合理化でRON95補助金が年80億リンギ節約=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は、来年半ばに実施を予定している対象を絞ったレギュラーガソリン「RON95」の補助金制度を通じた漏洩防止策により、年間80億リンギの補助金支出が節約できると述べた。

アミル・ハムザ氏は5日の下院議会質疑の中で、支給対象を所得上位15%(T15)以外に絞った新制度は、本来恩恵を受けるべきでない人物を通じた補助金漏洩を軽減するために不可欠だと指摘。データによると外国人や富裕層、商業セクター、密輸活動による補助金付きガソリン消費が総ガソリン使用量の約40%を占めると推定されるとし、「現在のRON95補助金が年間約200億リンギであることを考慮すると、新制度により年間最大80億リンギを節約できる可能性がある」と述べた。

一方、RON95補助金の対象となる世帯収入の決定に関しては、マレーシア統計局(DOSM)が実施する世帯収入調査(HIS)の世帯収入レベルだけに基づくものではないと言明。政府が現在、除外対象となるT15グループを定義するための方策を検討しており、HISの定義に直接拘束されることはないと述べた。

RON95の補助金支給の具体的な仕組みについては、ディーゼル燃料や電気料金の補助金で使用されているモデルに似た、段階的価格設定メカニズムを検討していると言明。スマート身分証「MyKad」と電子ウォレットの使用も検討していると述べた。
(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、11月5日)

核エネルギーを導入、発電所建設・運営は民間が主導

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は5日、原子力エネルギーをエネルギー源の一つとして採用する政府方針を明らかにした。第13次マレーシア計画(13MP、対象期間2026―30年)のエネルギー政策に含めるという。

ラフィジ氏は、50年にネットゼロ(二酸化炭素排出実質ゼロ)の国家目標達成は原子力エネルギーの利用なしでは極めて困難と説明。原子力がよりクリーンなエネルギー源であり、燃料使用量が少ないため、石炭火力のように燃料価格の変動にあまり左右されない利点があるとし、従来の原子炉よりも小型の核分裂炉である小型モジュール炉(SMR)が開発されており、安全度は従来型より高いと述べた。

エネルギー移行・水利転換省と科学技術革新省が原子力エネルギーの利用に関する法的・規制の枠組みの策定を開始した。

政府が実行資金を負担するのかとの記者の質問に対し、ラフィジ氏は「現在の発電モデルでは、プロジェクト実施は民間セクターがけん引する」と民間に開発・運営を委ねる意向を示唆した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月6日、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、11月5日)

天然ガス車の運行・新規登録、来年7月15日より禁止に

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は、すべての天然ガス車(NGV) の道路運行及び新規登録を2025年7月15日より禁止すると発表した。多くのNGV車のガスタンクに関する安全性への懸念を考慮したもので、10月2日の閣議で決定した。

禁止対象となるNGVはガソリンと天然ガスの両燃料に対応するよう改造されたガソリン車と、天然ガスのみで駆動する輸入車両の2種で、NGV販売およびNGV向け天然ガスの小売り販売は10月1日から段階的に廃止され、2025年第2四半期までに完全に禁止する。

過去3年間の道路交通局(JPJ)の記録によると、登録されているNGV車両は4万4,383台で、タクシーとレンタカーが9,509台、自家用車が3万2,137台、バスとトラックが2,150台、機械ユニットが587台となっている。ただNGVの自動車全体に占める割合は低く、二輪車を除く自動車のわずか0.2%だという。

NGV禁止についてロ―ク氏は、NGV車の改造・製造は1995年から2014年の間に行われ、これらの車の多くはNGVタンクの寿命が近づいており、交換が必要だと指摘。「NGVタンクの安全な使用期間は約15年で、交換しないと安全に使用できなくなり、重大事故のリスクがある」と述べた。

ローク氏によると、一部のユーザーは調理用ガスボンベを使用して車両を改造しており、これまで6回の爆発事故が起きている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、11月14日)

サラワク州長期滞在ビザ、承認要件を来年1月付で改定

【クチン】 サラワク州は、同州に居住するための長期滞在ビザ(査証)、サラワク州マレーシア・マイ・セカンド・ホームプログラム(S-MM2H)の承認条件を2025年1月1日付で改定する。監督権限が7月、連邦政府から州政府に移管されたことに伴う措置で、ビザ承認後、申請者が州の銀行に預ける定期預金の額が引き上げられる。S-MM2H代理店も営業免許の再申請を求められる。

