日本&マレーシア、第2次二国間通貨スワップ取り決め締結

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本財務省は18日、財務大臣の代理人である日本銀行とマレーシア中央銀行バンク・ネガラが同日、第2次二国間通貨スワップ取り決め(BSA)を締結したことを明らかにした。

 同取り決めにより、日本とマレーシアの金融当局は、それぞれの自国通貨(日本円、マレーシア・リンギ)を米ドルに交換することが可能となる。交換上限額は30億米ドル。
日本財務省は声明の中で、今回の協定締結が日・マ両国の金融協力の継続を反映し、金融市場の安定の確保に貢献すると強調。日・マ当局が拡大する両国間の経済・貿易関係を一層発展させることを期待すると述べた。
日・マ両国は今年5月、二国間通貨スワップ取り決めで基本合意していた。

新規感染急増なら再びMCO発令も=ムヒディン首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は15日に国民に向けたテレビ演説を行い、新型コロナウイルス「Covid-19」が再び増加傾向にあることを踏まえ「急増する場合には再び行動制限令(MCO)を発令する可能性がある」と述べた。
ムヒディン首相は、MCOを再発令することは国民生活と国の経済にマイナスの影響を与えると指摘。再発令をしないで済むよう、国民に感染予防の徹底を呼び掛けた。
またムヒディン首相は解除への期待が大きい国境封鎖措置について、政府としては国境再開を急ぐことは考えていないと言明。反対に不法移民の入国取り締まりを中心に、国境管理をより厳格化すると述べた。4月3日から9月15日までに外国人入国者1,017人から陽性が判明した。
さらにムヒディン首相はサバ州で感染ケースが増えていることに触れ、選挙戦に入ったサバ州議会選挙を通じての感染拡大に対する懸念を表明。改めて標準的運用手順(SOP)の徹底を呼び掛けた。

KL市が住宅開発条件見直しへ、10日の大規模洪水受け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 10日にクアラルンプール(KL)市内で起きた大規模洪水を受けて、KL市役所(DBKL)は住宅開発に関する条件見直しを検討する。
ノル・ヒシャム市長は、洪水防止用の溜池の拡大を計画しているとした上で、新たな住宅開発においては開発地域に溜池を併設することを義務づけると強調。また住民に対しては排水溝にゴミを捨てないよう求めた。洪水の原因についてアヌアル・ムサ連邦直轄地相は、増水した川の水を他の河川や溜池に迂回させるための排水溝が詰まったことが原因だと指摘していた。
KL市内の洪水は午後1時ごろに始まった集中豪雨により発生。スンガイ・クランが氾濫したため▽レブ・アンパン▽カンポン・バル▽セタパク▽ジャラン・ガーニー▽セマラック——の5カ所で浸水し、一部の地域では3メートルまで達した。
午後2時過ぎにはゴンバック川の水を迂回させるゴンバック分水路、ケロー分水路、カンポン・ベレンバン溜池が稼動し、午後4時40分になってようやくSMARTトンネルがカンポン・ベレンバン溜池からタマンデサ溜池への排水を開始した。
10日午後は、ゴンバック・シンパン・ティガでは平均200ミリ、ゴンバック周辺およびKLでも100ミリを超える集中豪雨となり、ゴンバック川やクラン川、ブヌス川は危険水域を超える水位に達していた。

馬・星通勤者の往来、来年1月の制限撤廃目指す

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アドハム・ババ保健相は、現在人数を限定して認めているマレーシア・シンガポール間の通勤者の往来について、来年1月の制限撤廃を目指して検討していることを明らかにした。
アドハム保健相は、国境を完全に再開することが可能かどうかを決めるに当たって、今後4カ月の復興のための運動管理命令(RMCO)期間は重要な時期になると言明。国境管理、社会的的距離、個人用保護具使用などで、よりシステマチックなアプローチがとられるだろうと述べた。

