日本政府、マレーシアに5億円相当の医療機器を無償提供

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府は、感染が再び拡大している新型コロナウイルス「Covid-19」の対策として、マレーシア政府に対して5億円(1,900万リンギ)相当の医療機器を無償で提供する。
在マレーシア日本大使館の岡浩大使が22日、テレビ会議を通じてアドハム・ババ保健相と書簡を交換した。
岡大使は、医療機器を提供することでマレーシア政府の新型コロナ対策として、検査や治療に役立ち、早い段階で利用が開始されることを願っていると述べた。
アドハム保健相は、日本政府による継続的な支援に感謝を表明。保健省の施設における、新型コロナの患者の対応能力を強化することができると述べた。
またマレーシアと日本の関係について、世界的な新型コロナの感染を乗り越えて、医療だけではなく他の部門でも引き続き強化したいと言明。またワクチンについては、マレーシアに居住する日本人にも接種する予定だとした上で、日本に住むマレーシア人にも接種が行われることに期待していると述べた。
(ベルナマ通信、1月22日)

150憶リンギ相当の追加経済対策、首相が発表

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は18日にテレビ演説を行い、新型コロナウィルス「Covid-19」感染拡大のために打撃を受けている国民や企業に対する150憶リンギ相当の追加支援策、「マレーシア経済国民保護支援パッケージ(ペルマイ)」を発表した。

国民への補助金支給や企業の存続を助けるための▽賃金助成金プログラム第三弾(WSP3.0)▽中小企業支援▽食料配布のための食料バスケットプログラム▽コロナ対策の最前線職員への一時金支給▽電気料金割引――など22の新たなイニシアチブが盛り込まれた。新型コロナ感染拡大後に政府が打ち出した経済対策発表はこれで5回目となる。

WSP3.0は、賃金4,000リンギ以下の従業員1人当たり月額600リンギを1カ月分支給する。2.0までは200人が上限だった従業員数を500人に引き上げ、より大型企業にも門戸を広げる。

中小企業支援では、行動制限令(MCO)対象地区には1,000リンギ、その他の地域では500リンギを支給する。

▽宿泊▽テーマパーク▽会議場▽ショッピングセンター▽航空▽旅行社――の6業種を対象に1―3月の電気料金の10%割引、またすべてのアカウントに対する6月30日まで6カ月間の9%割引を実施する。

コロナ対策の最前線職員への一時金は、医療関係者が500リンギ、その他が300リンギで第1四半期中に支給する。

ムヒディン首相は、昨年4回にわたる国内総生産(GDP)の20%以上に相当する総額3,050憶リンギの経済対策を打ち出したと指摘。うち550憶リンギが財政出動によるものだったと強調した。

■セレンバンやポートディクソンンもMCO指定■

イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相は、ネグリ・センビラン州セレンバンとポート・ディクソンを19日付でMCOに指定すると発表した。期間は2月1日までの14日間。

MCO下での操業、通産省に登録済みなら再申請は不要

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アズミン・アリ上級相(兼通産相)は12日、再び行動制限令(MCO)発令された地域で事業継続を希望する通産省管轄下の事業者について、通産省の新型コロナウィルス「Covid-19」情報マネジメント・システム(CIMS)に登録する必要があると述べた。
未登録の企業は12日午後3時からリンク(https://notification.miti.gov.my)で登録を受け付けている。すでにCIMSに登録済みの企業は再申請は不要だが、同じく12日午後3時から登録確認の通知をダウンロードする必要がある。
13日より再びMCOが発令されるセランゴール、ペナン、マラッカ、ジョホール、サバの5州と連邦直轄地では、操業が認められるのは▽製造▽建設▽サービス▽商業・運輸▽農園・一次産業 の5つの必需セクターの業種に限定される。
5つの必需セクターの詳細を公表したアズミン上級相は、「5つの重要な経済部門の事業継続を認める決定は、国の経済回復プロセスや事業の持続可能性の確保、失業の抑制、必需品へのアクセスを保証するため」と説明。「政府と民間は、感染の連鎖を断ち切るために協力しなければならない。これは国民の健康と安全を守りし、景気回復プロセスを加速するために不可欠だ」と述べた。

