世帯社会経済データベース「パドゥ」登録者数、100万人を突破

【クアラルンプール】 2日に正式稼働した世帯社会経済データベース「パンカラン・データ・ウタマ(パドゥ)」は、7日夜時点で79万8,528人、9日朝時点で100万人以上の登録を受け付けた。

統計局によると、7日夜時点での登録の大部分はセランゴール州からで、合計18万2,943人(22.91%)を占めた。次いでジョホール州の8万5,975人(10.77%)、サラワク州の7万2,775人(9.11%)が続いた。1日平均13万件の登録が行われているが、「3月末までに登録2,900万人」という目標を達成するには1日あたり32.2万件と約3倍の登録が必要となる。

ニュースサイト「ソヤチンチャウ」によると、国民はパドゥの必要性を理解してはいるものの、安全性やデータ漏洩などに関する懸念があり、また、現状では登録されている項目がほとんどなく、自分で大量のデータ入力作業を行う必要があることから登録を躊躇している人が多いという。政府は、インターネット接続が難しい地方住民を支援するチームを現地に配備し、また住民代表協議会(MPP)も登録増に向け動員するとしている。

ラフィジ・ラムリ経済相はX(旧ツイッター)への投稿で、パドゥ登録者には18歳未満の子供も含まれているとし、対象を絞った補助金の支給漏れを防ぐためにも登録を行うよう、国民に呼びかけた。
(エッジ、ベルナマ通信、1月9日、ソヤチンチャウ、1月8日、マレー・メイル、1月9、8日)

民間から第2財務相起用、政治の影響を受けないため=首相

【クアラルンプール】 11日に発表された内閣改造人事において、民間から第2財務相を起用したことについて、アンワル首相は、財務省には経済問題に集中させ、政治的圧力の影響を受けないようにするためだと説明した。

第2財務相ポストには、従業員積立基金(EPF)のアミル・ハムザ・アジザン最高経営責任者(CEO)が起用された。アミル氏は経験豊富なテクノクラートであり、シラキュース大学で金融および金融管理サービスの学士号を取得し、その後スタンフォード大学で学んだ。アンワル首相はアミル氏の起用について、「彼は十分な能力を示し、満足のいく方法でEPFを管理してきた」と説明している。 アミル氏の起用については、アナリストらからはおおむね評価する声が上がっている。

バンク・ムアマラートのチーフエコノミスト、アフザニザム・アブドル・ラシド氏は、アミル氏は金融界における豊富な知識と経験があると指摘。財政赤字を削減し、債務水準を持続可能な軌道に維持するという強いコミットメントを示すことができるだろうと述べた。

マレーシア科学技術大学のジェフリー・ウィリアムズ経済学教授は、アミル氏は政治家ではないため、政策、財政管理、統治に集中するだろうとした上で、最大の機関投資家であるEPFで実績を上げたことで投資コミュニティで尊敬を集めており、投資家からの信頼を高めるだろうと述べた。

一方、パシフィック・リサーチ・センター・オブ・マレーシアのオー・エイスン首席アドバイザーは、政策や改革に関してはアンワルム首相が依然として主導権を握るだろうと指摘。「少なくともアンワル氏の負担が軽減されたことには市場全体は前向きに反応するだろう。ただアミル氏が新たな政策や改革を打ち出すとは思えない。改革を期待するのであれば現時点での評価は時期尚早だ」と述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、12月12日)

サイバーセキュリティ法案、年内に下院提出へ=首相

’【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は24日、現在サイバーセキュリティ法案を起草しており、年内に下院に提出する予定だと明らかにした。閣議でもすでに合意が行われたとしている。

首相代理として「サイバーセキュリティ法案に基づく能力開発プログラムおよび公開対話セッション」に出席したモハマド・ハサン国防相は、10月現在で2,674件のサイバー攻撃が報告されているなど、セキュリティへの脅威が増していることから、強固なサイバーセキュリティの枠組み構築が急務だと言明。「マレーシア・サイバーセキュリティ戦略2020-2024(MCSS)」に、サイバーセキュリティ法制の策定が含まれており、この法案では、既存の法律を補完する法的枠組みを構築し、サイバーセキュリティに対する包括的かつ効果的なアプローチを確立することを目指すと述べた。

モハマド大臣はまた、国内にはサイバーセキュリティ専門家が不足しているとし、2025年までに少なくとも2万5,000人の専門家が必要だが、現時点では1万3,000人のみであるため、専門家育成のために政府、教育機関、業界関係者の協力が不可欠だと述べた。専門家育成の一環として、セキュリティエンジニア向け教育および認定資格を提供する米ECカウンシルの協力を得て、2,000人を対象とした500万リンギの奨学金基金を設立するとしている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月25日、エッジ、ベルナマ通信、11月24日)

