルド・キアンディ農業農業関連産業相(PPBM)、ウィー・カション運輸相(マレーシア華人協会=MCA)、ナンシー・シュクリ観光芸術文化相(PBB)、アレクサンダー・ナンタ・リンギ国内取引消費者行政相(PBB)、ノライニ・アハマド高等教育相(UMNO)、リナ・ハルン女性家族共同体開発相(PPBM)、トゥアン・イブラヒム・トゥアン・マン環境相(汎マレーシア・イスラム党=PAS)、ハリマー・モハメド・サディク国民統合相(UMNO)、ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)(PPBM)——が留任となった。

その他の閣僚ポストは次の通り。

◎首相府相(特任)・・・アブドル・ラティフ・アハマド前地方開発相(PPBM)

◎首相府相(法律・国会担当)・・・ワン・ジュナイディ氏(PBB)

◎首相府相(宗教問題担当)・・・イドリス・アハマド氏(PAS)

◎首相府相(サバ・サラワク州担当)・・・マキシマス・オンキリ氏(サバ団結党=PBS)

◎外務相・・・サイフディン・アブドラ前通信マルチメディア相(PPBM)

◎通信マルチメディア相・・・アヌアル・ムサ前連邦直轄地相(UMNO)

◎農園・一次産業相・・・ズライダ・カマルディン前住宅地方自治相(PPBM)

◎住宅地方自治相・・・リーザル・メリカン・ナイナ前青年スポーツ相(UMNO)

◎起業家開発共同組合相・・・ノー・オマル氏(UMNO)

◎連邦直轄地相・・・シャヒダン・カシム氏(UMNO)

◎エネルギー・天然資源相・・・タキユディン・ハッサン前首相府相(PAS)

◎地方開発相・・・マハジル・カリド氏(UMNO)

◎青年スポーツ相・・・アハマド・ファイザル・アズム氏(PPBM)

セランゴール州、ブースター接種の準備に着手

【シャアラム=マレーシアBIZナビ】 セランゴール州政府は、同州独自の新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種プログラム「SelVAX」に基づき、ブースター接種の準備に着手した。
同州議会審議で同州公衆衛生・共同体・女性家族開発委員会のシティ・マリア・マハムード議長(国政の閣僚に相当)が明らかにした。準備を進めるにあたっては、18歳以下のワクチン接種と共に特ワクチン供給アクセス保証特別委員会(JKJAV)の承認が条件になるという。
ブースター接種については、同州のアミルディン・シャリ首相が先ごろ、国家医薬品規制庁(NPRA)の承認が得られれば、成人人口の80%が最低1回の接種を終えた段階で実施される可能性があると言明。SelVAXに基づく接種準備に入ると明らかにしていた。
連邦政府はブースター接種に関する議論を先送りにして、まだワクチンを接種していない人、もしくは1回だけの人を優先的に接種する方針だが、セランゴール州以外にもサラワク州が独自でブースター用ワクチンを確保する意向を明らかにしている。

国王が閣僚人事に同意、27日に発表へ

【クアンタン=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ新首相は26日、アブドラ国王に新閣僚候補の名簿を披露し国王から同意を得た。首相府は27日に新閣僚名簿を発表し、30日に宣誓式を行うと明らかにした。

イスマイル・サブリ首相は、午前11時ごろからパハン州クアンタンのスルタン王宮に入り、滞在中のアブドラ国王に拝謁。昼食を含めて2時間半ほど王宮に滞在した。

王宮側の発表によると、イスマイル・サブリ首相は閣僚候補の名簿を国王に提示し、国王はこれに同意したという。具体的な内容は明らかにされていない。

ムヒディン•ヤシン前首相の辞任後、新型コロナウイルス「Covid-19」感染対策および経済復興に注力する必要から、アブドラ国王は次期首相に向けて与野党の垣根を超えた挙国一致内閣を希望していた。

イスマイル・サブリ首相は、野党を閣内に入れることは考えていないと言明していたが、25日には野党連合・希望同盟(PH)の構成3党のトップと会談し、党派を超えた協力で合意していた。

サラワク州、独自の長期滞在ビザの条件を維持へ

【クアラルンプール】 連邦政府による外国人の長期滞在を奨励する「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」プログラムの申請条件の厳格化が先ごろ発表されたが、サラワク州政府は独自で実施している「S-MM2H」の条件を今後も変更しない方針だ。
同州のアブドル・カリム・ラーマン観光芸術文化相は、S-MM2Hプログラムがサラワク州への質の高い外国人長期滞在者を引き付けることを目的としているとし、昨年9月1日以降使用されている既存の基準を今後も維持すると言明。プログラムの推進が、同州の観光セクターに利益をもたらすだろうと述べた。
「S-MM2H」は、単身の場合は同州内の銀行に15万リンギ、夫婦の場合は30万リンギの定期預金、海外収入証明が単身は月7,000リンギ、夫婦は同1万リンギ。40—49歳のみ総額60万リンギ以上の同州内での不動産投資、年間15日以上の同州滞在——などが条件で、50歳以上では資産証明・定期預金以外の条件はない。S-MM2Hビザを取得して、マレーシア国内の他州に在住することも可能となっており、10月から施行される連邦政府の「MM2H」条件よりかなり緩やかとなっている。
連邦政府が発表した新たな「MM2H」取得条件は、海外収入証明が4倍の月1万リンギ、銀行預金額も大幅人に引き上げられ、年間90日間のマレーシア滞在義務などが新たに課されている。このため申請者が激減するとビザ代行業者や不動産業界が不満を募らせている。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、8月24日)