マレーシア人訪日者数、1月は18.5%増の3万2100人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年1月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は3万2,100人となり、前年同月比で18.5%増加したが、前月比では47.2%減少した。

JNTOによると、1 月が海外旅行需要の低下する時期であること、旅行代金の高騰、LCCの地方路線の回復の遅れ等の影響があったが、スノーシーズンによる訪日需要の高まり、祝日等の影響もあり増加した。なお、新型コロナ前の2019年同月との比較では2.2%増となった。

クアラルンプール(KL)ー新千歳間の復便もあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

1月の世界全体の訪日者数は、能登半島地震発生後、東アジアを中心に影響が一部見られたものの、前年同月から79.5%増の268万8,100人、2019年同月からはほぼ横ばいとなった。

JNTOは、昨年3月に策定された第4次観光立国推進基本計画で3つの柱「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」が示されるとともに、旅行消費額・地方部宿泊数等に関する新たな政府目標が掲げられたとし、これらの実現に向けて、市場動向を綿密に分析しながら、戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくとしている。

春節に訪馬した中国人観光客数は50%増、ビザ免除効果で

【クアラルンプール】 マレーシア華人観光協会(MCTA)のポール・パウ会長によると、今年の春節期間中に中国からの観光客が前年比で50%増加し、10億ー15億リンギを国内で消費したと推定される。「星州日報」が18日に報じた。

パウ会長によると、2月5日以降、約5,000の団体による合計10万人以上の中国人観光客がマレーシアを訪れ、マレーシアは、中国人観光客の春節旅行先トップ5に入った。中国人観光客は、北部地域(ペナン州・ペラ州)、中部地域(クアラルンプール、パハン州、マラッカ州)、南部地域(ジョホール州およびシンガポール)のいずれかを観光することを好み、ダイビングができるサバ州も人気となった。2023年12月に実施された、中国人観光客のビザ免除が、観光客数の急増につながったという。

中国文化圏では辰年生まれの子どもが家に幸運と繁栄をもたらすと信じられていることから、今年マレーシアでの出産を望む親も多く、メディカルツーリズムも好調だ。特にジョホール州の産婦人科は地元民に加え、シンガポール人からも人気が高く、ほぼ満室状態となっている。同州のLYCヘルスケアでは出産パッケージの料金が5,000ー7,000シンガポール(S)ドル(1万7,704ー2万4,785リンギ)と、シンガポールでの出産費用(1万Sドル以上)より格安であるため、シンガポール人から人気を博しており、顧客の半分をシンガポール人が占めている。枠を確保するために妊娠前に予約を入れる母親さえいるという。
(ザ・スター電子版、2月20日、星州日報、2月18日)

マレーシア人口、昨年第4四半期時点で推定3,370万人

【クアラルンプール】 統計局の発表によると、マレーシアの人口は2023年第4四半期時点で推定3,370万人となり、前年同期の約3,300万人から2%増加した。

総人口のうち3,050万人がマレーシア国民で、残りは外国人となっている。男性人口は1,720万人から1,770万人に増加し、女性人口も1,580万人から1,600万人に増加した。女性100人に対し、男性が110人いる計算となる。マレーシア国民だけでみると、男女比は女性100人に対して男性103人となっている。

第4四半期の0ー14歳の人口は760万人で変わらなかったが、15ー64歳は2,310万人から2,360万人に、65歳以上は240万人から250万人にそれぞれ増加した。

同期の出生者数は11万2,767人で、前年同期の11万4,067人から1.1%減少した。男性の出生数は5万7,894人で、女性の5万4,873人を上回った。州・地域別ではセランゴール州が2万931人で最も多く、ラブアンは385人で最も少なかった。

死者数は4万8,250人で、前年比で4.2%減少した。男性の死者数は2万7,508人、女性は2万742人だった。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、2月14日)

