現行の身分証カードを刷新へ、セキュリティーを強化

【クアラルンプール】 政府は2012年に導入された現行の多機能身分証明書カード「MyKad」を、近く刷新する。シャムスル・アヌアル副内相は下院での答弁で、国家登録局が新たなMyKadを調達するための最終段階に入ったと明らかにした。

マレーシアの身分証カードの導入は1948年で、刷新は6回目。2011年にICチップ入りの多機能カードとなった。個人情報、指紋認証、出生時に割り当てられる12桁の番号をICチップに記録している。今回の刷新はセキュリティー機能の強化と、偽造、カード不正利用の防止が狙い。新たなカードでは耐久性のある熱可塑性プラスチックのポリカーボネートを採用する。レーザー彫刻、ホログラム技術を利用しセキュリティー機能を高める。記憶容量も増やす。

シャムスル氏によると、2022年から今年10月までの期間に当局は偽造MyKad、または他人のカード所持で497人を逮捕した。うち起訴に至ったのは190人で、130人は偽造カードを所持していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月21日、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、11月20日)

データセンター建設、ジョホール州が審査を厳格化

【シンガポール】 データセンター建設地として成長著しいジョホール州は過去5カ月間に、14件あったデータセンター建設申請のうち、外国企業からの申請4件に認可を与えなかった。州は審査機関としてデータセンター開発調整員会を設けている。

安易な建設許可が地域社会の水、電力供給をひっ迫させる恐れがあるためで、リー・ティンハン副委員長によると、適切な公益基盤がない場所での建設申請を却下した。地域への水供給に影響する恐れがあるためだという。

ジョホール州には13のデータセンターがある。シンガポールはアジア太平洋地域のデータセンターハブだったが、電力、土地不足からデータセンター建設を2019年から停止し、22年に解除していた。ジョホール州のデータセンターの一部はこの間に建設された。

6月以前、データセンター運営業者は開発案の許可申請のみジョホール州当局に提出すればよかった。しかし現在、州当局は▽水・電力消費を抑制するための持続可能性努力▽技能労働者向け高賃金職の創出▽データセンターの潜在的顧客の存在――が提案に含まれているかを審査している。

アンワル・イブラヒム首相は新年度予算案の上程に際し、高賃金職の創出・知識共有につながらないデータセンター建設に消極姿勢を示していた。
(シンガポール・ストレーツ・タイムズ電子版、11月19日)

ハラル認証取得、57%が非マレー企業=首相府相

【クアラルンプール】 イスラム開発局(JAKIM)が発行するハラル(イスラムの戒律に則った)認証(SPHM)について、11月10日時点で認証取得企業の57%をブミプトラ(マレー人と先住民の総称)以外の企業が占めている。

モハメド・ナイム・モクタル首相府相(宗教担当)によると、認証取得企業は9,520社で、うち5,449社、率にして57.2%は非ブミプトラ企業だった。ブミプトラ企業は3,803社で39.9%にとどまり、残りの3%(268社)は外資系企業だった。

ナイム氏によると、より多くのブミプトラ企業にハラル認証取得を促す取り組みとして、先住民信託評議会(MARA)、ブミプトラ・アジェンダ振興局(TERAJU)、マレーシア・マレー商工会議所(DPMM)などの関係者との戦略的協力が随時行われている。

2024年1ー9月のハラル製品の輸出額は450億4,000万リンギに達し、前年同期の393億6,000万リンギから大幅増加した。
(ワールド・オブ・バズ、11月16日)

米国新政権の経済政策を注視=第2財務相

【ジョージタウン】 マレーシアは、来年米国で誕生するトランプ新政権が新たな経済政策を打ち出すのを見守る。アミル・ハムザ第2財務相が11日、ペナン州で開かれた銀行主催の会議に出席した際の会見で表明した

アミル・ハムザ氏は「次期大統領のトランプ氏は組閣中だ。トランプ氏が就任後に打ち出す経済政策を注視し、世界経済をけん引するものかを判断する。就任は1月であり、まだ先の話だ」と語った。

アミル・ハムザ氏はまた、マレーシア経済は多様化しており、高い経済成長を維持できると確信していると強調。年初9カ月の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比5.1%で、9月の物価上昇率は1.8%、失業率は3.2%と低水準にあることを指摘した。
(ザ・スター、11月12日、ベルナマ通信、エッジ、11月11日)

中国との協力が地域全体に極めて重要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は中国訪問最終日の7日、マレーシアメディア向けに記者会見を開き、中国との緊密な関係を強調する一方で、来年開催の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として「近隣の国々に対しても積極的に関わっていきたい」と述べた。

アンワル首相は貿易、投資、デジタル技術、エネルギー、研修などの分野で、中国との関係が深まっていることを強調。中国がマレーシアをパートナー国として高く評価していることに感謝を示す一方で、「中国との緊密な関係は、特定の政党と連携していることを意味するものではない」と付け加えた。

また、ASEANだけでなく、新興国の連合体「BRICS」や、湾岸協力理事会(GCC)においても、「中国の関与が地域の繁栄を確保する上で不可欠であり、我々の協力が極めて重要な役割を果たすと確信している」と語った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、11月7日)

アンワル首相がトランプ氏に祝辞、地域への再関与を要請

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は米国の大統領選挙で勝利し、第47代大統領に就任するドナルド・トランプ前大統領に対する祝辞をフェイスブックとX(旧ツイッター)上に投稿した。

トランプ氏の大統領返り咲きは「新たな章であり、機会の一新をもたらす。マレーシアは楽観、協力心、目的の共有をもって前進する用意がある。両国人民の利益のため次期大統領と緊密に行動することを楽しみにしている」と表明。米国がマレーシアへの外国投資で最大国であることを取り上げた。

