サブリ上級相が副首相に昇格、ヒシャムディン外相は上級相に

サブリ上級相が副首相に昇格、ヒシャムディン外相は上級相に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 首相府は7日、イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)を副首相に任命すると発表した。副首相ポストは、2020年3月にマハティール•モハマド前首相率いる希望同盟(PH)政権が崩壊して以降、空席となっていた。

ムヒディン•ヤシン首相の補佐役として新型コロナウイルス「Covid-19」禍における保健・経済政策の指揮をとる。現在の国防職はそのまま兼任する。人事案はすでにアブドラ国王に提出されている。

サブリ氏は、ムヒディン首相率いる与党連合・国民同盟(PN)と協力関係にある国民戦線(BN)構成党・統一マレー国民組織(UMNO)の総裁補の1人。昨年3月のムヒディン政権発足時に、国防相に指名されると共に新設された4人からなる上級相ポストに就き、主に保安面において新型コロナ対策の陣頭指揮に当たっていた。

■ヒシャムディン外相は上級相に昇格■

首相府はまた、サブリ氏の副首相昇格を受け、ヒシャムディン・フセイン外務相が上級相に昇格すると発表した。ヒシャムディン氏はサブリ氏が担ってきた保安面の役割を引き継ぐことになる。外相職は兼任する。

ヒシャムディン氏はUMNOの元総裁補で、2018年5月の総選挙の敗北を受けてナジブ•ラザク総裁(元首相)が辞任した直後には繰り上げ人事で副総裁代行を務めていたが、同年6月の党役員選挙では出馬せず一般党員となっていた。

ただUMNO内ではいまだに隠然たる支持基盤を有しており、アハマド・ザヒド・ハミディ総裁(元副首相)が汚職罪で訴追される中にあって、ポスト・ムヒディンのUMNO側の有力候補として推す声も上がっていた。

来年度予算は国民生活支援が柱に、メイバンク投資銀見解

【クアラルンプール】メイバンク・インベストメント・バンクは22年度の予算について、1,000億リンギ近くの赤字になる拡大予算で、パンデミックによる国民生活への対処が中心になるとの予想を示した。
主任エコノミストのスハイミ・イリアス氏は下半期の市場見通しに関する説明会で「従業員積立基金(EPF)からの年金原資引き出し容認、融資返済猶予といった措置は盛り込まれない。資金に限度があるためだ。パンデミックで生活水準が下がった国民の生計支援に政府は注力する」と語った。
格付け会社のソブリン債に対する評価について、スハイミ氏は格付けに影響を与える要素のいくつかはマレーシアに不利と指摘。政府債務の増加と収入に占める利子返済率の15%から17%への上昇を挙げた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月6日)

「第4次産業革命に関する国家政策」を発表

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 政府は1日、「第4次産業革命(4IR)に関する国家政策(国家4IR政策)」を発表した。マレーシアをテクノロジーとデジタル化によって高所得国へと変革することを目的とする。
ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)は、テクノロジーは生活の質と経済成長の向上に重要かつコロナ後の生活様式にも必要不可欠であることから、技術立国を目指して「国家4IR政策」を起草したと述べた。
▽国民が4IRに関する知識とスキルを身につける▽デジタルインフラの整備を通じて接続性のある国家を作る▽技術の変化に柔軟に対応できるよう、将来のニーズを想定した適切なルールを策定する▽イノベーションと4IR技術の導入を加速する——という4つの目標が掲げられ、これらは今後省庁が4IR関連プログラムを策定する際の指針とされる。プログラムは、政府により指定された16の戦略、32の全国的イニシアチブ、60の部門別イニシアチブによって推進される。
カイリー・ジャマルディン科学技術革新相は、強化する5つのコア・テクノロジーとして▽人工知能(AI)▽モノのインターネット(IoT)▽ブロックチェーンと分散型台帳技術(DLT)▽クラウド・コンピューティングを活用した先端材料の開発▽ビッグデータ分析(BDA)——を定めたと発表した。同省はこれらのテクノロジーに関連する政策やロードマップの策定に取り組んでいるという。
「国家4IR政策」はムヒディン・ヤシン首相が2月に発表したデジタル経済促進のための青写真「マイデジタル」を補完するもの。2030年までにすべての分野で生産性を2020年比30%向上させることを目標としている。

