日本・マレーシア次官級協議、9年ぶりにプトラジャヤで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本の外務省は22日、第16回日本・マレーシア次官級協議がプトラジャヤで開催され、日本側から船越健裕外務審議官、マレーシア側からアムラン・モハメド・ジン外務次官が出席したと発表した。

今回の協議は、昨年12月に両国首脳が本協議を再活性化させることで一致したことを受け、9年ぶりに開催したもの。両国の「包括的・戦略的パートナーシップ」を強化するために、安全保障や経済、環境、人材育成の分野における幅広い協力の深化のあり方について具体的な議論を行った。

また東・南シナ海、ミャンマー、ウクライナ、中東情勢を含む地域・国際情勢についての幅広く意見を交換。来年、マレーシアが東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国を務めることも踏まえ、ASEAN主導の枠組における両国の連携を一層強化していくことを確認した。

船越外務審議官は、マレーシアのモハマド・ハサン外相とラジャ・ヌシルワン国家安全保障会議事務局長を表敬し、両国間の意思疎通をさらに重層的にすることで一致した。

第13次マレーシア計画、来年第3四半期に発表予定

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は、同省がすでに次期5カ年計画「第13次マレーシア計画」(13MP、対象期間2026ー30年)の起草に着手しており、2025年第3四半期に議会に提出予定だと明らかにした。

ラフィジ氏は、アンワル・イブラヒム現政権が掲げる「マダニ経済」(持続可能性、繁栄、革新、尊敬、信頼、思いやりという6つのコアバリューに基づく枠組みに沿った経済政策)の目的である経済再構築によりマレーシアをアジアの経済リーダーにし、国民の生活の質を向上させるには、13MP をより総合的、戦略的、包括的に起草する必要があると強調。経済省が13MPの枠組みを策定するための意見や提案を募るために、積極的にディスカッション、対話、省庁間計画グループ会議を開催していると述べた。

9月5日と6日に開催された「13MPキックオフ会議」は、国連と世界銀行と共同開催し、国内外の専門家が社会経済のメガトレンド、問題、課題に関する情報や経験を共有した。12月までは一般国民が参加する「マダニ・メンデンガー(聴取)」聴聞会を開催し、13MPに求める希望について社会のあらゆる階層から意見や意見を収集する。
(エッジ、10月21日)

グローバルミニマム課税を25年1月から施行、財務省方針

【クアラルンプール】 財務省は18日に公表した財政見通し・連邦政府歳入見込み報告で、グローバル・ミニマム課税(GMT)を2025年1月から施行すると明らかにした。東南アジアではベトナムも施行する。

GMTとは企業が最低限負担すべき法人税の割合を15%に定める仕組みで、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心に約140カ国・地域が合意した。国家間の税率引き下げ競争に歯止めをかけ、多国籍企業による課税逃れを防ぐ狙いがある。

売上高が年7億5,000万ユーロ以上の企業が、拠点を世界のどこに置いても法人税率が15%以上になるよう調整する仕組みで、▽所得合算ルール▽軽課税所得ルール▽国内ミニマム課税の3ルールがある。

最低法人税率がマレーシアで満たされていない場合、企業はミニマム(トップアップ税)を納入することで不足分を補わなければならない。

課税対象は、2025年1月1日かそれ以降に会計年度が開始される多国籍企業で、企業は27年6月までにミニマム課税納税申告書を当局に提出しなければならない。
(ザ・スター、10月19日、エッジ、ベルナマ通信、10月18日)

RON95ガソリン価格は2段階システムで=経済相

【プトラジャヤ=アジアインフォネット】 ラフィジ・ラムリ経済相は、2025年半ばをメドに導入されるレギュラーガソリン「RON95」の補助金合理化策について、所得上位15%及び外国人向けの補助金なし価格と所得下位85%向けの補助金付き価格の2段階システムを導入する予定であることを明らかにした。2025年度予算案発表の中で、アンワル・イブラヒム首相は収入の下位85%は合理化の影響を受けないと述べていた。

ラフィジ氏は、「RON95」の場合には6月に開始されたディーゼル燃料補助金合理化の場合とは違ったアプローチが取られると言明。フリートカード(補助金付き価格で購入できるカード)を補助金対象となる3千万人もの国民に発行することはできないと述べた。ただガソリン販売業者など関係者と協議中であるため、具体的な仕組みは後日発表される予定だという。

