閣僚に感染者、ムヒディン首相も隔離へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染者が閣僚の中から出たため、会議で同席したムヒディン・ヤシン首相を含む複数の閣僚に感染の疑いが出ている。
10月5日に陽性が確認されたのは、ズルキフリ・モハマド首相府相。3日に開催された国家安全委員会(NSC)会議に出席しており、ムヒディン首相をはじめイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)、ファディラ・ユソフ公共事業相、アドハム・ババ保健相、アブドル・ハミド警察長官らが同席していた。
保健省のリスク評価に従って、出席者の一部は濃厚接触者とみなされ10月3日から16日までの14日間、在宅監視命令(HSO)の適用を受けピンク色の監視リストバンド装着が命じられた。その他の出席者も14日間の自宅隔離と毎日の健康モニタリング実施が指示された。
ムヒディン首相は同日、14日間にわたって自宅で隔離されることになったことを明らかにし、当面は在宅で勤務を継続すると発表した。サブリ上級相も同日、3月の行動制限令(MCO)発令以来、毎日行なっている定例記者会見を急遽キャンセルした。
ズルキフリ氏は自身が出席した9月24日から10月4日までのイベントの出席者に対し、スクリーニングを行なうよう呼び掛けた。同氏はネグリ・センビラン州セレンバン病院で治療を受けているが経過は良好だという。同氏はサバ州議会選挙にあわせて9月24日に同州を訪れて地元のイスラム宗教指導者らに会っていたとされる。

総選挙前倒しなら再出馬の可能性も=マハティール氏

【クアラルンプール】 マハティール・モハマド前首相は、次期総選挙が前倒しされて2021年に実施された場合、再び出馬する可能性を示唆した。マハティール氏は先ごろ、実施の際には98歳になることを理由に次期総選挙に出馬しない意向を示していた。
シンガポール「ストレーツ・タイムズ」のインタビューに応じたマハティール氏は、先の自身の不出馬発言に対して支持者から不満の声が上がっていたとした上で「彼らは私がまだ戦う気でいると言わせたいのだ。彼らは私が半年後も健康状態を保てると思っているらしい。だから彼らは少なくとも私に戦うのを止めたと言わないで欲しいのだ」と述べた。
マハティール氏はムヒディン ヤシン首相について、かつて共通の敵だと目していたナジブ・ラザク元首相が率いる旧政権の戦略を利用して自身に反対する者を弱体化させたため和解できないと言明。「ムヒディン氏にとっては原理原則より政治の方が重要なので、恐らくナジブ氏と手を組むことになるだろう」と述べた。
希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院での過半数掌握を主張していることについては、「私が支持しなければ私の支持者もアンワル氏を支持しないので、アンワル氏は過半数を掌握できないだろう」と言明。ムヒディン氏もアンワル氏も政権の安定運営に足る十分な支持を下院で獲得できるとは思わないので、早期の総選挙実施論には賛成できないと述べた。
(ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、10月5日)

アンワル氏の政権奪取宣言、「マハティール派は支持せず」

【クアラルンプール】 先ごろマハティー・モハマド前首相が結党を宣言した新党・祖国戦士党(ペジュアン)のムクリズ・マハティール党首(前ケダ州首相)は、同党が新政権樹立のために希望同盟(PH)率いるアンワル・イブラヒム元副首相を支持することはないと言明した。
ムクリズ氏は、これまでアンワル氏及びアンワル氏が党首と務める人民正義党(PKR)と新政権樹立に向けた会談に呼ばれたことがないと言明。にも関わらずアンワル氏が下院議会で過半数の支持を得ていると主張していることは奇妙だと述べた。
ムクリズ氏は、マハティール支持派がペジュアンのほか、サバ遺産党(ワリサン)、キナバル進歩統一組織(UPKO)、マレーシア統一民主同盟(MUDA)をあわせて18議席有していると指摘。恐らくアンワル氏が主張する過半数にはマハティール派は入っていないのだろうと述べ、もし過半数獲得が事実であれば証拠を示すべきだと主張した。
アンワル氏は先ごろ、下院議会で全体の3分の2近い過半数の支持を獲得したと主張。アブドラ国王とも謁見の許可を得ているとして、自身を首班とした政権交代が実現すると発表していた。ただ肝心のアブドラ国王は病気で入院中で謁見のメドはたっていない。
アンワル氏は過半数支持獲得の根拠として統一マレー国民組織(UMNO)議員の大量くら替えを示唆しているが、くら替え議員と名前の挙がった19人のうち少なくとも4人はくら替えを否定している。
(マレー・メイル、9月27日)

