今年の自動車販売台数、シンクタンクは68万ー70万台を予想

【クアラルンプール】 シンクタンクは自動車産業の見通しは明るいとし、2022ー2023年の自動車市場総需要量(TIV)の増加を予想している。

ケナンガ・リサーチは、2022年のTIV予想を65万台から68万台に、2023年も66万台から69万台に引き上げた。中国のゼロコロナ政策による工場封鎖などの影響でサプライチェーンの混乱や部品不足が続いているものの、売上・サービス税(SST)減免措置の終了後にも新規予約が好調で、10月のTIVはパンデミック前の2019年10月のTIVに比べ13%増となったとした。

ホンリョン・インベストメント・バンク(HLIB)リサーチも、膨大な受注残を解消するために年内に生産や輸入を加速させる動きがあることから、2022年のTIVは70万台と過去最高を記録するとした。一方、2023年には減速する見込みだとしている。

マレーシア自動車協会(MAA)によるTIV予測は、2022年は63万台、2023年は63万6,000台。2022年10月のTIVは6万1,002台で、2022年9月の6万7,698台から前月比10%減となり、前年同月の6万4,762台からは6%減と減速傾向にある。一方、2022年1ー10月は、前年同期比約6%増の57万7,902台となった。
(ザ・スター、11月21日)

第3四半期のGDP成長率、プラス14.2%に加速

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は11日、2022年第3四半期(7ー9月)の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比プラス14.2%だったと発表した。労働市場の改善、政策支援、堅調な輸出により前期の8.9%を上回り、4四半期連続でプラス成長となり、2021年第2四半期年ぶりの2桁成長となった。

全てのセクターで成長率は前期を上回った。サービス業は観光業や娯楽業の回復を受けて、プラス12.0%から16.7%に加速。製造は堅調な電気・電子(E&E)部門に支えられて、前期(プラス9.2%)を上回り、13.2%となった。商業・複合開発などの実施により、建設業はプラス2.4%から15.3%に大幅に成長。鉱業も石油・ガスの増産に伴い、マイナス0.5%からプラス9.2%に回復した。人手不足問題を抱える農業も生産量と収穫量が回復したことで、マイナス2.4%からプラス1.2%に転換した。

国内需要はプラス13.0%から13.1%にやや加速。民間消費は15.1%は、前期(プラス18.3%)を下回ったものの、民間投資は13.2%となり、前期(プラス6.3%)を上回った。一方で、公共支出は前期のプラス2.6%から4.5%に加速。プラス3.2%だった公共投資は13.1%に上昇した。モノとサービスの輸出はプラス23.9%(前期10.4%)、輸入も24.4%(同14.0%)となり、それぞれ前期を上回った。

ノル・シャムシア総裁は、今後は世界経済の回復が予想を下回る可能性があることや、地政学的リスクの上昇、金融市場におけるリスク回避、サプライチェーンの再混乱などの影響を受ける可能性があるが、第4四半期も経済成長を維持できると予想。経済成長は、堅調な内需、大規模なインフラ事業、労働市場および観光産業の回復に支えられ、通年の成長率は従来予想の7%を上回るとの見通しを示した。

25-40歳の労働者、3人に1人が個人保険に未加入=調査

【クアラルンプール】 保険大手のチューリッヒ・マレーシアは19日、25ー40歳の労働者の3人に1人が個人保険に加入していないと明らかにした。

同社が実施した調査によると、参加者の21%が「会社で加入しているグループ保険で十分」、14%が「個人保険やタカフル(イスラム保険)は必要ない」と回答。また個人保険やタカフルに対して、9%が「否定的な認識を持っている」、22%が「十分な知識がない」と答え、誤解や知識不足が起きていることが明らかになった。

また自動車所有者を対象に実施した調査では59%が「洪水などの自然災害による損害が補償される損害保険に加入していない」と回答。34%が「暴風雨に伴う倒木による損害が補償される保険」、29%が「がけ崩れや地滑りなどの土砂災害による損害が補償される保険」に加入していると答えた。

チューリッヒ・マレーシアは、調査結果を受けて、保険に対する正しい知識を広めていき、個人保険やタカフルの普及率を高め、国民が持続可能な生活ができるように努めていくとコメント。またモンスーンシーズンが来るとして、補償オプションを追加するなどの備えをするべきとの見解を示した
(ザ・サン、10月20日、マレーシアン・リザーブ、10月19日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月17日)

UMWグループ、第3四半期の自動車販売台数は9万3972台

【クアラルンプール】 UMWホールディングスは、傘下のUMWトヨタ・モーター(UMWT)とダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)の第3四半期の自動車販売台数が、9万3,972台となったと発表した。前期の8万9,183台を上回り、今年最高となった。

