銀行ローンの返済猶予、一部を対象に3カ月延長

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は29日、テレビ演説を行ない、9月いっぱいで終了する銀行ローンの返済猶予措置について、失業者など特定のグループを対象に3カ月延長すると発表した。

失業者は、さらに3カ月のローン返済猶予措置を受けることができる。その後、各人の状況に基づきさらに猶予措置の延長を受けることが可能となる。

また勤務は続けているものの給与カットを受けた者についても、ローンの種類と給与減額の幅に応じて月々の分割払い金額を削減する。同措置は6カ月間だが、状況に応じて延長申請も可能としている。

個人もしくは中小企業(SME)についても銀行側は支援を約束しており、返済繰り延べや金利分だけ返済する方式など、借り手の財務状況が安定するまで支援が受けられる。

対象者は8月7日から銀行に申請することが出来る。

政府は新型コロナウイルス「Covid-19」抑制に向けた行動制限令(MCO)発令に伴い、銀行ローンの返済猶予措置を4月1日付けで6カ月の時限措置として発効していた。7月20日現在、770万人の個人が総額383億リンギ相当、中小企業24万3,000社が207億リンギ相当の融資に関する返済猶予措置をそれぞれ受けている。

銀行ローンの返済猶予措置期間が9月いっぱいで終了することに関して、マレーシア製造業者連盟(FMM)は、多くの中小企業が存続できなくなる恐れがあるとして措置延長を訴えていた。

道路交通法改正案が国会提出、飲酒運転などの罰則強化

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 運輸省は27日、飲酒及び薬物摂取を伴う運転に対する罰則強化を盛り込んだ「2020年道路交通法(改正)」法案を下院議会に提出した。
既存の「1987年道路交通法」を大幅に見直すもので、これによると飲酒運転の定義はこれまでの呼気中のアルコール濃度が0.35mg/L、血中が同0.8mg/ml(0.08%)だったが、それぞれ0.22mg/L、0.5mg/mlに厳格化される。
飲酒運転の罰則(初犯)はこれまでの罰金1,000リンギ以下から罰金1,000—5,000リンギとなる。また飲酒運転時に死亡事故を起こした場合の罰則は、これまでの罰金8,000—2万リンギ、禁固3—10年、免許取り消し5年以下から罰金5—10万リンギ、禁固10—15年、免許取り消し10年以下に強化される。
ウィー・カション運輸相によると、運転していなくても飲酒状態で運転席に座っていた場合には路肩であれば飲酒運転とみなされる。ウィー氏は「酔いを醒ます場合は助手席に座るか、路上以外の場所に停めるべき」とした。

ナジブ元首相に有罪判決、1MDB裁判最初の7件で

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国営投資ファンド、ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)の巨額資金不正流用を巡る一連の裁判で28日に最初の判決があり、クアラルンプール(KL)高等裁判所は7件の罪状についてナジブ・ラザク被告(元首相)に有罪を言い渡した。

 判決があったのは、1MDBの元子会社だったSRCインターナショナルからナジブ氏の口座に4,200万リンギが振り込まれた件に関連する、3件の背任(CBT)と3件のマネーロンダリング(資金洗浄)、1件の職権濫用の罪状に関するもの。有罪が確定すればそれぞれの罪状で15—20年の禁固刑のほか多額の罰金が科されることになる。
ナジブ氏の弁護団は、証拠とされる文書にあるナジブ氏の署名については偽造されたものだとし、送金についてはサウジアラビア王族からの寄付であると国外逃亡中のロー・テックジョー(通称ジョン・ロー)容疑者から説明を受けていたがナジブ氏自身は関与していないとして無罪を主張。ロー容疑者が1MDB事件の主犯だとしていた。
ナジブ被告は控訴する方針を示しており、裁判は控訴審、連邦裁判所までいくとみられる。ナジブ被告は下院議席を有罪が確定するまで維持できるが、それまでに解散・総選挙となった場合には出馬することはできない。
同被告は1MDBに関連する合計5つの裁判で合計42件の罪状に問われている。
一連の1MDBを巡る裁判では、ナジブ被告の義理の息子で映画プロデューサーのリザ・アジズ氏も、1MDB資金の一部を流用したマネーロンダリングの罪で起訴されたが、今年5月に1億730万米ドルを返還することを条件に起訴が突然取り下げられている。このため司法の中立性に対する疑問からナジブ氏の裁判が公正に行なわれるか危ぶむ声も上がっていた。

