第565回 インドネシアで金銀行が発足、イスラム銀行も資格取得
Q: インドネシアで採用された金銀行とは?
A: インドネシアのブラボウォ大統領は2月26日、金の取り扱いができる金銀行(ブリオンバンク、金地金銀行とも)制度を発足させ、2行にライセンスを与えたことを明らかにした。同国内で退蔵されている金を、個人資産の運用とマクロ経済の外貨準備の両観点から有効活用していくことが目的のようだ。
ブリオンバンクとは、金を通貨と同じように取り扱う銀行のことである。歴史的にも、金が通貨(金貨)として用いられて金本位制度が確立し、その後は金に代わって紙幣による管理通貨制度が導入されて現在に至るわけだが、ブリオンバンクは金を通貨と同等に扱う銀行である。一般的にブリオンバンクが行える業務として、金を預金して利子を受け取ったり、金を担保にして融資を受けたり、あるいは貿易取引の際に金で決済を行うことなどが含まれる。もちろん、金そのものの売買も可能な銀行も多い。
今回同国でブリオンバンクの資格を取得したのは、国立銀行で従来型銀行のバンク・ラクヤットの子会社と、国内最大のイスラム銀行であるバンク・シャリアの2行である。なお、銀行がこの資格を取得するには、最低14兆ルピア(約1,270億円)の資本金が必要である。
ブリオンバンクの制度は、日本では銀行による金取引に法律上の制限があるためなじみが薄い。これに対してイスラム世界では、伝統的に資産として金を保有することが好まれていたことと、利子を嫌って銀行の利用を避ける傾向があった。そこで銀行が金や地金をそのまま受け入れるとともに、金融商品・取引に金という実物資産が伴うのであれば、イスラム銀行との親和性が高い。インドネシアは金の産出・保有量が多い国でもあるため、ブラボウォ大統領も声明の中で、ブリオンバンクの導入で経済システムが改まり、金による銀行預金が増え外貨準備不足に備えられると、期待を寄せた。
福島 康博(ふくしま やすひろ) 立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。 |