マハティール首相、次期総選挙への不出馬を表明

【ランカウイ】 マハティール・モハマド前首相は、次期総選挙が予定通り2023年に行われた場合には98歳となると述べ、高齢を理由に出馬しない意向を明らかにした。
マハティール首相は自身の選挙区であるランカウイで行われた記者会見で、先ごろ立ち上げた新党・祖国戦士党(略称・ペジュアン)の党員には助言という形で、これまでの経験を共有する考えを示した。
またマハティール前首相は、野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院議会で過半数の支持を得たと宣言するなど政局が不安定な状態が続いていることに関連し、議会が解散し総選挙が行われる可能性があると指摘。通常であれば国民に判断を委ねるために総選挙を実施するべきだが、現状で実施すれば新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者が増加し死者が増える可能性が高まるとして、政治を優先するのか人々の健康や生活を優先するのか難しい問題に直面していると指摘した。
(ベルナマ通信、9月26日)

UMNOから総選挙前倒し論、アンワル氏政権奪取宣言受け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院議会で過半数の支持を得たと宣言した件で、大量の議員がPHにくら替えしたとされる統一マレー国民組織(UMNO)内で、総選挙前倒し論が強まっている。

 ネット上ではムヒディン・ヤシン首相に対する不満から、アンワル氏支持を表明しているとされる19人のUMNO所属議員の名前が流出している。アハマド・ザヒド・ハミディ総裁も「多数の議員がくら替えしたとの情報を受けている」とくら替えを容認する発言を行なっており、汎マレーシア・イスラム党(PAS)との提携は望んでいるが、ムヒディン首相率いる国民連盟(PN)の一部にはならないと言明している。
アハマド・マスラン書記長は、与党政府が130人以上の議員の支持を固めて強力な権限を持つことが重要だとした上で、現在の与野党の議席数が接近する状況を是正するためにも解散・総選挙を実施すべきとの考えを示した。長老であるナズリ・アジズ元総裁補も「民意を知るためには総選挙がベスト」と述べた。
なおアンワル氏は過半数の支持を得ている旨を説明するための謁見許可をアブドラ国王よりすでに得ていると述べているが、肝心の国王が入院中。ロイター通信は、王宮側の話として国王が医師団から経過観察のために7日間の入院を進言されているためアンワル氏の謁見は当分実現しないだろうとの見方を伝えている。法律学者によると正式な首相任命権は国王にのみあり、単に過半数の支持を得たからといって組閣できないという。

アンワル氏の過半数奪取宣言、各党から様々な反応

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院議会で過半数の支持を得たと宣言した。ムヒディン・ヤシン首相率いる国民同盟(PN)政権への支持からくら替えする議員が多数出たことを示唆しており、各政党から様々な反応の声が上がっている。
PN政権を支援する国民戦線(BN)構成党・統一マレー国民組織(UMNO)のアハマド・ザヒド・ハミディ総裁は、「多くのBN及びUMNO所属議員がアンワル支持に転じたとの情報は得ている」とした上で、彼らの立場を尊重すると言明。BN及びUMNOは正式にはPNには参加しておらず、個々の国会議員の判断に基づいて支援していると述べた。
一方、モハマド・ハサン副総裁は、自分が知る限りアンワル支持に転じたUMNO所属議員はいないと述べた上で、党としてPNを支持しており支援先の変更は党中央のみが決定できるとして、ザヒド総裁とは異なる認識を示した。
PNを支援する汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハディ・アワン党首は、所属議員18人はすべてムヒディン内閣支持だと強調。同じくサラワク政党連合(GPS)のアバン・ジョハリ会長(州首相、ブミプトラ保守党=PBB党首)もGPSから寝返り議員はいないと言明した。
なおムヒディン首相率いる統一プリブミ党(PPBM)から除名され、PHとも距離を置き先ごろ新党・祖国戦士党(略称・ペジュアン)結党を宣言していたマハティール・モハマド前首相は、アンワル氏が今後具体的証拠を発表するまで模様眺めの態度を維持すると言明した。マハティール氏は新党結党にあたり、状況に応じて与野党どちらに協力するか決めるとの中立の立場を維持する考えを示している。

低中所得者向け支援策の第二弾、ムヒディン首相が発表

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は23日に特別演説を行ない、新型コロナウイルス「Covid-19」で影響を受けた低・中所得者向けの支援策・第二弾となる「Kita Prihatin(私たちの関心事)」を発表した。

 予算規模は100億リンギ。うち70億リンギを生活費補助のための一時金の第二弾、「第二次国民支援計画(BPN2.0)」、24億リンギを「第二次賃金助成金制度(WSP2.0)」、6億リンギを「第二次零細企業向け特別助成金(PSG2.0、あるいはGKP2.0)」にそれぞれ充てる。
BPN2.0では、最下の40%の低所得層「B40」に世帯当たり1,000リンギ、単身者には500リンギそれぞれ支給する。また40%を占める中所得者層「M40」にはそれぞれ600リンギ、300リンギ支給する。支給は10月と来年1月の2回に分けて行なう。有資格者にはデータベースに基づき自動支給するため、新たに申請し直す必要はない。
WSP2.0の申請は社会保険機構(Socso)加入が条件。10月1日—12月31日の期間受け付ける。従業員最大200人まで一人当たり月額600リンギを3カ月間支給する。
PSG2.0の申請期間は10月1日から10月31日まで。これまでにPSG1.0で助成金を受けていない企業が対象で、11月25日の支給開始を予定している。
ムヒディン首相は、9月11日までに労働者263万人と雇用主32万1,000人がBPN1.0の恩恵を被ったと指摘。BPN2.0では1,060万人に恩恵をもたらすだろうと強調した。

