休暇目的の出国は不可=サブリ上級相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、マレーシアで合法的に働いている外国人に対し、休暇を目的とした出国は禁じると発表した。
規則に違反して出国した場合には、追って通知があるまでマレーシアへの再入国は認めないという。雇用パス・カテゴリー1(EP1)やEP2、プロフェッショナル・ビジット・パス(PVP)保持者を含むすべてのビザ・カテゴリーに適用する。
マレーシア人の場合は留学生が学業継続のために出国すること以外の休暇目的の出国は認めておらず、外国人にだけ出国が許可されるのは不公平との意見を受けて国家安全評議会(NSC)が決定したという。
サブリ上級相は、マレーシア人帰国者のうち225人がいまだ14日間の自己隔離の13日目に義務づけられている抗体検査を受けていない事を明らかにした。違反者は罰金1,000リンギ、最高で禁固2年に処される可能性があり、サブリ氏は早急に検査を受けるよう呼び掛けた。

議会再開、前哨戦の議長解任動議は僅差で可決

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 下院議会(定数222)が2カ月ぶりに再開し、初日の13日には新型コロナウイルス「Covid-19」の下院議会の標準的運用手順(SOP)、政府が打ち出した感染防止策や経済対策、下院議長及び副議長の交代に関する審理が行われた。

 アンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首が野党側リーダーとして、またマハティール・モハマド前首相も新たな野党ブロックの代表として質問に立った。

ムヒディン・ヤシン首相は、モハマド・アリフ下院議長の交代に関する動議を提出。賛成111票、反対109票で辛くも2票差で可決された。今国会では野党側がムヒディン首相の不信任案を提出する意向を示しており、その前哨戦として注目されていた。

野党側は「解任の理由が不透明」「新たに政府・与党寄りの人物を指名するための恣意的もなもの」などと批判。議会改革に積極的だったアリフ議長の留任を求めて動議否決を目指していた。

過半数をとれなかったのは、与党・国民連盟(PN)側から議員1人が欠席したため。ひとまず可決したものの与党側にとって綱渡りの状況であることが改めて示された格好だ。

■経済対策、「議会審議の時間なかった」ムヒディン首相■

下院議長解任動議に先立って新型コロナウイルス「Covid-19」に関連した政府の経済対策について野党から質問があり、ムヒディン首相は議会審理を通さなかったことについて「国民から要請があった。緊急を要していたため、議会開催まで待つことが出来なかった」と説明した。

ムヒディン首相は、下位40%の低所得者(B40)やサバ・サラワク州などの地方が取り残されないようにすると言明。社会経済開発の不均衡に対処し、経済を再構築・強化するための様々な政策・戦略の策定に着手していると述べた。

貧困ラインを近く見直し=ムスタパ首相府相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)は、貧困と定義される最低ラインが低すぎるとの指摘を受けて見直しに着手していることを明らかにし、近く新たな貧困ラインを発表すると述べた。
ムスタパ大臣は、貧困ラインの問題は昨年から2回にわたって閣議で議題に上っているとした上で、見直しに取り組むために経済企画局(EPU)によって数回にわたって委員会が招集されたとコメント。月収980リンギとなっている現在の貧困ラインは2005年に行なわれた研究に基づいたものであり、指摘されているように時代遅れであると認めた。また新たな貧困ラインについては、2019年の新たな方法論が導入される予定であるとし、貧困を取り巻く最新の数値が含まれマレーシアの現在の社会経済状況をより適切に反映するものになると述べた。
マレーシアの貧困率については、月収980リンギの貧困ラインに基づけばわずか0.4%となるが、元国連特別報告者のフィリップ・アルストン氏は7月6日に発表したリポートの中で、「誤解を招くほど低く非現実的」と指摘。「国際基準に基づいているとの政府の主張は煙幕であり、現実と統計の間の明らかなミスマッチを無視している」と批判していた。

ハラル認証手続きを簡素化の方針=ズルキフリ首相府相

【クアラルンプール】 ズルキフリ・モハマド・アルバクリ首相府相(宗教問題担当)は、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証取得手続きを簡略化する方針を明らかにした。
ズルキフリ大臣は、ハラル認証の問題を包括的に調査して、認証取得において業界が直面するすべての問題が解消されるようにすると言明。ハラル認証取得プロセスにおいて申請者に負担をかけるべきではないとした上で、復興のための行動制限令(RMCO)においては特にその必要性はあると述べた。その上で、申請プロセスを見直し手続きを簡略化しつつも規定のハラル基準を満たすようにするとし、具体的には申請後の処理期間の短縮、ハラル証明書の申請に必要な文書の削減などが、簡略化の検討内容に含まれるとした。
またズルキフリ大臣は、ニセのハラル・ロゴが一部で使用されている問題に言及。当局だけでなく一般国民、特にイスラム教徒もハラル・ロゴが本物であるか注意を払うよう呼び掛けた。先ごろイスラム宗教局(JAIS)は、セランゴール州シャアラムのスナック工場をニセのハラル・ロゴを使用していたとして摘発した。
(ベルナマ通信、7月6日)