1ー9月の販売台数は26万7,226台で、新型コロナウイルス「Covid-19」拡大抑制のために実施されたロックダウンの影響を受け前年同期に比べて62%増となった。
UMWTの9月の販売台数は今年最高の9,233台となった。第3四半期も前期比6%増の2万4,961台。1ー9月は前年同期から54%増えて7万872台だった。
一方でプロドゥアの9月の販売台数は、前月(2万6,039台)から2万4,626台へと微減。第3四半期では、前期から5%増えて6万9,011台と今年最高となった。1ー9月は前年同期比65%増の19万6,354台だった。

UMWホールディングスのアマハド・フアド社長兼最高経営責任者(CEO)は、第3四半期の好業績から明らかなように、UMWTとプロドゥアの需要は依然として強いと述べた。予約も好調を維持しているとして、納期を早めるため生産の強化を引き続き図ると言明。サプライチェーンの改善により、不測の事態が発生しない限り、今年度の販売目標達成を確信しているとした。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月18日、エッジ、ベルナマ通信、10月17日)

21年の出生数は前年比6.7%減、過去10年で最大の減少幅に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局が発表した2021年の人口動態統計によると、2021年の出生数は前年比6.7%減の43万9,744人となり、過去10年間で最大の減少幅となった。

人口1,000人あたりの普通出生率(CBR)も、前年の14.5人から13.5人に低下。15歳から49歳までの女性の各年齢ごとの出生率を合計した合計特殊出生率(TFR)も、前年の1.8人から1.7人に下がった。過去50年間でのTFRは、1970年の4.9人から1.7人へと大幅にダウンしており、2011ー2021年でもTFRは低下し、民族別に見るとTFRが最も高かったのはマレー系で2.2人、最も低かったのは華人で0.8人だった。マレー系以外の全民族が人口維持に必要な水準を下回り、女性の初産年齢の平均は27.9歳となった。

死者数は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の影響を受け、前年から34.5%(57,599人)増の22万4,569人。人口1,000人あたりの普通死亡率(CDR)は前年の5.1人から6.9人に上昇した。0ー14歳の死者数が前年の4,288人から4,115人に減ったのを除き、全年齢層で死者数が増加した。中でも、41ー59歳数は、前年比44%大幅増の5万2,282人となった。15ー40歳や60歳以上もそれぞれ1万3,070人から1万7,953人、11万3,294人から15万219人へと増加した。

駐在員が住みやすい都市、KLが1位に=米プレプリー

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 学習プラットフォームである米プレプリーが発表した駐在員にとって住みやすく働きやすい都市に関するランキングで、クアラルンプール (KL)は60都市中トップとなった。

生活費、月給、税、家賃、インターネットの速度など11項目を10点満点で評価しランク付けした。KLのスコアは、スコアは6.62だった。1カ月の平均生活費は903ポンド(4,753リンギ)で、1ベッドルームの平均家賃が363ポンド(1,910リンギ)と安く、KLにはペトロナス・ツイン・タワーやテーマパークなど様々なアクティビティが楽しめる上、ワーキングスペースの価格も月平均76ポンド(400リンギ)であることが評価された。その一方で、KLのインターネットの速度は11メガビット/秒(Mbps)だとして、低い評価を得た。

ランキングの2位はグルジアのトビリシ、3位はポルトガルのリスボン、4位はドバイのアラブ首長国連邦、5位はタイのバンコクだった。
東南アジアでは、13位にベトナムのホーチミン、21位にインドネシアのジャカルタがランク付けされ、トップ30入りした。

 

公共交通機関の乗客数、8月は過去最高の2167万人

【クアラルンプール】 公共輸送機関を管轄する国営企業プラサラナ・マレーシアは、2022年8月の乗客数が2,167万739人となり、8月単月で過去最高となったと明らかにした。

首都圏クランバレー内の乗客数は2,054万人となり、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大以来初めて2,000万人を超えた。

最も利用者が多かったのは、軽便鉄道(LRT)クラナ・ジャヤ線で、乗客数は549万1,587人となった。ラピッドKL(バス)が463万2,950人、首都圏大量高速輸送(MRT)カジャン線が451万3,422人、LRTアンパン線が429万3,066人、KLモノレールが102万7,788人だった。

首都圏以外の乗客数は、ラピッド・ペナン(バス)が105万4,655人、ラピッド・クアンタン(バス)が7万8,115人となり、全国的に2022年1月以降乗客数が増加していることがわかった

運行回数はラピッドKLが約1億2500万回、ラピッド・ペナンが720万回、ラピッド・クアンタンが53万回だった。
(マレーシアン・リザーブ、9月30日、プラサラナ発表資料)