外国人入国者からは隔離費用全額徴収、24日付けで実施

【プトラジャヤ】  イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は24日、マレーシアに入国するすべての外国人に対し、同日付けで新型コロナウイルス「Covid-19」隔離費用として4,700リンギを全額徴収すると発表した。

内訳は隔離期間中の宿泊料が1部屋2,100リンギ、運営費用が2,600リンギ。ひと部屋を複数人数でシェアする場合の宿泊料は頭割りとなる。また6歳以下の子供が同室する場合は宿泊費は無料となる。

マレーシア国民については、運営費用を政府が全額負担するため、宿泊料のみの支払いとなる。これまでは実質、外国人船員のみが全額徴収の対象となっていた。

マレーシア政府は外国から入国する人を対象とした14日間の隔離について当初は自宅隔離も認めていたが、自宅隔離を守らない人が続出したことから7月24日より隔離センターでの隔離を義務づけていた。

(マレー・メイル、星州日報、ザ・スター、ベルナマ通信、9月24日)

アンワル氏が過半数掌握を宣言、近く政権樹立の意向

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相は23日に緊急記者会見を開き、自身に対する下院議会(定数222)議員の支持が過半数を超えたと言明。国王との会見を経た後に自身を首班とする新政権を樹立すると宣言した。

アンワル氏は「我々は国を運営するために安定した政府を必要としている」とした上で、すでに過半数の議員の支持を得ており、もはやムヒディン・ヤシン首相率いる国民同盟(PN)内閣は存在しないと言明。すでに国王と電話会談を行なって会見の許可を得ているとし、入院中の国王の病状が回復したら面会して詳細を説明し、その後国民にも詳細について発表すると述べた。

アンワル氏は自身を支持する議員の具体的数字は明らかにしなかったものの、5、6議席程度のマジョリティではなく3分の2近くの支持を得ていると述べた。また、ムヒディン氏が新政権に参加することで円滑且つ平和的な政権交代が可能になるとして、ムヒディン氏の新政権への参加を要請。「裏口内閣」ではなく過半数の支持を背景にした正統な政権となるとし、マレー人が多数派を占める政権にはなるもののすべての民族や宗教を取り込んだ政権になると述べた。

現時点でPHの議席数は91議席だが、友党のサバ遺産党(ワリサン)やマハティール・モハマド前首相率いる祖国戦士党(ペジュアン)、統一ムルト・カダザン組織(UPKO)などを加えると109議席となり過半数に迫る。「マレーシア・インサイト」は消息筋の話として、PN所属議員20数人がアンワル氏支持にくら替えする事で合意したと報じていた。

■証明されるまでPN政権を維持=ムヒディン首相■

アンワル氏の発表を受けてムヒディン首相も同日特別演説を行ない、新型コロナウイルス「Covid-19」から経済を復活させるにあたって必要なことは安定した政権と国民の支持だと強調した上で、「政権を不安定化させる政治家を拒否するよう訴えたい」と言明。アンワル氏が自身の主張を憲法に基づくプロセスに則って証明する必要があり、それまではPNが政権の座にあると述べた。

サバ州選挙に勝利すれば総選挙前倒し実施=ムヒディン首相

【コタ・ベルド=マレーシアBIZナビ】 26日に投開票が行なわれるサバ州議会選挙の応援のため18日に同州を訪問したムヒディン・ヤシン首相は、自身が結成した同州野党連合・サバ国民連合(GRS)が勝利した場合に総選挙を前倒しで行ないたいとの考えを示した。

 ムヒディン氏はサバ州議会選について「国全体の将来的な政局を占う上で重要」とした上で、「次期総選挙の実施次期はまだ決まっていないが、サバ州議会選で勝利した場合には速やかに総選挙を行なわなければならない」と言明。「重要なのは州議会選において国民連盟(PN)が支持を得られるかどうかであり、私が首相職を続投することを望んでいるか知るためのシグナルになる」と述べた。
その上でムヒディン氏は連邦政府と州政府が同じ政治連合であるべきだとし、「希望同盟(PH)は消滅した。従ってサバ遺産党(ワリサン)には投票しないで欲しい」と呼び掛けた。
同州議会選挙は、与党ワリサンを率いるシャフィー・アプダル首相が議会解散を決めたことを受けて実施される。政権維持を目指すワリサンには、友党であるPHや統一ムルト・カダザン組織(UPKO)が支援。対する野党は、国民戦線(BN)とPNの連合が政権奪回を目指す。