当面は州跨ぎの移動は禁止せず=サブリ上級相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、31日の「ハリラヤ・ハジ」(犠牲祭)に関連して、当面は州を跨いだ移動を禁じる考えのないことを明らかにした。

  27日に発表された「ハリラヤ・ハジ」のガイドラインによると、州を跨いだ帰省は自由だが標準的運用手順(SOP)に従うことが条件。私邸などで行なう私的な祝賀の集まりは20人を上限とすること、一カ所で実施する犠牲動物の頭数を10頭以下とすることなどが守られない場合は摘発するという。

  新型コロナウイルス「Covid-19」新規感染者が増加傾向にあることを受けてサブリ氏は25日、復興のための行動制限令(RMCO)よって緩和されたSOPについて再び厳格化することを閣議決定したと発表。翌26日には、新規感染者数が三桁になった場合には再び行動制限令(MCO)を再度発令する可能性があると警告していた。

 ■サラワク州の独自規制は容認■

  サブリ氏はまた、感染者が増加傾向にあるサラワク州が8月1—14日の期間限定で導入する独自規制について容認する考えを表明した。

  同州はゾーン1(イエローとレッド)とゾーン2(グリーン)間の無許可の移動を禁止する方針で、また半島部やサバ州、ラブアンからの航空便も減便するとしている。

ソーシャルメディア動画はライセンス不要、閣僚が発言撤回

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 サイフディン・アブドラ通信マルチメディア相は24日、ソーシャルメディアなどの動画配信にライセンス取得が必要だとする先の発言について全面撤回。オンライン動画作成や投稿は自由に行なうことができると言明した
サイフディン氏は、改めて「1981年国家映画発展局(Finas)法」を時代に合わせるために改正すると言明。ソーシャルメディアの動画配信については、「マレーシア政府はメディアの自由の原則とソーシャルメディアサイトにおける個人の自由に対する権利を支持する立場を維持する」とし、これまで通り自由に発信することができるとした。
サイフディン氏は先の国会答弁で、すべての映像製作者が国家映画発展局より製作ライセンス及び撮影許可を取得する必要があると言明。ソーシャルメディアの動画配信にもライセンスが必要と発言し、表現の自由に抵触するとして批判を浴びていた。
批判を受けたサイフディン氏は、YouTubeなどのソーシャルメディアの動画が既存のFinas法の適用を受けるという現状を説明しただけで、政府にはソーシャルメディア上での個人の表現の自由を制限する意図はないと釈明したが、野党・人民正義党(PKR)のファミ・ファジル議員は、サイフディン氏の弁明はソーシャルメディアユーザーの怒りを逸らそうとするだけで、ユーチューバーなどが実際にライセンスを必要とするのかどうか肝心の点が明確にされていないと批判していた。

日マ防衛閣僚が電話会談、南シナ海問題などで意見交換

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 河野太郎防衛相とイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、20日に電話会談を行い、中国が実行支配地域の拡大を続けている南シナ海の問題、新型コロナウイルス「Covid-19」対策における防衛当局の役割などで意見を交換した。
サブリ氏は、対話と協議を通じて平和的かつ合理的な方法で南シナ海地域を管理すべきとの立場を維持するとのマレーシアの基本方針を河野氏に説明。南シナ海の平和、安全、安定を確保するためにすべての当事者が協力することの重要性を強調した。
河野氏は、東・南シナ海における最近の事例を念頭に、力を背景とした一方的な現状変更の試み、緊張を高めるいかなる行為にも強く反対すること、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要であるとの日本の立場を説明。両国が隙のない防衛態勢を維持していくこと、日マ防衛協力・交流を継続・強化していくことの重要性を指摘した。

JB—シンガ間高速鉄道、2026年末までに開業

【クアラルンプール】 ウィー・カション運輸相は21日、ジョホールバル(JB)—シンガポールを結ぶ高速鉄道輸送システム(RTS)について、2021年1月に着工し2026年末までに開業すると発表した。
ウィー氏は下院議会の答弁で、マレーシア・シンガポール両国によるRTSに関連する3件の覚書調印式が7月30日にジョホールバルで予定されていると言明。両国首相が出席する予定であることを明らかにした。2024年末までの第一期では土木構造物を含む建設で、続く2026年までの第二期では信号、車両、通信、試運転、システムテストなどのシステム構築作業を行なう。
ジョホールバルのブキ・チャガルとシンガポールのウッドランズを結ぶ全長4キロメートルで、1時間あたり片道1万人の輸送能力を持つ。当初の建設予算は49億リンギだったが、路線見直しで32億リンギに抑えた。
RTS計画は2024年末までの開通を目指して2018年に承認されたが、前・希望同盟(PH)政権時代に財政負担を理由に一時凍結され、その後復活したものの数度にわたって先送りされていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、7月21日)