 両国は通勤者を対象とした「定期通勤申し合わせ」(PCA)及び業務渡航・公務出張者を対象とした「相互グリーン・レーン」(RGL)を8月17日より開始しており、段階的に拡大する方針。マレーシア政府は今後の自由化拡大に向けて国境における感染検査能力を倍増させる方向で検討している。
■23カ国民の入国禁止、「長期パス所持者は除外」■
イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、先ごろ発表した7日付けでの23カ国の国民の入国禁止措置について、長期滞在パスを所持している者を対象から外すと述べた。
サブリ上級相は、駐在員や専門家は出入国管理局の承認を得ることを条件に入国を認めると言明。出入国管理局に申請する際にはマレーシア投資開発庁または関連機関からのサポートレターが必要になると述べた。
対象となるのは感染者数が累計15万人超える国で、永住許可証(PR)、雇用パス(EP1及び2)、プロフェッショナル・ビジット・パス(PVP)、マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)も含まれていたことからマレーシア・米国商工会議所(AMCHAM)などがマレーシア政府に見直しを要求していた。

東海岸鉄道線の路線、BN政権時代の計画に変更へ

【クアラルンプール】 東海岸鉄道線(ECRL、全長約600キロメートル)の路線計画について、ハスビ・ハビボラ副運輸相は、C区間についてパハン州ベントン、セランゴール州ゴンバックを通りセランゴール州クラン港を結ぶ国民戦線(BN)時代に決定された路線案に戻すために調整中であると明らかにした。
国会の質疑応答でECRLの路線について聞かれたハスビ副大臣は、PH政権が提案していたパハン州メンタカブからセランゴール州クラン・ウェストポートをつなぐ路線から原案に戻すために、コストや事業計画を調整していると説明。中国政府や主要な請負業者と再交渉し、交渉結果を、閣議提出するとした。
ハスビ副大臣は、路線計画の見直しの理由については、マレーシア国鉄(マレー鉄道=KTMB)が有する路線ネットワークと統合することができると説明。またセレンダ駅をECRLとKTMの乗り換え駅とすることができるとした。
ECRLはC区間の他、A区間(クランタン州コタバルートレンガヌ州ドゥングン)、B区間(ドゥングンーメンタカブ)がある。
(ベルナマ通信、エッジ、9月8日)

東海岸鉄道新線、原BN政府案を復活か

【クアラルンプール】 東海岸鉄道線(ECRL、全長約600キロメートル)の計画路線について、ムヒディン・ヤシン内閣は、国民戦線(BN)時代に決定された路線案に戻す方針を固めた。すでに今月2日の閣議で了承された模様だ。

 ECRLは首都圏とクランタン州コタバルを結ぶ電化新線で、BN政権下での原計画では総工費655億リンギ。中国交通建設(CCCC)が建設することで、中国輸出入銀行(EXIM)から550億リンギのソフトローンを借り入れることになっていた。しかし2018年に樹立した希望同盟(PH)政権では歳出削減などを理由に一時凍結しその後復活したものの、路線変更に伴うトンネル削減などで440億リンギに圧縮することになっていた。
両者の提案で大幅に異なるのは、C区間(パハン州メンタカブ—セランゴール州クラン・ウェストポート間)。PH政権が提案していたネグリ・センビラン州(ニライ)やプトラジャヤを通る南回り路線ではなく、BNが提案していたパハン州ベントン、クアラルンプール(KL)北部ゴンバックを通る北回り路線が採用される見込みとなった。
消息筋によると、BN案が採用されれば建設コストはPH案より膨らむものの、BNによる原計画よりは低く抑えられる見通し。コスト削減のために当初予定されていた複線を止めて単線にすることも検討するという。ただ建設コストに関してはCCCCと新たに交渉をし直す必要があり、計画路線がセランゴール州の森林保護区にかかっているため、州政府の同意を得る必要がある。なおBN政権当時の完成予定は2024年6月30日となっていたが、PH政権時代に2026年12月に先送りされていた。
(星州日報、エッジ、9月5日)

MM2Hプログラム、サラワク州が独自継続へ

【クアラルンプール】 凍結中の外国人の長期滞在を奨励する「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」プログラムについて、サラワク州政府は独自に継続していく考えだ。
同州アブドル・カリム・ラーマン・ハムザ観光芸術文化青年スポーツ相は、同州には独自の移民政策があると強調。サラワク州独自の「S-MM2H」を継続して参加者誘致を目指すとした上で、9月1日より延長された新たな復興のための行動制限令(RMCO)の要件を遵守することでサラワク州政府を経由して申請することができるとした。
カリム氏によると、S-MM2Hプログラムに1,000人の新規参加者が見込まれ、2030年までに834万リンギの収益、3,100万リンギの投資を見込んでいる。2007年から2019年にかけ同州では1,240人を受け入れた。
連邦政府・観光芸術文化省は8月、同相及び関係機関が同プログラムを包括的に見直すためにMM2Hを一時的に凍結すると発表した。他国におけるMM2Hと同様な長期滞在プログラムとの条件、優遇措置などを比較し、国際水準のプログラムに見直すことを目指すとしており、すでに申請中のものについても凍結解除後に改めて再申請する必要があるとしている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、9月4日)