青年の定義変更、2026年より30歳が上限に=青年スポーツ相

【クアラルンプール】 ハンナ・ヨー青年スポーツ相は、青年の定義について2026年1月1日より上限を30歳以下に引き下げると発表した。これまでは40歳以下となっていたが、同日付の「2019年青年組織および青年育成(改正)法」の施行により引き下げを実施する。

施行時期は、青年スポーツ省とマレーシア青年評議会(MBM)の間の一連の協議を経て合意したもので、11月20日に司法長官会議のウェブサイト上で公表されている。

ヨー氏は、マレーシアの国家青年政策と他国の青年の定義に沿ったものだと説明。改正法には青年組織の役職の年齢制限を18ー30歳に、青年組織会長の任期を6年から4年に短縮することが盛り込まれていると述べた。ヨー氏によると、青年の定義は、インドネシアは16ー30歳、フィリピンは15ー30歳、タイは15ー24歳、韓国は9歳ー24歳、オーストラリアは12ー24歳となっているという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月24日、エッジ、ベルナマ通信、11月23日)

積極的差別是正措置は必要=アンワル首相

【サンフランシスコ=マレーシアBIZナビ】 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため訪米中のアンワル・イブラヒム首相は14日、カリフォルニア大学バークレー校で公開講義を行い、質疑応答の中で「貧困者や疎外された人々が平等な機会を得るには積極的差別是正措置が必要」と強調し、公平性がなければ絶対的な実力主義はあり得ないと述べた。

アンワル首相は、「基本的に公平な機会を提供しなければ、純粋な実力主義は実現できない」とした上で、貧困撲滅に役立つ効果的なプログラムを継続することで社会から疎外された人々や貧しい人々が立ち上がって競争できるようになると強調。ただ積極的差別是正措置を行うにあたっては、ニーズに基づくものであって特定の民族に基づく必要はないとし、特にマレー系だけを優遇するわけでないと強調した。

またアンワル首相は外交問題について、「マレーシアは中国に傾いているわけではないが、地理的に近く、信頼できる友人であり同盟国だ」と言明。米国も同様に重要で伝統的な同盟国であり、マレーシア経済の推進に貢献してきた主要な投資国でもあるが、今後益々中国がマレーシアの主要投資元の一つとなるだろうと述べた。

有罪判決のサイド・サディク氏、MUDA党首を辞任

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 9日に背任や横領、マネーロンダリングに関わる4つの罪で禁固7年の有罪判決を受けた野党・マレーシア統一民主同盟(MUDA)のサイド・サディク党首は、「汚名を晴らす」と控訴の意向を示した上で、同日付で党首を辞任すると発表した。アミラ・アイシャ・アブドル・アジズ副党首が党首代行を務める。

記者会見でサイド・サディク氏は、「MUDA党首であるためには、さらには国家の建設者となるためには、より”シロ”でなければならないが、実際、今日の私はもう党首としての役割に値しない」と言明。「法廷で私の汚名を晴らすまで、党首の座を明け渡す」と述べた。

その上で、まだ控訴するチャンスが残されているものの、国民や党員に対する義務から役職からいったん退く必要があるとの考えを表明。今後もMUDAいち党員かつ党唯一の下院議員として活動を続けるが、党の決定には関与しないとした。

サイド・サディク氏は、統一プリブミ党(PPBM)青年部長としてPPBM傘下の青年団(アルマダ)の資金管理を任されていた2020年3月当時、100万リンギ相当の背任を行った罪に問われたほか、2018年4月にアルマダ・ブミ・ベルサトゥの口座にあった12万リンギを横領した罪に問われた。また2008年6月に2回にわたって各5万リンギを不正送金した行為によるマネーロンダリング2件の罪でも訴追されていた。

若手政治家のサイド・サディク氏、背任などで禁固7年

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)高等裁判所は9日、背任(CBT)と横領、マネーロンダリングに関する4件の罪で起訴されていた野党・マレーシア統一民主同盟(MUDA)のサイド・サディク党首(30)に対し、合計禁固7年、罰金1,000万リンギの有罪判決を言い渡した。

サイド・サディク被告は、統一プリブミ党(PPBM)青年部長としてPPBM傘下の青年団(アルマダ)の資金管理を任されていた2020年3月当時、PPBM青年部のラフィク・ハキム元副財務部長を教唆し、100万リンギ相当の背任を行った罪に問われたほか、2018年4月にラフィク氏を使ってアルマダ・ブミ・ベルサトゥの口座にあった12万リンギを横領した罪に問われた。また2008年6月に2回にわたって各5万リンギを不正送金した行為によるマネーロンダリング2件の罪でも訴追されていた。