これに関連してアンソニー・ロ―ク運輸相は、補助金付き価格で購入する際に多機能スマート身分証カード「MyKad」を提示して有資格かどうかを証明する方式を提案していることを明らかにした。

またラフィジ氏は、補助金対象とならない所得上位15%を決める基準について言及。総世帯収入のみに基づくものではなく、純世帯収入、地域、妥当な生活の質のための基本的な世帯支出などの変数を考慮に入れると指摘。「ソーシャルメディアで噂されているように、給与額がこれだけなら補助金を受け取れないというものではなく、他の多くの要素も考慮される」と述べた。

来年度は拡大予算の見通し、初の4千億リンギ超も=専門家予想

【クアラルンプール】 18日にアンワル・イブラヒム首相が下院議会で発表する予定の2025年度予算案について、多くのエコノミストは順調な経済成長を背景に歳出規模が拡大すると予想しており、初めて4,000億リンギを超えるとの見方も浮上している。
経済紙「エッジ」がエコノミストを対象に行ったアンケート調査によると、政府は経常支出を増やす一方で、開発支出を抑制する方針をとるとみられ、貧困対策をメインとした多額の現金給付、既存および新規インフラプロジェクトへの支出、公務員給与の増額が盛り込まれるとみられている。

政府は年間80億リンギの削減効果が期待されるディーゼル燃料補助金合理化を打ち出す一方で、公務員給与引き上げで100億リンギの支出を見込んでいる。エコノミストらは、物価上昇を背景とした低所得者向け一時金支出などもあり、来年度の経常支出は前年度の3,038億リンギを上回る3,140億リンギになると予想している。
一方で開発支出については、エコノミストらは前年度の900億リンギから870億リンギ程度に削減されると予想している。ただ注目度の高い東海岸鉄道線(ECRL)などのインフラ事業は継続されるとみている。

歳出拡大にともなう財政赤字の対国内総生産(GDP)比については、開発支出削減にも関わらず経常支出増額により上昇するとみられており、エコノミスト11人の予想平均は3.8%で、第12次マレーシア計画(12MP)中間見直し時の目標である3.0―3.5%を上回っている。

こうしたことからエコノミストらは、支出増を賄うための財源として新税導入の代わりに、砂糖入り飲料への課税引き上げなど、既存の税の範囲を拡大するとみている。また物品・サービス税(GST)再導入も来年はないとみている。
(エッジ、10月15日)

RON95ガソリン補助金実施を遅らせる可能性=経済相

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は、予想を上回る経済成長とリンギ高により財政にゆとりが生じていることから、懸案となっているレギュラーガソリン「RON95」の補助金合理化計画の実施を遅らせる可能性があると述べた。

ラフィジ氏は18日に国会に提出される2025年度予算案の中に「RON95」の補助金合理化計画が盛り込まれるかとのメディアの質問に対し、マレーシアの予想を上回る経済成長とリンギ高により、財政再建目標を達成するための政策の柔軟性が高まったと言明。詳細は予算案発表を待つべきだとした上で、いくつかの状況が変わったため数カ月猶予期間をもつことが可能になったと述べた。

ラフィジ氏は、「経済成長が加速すれば、財政健全化目標を達成するための余裕が若干増える」、「リンギ上昇は補助金圧力が減ることも意味する」と述べ、「究極の目標は我が国の財政をより持続可能なものにすることだ。そして政府が採用できる政策オプションはいくつかあると思う」と、経済成長との間でバランスをとりながら財政再建が可能との考えを示した。

政府は6月にマレーシア半島部を対象にディーゼル燃料に対する一括補助金を廃止したが、世界銀行は先ごろ、マレーシア政府が2024年の国内総生産(GDP)の4.3%という財政赤字目標を達成するために、今年までにガソリン補助金支出を削減する必要があると指摘していた。
(エッジ、10月14日)

相続税の導入はない、運輸相が憶測を否定

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は13日、与党連合・希望同盟(PH)構成党、民主行動党(DAP)クアラルンプール大会における演説で、新年度予算で政府は相続税など新税を導入するとの情報について、憶測にすぎないと否定した。マレー語紙は先に銀行アナリストの話として、政府は相続税、不健康食品税、炭素税、高額品税、人工知能(AI)税を導入する見通しだと報じていた。