国境再開は慎重に検討する必要=イスマイル上級相

【プトラジャヤ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は8月28日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大の懸念が再び高まっているため人の行き来を認めることに関しては慎重に扱う必要があるとし、国境再開に関する判断は規制緩和を進めるに当たって最後の決定になると述べた。
タイやインドネシアからの労働者の入国を認めるために国境を再開することを検討したが、国境を再開した国で感染者が増加していたり、感染者が入国するケースがみられると強調。27日に行われた特別閣僚会合では、国境再開には慎重に臨むことで合意したと明らかにした。
エアアジア・グループのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)が先ごろ、東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々に向けて感染拡大の抑制に成功したとみなされる「グリーンゾーン国・地域」に対して国境の解放を求めていたことについては、イスマイル氏は、グリーン・ゾーンと見なすことができる国はないと強調。政府はこれまで、日本、シンガポール、豪州、ブルネイ、ニュージーランド、韓国を「グリーンゾーン国」としていたが、数カ国では感染者が増加しているとして再検討する必要があるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月29日、ベルナマ通信、8月28日)

暫定措置法を下院が可決、新型コロナ影響緩和に向け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 下院議会は25日、新型コロナウイルス「Covid-19」の国民生活や経済に与える影響を緩和するための暫定措置法案を可決した。
可決したのは「2020年新型コロナウイルス疾患の影響軽減のための暫定措置法」で、行動制限令(MCO)が発令された3月18日に遡及して16の法律に適用される。違反に対する罰則規定は設けられていない。
3月18日から8月31日までの期間、不動産購入者の分割払いの未払いに対して不動産開発業者が延滞金を課金することを禁止する。不動産開発業者は、製造物責任期間から同期間を除外する必要がある。また同期間の家賃を滞納したテナントに対して差し押さえを求めることはできない。商品の所有者は4月1日から9月30日までの期間限定で、契約に反して分割払い金を滞納した購入者から商品を差し押さえることはできない。
法案を提出したタキユディン・ハッサン首相府相(法務担当)は、こうした契約に関わる問題を仲裁するための調停センターを設置する考えを表明。野党が立法化が遅れたことを批判していることについては、「綿密な計画を立てる必要があり、関係各所との調整に時間がかかった。同様な暫定法を早々に制定したシンガポールはその後10回も改正している」と反論した。
マレーシア製造業連盟(FMM)は、暫定的な救済措置がとられたのは不動産・建設などに関する7種の契約のみであり、他の製造関連セクターとそのサプライチェーンをカバーしていないと批判している。

公的債務残高の上限を60%にアップ、下院議会で可決

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア下院議会は24日、暫定措置として公的債務上限を対国内総生産(GDP)比55%から60%に引き上げる暫定法案を可決した。新型コロナウイルス「Covid-19」対策を柔軟に行なうためだが、財政のさらなる悪化が懸念される。
公的債務上限を引き上げるのはリーマン・ショックが起きた2009年7月に10ポイント引き上げて以来。可決された「2020年コロナ対策に向けた財政支出のための緊急対策法」には、「1959年借入法」及び「1983年政府資金法」に基づきGDPの55%を上限としていた公的債務残高(マレーシア国債=MGSとイスラム債=政府投資証券=GIIの合算)を60%まで暫定的に引き上げることを可能とする内容が盛り込まれている。2022年末までの時限法となっている。
テンク・ザフルル財務相は、新型コロナで疲弊した経済支援のためにムヒディン・ヤシン内閣が約2,950億リンギの景気刺激策を実施し、450億リンギの公的資金が投入されたと説明。これにより公的債務比率が56%に高まったと述べた。今年第2四半期のGDPは17.1%の大幅マイナス成長となった。新型コロナの影響が続く中、商工団体からは銀行ローン返済猶予や賃金助成金の期限延長を求める声が上がっている。