マラッカ州、23年第3四半期に47.7億リンギの投資を誘致

【アロー・ガジャ】  マラッカ州のアブドル・ラウフ・ユソー首相は22日、マラッカ州は2023年第3四半期に47.7億リンギの投資(認可ベース)を誘致したと明らかにした。

スイス企業オーデマ・マイクロテックの新製造施設の開所式に出席した州首相は、州の年間投資誘致額の目標は50億リンギだが、その目標を達成できることを確信していると述べた。今年もより多くの投資誘致を目指すとしている。

マラッカ州には60カ所に及ぶ半導体工場があり、工業・製造業部門は、2022年に州の国内総生産(GDP)の37.2%に貢献している。州内工業部門では18万5,000人以上の雇用機会を創出しているという。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、1月22日)

昨年のIPO調達資金は37億リンギ、東南アジア3位

【クアラルンプール】 会計事務所デロイトがまとめた、昨年の東南アジアにおける新規株式公開(IPO)報告によると、マレーシアのIPOは32件(前年は35件)で、調達された資金は合計37億リンギ(7億9,000万米ドル)だった。上場した企業の時価総額は前年比18%増の29億9,000万米ドルだった。

デロイト・マレーシアのウォン・カーチューン氏によると、二部に相当するACE市場は成長力のある企業にとり上場しやすく、公開価格も手ごろで投資家の関心を引き付けている。今年は機関投資家、個人投資家の投資意欲、特に消費関連、テクノロジー関連銘柄への意欲を背景に、多数のIPOが予想されるという。

東南アジアのIPO件数は前年と同じ163件、調達資金は24%減の58億米ドル、時価合計は26%減の417億米ドルだった。

調達資金の国別1位はインドネシアで、62%を占めた。次いでタイの22%、マレーシアの14%と、3カ国で全体の98%を占めた。インドネシアは前年比53%増加したが、ほかの国は減少した。

世界各国の取引所は東南アジアの企業に対する関心を高めており、上場誘致活動を強化しているという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メール、1月18日)

第4四半期のGDP成長速報値は+3.4% 通年は+3.8%=統計局

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局は19日、2023年第4四半期(10ー12月期)のマレーシア国内総生産(GDP)成長率の速報値を発表。前期(7ー9月期)の+3.3%を上回る+3.4%と予測した。正式発表は2月16日を予定している。
セクター別では、牽引役のサービス業は、前期の+5.0%から下がったものの+4.7%を維持。卸売・小売業、輸送・倉庫、ビジネスサービスのサブセクターが貢献した。

前期に0.1%のマイナス成長に転落した製造業は、電気・電子・光学製品、石油、化学、ゴム・プラスチック製品が減少したものの、植物性・動物性油脂、食品加工、非金属鉱物製品、卑金属・金属加工品の増加が貢献して0.1%のプラス成長にやや回復した。

農業はアブラヤシ、その他の農業、畜産、天然ゴムが貢献して、前期の+0.8%から+1.2%に回復した。 鉱業・採石業は天然ガスや原油・コンデンセートの生産増に下支えされて前期の+0.1%から+3.7%に回復した。

一方、建設業は土木や住宅建設が緩やかに成長したものの、特殊建設と非住宅建設の減少により前期の+7.2%から+2.5%に減速した。

2023年通年のGDP成長率速報値は+3.8%で、セクター別ではサービスが+5.4%、建設が+5.8%、製造業が+0.8%、鉱業・砕石業が+1.0%、農業が+0.5%と、いずれもプラス成長となった。

キャッシュレス決済の利用率が減少傾向、実店舗利用増で

【クアラルンプール】 国際マーケティング会社の仏系イプソスが実施した調査によると、 パンデミック後、マレーシアにおけるキャッシュレス決済の利用率は51%まで減少した。実店舗の利用が増加したことで現金支払いが再び好まれる傾向にあるという。

同調査は2023年10-12月に18ー74歳のマレーシア人1,015人を対象に実施されたもの。キャッシュレス決済は、イーウォレット、オンラインバンキング、デビットカード・クレジットカード支払いなどのことで、パンデミック最盛期には最も多く利用されていた決済手法だったが、今回減少が見られた。