アブドル・カリム州観光・創造産業・舞台芸術相の発表によると、承認要件は、マレーシアが外交関係を持つ国の30歳以上の国民。定期預金の預入額は1人につき50万リンギ(以前は15万リンギ)。滞在可能期間はこれまで同様5年プラス5年で、年間滞在日数30日以上が更新の条件。申請手続き費用は5,000リンギ。

S-MM2Hの利用者は2022年が441人、23年が542人。今年は8月時点で386人がビザを認められており、定期預金の合計は7,755万リンギ。

出身国・地域別内訳は、中国が391人、英国350人、台湾262人、香港255人、米国210人、シンガポール207人、韓国178人、日本138人、豪州121人、インドネシア117人。
(ザ・スター、11月1日、ベルナマ通信、マレー・メイル、10月31日)

ペラ州で建設の新高速道路、南北高速道の混雑を4割緩和

【クアラルンプール】 建設中の「ウエスト・イポー・スパン高速道路(WISE)」は南北高速道路の混雑を最大40%緩和する見通しだ。WISE開発・運営権益文書の授与式で、アレクサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相が語った。

WISEはペラ州のクアラカンサーとゴペンを結ぶ全長60.88キロメートルの高速道路。総工費は62億リンギで、2028年に完工の予定。クアラカンサー―ゴペン間は丘陵地で、大型車両の混雑が発生しやすい。

運営権を取得したのはイースト・コースト・ロード社で、権益期間は工事期間を含め55年。道路料金は1キロにつき23センで、固定制。固定制はマレーシア初で、ナンタ・リンギ氏は「利用者負担が最小限に抑えられる」と語った。6カ所にインターチェンジが整備される。

開発費用は全額、イースト・コースト・ロードが負担する。ナンタ・リンギ氏によれば、WISE事業が行われなければ、政府は南北高速道路を拡充しなければならず、歳出を余儀なくされるという。

こうした事情からナンタ・リンギ氏は「この事業が成功裏に運ぶよう、金融機関、認可当局の州政府など関係機関に協力、支持を求めたい」と語った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月1日、エッジ、マレー・メイル、10月30日)

 

「有害コンテンツ」対策でメタをけん責、免許制導入協議で

【クアラルンプール】 政府が2025年からフェイスブック、TikTokなどのSNSサービス運営する企業に免許取得を義務付けることについて、フェイスブックなどを運営するメタ・プラットフォームズは、明確な指針がなく、制度に対応するための時間が少なすぎると不満を表明した。

免許制導入は8月に発表された。サイバー犯罪対策の一環で、国内の利用者が800万人以上のプラットフォームが対象だ。2025年1月1日までの免許申請を求めている。

メタの東南アジア地域幹部ラファエル・フランケル氏はロイター通信の取材に対し、免許申請までの期間が極めて短く、SNSが果たすべき責務も明確でないと指摘。「こうした規制は適切に組み立て、安全と技術革新、デジタル経済成長とのバランスをとる必要があるため、2-3年の協議が必要だ」と語った。

ファーミ・ファジル通信相は10月29日、メタ代表者と会い、小児性愛やチャイルドグルーミングの問題に対する対策が、特にフェイスブック上で不十分とメタをけん責。「そうした性犯罪に関与するグループアカウントに対しメタは積極的対策を講じるべき」と語った。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、マレー・メイル、10月30日)

補助金対象外の定義、世帯所得1.3万リンギ超の可能性も

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相は、補助金対象・非対象を世帯収入によって決める案に関連して、対象外となる上位15%の富裕層(T15)の定義を世帯収入1万2,000リンギ以上に設定する方向で検討していることを明らかにした。統計局は1万3,000リンギ以上としているが、それを上回る額になる可能性もあるという。

来年半ばに実施するレギュラーガソリン「RON95」補助金合理化に当たっては、85%の国民には影響が及ばない、すなわち「T15」のみが補助金対象外となる見通しであることが発表されたが、野党からは「T15」を対象外とすれば、しきい値が月収1万2,000リンギになり、多数の国民が影響を被ると批判の声が上がっていた。