マレーシアの回復力指数、世界平均を上回る=調査

【クアラルンプール】 ロイドレジスター財団の「2021年世界リスク調査」によると、マレーシアの回復力指数は世界平均の0.55を上回る0.67だった。

「2021年世界リスク調査」は世論調査会社ギャラップの協力の下、121カ国の12万5,000人を対象に交通事故、悪天候、気候変動、災害への耐性、仕事上の被害、職場での暴力や嫌がらせ、個人データの利用など、人々やコミュニティが直面するリスクに関して調査したもの。回復力指数は0ー1の間となり、スコアが高いほど回復力が高いことを示す。総合スコアは、「個人」「家計」「コミュニティ」「社会」の4分野のスコアから算出される。

マレーシアは4分野すべてで世界平均を上回った。「個人」は0.55(世界平均0.46)、「家計」は0.69(同0.54)、「コミュニティ」は0.73 (同0.63)、「社会」は0.71(同0.63)だった。

直近経験した災害については、マレーシアの回答者の97%が「大雨・洪水」と回答した。「1日以上電気が使えない」が23%、「1日以上きれいな飲み水が使えない」が20%、「1日以上電話が通じない」が14%、「1日以上食料が不足し手に入らない」が6%、「1日以上医療支援や薬が手に入らない」が5%だった。

マレーシアでは「差別を受けた」という回答が世界平均に比べて少なく、「肌の色で差別された」と回答したのは、8%(世界平均10%)、「宗教で差別された」は7%(同12%)、「人種で差別された」は8%(同12%)、「性別で差別された」は6%(同11%)、「障害で差別された」は3%(同6%)にとどまった。

「政府が国民のことをどれだけ心配してくれているか」に関しては、35%が「とても心配してくれている」、16%が「まったく心配してくれていない」と回答した。
(エッジ、9月23日、ロイドレジスター財団発表資料)

知的財産権指標、マレーシアは29位を維持

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 知的財産権に関するリサーチ機関である米財産権連盟が発表した知的財産権指標(IPRI)によると、マレーシアのスコアは6.30となり、前年から0.339下がったものの、29位(129カ国・地域中)を維持した。

同報告書は、知財を含む財産権の保護の程度を0ー10で評価した。法律・政治環境分野では、政治的安定性で5.402(53位)、汚職抑制で5.499(48位)、法の支配で6.317(40位)となったことが響き、スコアが6.02ポイントとなり、41位となった。物的財産権の保護分野でスコアは6.72にアップしたものの、18位から29位にダウンした。

マレーシアはアジア・オセアニア地域では8位で、前年より1ランク下がった。隣国シンガポールのスコアは7.97、インドネシアが4.80、タイが4.74だった。

全体で最もスコアが高かったのは、シンガポール、フィンランド、スイスの3カ国だった。

民主主義経済問題研究所(IDEAS)の学術教育イニシアチブであるセンター・フォー・マーケット・エデュケーション(CME)は、政府に対して政府の安定、汚職抑制に取り組み、知的財産の登録を容易にすべきと指摘した。

中小企業の92%、デジタル決済を導入=ペイパル調査

【クアラルンプール】  オンライン決済サービスのペイパルの調査によると、国内の中小企業(SME)の92%が、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大以降、デジタル決済を導入している。

国内SME経営者1,000人を対象にしたペイパルの調査レポート「マレーシアにおけるSMEデジタル化の加速」によると、57%が「ロックダウンが事業のデジタル化を決定する上で影響を与えた」と回答。70%以上がデジタル化のメリットとして「収益への好影響」を挙げた。デジタル化した分野に関しては、「決済」が58%、「広告、マーケティング、顧客サービス」と「カスタマーサービス」がそれぞれ39%だった。デジタル決済を選択する理由としては、67%が「感染予防」、57%が「即時入金」、53%が「顧客体験・利便性向上」と回答した。

また、40%以上のSMEが海外顧客向けに販売を行っており、販売対象地域は「アジア太平洋地域」が48%、「世界全体」が42%、「東南アジア」が39%。海外向け販売を行っている企業の約70%が「デジタル決済によりブランドの信頼性が高まり、海外の顧客を引きつけることができる」と回答した。

一方で44%が「情報技術(IT)の専門知識やサポートが不足しているため、デジタル化が難しい」、43%が「デジタル化の必要性を感じていない」、40%が「予算がない」と回答した。

ペイパル政府関係国際責任者のスティーブン・チャン氏は、デジタル化によってSMEがより良い意思決定を行え、事業を成長させられると指摘。SMEのデジタル化は、マレーシアのデジタル経済の成長を長期的に支える鍵であり、大学、非営利団体、企業、政策立案者が一丸となって取り組み、官民連携を強化する必要があるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月20日、ペイパル発表資料)