マハティール元首相が野党連合と共闘、「マレーの敵」に対処

【プトラジャヤ=アジアインフォネット】 マハティール・モハマド元首相とムヒディン・ヤシン元首相ら野党連合・国民同盟(PN)の幹部数人が12日に記者会見を開き、「マレー人の共通の敵」である現アンワル・イブラヒム政権に立ち向かうために団結すると発表した。

同日開催された円卓会議に出席したマハティール氏は、アンワル首相率いる連立政府の下でマレー人は徐々に権利を奪われてきたと主張し、これがコミュニティを擁護するために団結するきっかけとなったと説明。「多くのマレー人が政府の捜査対象になっており、犯罪で告発されている」とし、共通の敵であるアンワル政権に立ち向かうために団結しなければならないと述べた。

記者会見にはマハティール氏、ムヒディン氏のほか、汎マレーシア・イスラム党(PAS)のイドリス・アハマド党首補らが出席した。

マハティール氏は、シンガポールと領有権を争っていたバトゥ・プテ島(シンガポール名・ぺドラ・ブランカ)に対する国際司法裁判所の裁定に対する異議申し立てを独断で取り下げ、この結果領有権を失ったとかつての閣僚数人が証言しており、批判の的に立たされている。これに対しマハティール氏は政権による自身への弾圧だと反発している。

サラワク州、2025年までの完全電化に向け農村部でも前進

【クアラルンプール】 サラワク州営電力会社のサラワク・エナジー(SEB)によるコンテナ型太陽光水素プロジェクトの実証実験が成功し、州政府が掲げる2025年までに完全電化という目標に向け大きく前進した。アブドル・ラーマン・ジュナイディ公益事業・電気通信副相が11日、地元であったグリーン水素展示会で語った。

完全電化という目標において、大きな課題となるのが農村部の電化で、州政府はサラワク代替農村電化計画(SARES)を策定して取り組んできた。

コンテナ型太陽光水素プロジェクトは、送電網につながっていないオフグリッド・ソーラーシステムと、水素貯蔵技術を統合したもの。エネルギーが余っている場合は水素ガスが生成・貯蔵され、より多くの電力を必要とする場合は、水素ガスが電気に戻され、地元のオフグリッドシステムに送られるという。2021年からソン郡の農村で実証実験を行っていた。

ラーマン氏は「ミリなどのまだ電力が供給されていない村でも適合性を調査し、グリーン水素の取り組みを強化していきたい」としている。
(サラワク・トリビューン、12月11日)

ガソリン補助金支給の対象外の分類、来年半ばまでに発表

【クアラルンプール】 レギュラーガソリン「RON95」の補助金支給の対象外となる上位15%の富裕層(T15)の分類について、政府は2025年半ばまでに発表する予定だ。ラフィジ・ラムリ経済相が明らかにした。

ラフィジ氏は10日の下院議会質疑の中で、世帯別の収入をデータ化した「中央データベース・ハブ」に登録していない個人や「T15」と認定され補助金対象から除外された個人は決定に異議を申し立てる機会が与えられると言明。「異議申し立ての仕組みが設けられるので、新たなRON95補助金制度が適用される前にまずこれを実施する必要がある。そのため2025年上半期にまず分類を完了する」と述べた。

ラフィジ氏は10月28日、内閣に承認を求める前に、省庁がT15所得グループに関する詳細を1か月以内に確定させる予定であると言明。またT15グループは、以前の政策のように全国的な定義ではなく、地域性を加味して決定される可能性が高いと述べた。

財政負担軽減のために補助金合理化を進める政府は、RON95ガソリンの2段階価格制度の策定に取り組んでおり、実施されればトップ15%の富裕層が市場価格で購入し、残りの85%が現在の補助金付き価格で購入できるようになる。これにより政府は年間80億リンギの補助金負担削減を見込んでいる。

(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、12月10日)

 

シンガポールとの国境検問所、顔認識のボーダーパスを採用

【ジョホールバル】 マレーシア政府は、シンガポールとの国境検問所におけるバス、オートバイ利用者の身元確認で、顔認識・QRコードシステムを組み入れたMyボーダーパスの採用を決定した。政府は3種のアプリケーションを6月から試験運用していた。

検問所はジョホールバルにある第1連絡橋(コーズウエイ)と、第2リンク(シンガポール側はトゥアス)にあり、ボーダーパスのほかMyレンタスとMyトリップが試験配備された。検問所をバス、またはオートバイで通過するマレーシア人は約30万人。ジョホール州運輸・インフラ委員会のモハマド・ファズリ委員長はボーダーパス採用について「顔認識は極めて効率が良い」と語った。顔認識で問題が生じれば、QRコードでの審査、あるいは窓口での審査になる。

ボーダーパスのシステムはまだすべてのバス、オートバイレーンには配備されておらず、モハマド・ファズリ氏は、システム整備のため連邦政府からの資金援助を希望すると述べた。乗用車、トラックの検問所通過では、QRコードによる審査はまだ概念実証の段階にある。外国人が乗員に含まれているケースがあるからだ。
(ザ・スター、ポールタン、ローヤット・ネット、12月9日)

MCMCが指針導入、情報セキュリティーを強化

【プトラジャヤ】 マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)は9日、通信マルチメディア産業向け、情報・ネットワークセキュリティーに関する指針(INSG)を導入した。情報とネットワークの安全性を高めるのが狙い。