アンワル首相は「政府はT15の定義を1万2,000リンギ以上に定めたことはない。T15の人が補助金なしでやっていけるか検討しており、やっていけない場合には定義を引き上げる。1万5,000リンギ、あるいは1万8,000リンギ以上になるかもしれない。いずれにしても重要なことは下位85%が補助金削減の影響を受けないということだ」と述べた。

「T15」の定義を巡り混乱が続いていることを受け、ラフィジ・ラムリ経済相は先ごろ、1カ月内に決定すると言明。地域による物価差を考慮したもので全国一律にはならないとの見通しを示した。

ASEAN首脳の移動車両を全てEVに=アンワル首相

【プトラジャヤ】 マレーシアが2025年に東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国となることを受け、アンワル・イブラヒム首相は、来馬する各国首脳を含む代表団の移動用車両をすべて電気自動車(EV)にする方針だと明らかにした。

持続可能かつ包括的な社会経済成長の触媒としてのエネルギーセクター」と題するフォーラムに出席したアンワル首相は、「EVの車両サイズが比較的小さくなる可能性があるが、他の車両に比べてコスト効率が良い」と言明。「ASEAN諸国には首脳全員にできるだけ大きな車両を提供したいと伝えるが、入手可能な最大のEVとなるだろう」と述べ、政府ができるだけ多くのEVを確保するよう努めると付け加えた。

エネルギー転換を目指すマレーシアの真摯な姿勢を国内外に示すためで、先ごろ閣議で決定したという。アンワル首相は、「マレーシアはASEAN議長国としての機会を捉え、マレーシアを持続可能な成長のためのASEANハブとして位置づけなければならない」と述べた。マレーシアがASEAN議長国となるのは2015年以来で通算5回目。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、10月29日)

1MDBスキャンダルで収監中のナジブ元首相、国民に謝罪

【クアラルンプール】 政府系投資会社、ワン・マレーシア・デベロップメント(IMDB)をめぐる資金流用事件について、有罪判決を受け受刑中のナジブ・ラザク元首相は24日、国民に向けた声明を発表。「私が首相・財務相の時に1MDB事件が起きたことに毎日心を痛めている。国民に謝罪する」と述べた。しかし自分は首謀者ではないと改めて無罪を主張した。声明は息子のニザル氏が裁判所区域で読み上げた。

ナジブ受刑者は、ジュネーブに本社を置くペトロサウジ・インターナショナルの経営者2人がスイスにおける裁判で有罪判決を受けたことと、エッジが最近報じた記事に言及。1MDB資金の流用で自分は首謀者でないことが示されたと述べた。エッジによる、ペトロサウジでの電子メールのやり取りの分析で、同社がジョー・ロー容疑者と共謀して自分をだましたことが示されたという。ジョー・ローは逃亡中。

ナジブ受刑者は「ペトロサウジが1MDBの金を流用していたことは知らなかった。私はそれと認識して、流用資金を受け取ってはいない」と釈明。さらに「一部の人には信じ難い話かもしれないが、当時受け取った資金はサウジアラビアからの政治献金だと信じていた」と述べた。
(ザ・スター、ザ・サン、10月25日、ベルナマ通信、ラクヤット・ポスト電子版、10月24日)

My50パス、TNG eウォレットでの更新が可能に

【クアラルンプール】 ラピッドKL、軽便鉄道(LRT)、大量高速輸送(MRT)など首都圏の鉄道・バスが30日間、50リンギで乗り放題の「My50パス」と、eウォレットのタッチ・アンド・ゴー(TNG)が近く統合される。

eウォレットのユーザーは決済機能で「My50パス」を更新できるため、駅窓口に並ぶ必要がなくなる。アンソニー・ローク運輸相が、公共輸送機関所有者のプラサラナ・マレーシアを訪問した際の会見で明らかにした。

政府はプラサラナを通じ「My50パス」利用者を金銭的に支援している。2019年の導入時の利用者は月9万8,000人だったが、現在は同22万人。公共輸送機関の利用者を増やすのが狙いの計画だが、生活費の軽減にも貢献しているとローク氏は語った。TNGのeウォレットは1,700万以上のユーザーを抱える。

ローク氏によれば、3-4カ月後には統合作業が完了する。月50リンギの料金は、通勤代として計算すると1日当たり2リンギ弱の負担で、オートバイ利用より安いという。アンワル・イブラヒム首相は新年度予算案で「My50パス」計画に対し2億1,600万リンギの予算を組んでいる。
(ザ・スター、10月25日、フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、10月24日)