東海岸鉄道線、中央部の路線ルート巡り対立

【ペタリンジャヤ=マレーシアBIZナビ】 東海岸鉄道線(ECRL)の中央部の路線敷式ルートを巡り政府高官の間で対立がが起きている。
ECRLは、ポートクランとコタバルを結ぶ全長648キロメートルの電化新線。ナジブ政権下で発表されたが総工費が膨れ上がったため、その後政権を握った希望同盟(PH)が計画を凍結。建設費がかさむトンネルを減らすためのルート変更などが行われ、当初予定よりコストを削減し、40キロメートル縮小した上で再開が決まった。その際に、当初はパハン州のメンタカブからネグリ・センビラン州のジェレブおよびクアラ・クラワン間のルートに関して北側を通るゴンバク、ベントンを通るルートの予定だったが、バンギ、カジャン、メンタカブを通る南側ルートに変更された。しかし政権が再び交代したことで2つの案を巡り対立が起きている
ウィー・カション運輸相は、テレビのインタビューでパハン州のワン・ロスディ・ワン・イスマイル州首相から当初予定のゴンバクとベントンを通る北側ルートにすべきと提案があったと表明。またムヒディン・ヤシン首相からも北もしくは南ルートどちらにするのか決めるように求められているが、まだ決定していないと述べた。
ECRLの推進母体、マレーシア・レール・リンク(MRL)も、当初の路線に戻すよう提案があることを認めている。

野党・希望同盟、アンワル氏の首相候補擁立方針を確認

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党側の統一次期首相候補の人選を巡って混乱が続いている野党連合・希望同盟(PH)は6日、PHリーダーであるアンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首を推すという先の決定を維持するとの声明を発表した。
PHは同日、声明に先立って構成党トップによる最高評議会議を開催。アンワル氏を首相候補に推すことを再度確認した上で、友党であるサバ遺産党(ワリサン)のシャフィー・アプダル党首を含めたすべての共闘先との対話における全権をアンワル氏に委ねることも決定した。
PKRはアンワル氏の首相候補擁立について譲らない構えを崩しておらず、PH最高評議会はアンワル氏を立てることでひとまず野党連合分裂という最悪の事態を避けることを優先したとみられる。マハティール氏に対する警戒感はあるもののアンワル氏も友党との話し合いを継続する考えを示しており、噂される総選挙に向けて野党間の結束を図りたい考えだ。
野党側の首相候補に関しては、アンワル氏擁立案に対して同氏を嫌うマハティール・モハマド前首相が難色を示しており、当初マハティール氏は自身を首相、アンワル氏を副首相とする案をPH側に打診。それに対するPKRの反対が強いとみてとると、シャフィー氏を首相候補にたてる代案を提案していた。マハティール氏に不信感をもつPKRはこれらのマハティール氏の提案をことごとく却下。野党間の統一候補擁立交渉が暗礁に乗り上げていた。

「第3の国民車」計画は続行、プロドゥアが協力

【ラワン】 アズミン・アリ上級相(兼通産相)は、今年3月にムヒディン・ヤシン内閣による政権交代が行なわれたものの、前政権時代に立ち上げられた「第3の国民車」プロジェクトを推進する考えを示した。

 第2国民車メーカーのプルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)と、プロドゥアに出資するダイハツ工業が、「第3の国民車」プロジェクトにどのように協力できるか政府より提案を求められているという。

 プロドゥアのザイナル・アビディン社長は、政府に対してベンダーシステムの提案を行なったことを明らかにした上で、「第3の国民車」の委託生産を受注する可能性があると述べた。

 同プロジェクトはマレーシアの自動車産業の振興のためにマハティール•モハマド前首相が提唱したもので、2019年8月にアンカー企業としてエンジニアリング会社、ドリームEDGEが指名された。

 政府はドリームEDGEに対しても、プロジェクト概要について説明を求めている。当初の計画では今年3月に最初のモデルのプロトタイプが完成し、2021年3月の発売を目指していた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、7月3日)

与党連合と友党が会議、ムヒディン内閣支持で一致

【プトラジャヤ=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は、1日に与党連合・国民連盟(PN)及び友党の党首と非公開会議を行ないムヒディン内閣を支持していくことで一致したと明らかにした。
ムヒディン首相はフェイスブックに20枚の写真と共に投稿し、「すべての党首はムヒディン政権への支持を表明し、政治的安定、国民の幸福、国の繁栄のための理解と協力を約束した」としている。近々の実施が囁かれている総選挙に向けた話し合いが行なわれたとみられる。

