新型コロナ感染者増加で首都圏の医療体制が逼迫=保健省

【クアラルンプール】 保健省のノール・ヒシャム事務次官は1日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者の再びの増加により、首都圏クランバレーの医療提供体制が逼迫してきていると述べた。
国家危機準備および対応センターによると、スンガイブロー病院、クアラルンプール (KL)病院、アンパン病院、セルダン病院、テンク・アムプアン・ラヒマー病院での集中治療室(ICU)の病床使用率が70%以上。またセラヤン病院とマラヤ大学医療センターの救命救急およびICUの病床の使用率も50%以上となっているという。
ノール氏は、重症者の入院者数が過去2週間と比べて62%増加したことが原因であると指摘。クランバレーだけでも新型コロナの患者を治療するために108台の人工呼吸器が必要となっているとした。
また1月1日から5月1日までの新型コロナの発生状況は、人口10万人あたり872人となっている。最も発生率が多いのはKLで1,583人、それにセランゴール州(1,486人)、プトラジャヤ(1,140人)の順となった。全国の実効再生産数(RT)は1.14で、セランゴール州1.20、KLで1.16と全国平均より高いが、プトラジャヤで1.0となっているという。
(マレーメイル、5月1日、エッジ、5月1日)

親族危篤・死亡の際は入国を相互に許可、シンガポールと合意

【シンガポール】マレーシア、シンガポール両国は相手国にいる親族が危篤状態にある、あるいは死亡して葬儀が行われる場合、特別な配慮が必要な事情として相手国への入国を相互に認めることで合意した。シンガポールを1日から訪問したヒシャムディン・フセイン外相とシンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相が2日、会談後の共同声明で発表した。
5月17日から施行する。手続きの詳細は双方の入管当局がそれぞれ発表する。バラクリシュナン氏は「家族に重大な出来事があった場合、一緒にいたいというのが人情だ」と述べた。両国には、相手国に長期滞在する国民が存在する。
両外相は国民の相互往来を促進するため、ワクチン接種証明書の相互認証について協議した。ヒシャムディン氏によると、両国の感染者接触追跡アプリに互換性を持たせることが必要になる
(ストレーツ・タイムズ、5月3日、ベルナマ通信、5月2日)

給与のデジタル払い、可能な限り早期に導入

【クアラルンプール】 政府は給与のデジタル払い制度を可能な限り早期に導入する方針だ賃金未払いを苦にパキスタン人労働者が自殺したとされる事件を考慮した。

M.サラバナン人的資源相によると、現行の賃金支払い方式では支払いが行われたかの追跡は不可能だ。しかしデジタル払い方式であれば支払われたかの透明性が確保され、マレーシアのイメージ、信用も増す。労働者の権利保護にもなるという。

パキスタン人労働者の件については労働局が徹底調査し、雇用者に適切な措置を講じることになるという。

自殺したのはシャハザド・アハメドさんで、5カ月にわたり賃金支払いがなく、生活を続けられないと訴える動画をソーシャルメディアに投稿していた。

当局のこれまでの調べでは、雇用主は行動制限令(MCO)による経営難のため昨年12月から賃金を支払うことができなかった。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月30日)

全国統一の初等教育修了試験廃止、学校実施の成績評価で代替

【クアラルンプール】教育省は初等教育の卒業資格を得るための全国統一検定試験(UPSR)を廃止し、各学校が行う成績評価で生徒が基準点を満たしているかを判断する
UPSRでは読み書き計算と判断能力を試験してきた。学校による成績評価(PBS)では、学習態度、心理測定(個性、精神障害など)、体操・スポーツ、課外活動を総合的に評価する。
モハマド・ラジ教育相によると、学校長、教師、PTAら関係者との協議を踏まえUPSRの廃止を決めた。
UPSRは例年9月に実施されてきたが、昨年はパンデミックを理由に中止された。その後、同省は最善と思われる教育制度を採用しているほかの国の成績評価方法を調査した。初等教育は6年。
中等教育は5年(前期3年、後期2年)。前期3年目の学生が受ける適性試験も昨年同様、今年も中止する。
(ザ・スター、4月29日)

ワクチン関係費用の膨張、カイリー担当相が釈明

【クアラルンプール】 ワクチン接種計画担当大臣のカイリー・ジャマルディン科学技術革新相は27日、関係予算を当初計画より20億リンギ多い50億リンギにしたことについて、接種実施に経費がかかるためと釈明した。接種のための施設賃借・公益費に3億3,300万リンギ、民間防衛隊などボランティアへの謝礼に2億リンギを計上した。
ほかに、国民への周知活動が5,500万リンギ、不測の事態への備えが1億1,000万リンギ、医療関係者への業務委託が2億1,000万リンギ。
カイリー氏は昨年12月、人口の82.8%に必要なワクチン調達費用として20億5,000万リンギが必要と計算したが、メーカーの生産能力、供給途絶などリスクを考え、人口の110%分のワクチンを購入する計画に変更し、予算を31億6,000万リンギに修正した。
さらにティーンエイジャー向けや予備分を確保することを考え、財務省が決めた購入枠(35億リンギ)まで調達費を引き上げたという。15億リンギが接種実施経費。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、4月27日)