また、2025年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として、マレーシアは米国が東南アジアへの関与を再び強めることを期待すると表明。さらに「パレスチナ、ウクライナにおける破壊的行為、人命損失を終わらせる助けとなるよう米国がその多大な影響力を行使するよう求める」とした。

テンク・ザフルル投資貿易産業相もXに、トランプ氏勝利の祝辞を投稿。米国とマレーシアとの経済、貿易上の協力関係は長期にわたっているし、今後の関係強化に期待を表明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月7日、ビジネス・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、11月6日)

アンワル首相訪中、中国と「一帯一路」協力計画を締結

【上海】 中国を4日から4日間の日程で訪問したアンワル・イブラヒム首相は5日、同国の李強首相と共に、中国が主導する「一帯一路」協力計画に関する文書の手交式に立ち会った。政策の調整、貿易・投資、金融協力の拡大、文化・教育面などでの関係強化を通じ、協力関係をさらに強める。文書交換にはテンク・ザフルル投資貿易産業相と劉蘇社・国家発展改革委員会副主任が当たった。

アンワル氏の訪中は第7回中国国際輸入博覧会出席が目的。李氏との会談でアンワル氏は、マレーシアのBRICs(ブリックス)への参加申請を中国が率先して支持したことに謝意を表明した。マレーシアは10月24日、パートナー国として認められた。

アンワル氏は6日、多数の有力中国企業の関係者と円卓式で、また個別に会談した。会談相手には、著名ベンチャーキャピタルの成為資本の幹部が含まれる。会談後の同行記者団との会見でアンワル氏は、中国企業のマレーシアへの関心は高まっていると語った。上海訪問後は北京に入り、習近平国家主席を表敬訪問する。
(エッジ、ベルナマ通信、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月6日、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、11月5日)

合理化でRON95補助金が年80億リンギ節約=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は、来年半ばに実施を予定している対象を絞ったレギュラーガソリン「RON95」の補助金制度を通じた漏洩防止策により、年間80億リンギの補助金支出が節約できると述べた。

アミル・ハムザ氏は5日の下院議会質疑の中で、支給対象を所得上位15%(T15)以外に絞った新制度は、本来恩恵を受けるべきでない人物を通じた補助金漏洩を軽減するために不可欠だと指摘。データによると外国人や富裕層、商業セクター、密輸活動による補助金付きガソリン消費が総ガソリン使用量の約40%を占めると推定されるとし、「現在のRON95補助金が年間約200億リンギであることを考慮すると、新制度により年間最大80億リンギを節約できる可能性がある」と述べた。

一方、RON95補助金の対象となる世帯収入の決定に関しては、マレーシア統計局(DOSM)が実施する世帯収入調査(HIS)の世帯収入レベルだけに基づくものではないと言明。政府が現在、除外対象となるT15グループを定義するための方策を検討しており、HISの定義に直接拘束されることはないと述べた。

RON95の補助金支給の具体的な仕組みについては、ディーゼル燃料や電気料金の補助金で使用されているモデルに似た、段階的価格設定メカニズムを検討していると言明。スマート身分証「MyKad」と電子ウォレットの使用も検討していると述べた。
(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、11月5日)

核エネルギーを導入、発電所建設・運営は民間が主導

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は5日、原子力エネルギーをエネルギー源の一つとして採用する政府方針を明らかにした。第13次マレーシア計画(13MP、対象期間2026―30年)のエネルギー政策に含めるという。

ラフィジ氏は、50年にネットゼロ(二酸化炭素排出実質ゼロ)の国家目標達成は原子力エネルギーの利用なしでは極めて困難と説明。原子力がよりクリーンなエネルギー源であり、燃料使用量が少ないため、石炭火力のように燃料価格の変動にあまり左右されない利点があるとし、従来の原子炉よりも小型の核分裂炉である小型モジュール炉(SMR)が開発されており、安全度は従来型より高いと述べた。

エネルギー移行・水利転換省と科学技術革新省が原子力エネルギーの利用に関する法的・規制の枠組みの策定を開始した。

政府が実行資金を負担するのかとの記者の質問に対し、ラフィジ氏は「現在の発電モデルでは、プロジェクト実施は民間セクターがけん引する」と民間に開発・運営を委ねる意向を示唆した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月6日、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、11月5日)

天然ガス車の運行・新規登録、来年7月15日より禁止に

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は、すべての天然ガス車(NGV) の道路運行及び新規登録を2025年7月15日より禁止すると発表した。多くのNGV車のガスタンクに関する安全性への懸念を考慮したもので、10月2日の閣議で決定した。

禁止対象となるNGVはガソリンと天然ガスの両燃料に対応するよう改造されたガソリン車と、天然ガスのみで駆動する輸入車両の2種で、NGV販売およびNGV向け天然ガスの小売り販売は10月1日から段階的に廃止され、2025年第2四半期までに完全に禁止する。

過去3年間の道路交通局(JPJ)の記録によると、登録されているNGV車両は4万4,383台で、タクシーとレンタカーが9,509台、自家用車が3万2,137台、バスとトラックが2,150台、機械ユニットが587台となっている。ただNGVの自動車全体に占める割合は低く、二輪車を除く自動車のわずか0.2%だという。

NGV禁止についてロ―ク氏は、NGV車の改造・製造は1995年から2014年の間に行われ、これらの車の多くはNGVタンクの寿命が近づいており、交換が必要だと指摘。「NGVタンクの安全な使用期間は約15年で、交換しないと安全に使用できなくなり、重大事故のリスクがある」と述べた。

ローク氏によると、一部のユーザーは調理用ガスボンベを使用して車両を改造しており、これまで6回の爆発事故が起きている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、11月14日)