キャッシュレス決済の中ではオンラインバンキングとデビットカードが、それぞれ35%と同率で首位、次いでイーウォレットが26%と続き、クレジットカードは最も低い9%だった。

年齢層別に見ると、オンラインバンキングを最も利用しているのは、25ー34歳の45%。次いで、35ー44歳(40%)、18ー24歳(39%)、45ー74歳(23%)が続いた。イーウォレットも、25ー34歳が34%と最も利用しており、次いで、18ー24歳(30%)、35ー44歳(27%)、45ー74歳(19%)が続いた。45ー74歳の利用率は、オンラインバンキングで前年比1%、イーウォレットで同3%それぞれ増加した。

利用イーウォレット数は過去3年間、約1.8個で安定しており、最もよく利用されているのはタッチアンドゴー(88%)だった。次点はメイバンク専用アプリ「MAE」だった。イーウォレットは、高速道路などの通行料、駐車場料金、その他交通機関利用料金の支払いに使われることが最も多く(55%)、次いで飲食店(51%)、食品配達(43%)が続いた。
(マレー・メイル、1月15日、イプソス発表資料)

昨年の外国人証券投資、213億リンギの買い越し

【クアラルンプール】 シンガポール系UOB(大華銀行)の調査部門によると、マレーシアに対する昨年の海外投資家の証券投資は213億リンギの買い越しだった。前年は55億リンギの売り越しだった。

昨年12月の外国人投資は19億リンギの売り越しで、11月の買い越し(69億リンギ)から反転した。

UOBは、資金の流れは引き続き短期的な市場変動、特に米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの可能性に対する市場の反応に左右されると分析した。
また中東での緊張、および複数の主要国・地域における選挙が世界・域内市場の変動要因になるという。

一方で、マレーシアを含む新興市場は、経済のファンダメンタルズが健全で、インフレ緩和の機運があり、また米ドルが値下がりする見通しであることから、大量の資金流出を免れるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月10日、エッジ、1月9日)

今年もIPO市場は活況、楽天トレードは15件以上を予想

【クアラルンプール】 昨年の新規株式公開(IPO)は32件で、調達された資金の総額は26億リンギに上った。アーンスト・アンド・ヤング(EY)の「2023年世界IPOトレンド報告」によれば、マレーシアのIPOは件数で5年間の平均を21%上回り、調達した資金も25%上回った。

オンライン証券、楽天トレードのトン・パクレン副社長(調査部門)によれば、コロナ後の事業活動の回復でIPOを目指す企業が急増する見通しで、今年はテクノロジー、医療、建設を中心に15件以上が見込めると指摘。米国で利下げが行われるため、資金がアジア太平洋地域に還流し、マレーシアも恩恵に浴するとの見解を示した。

ファンド運営会社トレードビューのタン・チェンウェン副社長もIPO市況を楽観しており、証券委員会(SC)とブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)のホームページに掲載された目論見書仮開示から見ると、20件のIPOが計画されており、計15億リンギの資金調達になる見通しだとした。

バンク・ムアマラット・マレーシアのモハメド・アフザニザム主任エコノミストは、世界の中央銀行が金融緩和に乗り出すと証券市場は活況が期待できると指摘した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月8日)

リンギ相場は回復する、スタンチャート予想

【クアラルンプール】 金融大手の英系スタンダード・チャータード・バンク(スタンチャート)は、一次産品価格の上昇と緩やかながらも回復している観光業がマレーシア・リンギのパフォーマンス改善に貢献するとの見方を示した。

スタンチャートは、旅行収支(外国人旅行者のマレーシアでの消費からマレーシア人旅行者の海外での消費を引いたもの)の拡大には国内総生産(GDP)を1%押し上げる潜在力があると指摘。貿易黒字は減少傾向にあるものの銀行の預金残高に占める米ドル預金の割合が過去最高の10%に達していることを挙げ、「貿易収支の傾向と一致しない比率であり、外為相場の変動の影響を受けやすい」と分析した。

