行政サービスのデジタル決済、導入加速を首相が指示

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は12日、行政サービス料金のデジタル決済を可能にするアイペイメント(iPayment)システムの導入を、当初予定の4月から3月に前倒しするよう、すべての省庁に指示した。3月中の100%施行を求めている。

アイペイメントは会計検査長官局が開発したシステムで、行政サービスの利用者はデビットカード、クレジットカード、プリペイドカード、インターネットバンキング、QRコード、eウォレットを利用した決済が可能。面倒な役所手続きの削減、能率向上が狙い。アンワル氏は行政窓口の長い待ち列を例にとり、デジタルによる解決の必要性を示していると強調した。

アンワル氏は「われわれが行っている改革の利益を多数の国民が享受することが最も重要だ。アイペイメントの導入で迅速かつ便利な公共サービスを提供する」と述べた。

アイペイメントは2024年3月にオンライン決済手法として導入された。今回は第2期で、窓口での決済、モバイルアプリでの決済が可能になる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、2月12日)

26年からの自動車価格大幅引き上げ報道、財務省が否定

【クアラルンプール】 新たな物品税規則(物品税目的の現地生産品の価値の決定)に伴い2026年から車両価格の大幅値上げが見込まれると報じられている件で、財務省は11日、車両評価方法の見直し作業はまだ続いており、最終方針が決まったというのは不正確だと否定した。

財務省は、透明なオープン市場評価 (OMV) は、現在見直し中の物品税規則の中で示されている計算方法だとした上で、投資貿易産業省(MITI)および自動車業界と共同で、税金が公平かつ中立的かつ一貫して課されることを確実にするために、自動車評価方法の見直しを進めていると指摘。まだ最終決定を下していないと強調した。

先ごろ経済紙「エッジ」は、自動車業界が、現地組立車(CKD)に対する物品税の改定を今年12月31日まで延長することが決定したと報道。さらなる延長はない可能性が高いため、2026年から価格が大幅に上昇する可能性が高いとした。

一方、地元の自動車オンラインポータル「Wap Car」は、マレーシア自動車協会(MAA)がOMV物品税改定が2026年1月まで延期されることを確認したと報じ、「改定が実施されれば10―30%の価格上昇につながる可能性がある」としていた。
(エッジ、ベルナマ通信、2月11日)

チップの中国への密輸疑惑、ザフルル大臣は輸出規制順守を強調

【クアラルンプール】 高性能の半導体チップがマレーシアを経由して中国に密輸されているとの疑惑について、テンク・ザフルル投資貿易産業相はベルナマテレビの番組で「密輸経由地とされているとの主張を深刻にとらえている。半導体流通センターとしてのマレーシアの地位が悪用されることを望まない。われわれは輸出規制を厳格に順守している」と述べ、疑惑を否定した。

さらに「マレーシアの政策は、米国、欧州連合、英国が施行している規制と軌を一にしている」とした上で、政府は国際協力を強化し、AIアプリに使われるエヌビディアなどのチップの流れを記録し、監視を強化すると述べた。

中国のディープシークが極めて低コストで第3世代AIモデルを開発したことについてザフルル氏は「ディープシークの成功は、AI技術が数カ国あるいは大手企業の独占物ではなくなったことを意味する。AIがより多数に利用可能となる」と述べた。

半導体分野でほとんどのマレーシア企業は後工程(検査・組み立て)を手掛けているが、そこからの脱却が必要とし、設計、ウエハー製造を重視する方針を示した。
(エッジ、マレー・メイル、2月7日)

首都圏の高速道路、朝夕ピーク時の大型車両通行を禁止に

【クアラルンプール】 首都圏クランバレーの高速道路で2月19日より、朝夕のピーク時間帯の大型車両通行が禁止される。マレーシア高速道路庁(LLM)のサザリ・ハルン長官が明らかにした。大型車両の時間帯通行制限は昨年10月21日に公示されていた。