全国に非常事態宣言、新型コロナ対策で8月1日まで

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は12日、新型コロナウィルス「Covid-19」感染拡大を受けてアブドラ国王が国家非常事態宣言の発出に同意したことを明らかにした。
11日にムヒディン首相から「感染を抑えるための積極的な対策」として要請を行ったもので、連邦憲法第150条(1)に基づき発出を決定した。期限は8月1日までとし、感染拡大が収まった場合には前倒しで宣言を解除する。政府は早期解除を決定するため医療専門家によるタスクフォースを立ち上げる。アブドラ国王は、国民に落ち着いて行動するよう呼びかけた。
非常事態宣言下でも外出制限はなく、経済活動や司法は通常通り行われることが保証される。一方で国会や州議会などの立法府は活動が停止され、立法・法改正・撤廃は認められない。「安全」であると確認されない限り、国・地方レベルの補欠選挙や総選挙、州議会選挙は行われない。感染者治療のために行う私立病院の施設の接収、違反者に対する罰則、マレーシア国軍への権限付与など緊急に法律が必要になった場合には国王が制定する。

保健省、米ファイザーとワクチン追加購入で覚書

【プトラジャヤ】 マレーシア保健省は11日、政府を代表して米ファイザーのマレーシア子会社、ファイザー(マレーシア)と新型コロナウィルス「Covid-19」ワクチンのマレーシア市場向けの製造及び供給に関する覚書を締結した。
今回の合意は、2020年11月24日に署名された拘束力のある合意に追加されるもので、マレーシア側がファイザー・バイオNテックが製造するワクチン1,220万回分を追加購入する。これによりマレーシア政府が確保したワクチンは2,500万回分となり、全人口の39%をカバーすることになる。
ファイザーはマレーシア政府との覚書に基づき、2月末まで人口の20%をカバーする量に相当する1,279万9,800回分のワクチンを供給することになっている。
ファイザーのワクチンは独バイオNテックと共同開発したもので、2回の接種が必要だが90%に効果があるという。数日前にマレーシア保健省傘下の国家医薬品規制庁(NPRA)の承認を受けたばかり。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、1月11日)

ムスタパ首相府相ら二閣僚が感染、閣僚二人が濃厚接触

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)とリナ・ハルン女性家族共同体開発相が、新型コロナウィルス「Covid-19」に感染していることが分かった。
ムスタパ氏は9日朝にクアラルンプール(KL)から空路クランタン州コタバルに到着した際、感染検査を受けて陽性反応が出た。現在コタバル市内の病院で治療を受けているが、病状は安定しているという。リナ氏は10日に陽性反応が出たため、11日からスンガイ・ブロー病院に検査入院した。
ムスタパ氏は6日に開催された閣議に出席しており、ムスタパ氏の両側に着席していたモハマド・レズアン・ユソフ首相府相とサイフディン・アブドラ通信マルチメディア相の二人が濃厚接触者として自宅待機し観察下に置かれている。二人とも症状はないという。同日の閣議には、秘書官から陽性反応が出た別の閣僚二人は出席しなかった。
ムスタパ氏はまた6日に開催された統一プリブミ党(PPBM)の党最高評議会にも出席しており、党から出席者全員に対して感染検査を受けるよう指示が出た。
昨年10月にはズルキフリ・モハマド・アルバクリ首相府相(宗教問題担当)が感染し、閣議で同席したムヒディン・ヤシン首相らが隔離される騒ぎが起きている。

 

全面的行動制限の施行は望ましくない、業界団体が意見表明

【ペタリンジャヤ】新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、産業界の団体はそろって、全面的行動制限令(MCO)の施行は企業、経済に深刻な打撃を与えるとし、的を絞った措置を政府に要請した。
ノール・ヒシャム保健事務次官は6日、感染拡大の連鎖を断ち切るため「サーキットブレーカー」が必要と、限定的ながら経済・社会活動を制限する意向を示唆した。
マレーシア経営者連盟のシャムスディン専務理事は、3月に導入したようなMCOの再施行は有害無益と指摘。全面的ロックダウンを望まないとした。
中小企業協会のマイケル・カン会長も、MCO施行ではなく、他人との距離確保など標準的作業手順(SOP)の厳格な順守が望ましいとの意見で、ビジネス目的の州間移動は規制すべきではないと述べた。ウイルス排除は不可能な以上、ウイルスがある中での生活の在り方を模索すべきとした。
マレーシア小売業者協会は、MCOがそのまま実施されたら倒産が増加するとし、的を絞った措置を政府に要請。マレーシア製造業者連盟も、的を絞った条件付きMCOが望ましいとの意見だ。
(ザ・スター、1月8日)