 会議は2時間にわたって行なわれ、PN構成党からは統一プリブミ党(PPBM)のハムザ・ザイヌディン書記長、統一マレー国民組織(UMNO)のアハマド・ザヒド総裁、汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハディ・アワン党首、マレーシア華人協会(MCA)のウィー・カション党首、マレーシア・インド人会議(MIC)のヴィグネスワラン・サナシー党首が出席。
友党からは▽アバン・ジョハリ(サラワク・ブミプトラ保守党=PBB党首)▽シム・クイヒエン(サラワク統一人民党=SUPP党首)▽ティオン・キンシン(民主進歩党=SPDP党首)▽ジェームズ・マシン(サラワク人民党=PRS党首)▽マキシマス・オンキリ(サバ統一党=PBS党首)▽ジョセフ・クルップ(サバ団結党=PBRS党首)▽ジェフリー・キティンガン(サバ国土連帯党=STAR党首)——の各氏が出席した。
野党側が統一首相候補人選でマハティール・モハマド前首相と希望同盟(PH)リーダーのアンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首が対立しており、PN構成党内からは野党の足並みが揃わないうちに解散・総選挙を行なうべきとの声が上がっている。ムヒディン首相も選挙準備を進めるようPPBM支部に指示したとされる。

野党の首相候補人選、サバ遺産党党首案が浮上

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党側の統一首相候補の人選が膠着状態にある中、マハティール・モハマド前首相が妥協案として希望同盟(PH)の友党であるサバ遺産党(ワリサン)のシャフィー・アプダル党首を首相候補として推す案を発表した。実現すればサバ・サラワク州からの首相選出は建国以来初めてとなるため注目されている。
マハティール氏は当初の自身が三たび首相となる構想をPH側に提案していたが、PHを率いるアンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首が首相候補に決定済みだとしてPKR側が拒否。マハティール氏は「ムヒディン・ヤシン政権打倒に向けた協力をPKRが拒むのであれば、別の方針を模索する」とPKR側に最後通牒を突きつけていた。
マハティール氏はさっそく25日にPKRを除くPH構成党及び友党のリーダーと会合を開催。この中でマハティール氏はPH構成党ではないシャフィー氏を推す案を出し、ほかの野党から支持を得たと主張している。マハティール氏自身が一歩退く決意をPKR側に示すと共に、下院でキャスティングボートを握るサバ・サラワク州の民意を味方につける狙いがあるとみられる。
またマハティール氏は、アンワル氏について第1副首相候補として推す案を出し、実子のムクリズ・マハティール前統一プリブミ党(PPBM)副党首を第2副首相候補として推す案を出し、これも了承されたとしている。
これに対しPKRのサイフディン・ナスシオン書記長は、いかなる決定もPHの最高幹部理事会の決定を経る必要があると指摘。ただし新たな提案については話し合う用意があるとしている。

希望同盟離脱も三たび首相就任に意欲、マハティール氏

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マハティール・モハマド前首相は「星州日報」との単独インタビューの中で、希望同盟(PH)プラス友党の野党グループから離脱する意向を表明。PHを率いるアンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首には今後野党共闘を求めないとした上で三たび首相職を目指す考えを示した。
マハティール氏は、首相職への3度目の返り咲きを狙う目的があくまでムヒディン・ヤシン内閣を打倒するためだと説明。あと1年やりたかったがアンワル氏に配慮して半年やらせて欲しいと要請したがそれもアンワル氏側から反対されたことを明らかにした上で、アンワル氏側との間で相互の不信感が拭えないためこれ以上の交渉は無理と判断したと述べた。
またPH構成党の中にはPKRと異なりいまだに自身を支持する民主行動党(DAP)や国民信任党(Amanah)がおり、これらの政党とは協力していきたいと述べ、ムヒディン内閣を打倒するための新たな方策を検討すると言明。7月に開幕する次期国会ではムヒディン内閣の不信任案可決を目指し、もし不信任案が投票に持ち込めなかった場合には国民連盟(PN)が策定した補正予算案に反対すると述べた。
■「6カ月では無意味」「不信任案より総選挙の準備」アンワル氏■
アンワル氏はシンガポールの「チャンネル・ニュース・アジア」のインタビューに対し、マハティール氏が提案した6カ月間の首相就任を断った理由について、改革を行なうには6カ月では短すぎるからだと言明。その代わり政権奪回に成功した場合に、マハティール氏に対しシンガポールの故リー・クアンユー氏のような上級相職をオファーしたことを明らかにした。
また次期国会ではマハティール氏のように不信任案成立を目指すのではなく、PN政権もすでに準備に入ったとされる解散・総選挙に向け準備を進めていく考えを示した。