ペナン州、2023年12月の輸出額で州別首位を維持

【ジョージタウン】 ペナン州のチョウ・コンヨウ首相は、同州が2023年12月の輸出額で373億リンギを達成し、国内州別で首位を維持したと明らかにした。

チョウ州首相は、ペナンはマレーシアで2番目に小さい州であるにも関わらず、国の経済への貢献、成長、投資家誘致の面で常にトップ3に入っていると強調。2024年も製造業への投資拡大が見込まれるとした。ペナン州は1州だけで全国製造業部門の42%を占め、外国直接投資(FDI)誘致にも大きく貢献しており、同州の2023年第3四半期の製造業FDI額は前年の6倍の358億リンギにまで達している。オランダ、米国、シンガポールからのFDI額が多く、3カ国で95%を占めているという。
(ザ・サン、2月14日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、2月13日)

国民認識指数が改善、「富の公平な分配」では悪化

【クアラルンプール】 一般国民が、国や国民の特質・属性をどう認識しているかを示すマレーシア国家ラーマ指数は、昨年が7.24(満点は10)で、前年の6.47を上回った。

指数をまとめているのは研究機関のカジアン・ダサル・イクラムで、年齢18歳かそれ以上、少なくとも中等教育修了レベルの教育を受けた人を昨年9月から11月にかけ調査し、3,192人が回答した。都市居住者が全体の71.6%で、残りは地方居住者。

調査では12の項目について聞いた。高得点だったのは「強固な家族」、「世界の平和・人道的努力を先導」、「見識ある、礼儀正しい情け深い社会」で、それぞれ7.98、7.93、7.72だった。点が低かったのは「富の公平な分配」、「持続可能な経済」、「良好な統治」で、それぞれ6.14、6.84、6.86だった。

イクラムのハニム・サレー副社長は富の公平な分配の得点について、「最重要な指標である貧困の軽減で最も点数が低かった」と説明した。「持続可能な経済」について、世界的な経済減速がマレーシアに影響したという。

統治が低得点だったことについてハニム氏は「政府は国民の信頼を得るため、多くのことを行う、あるいは改善する必要がある」と述べた。
(マレー・メイル、2月13日)

マレーシア、ITUの情報通信技術開発指数で世界15位に

【プトラジャヤ】 国際電気通信連合(ITU)による世界の情報通信環境に関する年次報告書「2023年度情報通信技術開発指数(IDI2023)」において、マレーシアは世界15位、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域では3位となった。

IDI 2023は、通信網の普及状況やインターネット利用率・情報量、携帯電話所有率などの10の指標から100点満点で各国・地域の通信環境を評価したもので、マレーシアは94.5点を獲得した。

ASEANで首位となったのはシンガポール(97.4点)、2位はブルネイ(94.8点)だった。世界トップはクウェート(98.2点)。日本は92.0点、世界平均は72.8点だった。

マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)は声明で、関係者の協力を得て、5Gや衛星通信の普及を加速させ、地方におけるネット接続の問題にも対処できたとし、今後も国内通信環境の強化に向けた取り組みを継続すると述べた。
(マレー・メイル、ボルネオポスト、ベルナマ通信、2月7日、ITU発表資料)

米中貿易摩擦、技術覇権争いはマレーシアに恩恵=ムーディーズ

【ペタリンジャヤ】 格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、マレーシアを含むアジア太平洋の複数国は米中貿易摩擦、米中の技術覇権競争の恩恵を受ける可能性があるとの分析を示した。米中の争いはサプライチェーンを混乱させるからだとしている。

ムーディーズは、マレーシア、ベトナム、タイなど製造業が強固で、インフラも優れている国が、米中競争に乗じる機会を得られるとした。中東における軍事衝突もサプライチェーンを危機に陥らせるという。

ムーディーズによれば、アジア太平洋地域25カ国の実質国内総生産(GDP)成長率(加重平均値)は昨年の4.4%から今年は3.6%に減速する見通し。中国経済の減速、米国景気循環の下降など世界経済が精彩を欠いているためだという。

中国の経済減速は、モノ・サービスの貿易、一次産品価格、投資などの側面で域内に波及するとみられる。この結果、アジア太平洋地域全体と、中国を除いたアジア太平洋地域の経済成長率は同じになる可能性が高い。それでも域内の成長率はほかの地域の成長率を上回るという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、2月5日)

