セランゴール州内の企業、州政府を通じワクチン購入可能に

【シャアラム】 セランゴール州政府は、同州内の企業が同州政府を通じて従業員のための新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンを購入できるようにしたと発表した。

同州公衆衛生・団結・女性家族開発委員会のシティ・マリア・マハムド議長(国政の閣僚に相当)によると、州独自に導入したコロナ情報・追跡アプリ「SELankah」を通じてワクチンの購入申請が可能となる。登録受け付けはすでに開始した。詳細はウェブサイト(https://vax.selangkah.my.)から入手できる。マレーシア経営者連盟(MEF)によると、接種2回分で約400リンギの費用がかかる。

一方、アミルディン・シャリ州首相は、新規感染者の増加により医療体制が逼迫していることから、重症患者向けの病床300床と新たな集中治療室(ICU)病棟を設置するほか、農業展示場「マレーシア・アグロ・エクスポジション・パーク・セルダン(MAEPS)」に仮設されている統合検疫治療センター(PKRC)に1,300床を増設すると発表した。ネグリ・センビラン、マラッカ、パハン、ジョホールの各州もそれぞれPKRCを開設する計画であることから、MAEPSのPKRCは今後セランゴール州及びクアラルンプール(KL)の感染者のみを取り扱うことになる。

またマラワティ・スタジアムに設置されている感染アセスメントセンター(CAC)の混雑ぶりが問題になっていることを受け、州公務員や医学生などからなる150人のボランティアを増員する

(ザ・スター、エッジ、5月17日)

行動制限の全国実施、WHO地域代表が称賛

【クアラルンプール】世界保健機関(WHO)のインルー・ロー氏(マレーシア、ブルネイ、シンガポール地域担当)は、政府が全国規模での行動制限令(MCO)の再施行を決断したことを、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための正しい動きと評価した。
ロー氏によれば、感染者数の増加で病院の収容能力はひっ迫しており、感染拡大を抑えるには、他人との接触を制限するしか選択肢がないという。
ロー氏は、ほかの多くの国も同様の措置をとっており、国民は政府決定を支持すべきと強調。ハリラヤプアサの祝祭を控え国民の欲求不満は理解できるが、接触回避が重要だと述べた。
さらに、政府は苦渋の決断を行ったが、実際に行うのは政府ではない以上、地域社会が政府措置の一員となるべきというのがWHOの立場だと語った。
(ベルナマ通信、5月11日)

 

自宅隔離中の者、ワクチンセンターへの立ち入りを禁止

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウィルス(Covid-19)ワクチン接種プログラム調整相を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相は、感染の疑いがあるとして検査中の者(PUI)及び観察中の者(PUS)、及び濃厚接触者について、ワクチン接種センター(PPV)への立ち入りを禁止すると発表した。

自宅隔離を行っているはずの者がPPVで複数確認されたことを受けたもので、これらの者についてはすでに接種日が決定済みであっても接種予定を再調整することになる。調整後の新たな接種日については、情報アプリ「MySejahtera」を通じて改めて通知される。

15日には、ワールド・トレード・センター・クアラルンプール(WTCKL、旧称プトラ・ワールド・トレード・センター=PWTC)に開設された接種センターで希望者を対象としたアストラゼネカ製ワクチンの接種が開始されたが、予約者が数時間前に訪れたり予約なしの人が押し寄せたりしたため大混雑が起きた。これを受けてカイリー氏は予約時間の15ー30分前の到着を推奨すると述べた。

なおWTCKLにおけるワクチン接種能力はこれまで1日2,400回だったが、16日から8,100回に増強されることになっている。

シンガポールとの相互グリーンレーン停止、変異株感染で

【ペタリンジャヤ】シンガポールで新型コロナウイルスの変異株による感染が地域社会で見られたことから、国家安全委員会(MNK、NSC)は相互グリーンレーン(RGL)の取り決めに基づくシンガポールからの入国を5月13日付で停止することを決めた。ビジネス目的でマレーシアへの入国を希望するシンガポール人はマレーシア投資開発庁(MIDA)が設けたワンストップセンターを利用することになる。
保健省によると、シンガポールでは南アフリカ変異株、ブラジル変異株など懸念される変異株(VOC)やインド株の感染が確認された。
また同日付で、シンガポールからマレーシアに入国する者は入国後14日間、政府指定施設での隔離を義務付けられる。定期的通勤取り決め(PCA)の対象者もこの適用を受ける。
シンガポール政府は1月に、新型ウイルスの感染拡大を理由にマレーシアなどからのRGLに基づく入国を停止していた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、5月10日)

SOPを全国統一化、12日からの制限令拡大受け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)と保健省のノール・ヒシャム事務次官は11日に共同会見を開き、12日付けで全国に拡大される第三次行動制限令(MCO3.0)に言及。国民の間で混乱の原因となっている各州ごとに決定されている標準的運用手順(SOP)を統一する方針を明らかにした。

国家安全委員会(NSC)会議で決定した。MCO3.0実施に合わせて各省庁がそれぞれの担当分野に関する独自のSOPを作成し、NSC作業部会に提出。検討の上でムヒディン•ヤシン首相が議長を務める特別委員会に諮る。

サブリ大臣は、各省庁には一般国民からの質問に答えるためのホットライン開設を命じたことを公表。全体のSOPのリストについてはNSCのポータルサイト(https://www.mkn.gov.my上でも閲覧できるようになると述べた。