公共の場でのマスク着用義務化を検討=ムヒディン首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は20日、復興のための行動制限令(RMCO)に関する特別テレビ演説を行ない、公共の場所におけるマスク着用の義務化を検討していることを明らかにした。

新型コロナウイルス「Covid-19」感染が再び拡大することを防止するためで、ムヒディン首相は詳細については決まり次第発表すると言明。必要に応じて海外帰国者についても隔離センターに留めおくなどして、海外からの感染流入を効果的に抑制すると述べた。

ムヒディン首相は、収束に向かっていた新型コロナウイルスのクラスターがRMCO期間中に13カ所で発生したことに加え、数日前に新規感染者数が二桁に戻ったことが懸念されると指摘。「国民がロックダウンの実施を望んでいないことは分かっており、そうした危険レベルに達することがないよう願っている」と述べた上で、国民の「新常態」に対する取り組みが不十分であれば、再び行動制限令(MCO)を導入することになると警告した。

ムヒディン首相はMCOを再導入した場合には1日当たり20億リンギの経済損失を産み、数百万人の被雇用者の収入に影響を及ぼす恐れがあると指摘。これまでの政府、民間、NGOが行なってきた経済復活への取り組みを台無しにし来年の経済成長にも影響を及ぼし、企業の倒産や失業率の上昇を産むと述べた。

与党PPBM、ムヒディン党首が無投票再選

【クアラルンプール】 与党・国民連盟(PN)構成党、統一プリブミ党(PPBM)は17日、8月に予定している党役員選挙に先駆けて、非公式ながらムヒディン・ヤシン党首(首相)が再選を決めたことを明らかにした。
党選挙委員会のサイド・ハミド議長は、立候補締め切りまでにムヒディン氏以外に立候補者が出なかったためと説明。8月に他の役員選が終わった後に正式発表するとした。副党首ポストについて、アハマド・ファイザル・アズム(ペラ州首相)が対抗馬なしのため無投票当選を果たした。ただ議長選については立候補者がいなかった。議長ポストは、マハティール・モハマド前首相が2月末の政変の際に辞任してから空白となっており、ムヒディン党首が代行している。
党首補選挙には17人が立候補を届け出ている。モハマド・ラジ上級相(教育担当)、レズアン・ユソフ首相府相(特別任務担当)、ロナルド・キアンディ農業農業関連産業相らが立候補した。また青年部長選にはワン・アハマド・ファイサル副青年スポーツ相ら2人、婦人部長選にはリナ・ハルン女性家族共同体開発相ら4人がそれぞれ立候補した。
PPBMの各部会は8月22日に開催され、役員選挙も実施されることになっている。
(ベルナマ通信、7月17日)

長期的な国家経済復興計画、10月に発表=首相

【クアラルンプール】 ムヒディン・ヤシン首相は14日、長期的な国家経済復興計画(PENJANA)を10月に発表すると明らかにした。
ムヒディン首相は国会の質疑において、経済行動評議会(EAC)が計画を策定中で、10月にも国会に提出すると言明。デジタル化やインダストリー4.0(IR4.0、第4次産業革命)に関する政策を盛り込むと明らかにした。また11月6日に発表する来年度予算案にも様々な政策を盛り込むと補足。経済の再構築や強化に関しても様々な政策と戦略を策定中で、来年発表する予定の「第12次マレーシア計画(12MP、対象期間;2021ー2025年)」では社会開発の不均衡に対応すると明らかにした。
一方で経済成長について、ムヒディン首相は新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界経済や貿易環境が厳しい中、第1四半期は0.7%成長したと言明。中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は今年通年の経済成長の予想をマイナス2%からプラス0.5%としているとした。失業率についても統計局は今年は5.5%を予想しているとし、行動制限令の緩和や短期的なPENJANAが奏功して年末までに回復に向かうとの予想を示した。
(ベルナマ通信、7月14日)