首都圏における特定の高速道路の渋滞緩和が目的で、時間は月曜日から金曜日(祝日を除く)の午前6時30分から午前9時30分まで、午後4時30分から午後7時30分まで。対象となる大型車両はバスを除く、2軸6輪のクラス2自動車、および3軸以上のクラス3自動車。ただし清掃車、廃棄物運搬車、家庭ごみ運搬車、緊急サービス、高速道路の保守作業に携わる大型車両には適用されない。

対象となる高速道路は▽南北高速道路(NSE)▽新クランバレー高速道路(NKVE)▽南北高速道路中央リンク(ELITE)▽ドゥタ―ウル・クラン高速道路(DUKE)――の4路線。対象区間はNSEはスンガイ・ブローとブキ・ランジャン(両方向)の456.0キロ―459.3キロ区間、NKVEはシャアラムとジャラン・ドゥタ(両方向)の9.0キロ―31.0キロ区間、ELITEはシャアラムとバンダル・サウジャナ・プトラ(両方向)の1.03キロ―16.2キロ区間で、DUKE高速道路は全線となっている。
(ザ・スター電子版、ザ・サン電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月7日)

マレーシア、中・韓・越製平圧延鋼材のダンピング調査を開始

【クアラルンプール】 マレーシア政府は、国内の鉄鋼メーカーからの訴えを受け、中国、韓国、ベトナム製の平圧延鋼材に関するダンピング(不当廉売)について調査を開始した。

ダンピング調査は、CSCスチール・ホールディングスの100%所有子会社であるCSCスチールによる申し立てを受けて実施されるもので、CSCは3国から輸入された亜鉛メッキ鉄鋼コイルまたは鋼板が通常の市場価格を下回る価格で販売されており、マレーシアの鉄鋼業界に重大な損害を与えていると主張している。

2月6日に発行された連邦政府官報によると、政府は「1993年相殺関税および反ダンピング関税法」第20条に基づき、反ダンピング関税実施に向けた調査を正当化する十分な証拠があると判断した。投資貿易産業省(MITI)は、疑われているダンピング行為により、輸入量の増加、国内企業の市場シェアの減少、収益性の低下、価格の下落、国内鉄鋼メーカーの資金調達不能が生じたとしており、3国の政府を含むすべての関係者に対し、疑惑に対する証拠と主張を提出するよう要請した。

MITIは調査対象となった3国の国内鉄鋼生産者、輸入業者、輸出業者にアンケートを配布する。またその他の関係者にも通知の公表から15日以内に調査に参加するよう要請している。
(エッジ、2月6日)

マレーシア、中国製鋼線に対する反ダンピング関税措置を見直し

【クアラルンプール】 マレーシア投資貿易産業省は5日、2024年8月8日に行われたダンピング課税率の変更を決定するための行政審査に基づき、中国製プレストレストコンクリート用撚線鋼線に対して行っている反不当廉売(ダンピング)関税措置を見直すと発表した。

マレーシア王立関税局が2025年2月5日から2026年12月24日まで21.72%の税率で、反ダンピング関税の徴収を実施する。天津銀龍預応力材料に対しては9.07%、天津達陸鋼絞に対しては課税率を3.12%とする。

反ダンピングの訴えは国内企業を代表してサザンスチールの子会社であるサザンPCスチールが行っていたもので、反ダンピング調査は2021年3月31日に開始され、2021年12月25日から銀龍に対しては9.47%、達陸に対しては2.09%、その他は21.72%の5年間有効の反ダンピング課税を向こう5年間課すことが決定していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、2月5日)

 

今年の祝祭シーズンの有料道路は5割引=公共事業相

【クアラルンプール】 アレキサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相は4日、今年の祝祭シーズンの有料道路の通行料金は50%割引が適用されると言明した。今年1月の旧正月連休では祝日に先立つ平日2日間が50%割引されたが、その際の閣議決定ですでに年間を通じて同様の措置になることが承認されているという。

昨年は祝祭シーズンとして計8日間が無料になったが、今年も同じ程度の日数で割引が実施され、旧正月同様、対象はクラス1の乗用車のみとみられる。これにより全て無料とした場合に1億6,000万リンギに上るとみられる公費負担が、半分の8,000万リンギに軽減される。