民間医療機関2,448カ所、ワクチン接種センターに登録

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アダム・ババ保健相は、国内に約8千カ所ある民間病院や診療所のうち2,448カ所が新型コロナウイルス「Covid-19」の国家ワクチン接種プログラムの下で接種センターとして登録されていると明らかにした。
現時点で登録された医療機関のうち、同意書に署名したのは1,934カ所で、接種センターとして活動準備ができているのは299カ所となっている。4月に実施された1万5千人を対象としたアンケート調査では、88%がワクチン接種に同意しているが、10%が安全への懸念から接種に同意していないという。
ワクチン接種プログラム調整相を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相は、プログラム外で希望者にのみを対象に5日から接種が開始されているアストラゼネカ製ワクチンについて、5月中に110万回分が到着すると見込まれていると言明。さらに6月には61万回分、7月には41万回分、8、9月には合計120万回分が到着する予定だとした。
ワクチン供給アクセス保証特別委員会(JKJAV)によると、アストラゼネカ製ワクチンの2度目の接種は12週間以内が望ましいという。

バングラデシュなど4カ国からの渡航禁止、変異株発生で

【クアラルンプール】政府はバングラデシュ、パキスタン、ネパール、スリランカからの渡航を全面禁止することを決定した。インドで発生した新型コロナウイルスの変異株「B.1.617」の症例数が増加しているためで、水際でマレーシアへの進入を防ぐ。
インドで発生した変異株はウイルスのスパイクタンパク質で2つの主要な変異が起きていることから、二重変異株と呼ばれている。
イスマイル・サブリ上級相兼国防相によると、査証(ビザ)の種類を問わずマレーシアへの入国を禁止する。外交官・公務員旅券の所持者は適用を除外される。
インドでは新型ウイルス感染が急拡大しており、ウイルス検査の陽性反応者は1日30万人超という日が2週間続いている。
国内における標準的運用手順(SOP)違反では警察は5日、370人を摘発した。施設内に入ってからの行動記録怠慢が237件、マスク不着用が60件だった。ほとんどは罰金処分だったが、1人は留置された。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月6日)

接種プログラム第3期、ワクチン不足で開始が遅れる可能性

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種調整担当大臣を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相は、ワクチン供給不足のために5月に開始を予定している第3フェーズの実施が遅れる可能性があると述べた。
カイリー氏は、高齢者や慢性病の持病がある人を対象として4月19日に前倒し開始された第2フェーズが順調に進んでいると言明。ただ5月開始予定の第3フェーズについては、製薬会社が先進国に優先的に供給していることからワクチンの供給不足が起きており、マレーシアに十分に供給されるか分からないと述べた。その上で、多くの先進国でワクチンの接種が大方終わるため、6月頃からは供給不足の状況が改善に向かうだろうとした。
第3フェーズでは18歳以上の国民及び外国人が対象で、レッドゾーンから優先して行なう予定。アストラゼネカ製ワクチンは血栓ができるケースが報告されたためワクチン接種プログラムとは別枠で希望者を対象に接種が行なわれているが、これまでは発熱の副作用だけしか報告されていないという。

医療施設ひっ迫で保健省、野外病院を建設へ

【プトラジャヤ/コタバル】一部地域で医療施設がひっ迫していることから、保健省は野外病院の建設を計画しており、国防省と協議を開始した。野外病院とは、負傷者を野外で治療する大規模な移動式救護施設を指す。
アダム・ババ保健相によると、新型コロナウイルス「Covid-19」感染者を受け入れている病院の負担を軽減するため、ウイルス感染以外の病人を受け入れる野外病院が必要だという。クランタン州とサラワク州での建設を計画している。
クランタン州のイザニ・フシン地方自治・住宅・保健委員長によると、Covid-19検査の陽性反応者数が増加しており、低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)と病院の収容能力はほぼ限界にきている。
PKRCに入れないため自宅待機命令を受けた者は2,000人余りいる。このような状況のため野外病院が必要と判断したという。クランタン・トレードセンターには1,000人の患者を収容できるPKRCを整備する。
(ベルナマ通信、5月3日)

ワクチンの接種登録者数、900万人を超える=保健相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アダム・ババ保健相は3日、新型コロナウイルス「Covi-19」のワクチンの接種について、900万人が登録を終えたと明らかにした。
プトラジャヤでは、人口の99.43%となる5万6,578人が登録をしたが、セランゴール州では50.59%、ジョホール州では41.22%、サラワク州では43.50%にとどまっている。最も登録率が低いのはサバ州で15.85%で、サバ州政府は、農村部や高齢者のワクチン接種登録を促進させるために周知キャンペーンなどの取り組みを実施している。
アダム大臣は学校や教育機関のクラスターが増加していることに懸念を表明。ワクチン接種は4月よりフェーズ2として高齢者や障害者、慢性疾患患者を対象に実施しているが、高齢者による登録が進まないなどワクチンの副作用を心配する傾向が見えるとした。
アダム大臣によると2日までに、2度のワクチン接種を終えた人数は56万3,350人。1度目のみ終えているのは90万5,683人となっている。2度のワクチン接種を終えた人が最も多いのは、セランゴール州が7万4,962人で最も多く、それに▽サラワク州(6万245人)▽サバ州(5万2,567人)▽ペラ州(5万1,918人)▽クアラルンプール(5万1,615人)ーーの順となった。