セランゴール州の制限令厳格化、「場当たり的」との批判の声

【クアラルンプール】 7月3日付けでセランゴール州の大部分で強化行動制限令(EMCO)が発令されることを受け、同州選出の野党系下院議員は「無知すぎる」、「場当たり的」と与党連合・国民同盟(PN)政権を厳しく批判している。
野党・民主行動党(DAP)所属のチャールズ・サンチアゴ下院議員は、一部の企業や労働者をロックダウンで苦しめながら、多くの必需セクターで営業継続が認められるのであればEMCOは無意味だと指摘。標準的運用手順(SOP)が緩められたEMCO発令は場当たり的であり、6月1日の完全ロックダウン時にもっと厳しい制限を課すべきだったとした。
その上でサンチアゴ氏は、連邦政府はむしろ州内における集団検診と予防接種を推進すべきと指摘、例えば工場に3日に一度のスピード検査キットを使った感染検査を義務づけるべきだとした。またワクチン接種のために人々を待たせるのではなく、こちらからワクチンを届けるべきとした。
野党・国民信任党(Amanah)所属のカリド・サマド下院議員は、連邦政府が発表したEMCOの概要をみると十分にターゲットを絞り切れておらず、クラスターがどこにあるかを特定できていないようだと指摘。州内のクラスターの80%が工場からのものだが、連邦政府はこうした見解を考慮していないようだと述べた。
またカリド氏は、EMCO実施発表が2日前だったことに言及。住民がパニック買いをしないで済むよう十分な猶予を与えるべきだったと述べた。営業時間の短縮についても、短時間に多くの人が殺到し「密」な状態を作ってしまうと批判。対策をしているとアピールするだけのための場当たり的政策が多すぎるとし、もっと州政府と連携して問題点を分析すべきだとした。
(フリー・マレーシア・トゥデー、7月1日)

州ごとにコロナ規制緩和できる仕組み、政府が検討

【クアラルンプール】 国家復興計画(NRP)において定められているロックダウン緩和基準について、イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は1日、全国一律ではなく州ごとに次のフェーズに移行できる仕組みに関する検討に入ったことを明らかにした。

サブリ氏は、国家安全委員会(NSC)が、感染者数を人口10万人当たりとするなど州に合わせた判断基準を検討していると言明。新型コロナウイルス「Covid-19」対策で成果を上げている州もそうでない州と一律に厳しい規制下におくことは不公平だと述べた。

第1フェーズから第2フェーズへの移行条件は▽全国の新規感染者数が1日平均4千人以下になること▽ICU稼働率を中程度に下げるなど公共衛生システムの危機的状況から脱すること▽総人口の10%のワクチン接種完了——となっている。第2フェーズでは、必需品・サービスに属さない製造・非製造業の11のセクターでの操業再開が認められることになっている。

ペルリス、クランタン、トレンガヌの3州について、近く国家復興計画(NRP)における第2フェーズに移行されるとの噂が浮上していることについて、サブリ氏は判断基準を検討している段階であり、まだ何も決定していないと言明。最終的には保健省もしくはNSCから発表があるだろうと述べた。

「アストロ・アワニ」が情報筋の話として報じたところによると、これら3州では第2フェーズ移行の3条件をすでに満たしていることから、ムヒディン•ヤシン首相に第2フェーズへの移行提案が提出されているという。

なお6月24日からの1週間の新規感染者数の推移はペルリス州が5人、0人、4人、0人、5人、0人、5人、クランタン州が135人、98人、103人、133人、101人、131人、159人、トレンガヌ州が29人、46人、29人、16人、23人、21人、20人——となっている。

(マレー・メイル、6月30日)

インターネット無料提供、12月31日まで継続

【クアラルンプール】 国内通信各社が新型コロナウイルス「Covid-19」中に提供している1日1ギガバイト(GB)のインターネット通信の無料提供が、12月31日まで延長される。ムヒディン・ヤシン首相が28日発表した。「人民保護と経済回復パッケージ」(PRMULIH)の一環。
無料化継続には国内の主要通信事業者の合意を得ている。5億リンギの価値があり、全国4,400万人の顧客が恩恵を受けるという。
ムヒディン首相は、その他3つのデジタル化への取り組みを発表した。
キャッシュレス取引を促進するための「小規模企業デジタル化プログラム(PUPUK)」では、2億リンギを零細・小企業(MSME)に、1億リンギを中小企業(SME)に割り当て、バザール、ファーマーズマーケット、ナイトマーケット、露店などの30万以上の零細企業や手工業者を対象に、オンラインビジネスへの移行と電子キャッシュシステムの利用を促進する。
「中小企業デジタル化助成金」では割り当てられていた1億リンギを増額し、中小企業がシステムの購入やデジタルプラットフォームへの加入を行う際に最大5,000リンギの助成金を受けられるようにする。
「農業セクターデジタル化・変革プログラム」では、農村地域の農業起業家を対象とし、最新デジタル技術の活用を促進する。
(ベルナマ通信、6月28日)