量刑の内訳は、CBTが禁固3年と鞭打ち1回、横領が禁固2年と鞭打ち1回、マネーロンダリングが禁固2年と罰金1,000万リンギ。

若手政治家として人気のあるサイド・サディク被告は、2018年に誕生した希望同盟(PH)政権で青年スポーツ相として初入閣。2020年の政変では、ムヒディン・ヤシン党首(元首相)を批判してPPBMの党籍を剥奪され、若者を中心とした新党MUDAを立ち上げ、その後はいずれの政党連合にも所属せずに独自の政治活動を行っていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、エッジ、11月9日)

政府向け書簡のマレー語限定方針、外国企業は対象外=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、政府機関に出す公式書簡における使用言語をマレー語に限定する方針については、外国企業には適用しないと言明した。

2日に行われた下院議会予算審議の締めくくりの演説の中でアンワル首相は、「すべての政府機関と地元企業に、(政務に関する公文書を)英語やその他の言語で書かないよう指示した。これらの文書はマレー語で書かれるべきだ」と述べた上で、この指示については誤解があると指摘。マレー語に限定するとの指示は政府機関と地元企業にのみ適用されるとし、「外国企業はマレー語以外の言語で公式書簡を政府に送ることができる」と述べた。

アンワル首相は10月25日、「国語の十年」カーニバルおよび「国民読書の十年」の開会式で行ったスピーチの中で、マレー語を守るため、マレー語以外の言語で書かれた文書については送り返すよう政府機関に指示したことを明らかにしていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月2日)

 

ペラ州新空港建設よりイポー空港拡張が現実的=運輸相

【イポー】 ペラ州政府が希望している新国際空港建設に関連し、アンソニー・ローク運輸相は、新空港建設には多くの時間と資源がかかると述べ、既存のイポー空港(スルタン・アズラン・シャー空港)を拡張する方が現実的との考えを示した。

自身が書記長を務める民主行動党(DAP)の州年次集会に出席するためにペラ州を訪問したローク氏は、ペラ州政府が以前、セリ・イスカンダルにおける新空港建設を提案していたのは事実だとした上で、新空港の建設には国家計画評議会から承認を得るなど長い時間と資源が必要とされると指摘。「 今なすべきことは、観光産業のためにイポー空港を改良する方法を見つけることだ」と述べ、新空港計画には否定的な考えを示した。

その上でローク氏は、現政権はイポー空港の拡張に照準を合わせており、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)と協議すると言明。MAHBに対して、イポー空港を改善するだけでなく、拡張し規模を拡大する必要があると伝えたと述べた。

同州セリ・イスカンダルに新国際空港を建設する計画については、サアラニ・モハマド州首相が先ごろ、運輸省(MOT)と財務省(MOF)の承認を待っていると述べていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、10月29日)

次期国王にジョホール州スルタンを選出、来年1月31日に即位

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 次期国王を決める選挙を行うための特別統治者(スルタン、ラジャ)会議が27日に開催され、第17代国王にジョホール州スルタン、イブラヒム・スルタン・イスカンダル殿下(64)が選出された。即位日は2024年1月31日で、任期は5年間。

イブラヒム殿下は1958年11月22日生まれ。「物言うスルタン」として知られ、電子たばこの禁止や公休日の土・日曜から金・土曜への変更を独断で発令するなど、トップダウンで政治的決定を下して物議を醸す一方、クリスマスにキリスト教徒に対し祝福のコメントを発表したり、イスラム教徒が異教徒の祭事に参加することは何ら問題がないと発言するなど、開明的な人物として知られる。

なお副王には、ペラ州スルタン、ナズリン・ムイズディン・シャー殿下が選出された。任期は国王と同じく2024年1月31日から5年間。

2024年1月30日で退任するアブドラ・リアヤトゥディン・アルムスタファ第16代国王(パハン州スルタン)は、2019年1月、前国王のスルタン・ムハンマド5世(クランタン州スルタン)が突然退位したことを受け、統治者会議の国王選定会議で選出され、同年1月31日付けで即位していた。

マレーシア連邦憲法によると統治者会議における▽ネグリ・センビラン▽セランゴール▽ぺルリス▽トレンガヌ▽ケダ▽クランタン▽パハン▽ジョホール▽ペラーーの9州を統治する9人の統治者による互選で決定されることが建前となっているが、実質的にはこれら統治者による任期5年の輪番制となっている。