宇宙産業開発で自前の衛星を製作、科学技術革新相が構想

【クアラルンプール】カイリー・ジャマルディン科学技術革新相は宇宙産業に関するオンラインセミナーで、国家宇宙政策(NSP)では自前の衛星製作を構想に含めていると表明した。また国際協力を通じ、無人の探測機の宇宙への投入も計画しているという。
宇宙開発を主導するのはマレーシア宇宙局(MYSA)で、10年後をめどに国内総生産(GDP)の0.3%(額にして32億リンギ)を生産し、5,000人の技術職の雇用を創出する計画だ。
アズリカミル・ナピア局長によると、30年までに宇宙セクターの研究開発で東南アジア上位3位に入り、宇宙技術の50%を国産化するのが目標だ。
MYSAはこれまでに、災害管理、環境保全、天然資源管理、国防など、宇宙関連技術を応用したシステムを40件近く開発しているが、多くの課題に対処するには至っていないという。30年をめどに110の政府機関の問題に対処できる応用システムを少なくとも90件、開発する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、4月22日)

食べ残し・プラごみ投棄は1日1万トン、環境相が浪費を戒め

【パハン州ジェラントゥット】ラマダン(断食月)が4月13日に始まってまだ1週間もたたないが、トゥアン・イブラヒム環境・水相によると、食べ残し、プラスチック容器の投棄が増加しており、固形廃棄物・公共清掃管理公社(SWCorp)の推計によると、マレー半島全体で投棄量は1日1万トンに上るという。
食用に適した料理が住民や飲食施設により投棄されており、排水路に悪臭が生じているという。
トゥアン・イブラヒム氏は、まだ食べられる食品の投棄は浪費であり、貧しい人に与えることのできるものの浪費はイスラム教で禁止されていると指摘。ラマダン中ということもあるとし、浪費を戒めた。
プラスチック容器の排水路への投棄も詰まりをもたらし、道路冠水の原因になり、また廃プラやごみは海洋汚染をもたらし海洋生物を危険にさらすと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月17日)

2回の接種を受けた場合の感染率は0.003%=調整相

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種プログラム調整相を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相は、2回の接種を済ませた医療従事者の感染率がわずか0.003%にとどまっていることを強調。ワクチンの有効性に対する国民の懸念を打ち消した。
カイリー氏はワクチンの2回接種を済ませて一定の時間が経った後に陽性を示したケースが9件あったが、重度の症状はもちろん軽度の症状を示したケースはなかったと言明。ワクチンの有効性は明らかだとし、ワクチン接種を受けることで感染した場合でも重症化を防ぐチャンスが高まるとした。
保健省によると、二度目のワクチン接種を済ませた医療関係者のうち40人で陽性反応が出、うち31人は二度目の接種を受けて2週間以内、9人は2週間以上経った後だった。
19日までに、合計27万2,019人の医療従事者及び最前線従事者が第1フェーズで2回のワクチン接種を受けた。
(ベルナマ通信、4月19日)

州跨いだ移動制限強化、週末の業務移動は認めず=警察

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者が増加傾向にあることを受け、警察は個別の案件につき申請ベースで認めている州を跨いだ移動に関する規制を強化している。業務や医療、教育目的の移動申請については週末を除く平日しか認めていないという。

アクリル・サニ副警察長官によると、金曜、土曜、日曜の州間移動については緊急事態、家族の不幸、単身赴任の夫婦が会う場合のみに限定されており、業務や医療、教育目的の移動は許可しないという。平日の移動についても、結婚式や祝賀会などの宴会・集会への参加を目的としたものは認めていない。

警察はラマダン(断食月)バザールにおける監視を強化しており、国内のすべてのバザールに人員を配置して標準的運用手順(SOP)を守っているか監視している。

二輪車利用の料理配達サービス、監督機関を設置へ

【クアラルンプール/ジョホールバル】ウィー・カション運輸相は18日、オートバイを利用し小荷物や料理を配達するPへーリングサービスを監督する機関の設置を検討していると表明した。サービスに携わる配達員の権利保護が目的だという。一方で配達員の乱暴運転も目立っており、昨年は91件の事故が報告された。
Pヘーリングは無規制状態。配達員は推定6万人おり、自分たちの権利が保障されていないとの不満がある。
ウィー氏は配達員の社会保障機構(SOCSO)への組み込みを意図しており、月13.1リンギの納付を義務付けることで配達員保護を実現する意向だ。
昨年、配達員が絡んだ交通事故は91件で、17件は死亡事故。マレーシア交通安全研究所(Miros)の調査によれば、配達員の70%は危険運転の経験があり、これには信号無視、携帯端末を使用しながら運転が含まれる。
(ザ・スター、4月19日、ベルナマ通信、4月18日)