一部の官庁の窓口業務、7月1日から再開へ

【クアラルンプール】 政府官僚のトップ、モハマド・ズキ・アリ官房長官は、完全ロックダウン発令を受けて閉鎖されている一部の官庁の窓口業務を7月1日より再開すると発表した。
窓口業務の再開が認められるのは、オンラインで実施できないサービスのみが対象。ただ登庁する人員が職員全体の50%に制限されているため、窓口対応を希望する人は事前予約が必要になる。国家安全委員会(NSC)及び保健省が定めた標準的運用手順(SOP)を厳格に守ることを優先する。
6月1日の完全ロックダウンの実施に合わせて、官庁も一部を除いて窓口業務を停止していた。しかし完全ロックダウンが二度にわたって延長されたことから、国民からは窓口業務の再開を求める声が上がっていた。なお保健、出入国管理、警察、税関などの必須業務に関しては、完全ロックダウン後も通常通り窓口業務が続けられている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、星州日報、6月29日)

完全ロックダウン再延長決定、飲食店の営業時間は緩和

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン•ヤシン首相が27日、新型コロナウイルス「Covid-19」新規感染者数が1日当たり4千人を下回るまで完全ロックダウン(MCO3.0)を続けると発言。6月28日には5,218人となり、28日以降も継続されることが決まった。

新規感染者数は5月16日から1カ月以上も目安である4千人を一度も下回っていない。6月1日に発令された完全ロックダウン後も大きな減少はみられず、今月23日からは6日連続で5千人を上回っている。近日中の4千人以下の達成は難しくなっており、ロックダウン長期化の容相を呈している。

完全ロックダウンは6月1日に2週間の期限で発令され、その後さらに6月28日まで2週間延長されていた。再延長の見通しが強まったことを受け、イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、打撃が大きい飲食店への配慮から28日より営業時間制限を午前6時から午後10時までに緩和すると発表した。

ただし店内飲食は引き続き禁止され、デリバリーと持ち帰りのみが認められる。現在の営業時間は半島部で午前8時から午後8時まで、サバ州では現在午前7時から午後7時まで、サラワク州では午前6時から午後8時までとなっている。

1500億リンギ規模の支援策、ムヒディン首相が発表

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン•ヤシン首相は28日、長引く新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の影響を緩和するため、「人民保護と経済回復パッケージ(Pemulih=回復)」と称する大型支援策を新たに発表した。

6月1日付けで発令された完全ロックダウンが再延長されたことに伴いダメージが拡大する国民生活を経済を下支えするもので、今回で8回目となる。規模は総額1,500億リンギで、うち100億リンギは財政出動による。

今回で4度目となる賃金助成金制度(PSU4.0)に38億リンギを割り当てる。4カ月にわたり1人当たり1カ月600リンギを支援する。一つの企業当たり最大500人までカバーする。4,000リンギの給与制限は撤廃する。250万人の労働者が恩恵を受けるとみられる。またロックダウンのために操業できない中小企業向けの一時金に51億リンギを割り当てる。

電気料金は7月から9月まで3カ月間、最大40%割り引く。ロックダウンのために操業停止となっている雇用主に対する人材開発基金(HRD)への拠出を2カ月間免除する。生活費の負担増加問題に対処するため、「RON95」ガソリン、ディーゼル、液化石油ガス(LPG)価格を据え置く。

中・低所得世帯1,100万世帯向けの一時金「新型コロナ特別支援(BKC)」に46億リンギ割り当てる。給付額は極貧レベルの世帯で1,300リンギ、下から40%を占める低所得者層「B40」世帯には800リンギ、40%を占める中間所得層「M40」世帯には250リンギ。また単身世帯には極貧層に500リンギ、「B40」に200リンギ、「M40」に100リンギをそれぞれ給付する。

ムヒディン首相は5月31日、完全ロックダウン実施に伴う国民生活、経済を支えるための措置「国民と経済を強化するための戦略的プログラム(PEMERKASA)プラス」(総額400億リンギ規模、財政出動分50億リンギ)を発表していた。

完全ロックダウン再延長へ、「4千人以下になるまで」ムヒディン首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は27日、新型コロナウイルス「Covid-19」新規感染者数が1日当たり4千人を下回るまで全国的な完全ロックダウン(MCO3.0)を継続すると言明した。

国家復興計画(NRP、PKP)の第1フェーズとなる完全ロックダウンは6月1日に2週間限定で発令された後、感染者が減らないことからさらに2週間延長され、28日で期限を迎えることになっていた。ただ26日までの直近の4日間は連続して5千人を超えており、延長やむなしとの見方が強まっていた。

ムヒディン首相はまた、完全ロックダウンが延長されたことを受けた国民生活や経済を支援するための財政政策を28日、もしくは29日に発表すると言明した。

15日に発表されたPKPでは、復興段階を4つのフェーズに分けた上で、次のフェーズに移行する基準が明らかにされた。第2フェーズへの移行指標は▽新規感染者数が1日平均4千人以下になること▽ICU稼働率を中程度に下げるなど公共衛生システムの危機的状況から脱すること▽総人口の10%のワクチン接種完了——となっており、続く第3フェーズへの移行指標は▽新規感染者2千人以下▽ICU病床稼働率が適切なレベルに低下▽総人口の40%のワクチン接種完了——となっている。