INSGはサービス事業者がネットワーク・インフラを強化することで、サイバーリスクに対処し、消費者を保護することを目的としており、データ漏えいや個人情報の窃盗、フィッシング、マルウェア、ランサムウェア、いやがらせ、児童性的虐待、偽情報、なりすましなどをオンライン上の害に含めている。

INSGは「最善と思われる慣行」との位置づけで、業界による採用は当面任意とし、適切な時期に順守を義務付ける。適用対象は通信マルチメディア法に基づきサービスを提供するすべての業者だが、MCMCはほかの産業部門の企業にも採用を奨励している。任意の期間を設けることで、サービス提供者は順守義務化までの間に指針を導入する時間的余裕が与えられ、意見を当局に寄せることもできるという。

ガイドラインの策定にあたっては、サイバーセキュリティ企業、セキュリティコンサルタント、サービス事業者、省庁、政府機関、学術界など、さまざまな関係者と連携し、議論したという。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、12月9日)

入国自動ゲート対象60カ国に拡大、QRコード審査も検討へ

【クアラルンプール】 入国審査時の自動ゲート利用対象国が新たに53カ国増え、計60カ国に拡大された。シャムスル・アヌアル副内務相が2日、下院質疑で答えた。

新たな対象国として挙げられたのは、欧州連合 (EU) 加盟国含めたヨーロッパの43カ国、中東6カ国に加え、カナダ、香港、中国、台湾の4カ国。2023年2月時点では日本を含めた10カ国、今年7月時点では36カ国としていた。

また出国時の自動パスポートスキャン機としては1,568台が設置されているという。さらに入国審査プロセスの迅速化のため、クアラルンプール国際空港(KLIA)でのQRコードによる審査システムの運用についても検討していく
(ベルナマ通信、12月2日)

積極的差別是正措置には透明・包括性が必要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は11月30日、マレー・カレッジOB会の夕食会における演説で、政府施策はより包括的になり、ほかの民族への許容性を増しマレー人の利益を損なっているとの懸念がマレー人社会にあることについて「見当違いだ」と一蹴。現政権でマレー君主、マレー人の特権、国語としてのマレー語の地位が危うくされたことはないと言明した

また現政権が国内最大級の不動産開発計画「バンダル・マレーシア」を外国企業から取り戻した際、少なくとも50エーカーはマレー人にとり置くことを決定したが、独立以来のことだと強調した。

先住民・マレー人を優遇する積極的差別是正措置は以前実施された際、縁故主義にまみれ、党幹部らの利益追求に乱用されたことがある。

これを踏まえアンワル氏は、より包括的で透明性のある積極的差別是正措置が現在必要だと指摘。都市の貧困層、過疎地住民を含めすべてのマレー人に恩恵がいきわたるようにすべきだと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、12月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、11月30日)

自動車同乗者の保険加入義務化を調査=運輸省

【クアラルンプール】 運輸省は、自動車の同乗者に対する保険加入を義務付ける必要性について調査する方針だ。

連邦裁判所が今月下した控訴審判決を受けて、アンソニー・ローク運輸相が28日、記者団に語った。判決では、仕事のため保険に加入した車両が事故に遭い、同乗していた第三者が被害を受けた場合、その第三者は保険会社に補償を請求できる、とした。

ローク氏は、保険費用などに大きな影響を与えかねないとしたうえで、「道路交通法の改正が必要か見極めるため、今回の判決の影響を徹底的に調査する」と述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月28日)

訪韓のアンワル首相、財閥首脳と会談

【ソウル】 韓国を24日から公式訪問したアンワル・イブラヒム首相は日程最終日の26日、同国を代表する財閥の首脳らと懇談。マレーシアへの投資、貿易について話し合った。首脳が表明した対マレーシア投資の合計は328億リンギになるという。同行記者団との会見でアンワル首相が明らかにした。

首相に同行したテンク・ザフルル投資貿易産業相によると、電気自動車・同関連金属、生物薬剤、二酸化炭素回収・貯留、グリーン技術、グリーン水素の分野に投資になるという。

このうち取締役会の承認を得たとして正式発表したのはヒョンデ(現代自動車)で、2025年から5年間で4億7,900万米ドルをケダ州クリム工場の拡充に投じる。

アンワル氏によると、マレーシアから韓国への13億米ドルの輸出も直ちに実現するという。マレーシアで活動している韓国企業は約400社。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、11月26日)

セランゴール州、来年からレジ袋の使用を週末3日禁止に

【クアラルンプール】 セランゴール州政府は来年から、州内のすべての事業所でレジ袋の使用を禁止する「ノー・プラスチックバッグ・デー」キャンペーンを現在の毎週土曜から、金ー日曜の3日間へ拡大する方針だ。

州公衆衛生環境委員会のジャマリア・ジャマルディン氏が25日、州議会でキャンペーンの拡大について明らかにした。プラスチックのない環境の実現に向けた州政府の継続的な取り組みの一環で、現在法的な権限などを改めて確認しているという。

キャンペーンは2010年から州内の大手スーパーや小規模店、事業所などの協力のもと毎週土曜に実施。レジ袋の使用で20センを徴収し、徴収した20センは慈善団体や消費者保護プログラム、環境保護活動に寄付されている。
(ベルナマ通信、ビジネス・トゥデー、11月25日)