KLーシンガポール高速鉄道計画が中止に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 クアラルンプール(KL)ーシンガポール間の高速鉄道(HSR)事業についてマレーシアとシンガポールの両国は12月31日をもって中止することで合意した。
ムヒディン・ヤシン首相とシンガポールのリー・シェンロン首相は12月31日に共同声明を発表。マレーシア側が新型コロナウイルス(Covid-19)感染症拡大が同国経済に与える影響を考慮していつくかの変更をシンガポール側に提案し、両国政府の間で議論が続けられ たものの合意に達することができなかったと説明した。
これに合わせてシンガポール交通省は、2016年に締結した二カ国間合意(BA)に基づき、これまでにシンガポールが負担したコストをマレーシア側が弁済することになると述べた。
同計画は2016年にBAが結ばれ実施に向けて踏み出したが、2018年9月、財政悪化を懸念する当時のマハティール・モハメド内閣の判断によってより中断した。2020年5月末に再開される予定だったが、ムヒディン政権下で新型コロナの影響もあって延期論が浮上。シンガポール側の同意を得て12月末までの再延長が決まり、計画内容の縮小を含めた見直しが行われていた。なおジョホール州側からはジョホールバル止まりでのHSR計画続行を求める声が上がっている。

ワクチンの安全性確認、ムヒディン首相が最初に接種へ

【クアラルンプール】 ムヒディン・ヤシン首相は、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンについて、自らが最初に接種を受けて効果や安全性を国民に保証すると言明した。続いて医療関係者が接種し、その後に高齢者、非感染性疾患、慢性呼吸器疾患のある高リスクグループに続くと述べた。
ムヒディン首相は22日に行なわれたテレビ演説の中で、特別ワクチン供給アクセス保証委員会がワクチン供給管理を行なうと指摘した上で、米ファイザーからの100万回分のワクチンの第一陣が早ければ2021年2月までに供給され、医療従事車や高リスクグループへの接種が始まるとの見通しを示した。ワクチンの効果と安全性については、保健省の国家医薬品規則庁(NPRA)が監督を続ける。
ファイザーとは11月24日に総人口の20%に相当する640万人に行き渡る1,280万回分の供給契約を、英アストラゼネカとも21日に同じく640万回分の供給契約を結んだ。マレーシアはワクチンを世界各国で共同購入して分配する国際的枠組み「COVAX(コバックス)」への参加も決めており、人口の40%に相当する分をすでに確保した。また科興(シノバック)、康希諾(カンシノ)、ガマレヤ(ロシア)との間でも交渉が最終段階に来ており、供給量をl人口の80%に相当する2,650人分の確保する見通し。目標としていた70%を突破した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、エッジ、12月22日)

元連邦直轄地相に有罪判決、200万リンギの収賄で

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 テンク・アドナン・テンク・マンソール元連邦直轄地相(統一マレー国民組織=UMNO)が収賄罪で告発されていた事件で、高等裁判所は21日、同被告に禁固1年、罰金200万リンギの有罪判決を言い渡した。これにより同被告は議員資格を失うことになる。同被告は直ちに控訴する方針。
テンク・アドナン被告は、連邦直轄地相時代の2016年6月14日、アセット・カヤマス(AKSB)のチャイ・キンコン元社長から200万リンギの小切手を受け取ったとして、公務員による収賄を禁じた刑法第165条で告発されていた。AKSBは同被告の公務に関わる事業を手掛けており、200万リンギは同被告が実質的に所有するタドマンソリ・ホールディングスの口座に振り込まれたと認定した。
テンク・アドナン被告側は、200万リンギの受け取りは認めた上で、その直後の6月18日に行なわれた下院セランゴール州スンガイ・ベサル選挙区及びペラ州クアラ・カンサー選挙区補選のための選挙資金だったと説明。200万リンギの受領は党から多額の負担を要求されていたためであり、初犯であることから減刑を要求していた。
テンク・アドナン被告は、ナジブ ラザク政権時代に統一マレー国民組織(UMNO)の書記長を2009年から2018年まで歴任した党重鎮の一人。