ナンタ大臣は今後のニーズを踏まえある程度柔軟に対応する余地はあるとする一方で、「無料化は公的負担で実現していたことを認識してほしい。節約分は道路整備に活用される」と改めて強調した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、2月4日)

電気料金の値上げは産業界・超富裕層にのみ影響=首相

【クアラルンプール】 7月に予定されている電気料金の値上げについて、アンワル・イブラヒム首相は、産業界及び超富裕層にのみ影響するとし、総人口の85%の国民には影響しないと強調した。電気料金値上げは、不均衡コスト転嫁(ICPT)メカニズムに基づいて実施される。

アンワル首相は4日の下院議会答弁で、「政府の電力料金値上げに対する姿勢が二転三転している」と非難した野党議員の指摘に対して反論。電気料金の値上げが必要だとする発言は産業界に向けたもので、学校、病院、その他の公共の利益となるプログラムなどに資金をより多く割り当てるための政府の取り組みの一環だと主張した。

電気料金については1月、「1キロワット時(kWh)あたり現行の39.95センから14.2%値上げされ45.62センとなる」と報じられたが、アンワル首相は先のイベントでそれは事実ではなく14%未満になると発言した上で、電気料金値上げの必要性を強調していた。

政府は現在、85%以上の世帯に電気料金に補助金を支出している。電気基本料金はインセンティブベース規制(IBR)の枠組みの下でエネルギー委員会によって設定され、3年ごとに見直されることになっている。基本料金に加えて不均衡コスト転嫁(ICPT)メカニズムがあり、これは6カ月ごとに見直される。次回の関税見直しは2025年7月に予定されている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、2月4日、マレーシアン・リザーブ、2月3日)

新たな国境管理機関が発足、国境検問所の管理を一元的に

【セパン/ジョホールバル】 新たな国境管理機関、マレーシア国境管理・保護庁(AKPS)の発足式が2日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)で行われた。ファディラ・ユソフ副首相は「円滑な国境管理の枠組みを構築する」と述べた。

これまで複数の政府機関が担っていた国境管理機能を一元的に引き受け、全国114カ所の国境検問所の管理を段階的に引き継ぐ。国境管理には人工知能(AI)を活用し、検問、通関をスムーズにする。初代長官はハザニ・ガザリ氏。

ファディラ副首相は「友好的で能率の良い国境を確保する。マレーシア観光年の2026年は多数の旅客の来訪が予想され、入国時に良い印象を持ってもらうよう努める」と語った。

国境管理の一元化で円滑な検問の実現を特に期待しているのがシンガポールとの国境検問所利用者で、バスを利用し第2リンク経由でシンガポールに通勤している土木技師のカレズ氏は、週末や祝祭シーズンの混雑にAKPSが有効に対処することを望むと述べた。
(ザ・スター、2月4日、ザ・サン電子版、ベルナマ通信、2月2日)

ディープシークAIの影響、マレーシア政府が調査

【シャアラム/ニューヨーク】 政府は中国の人工知能(AI)開発スタートアップ、ディープシークの言語モデルがマレーシアに与える影響の調査を開始した。「政府はディープシークとそのプラットフォームに重大な注意を払っている」(ゴビンド・シン・デオ デジタル相)という。

ディープシークはオープンソースの大規模言語モデル(LLM)開発を行っており、最新の言語モデルR1は1月20日にリリースされた後、アップルのアップストア無料アプリでダウンロード数トップになり、チャットGPTのライバルとして存在感を高めている。ディープシークの強みはコストの低さ。昨年12月に発表した「V3」モデルの開発費用は推定560万ドル。一方、チャットGPTなどは開発に数億ドルを要したとされる。

米国政府はバイデン政権末期に、安全保障上の脅威を理由に、先端半導体とAI技術の対中輸出を制限した。マレーシアへの先端技術輸出も制限した。米商務省は中国への輸出が禁止された半導体をディープシークが利用していないかの調査を開始しており、消息筋によると、中国への密輸拠点としてマレーシア、シンガポールなどが取り沙汰されているという。
(エッジ、2月2日、ザ・スター、1月30日、ストレーツ・タイムズ電子版、1月27日)