昨年の自動車販売台数、国民車メーカーのシェアが66.9%に

【クアラルンプール】 マレーシア自動車協会(MAA)によると、2023年通年のメーカー別自動車販売台数のトップはダイハツ系のプルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)で、前年比17.1%増の33万325台となった。シェアも前年の39.1%から41.3%まで増加した。

2位はプロトンで、11%増の15万975台。国民車メーカー2社を合わせた市場シェアは66.9%で、2002年以来で最大となった。

3位はトヨタで6.2%増の10万6,206台。4位は0.3%減のホンダの8万27台、5位は三菱で9.6%減の2万1,719台だった。その他の日本車メーカーでは、▽マツダが30.6%増の1万9,124台(6位)▽いすゞが7.3 %増の1万6,908台(7位)▽日産が27.5%減の1万台(9位)▽日野が2.3%減の5,768台(12位)▽スバルが28.4%減の1,801台(19位)▽三菱ふそうが1.4%増の1,458台(22位)▽ダイハツが23.9%減の905台(23位)▽マレーシア市場再参入のスズキが324台(28位)ーーと続いた。

全体の販売台数は11%増の79万9,731台だった。ただしプジョー、韓国・起亜自動車、テスラの販売台数はMAAのデータには含まれていない。
(ポールタン、2月2日)

オンライン詐欺による損失額、昨年は13億リンギ超=副通信相

【クライ】 テオ・ニーチン副通信相は、オンライン詐欺による被害額は2023年1月1日から12月8日までの約1年間で13億4,000リンギとなり、2022年通年の8億400万リンギを大きく上回ったと明らかにした。

国家詐欺対応センター(NSRC)には、同期間中に直通電話番号「997」を通じたオンライン詐欺通報が3万3,234件寄せられた。オンライン詐欺には大きく分けて6つの手口があり、投資詐欺の被害額が4億3,700万リンギで最も多く、次いで▽電子商取引(3億8,300万リンギ)▽通信(3億3,400万リンギ)▽電子金融(1億400万リンギ)▽恋愛詐欺(4,100万リンギ)▽架空融資(3,900万リンギ)ーーが続いた。

テオ副相は国民に対し、オンライン犯罪組織による、高い収益を期待させるような投資詐欺などに騙されないよう警戒を呼び掛けた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、1月28日)

経済改革や紅海危機が中・高所得世帯に影響=エコノミストら

【クアラルンプール】 エコノミストらは、政府が経済改革の一環として、対象を絞った補助金制度を導入することで、今年後半に中・高所得世帯の生活費が上昇すると予想している。

バンク・ムアマラット・マレーシアのモハマド・アフザニザム主任エコノミストは、補助金削減に加え、紅海危機による輸入品価格の上昇も予想されるため、貯蓄額が少ないM40(中位40%)の世帯が最も影響を受けると述べた。M40世帯の月収は5,250ー1万1,819リンギと定義されている。

光熱費で値上げが確定しているのは、1月からの電気料金(値上がりは平均22リンギ)、2月からの水道料金(同1.6ー8リンギ)。3月以降にサービス税の6%から8%への引き上げも予定されている。

アフザニザム氏は、フーシ派による紅海での海運攻撃が続いているため、コンテナ船は南アフリカの喜望峰を経由する長いルートを回航せざるを得なくなり、海運コストの上昇により輸入品のコストも上昇し始めると説明。今年の運賃は前年の3倍になる可能性もあるとし、マレーシアの海上貿易は貿易総額の50%以上を占めているため、ビジネスコストが増大するとした。

会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)・マレーシアの経済・政策担当であるテイ・スーエン氏は、M40とT20(上位20%)層は輸入品を多く消費するため、輸送コストの上昇の影響をより大きく受けるとし、世界貿易の弱体化による世界経済の減速、地政学的緊張が高まる中での公的債務の増加や借入コストの高騰などを背景に、2024年も経済の低迷が続くと予想。ただし政府の経済改革は必要だと指摘した。回復力のある強い経済を構築でき、最終的には全国民の所得向上や公共サービスの向上につながるとしている。
(ストレーツ・タイムズ、1月22日)