ローク氏は「閣議でそうした話題を聞いたことはない。DAP議員にも新税導入を信じている者がいるが、アナリストはあらゆる憶測を立てる」と指摘。さらに「政策決定者は政府、内閣であり、政策は銀行アナリストではなく、議会に承認されて初めて正式なものになる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月14日、フリー・マレーシア・トゥデー、10月13日、マレー・メイル、10月11日)

喫煙規制法施行、来年1月から職場も禁煙対象に

【プトラジャヤ】 電子たばこ製品の規制を盛り込んだ「2024年公衆衛生のための喫煙製品規制法」が10月1日に施行されたが、これに伴い2025年1月1日付けで官民の職場とコインランドリーが禁煙場所に含まれることになった。ズルキフリ―・アハマド保健相が明らかにした。

同法の下で禁煙エリアとして指定されたのは、▽カジノを除く娯楽施設または劇場▽病院・クリニック▽エレベーター・公衆トイレ▽飲食店▽空調付き店舗▽コインランドリー▽公共交通機関ターミナルビル▽政府庁舎▽国会議事堂▽教育機関▽保育所▽ショッピングセンター▽ガソリンスタンド▽スポーツ複合施設エリア▽宗教施設▽図書館▽インターネットカフェ▽職場の建物▽公共駐車場を除く休憩・レクリエーションエリア▽公共交通機関内▽空港(喫煙エリアを除く)――など28のエリア。

保健省は喫煙率を2025年末までに15%に引き下げることを目標に掲げている。「マレーシア2023年世界成人喫煙調査(GATS)」によると、国内の15歳以上の480万人、率にして19%が喫煙しているという。

同法は電子たばこや電子喫煙器具を含むたばこ製品、喫煙材料、たばこ代替品の未成年者への売買を禁止、18歳未満の者への喫煙関連サービスの提供を禁止することを目的としたもので、今年2月2日に公布されたものの施行は先送りとなっていた。
(マレー・メイル、10月3日)

野党PPBM党役員選、ムヒディン元首相が党首に再選

【クアラルンプール】 野党連合・国民同盟(PN)の中核政党・統一プリブミ党(PPBM)は4日、次期党役員選挙を控えて、新党首にムヒディン・ヤシン現党首(元首相)、新副党首にハムザ・ザイヌディン現書記長(元内務相)の当選が決まったと発表した。任期は2024―27年。

立候補締め切りまでに対立候補が出なかったため、無投票で当選が決まった。11月2日の地区大会終了後に正式発表となる。ハムザ氏の対抗勢力であるアズミン・アリ氏(元セランゴール州首相)は出馬しなかった。

また3人のポストがある党首補選には、現職の副党首であるアハマド・ファイザル・アズム氏、現職党首補のロナルド・キアンディー氏、同じく現職党首補のモハマド・ラジ・モハマド・ジディン氏、さらにアジス・ザイナル・アビディン氏、ラザリ・イドリス氏、モハマド・ラフィク・アブドラ氏の合計6人が出馬する。

このほか婦人部長選では、現職のリナ・ハルン氏が出馬を取り止めたため、マス・エルミヤティ・サムスディン氏が無投票当選を決めた。
(ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、10月4日)

来年度予算、経済セクターに重点=アミル第2財務相

【クアラルンプール】 10月18日に下院議会に上程される2025年度予算案の基本方針について、アミル・ハムザ第2財務相は「経済セクターに重点を置き、経済の基盤強化につながる構造改革路線を継続する」と述べた。

その上でアミル氏は、「政府の方針は国民に還元することであり、保健・教育など国民にとって重要な部門への投資を増やすことを通じて国民を守ることができる。重要なことは国家経済を新しい構造に引き上げることだ」と述べた。

アミル氏はまた、堅調な経済成長を背景により多くの高品質の投資機会が国内にもたらされるようにして、国民に雇用機会が生まれるようにすると言明。マレーシアの政治的安定が、外国投資家が対マレーシア投資を継続する大きな要因となっていると指摘した。

アミル氏はさらに、政府系投資会社(GLIC)による国内直接投資(DDI)の促進に向けた取り組みにより、マレーシアで事業を展開する外国企業、特に半導体セクターを下支えする優れたエコシステムが構築できると強調。「こうした取り組みは、投資家がマレーシアで事業を継続できるようにしながら、地元の業界プレーヤーが競争し、外国市場に参入する余地を開くために重要だ」と述べた。
(マレーシアン・リザーブ、エッジ、ベルナマ通信、10月3日)