スタンチャートはまた、インドネシア・ルピアとフィリピン・ペソについても分析。今年は一次産品価格の上昇が見込まれるため、ルピアは値上がりが予想されるが、ペソは値下がりが予想されるとした。スタンチャートはペソ下落の根拠として、フィリピン中央銀行が政策金利を1ポイント引き下げると予想されることと、一次産品価格の上昇が貿易収支に与えるマイナス影響を挙げた。
(エッジ、1月4日)

2024年は経済転換の“離陸”の年、メイバンク投資銀観測

【クアラルンプール】  マラヤン・バンキング(メイバンク)の投資銀行部門、メイバンク・インベストメント・バンクは、今年は昨年発表された各種基本計画や行程表、立法措置に盛り込まれた中・長期的経済転換の“離陸”」の年になるとの見通しを示した。経済成長率は4.4%が見込めるという。

昨年発表・制定されたのは、「マダニ経済基本計画」、「新工業化マスタープラン(NIMP2030)」、「第12次マレーシア計画(12MP)」の中間見直し、「水素経済・技術ロードマップ(HETR)」、「財政責任法 (FRA) 」、「エネルギー効率・保護法(EECA)」などで、メイバンク投資銀は、財政改革と経済再構築が重要なテーマになるとした。

財政改革の重要点は的を絞った燃料補助への移行だ。経済再構築の柱は漸進的賃金制度(PWP)。PWPとは、スキルと生産性の向上に応じて労働者の賃金を引き上げる施策で、低所得労働者を対象とした実質的な最低賃金モデルとなっている。
物価についてメイバンク投資銀は、政府は補助金削減を段階的に進めるため、消費者物価指数上昇率は昨年の2.6%に対し3.0%と、大幅な加速は抑えられるとした。

インフレが抑制的とみられることから、中央銀行バンク・ネガラは政策金利を1年を通じ3.0%に据え置く見通しで、先進工業国では利下げが予想されるため、対米ドルでのリンギ相場にはプラスだという。
(マレー・メイル、ベルナマ、1月2日)

2023年の交通事故数は60万件、死亡事故は1.2万件

【クアラルンプール】 マレーシア警察によると、2023年の交通事故数は59万8,635件で、そのうち死亡事故は1万2,417件だった。

死亡事故以外の重大事故は2,331件、軽微な事故が2万8,511件で、残りは車両のみの物損事故だった。

州・地域別に見ると、交通事故発生件数はセランゴール州が17万3,129件と最多で、これに▽ジョホール州(8万7,370件)▽クアラルンプール(7万2,701件)ーーが続いた。セランゴール州は交通事故死者数でもワーストの2,092人。これにジョホール州の2,010人、ペラ州の1,321人が続いた。
(ポールタン、1月3日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、1月1日)

2022年時点で109万事業所が営業=統計局

【クアラルンプール】 統計局は12月29日、2022年時点での国内総事業所数が120万事業所に達したと発表した。

2022年時点での稼働状況を2023年4ー9月に調査した「2023年経済センサス」によるもの。全事業所の86.6%にあたる109万事業所が営業中で、4.9%が営業を停止しており、8.5%が非営業状態だった。

営業中の109万事業所のうち、サービス業が87.1%(94万9,360事業所)を占めた。次いで▽建設業が6.5%(7万1,165事業所)▽製造業が5%(5万4,484事業所)▽農業が1.2%(1万3,271事業所)▽鉱業・採石業が0.1%(1,350事業所)ーーと続いた。

サービス業では、卸売・小売業が47.0%と最も多く、次いで飲食業(14.4%)、個人サービスその他(6.8%)となった。建設業では、特殊請負が36.5%と最多で、土木(22.7%)、非住宅(22.4%)がこれに続いた。製造業では、非金属鉱物製品・基礎金属・加工製品が19.0%と最も多く、次いで木製品・家具・紙製品・印刷物(17.9%)、食料品(17%)だった。農業部門では、農作物が69.8%と最多で、次いで畜産が15.1%、水産が10%となっている。

州・地域別では、セランゴールが25.3%でトップ。次いでクアラルンプール(13.8%)、ジョホール(11.4%)が続いた。
(ザ・サン、1月2日、ザ・スター、ベルナマ通信、12月29日)